弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役式年に処する。
     原審における未決勾留日数中百五拾日を右本刑に算入する。
     押収に係る理科年表一冊(証第三号)は被害者Aに、メートルグラス一
個(証第四号)は被害者B高等学校に、写真機一台(証第五号)は被害者Cに、小
型写真機一台(証第六号)は被害者Dに夫々還付する。
         理    由
 弁護人松本梅太郎の控訴趣意は別紙記載の通りである。
 控訴趣意第一点について。
 論旨は原判示第三の事実(強姦致傷)につき原審が皮下結締織炎を傷害と認定し
たのは誤りであると謂うのである。仍て考察するに原判決が証拠として掲げる原審
第二回公判調書中証人Eの供述記載、原審第三回公判調書中証人Fの供述記載、F
の検察官に対する供述調書、医師F作成の診断書及び被告人の司法警察員に対する
第一回供述調書を綜合すれば、被告人は原判示第三の如くEを強姦するに際し同女
の陰毛を一握り掴んで強く引張つたため陰部左側の毛根が弛緩し皮膚と筋肉の間を
結ぶ組織即ち皮下結締組織が炎症を起した事実(毛根部と皮下組織との緊着力が不
十分となり且つ該部位の皮膚が赤く腫れ軽度の接触で疼痛を感ずる状態、全治約三
週間)を認め得るところ、刑法上傷害とは不法に人の身体に損傷を与えることを<要
旨>汎く指すものと解すべきであるから、右の如く陰毛を引張るの暴行により陰部附
近に皮下結締織炎を生じさせた場合もまた人の身体に傷害を与えた場合に該
当するものと謂わなければならない。所論の如く病理学上炎症自体は外部よりの物
理的化学的或は電気細菌等による刺戟に対する生理的自然的反応であつて傷そのも
のではないとしても、右の場合被害者の身体の一部に損傷を与えたことは明かであ
り、原判決が被告人の本件行為を強姦致傷に問擬したのは蓋し相当であつて、論旨
は首肯できない。
 同第二点について。
 論旨は原判決は本件強姦致傷認定につき採証の法則を誤つていると謂うのであ
る。しかし原判決が証拠として挙示する前掲原審第三回公判調書中証人Fの供述記
載、同人の検察官に対する供述調書及び同人作成の診断書を仔細に検討し、論旨の
主張する諸点殊に本件被害者Eが当初F医師に対し性病に罹つているか否かにつき
診断を求めた点、同医師は右Eの受傷につき何等手当を施していない点、同医師の
診察は本件犯行の日より八日後である点等を十分考慮に容れても、右F医師が虚偽
の診断書を作成し且つ虚偽の供述或は医学上不合理の供述をなしているものとは到
底認められない。また原審第二回公判調書中の証人Eの供述記載を検討しても同証
人の証言内容が信を措くに足りないものであるとは認められず、本件記録を精査し
ても捜査当局について本件を殊更強姦致傷として扱うべく工作をなした形跡はこれ
を窺うことができない。これを要するに原判決がその挙示する各証拠により原判示
第三の強姦致傷事実を認定したのは相当であり、論旨の縷々主張し且つ援用すると
ころを吟味しても原判決に事実誤認又は採証の広則を誤つた違法はなく、論旨は採
用し難い。
 同第三点について。
 論旨は原判決の量刑は不当であると謂うのである。仍て本件記録を精査して考察
するに、被告人は原判決認定の如く十回に亙る窃盗の外横領、強姦致傷、恐喝未遂
等の罪を犯したものであつて相当の刑責を免れ得ないけれども、被告人は犯行当時
少年であり是迄前科のないこと、窃盗及び横領の各犯行はいずれも比較的軽微であ
り被害の一部を弁償したこと、強姦致傷の点については所論の如く被害者において
も些か反省を要する点があること(被害者は二日程前にも被告人と共に炬燵に入つ
ていた際被告人より陰部に指を挿入されたことがあるにも拘らず本件被害当日も被
告人が既に入つている炬燵に入り被告人の犯行を誘発した結果となつた)その他諸
般の情状を彼此斟酌すれば、原判決の量刑(懲役三年以上五年以下)は幾分重きに
過ぎると認められる(但し論旨主張の諸点を考慮に容れても情状刑の執行を猶予す
べきものとは認められない)従て論旨は理由がある。
 仍て刑事訴訟法第三百八十一条第三百九十七条第一項により原判決を破棄し、同
法第四百条但書の規定に従い当裁判所において自判することとする。
 罪となるべき事実及びこれを認める証拠は原判決の示す通りである。
 (法令の適用)
 原判示第一の各所為につき刑法第二百三十五条原判示第二の所為につき刑法第二
百五十二条第一項 原判示第三の所為につき刑法第百八十一条第百七十七条前段
(有期懲役刑選択)
 原判示第四の所為につき刑法第二百五十条第二百四十九条第一項刑法第四十五条
前段第四十七条本文第十条第十四条(強姦致傷罪の刑に併合罪加重)
 刑法第六十六条第七十一条第六十八条第三号
 刑法第二十一条
 刑事訴訟法第三百四十七条第一項
 刑事訴訟法第百八十一条第一項但書
 仍て主文の通り判決する。
 (裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)

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