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平成18年(行ケ)第10191号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成18年8月31日
判決
原告チェルシージャパン株式会社
訴訟代理人弁護士高橋美智留
同木村耕太郎
訴訟代理人弁理士下坂スミ子
同中山俊彦
被告特許庁長官
中嶋誠
指定代理人今田尊恵
同柳原雪身
同大場義則
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が不服2004−16054号事件について平成18年3月10日に
した審決を取り消す。
第2争いのない事実
1特許庁における手続の経緯
原告は,平成14年12月11日,別紙1のとおりの構成からなる商標(以
下「本願商標」という。)について,指定役務を第35類「ショッピングセ
ンター事業の運営及び事業の管理,広告,トレーディングスタンプの発行,
経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提
供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,
輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆
耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプ
ライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物におけ
る来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワ
ードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」,第36類「
店舗その他の建物の貸与,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の
売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,
土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又
は媒介,土地の有効活用に関する企画及び指導,建物又は土地の情報の提
供,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の
受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形
の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属
その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・
金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権
の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,
割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代
行,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及
び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価
証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有
価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価
証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場にお
ける有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又
は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出し
の取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受
託,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の
代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,骨
董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に
関する調査,慈善のための募金,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現
金自動預け払い機の貸与」,第37類「建設工事,建築工事に関する助言,
建築設備の運転・点検・整備,船舶の建造,船舶の修理又は整備,航空機の
修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は
整備,二輪自動車の修理又は整備,映画機械器具の修理又は保守,光学機械
器具の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,荷役機械器具の修理又
は保守,火災報知機の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,暖冷
房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保
守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電子応用機械器
具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,土木機械器具の修理
又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,照明用器具の修理又は保
守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,
電動機の修理又は保守,理化学機械器具の修理又は保守,測定機械器具の修
理又は保守,医療用機械器具の修理又は保守,銃砲の修理又は保守,印刷用
又は製本用の機械器具の修理又は保守,化学機械器具の修理又は保守,ガラ
ス器製造機械の修理又は保守,漁業用機械器具の修理又は保守,金属加工機
械器具の修理又は保守,靴製造機械の修理又は保守,工業用炉の修理又は保
守,鉱山機械器具の修理又は保守,ゴム製品製造機械器具の修理又は保守,
集積回路製造装置の修理又は保守,半導体製造装置の修理又は保守,食料加
工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,製材用・木工用又は合板用
の機械器具の修理又は保守,繊維機械器具の修理又は保守,たばこ製造機械
の修理又は保守,塗装機械器具の修理又は保守,農業用機械器具の修理又は
保守,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具の修理又は保守,プラス
チック加工機械器具の修理又は保守,包装用機械器具の修理又は保守,ミシ
ンの修理又は保守,貯蔵槽類の修理又は保守,ガソリンステーション用装置
の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,自転車駐輪器具の修理又
は保守,業務用食器洗浄機の修理又は保守,業務用加熱調理機械器具の修理
又は保守,業務用電気洗濯機の修理又は保守,乗物用洗浄機の修理又は保
守,自動販売機の修理又は保守,動力付床洗浄機の修理又は保守,遊園地用
機械器具の修理又は保守,美容院用又は理髪店用の機械器具の修理又は保
