弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人八島喜久夫の上告理由一について。
 原判決の所論認定に関する判示をみるに、その趣旨とするところは、上告人の原
審における、本件免職処分はその事由とされた事実が全く存在しないから、その
は重大かつ明白であつて処分は無効である旨の主張に対し、要するに、その主張を
認めるに足る証拠がない旨認定しているのであつて、所論証拠についてその排斥の
理由の表現はともかくとして、挙示の証拠関係を詳細に検討すれば、判示証拠が上
告人の主張を認めるに足る証拠とはならないとする原判決の判断は首肯しえないも
のではない。のみならず、原判決がさらに判示している本件免職処分の事由が存在
する旨の認定は、所論D証人の証言のみでなくその余の挙示の証拠をも認定の資料
に供しているのであつて、これらを検討すれば右認定は肯認しえないことはない。
従つて、結局、原判決には所論の違法は存しないというべきである。
 同二について。
 原判決の所論判断は挙示の証拠に照らせば首肯しえないものではなく、この点に
関し所論の違法は認められない。論旨は採るをえない。
 同三について。
 原判決およびその引用する一審判決をみると、原審は上告人の原審における所論
主張に対し、本件免職処分に対する審査請求については不服申立期間経過の理由で
却下の裁決がされており、本件全証拠によつても右審査請求の提起が適法であつた
とは認められないから、結局、上告人の本件処分の取消請求は審査請求を経由すべ
き要件を充足しない不適法なものである旨判断しているのであり、右判断は本件証
拠関係に照らし首肯できる。故に原判決には所論の違法は存せず、論旨は採るをえ
ない。
 同四について。
 教育長専決規程(昭和三一年一二月一日福島県教育委員会訓令第二号)中の教員
の分限免職処分を教育長に専決処理させる旨の規定およびこれにもとづく本件処分
は、地方自治法、地方公務員法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、教育
公務員特例法等における教育委員会および教育長の職務権限等に関する規定、分限
制度の趣旨および分限処分に対する不服申立方法等にかんがみれば、これを違法、
無効とは解せられない。論旨は採るをえない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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