守,水質汚濁防止装置の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,廃棄物圧
縮装置の修理又は保守,廃棄物破砕装置の修理又は保守,潜水用機械器具の
修理又は保守,原子力発電プラントの修理又は保守,化学プラントの修理又
は保守,家具の修理,傘の修理,楽器の修理又は保守,金庫の修理又は保
守,靴の修理,時計の修理又は保守,はさみ研ぎ及びほうちょう研ぎ,錠前
の取付け又は修理,ガス湯沸かし器の修理又は保守,加熱器の修理又は保
守,なべ類の修理又は保守,看板の修理又は保守,かばん類又は袋物の修
理,身飾品の修理,おもちゃ又は人形の修理,運動用具の修理,ビリヤード
用具の修理,遊戯用器具の修理,浴槽類の修理又は保守,洗浄機能付き便座
の修理,釣り具の修理,眼鏡の修理,毛皮製品の手入れ又は修理,洗濯,被
服のプレス,被服の修理,布団綿の打直し,畳類の修理,煙突の清掃,建築
物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,し尿処理槽の清掃,浴
槽又は浴槽がまの清掃,道路の清掃,貯蔵槽類の清掃,電話機の消毒,有害
動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),医療用機械器具
の殺菌・減菌,土木機械器具の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与,洗車
機の貸与,電気洗濯機の貸与,衣類乾燥機の貸与,衣類脱水機の貸与,家庭
用ルームクーラーの貸与,鉱山機械器具の貸与,暖冷房装置の貸与」,第3
9類「車両による輸送,駐車場の提供,駐車場の管理,コインロッカーによ
る携帯品の一時預かりその他の他人の携帯品の一時預かり,車いすの貸与,
鉄道による輸送,道路情報の提供,自動車の運転の代行,船舶による輸送,
航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,引越
の代行,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の引揚げ,水先案
内,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するもの
を除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,寄託を受けた物品の倉庫における保
管,ガスの供給,電気の供給,水の供給,熱の供給,倉庫の提供,有料道路
の提供,係留施設の提供,飛行場の提供,荷役機械器具の貸与,自動車の貸
与,船舶の貸与,自転車の貸与,航空機の貸与,機械式駐車装置の貸与,包
装用機械器具の貸与,金庫の貸与,家庭用冷凍冷蔵庫の貸与,家庭用冷凍庫
の貸与,小包郵便物交付事務手続の代理,冷凍機械器具の貸与,ガソリンス
テーション用装置(自動車の修理又は整備用のものを除く。)の貸与」及び
第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,当せん金付証票の発売,献体に
関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調
教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美
術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は
音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上
演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽
・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放
送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組
の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開
催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及び
スポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除
く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企
画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像
用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇
・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器
具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョ
ン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み
磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジ
フィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の
貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具
の貸与」として,商標登録出願(商願2002−104842号)をした
が,平成16年7月5日,拒絶査定を受けたので,同年8月3日,これを不
服として審判請求をした。
特許庁は,上記審判請求を不服2004−16054号事件として審理した
結果,平成18年3月10日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審
決をし,その謄本は,同月27日,原告に送達された。
2審決の理由
別紙審決書の写し記載のとおりである。要するに,本願商標と登録第30
10952号商標(以下「引用商標1」という。),登録第3042687
号商標(以下「引用商標2」という。),登録第3042688号商標(以
下「引用商標3」という。),登録第3090692号商標(以下「引用商
標4」という。),登録第3137359号商標(以下「引用商標5」とい
う。),登録第3333997号商標(以下「引用商標6」という。),登
録第3352212号商標(以下「引用商標7」という。),登録第401
1170号商標(以下「引用商標8」という。),登録第4030207号
商標(以下「引用商標9」という。),登録第4073579号商標(以
下「引用商標10」という。),登録第4237563号商標(以下「引用
商標11」という。),登録第4237564号商標(以下「引用商標1
2」という。),登録第4243683号商標(以下「引用商標13」とい
う。),登録第4243685号商標(以下「引用商標14」という。),
登録第4243687号商標(以下「引用商標15」という。),登録第4
243688号商標(以下「引用商標16」という。)及び登録第4386
417号商標(以下「引用商標17」といい,引用商標1ないし17を総称
して,単に「引用商標」という。)とは,外観において差異を有し,観念に
おいては,比較することができないとしても,「リンク」の称呼を共通にす
る全体として相紛れるおそれのある類似する商標であり,本願商標の指定役
務は,引用商標の指定役務と同一又は類似のものを含むから,本願商標は,
商標法4条1項11号に該当し,その商標登録を受けることができないとい
うものである。
なお,審決は,本願商標は別紙1のとおり彩色された図形の下に「RIN
KU」の文字を書し,該欧文字の上下に平行する2本直線を配した構成から
なり,引用商標1ないし4,6,10は別紙2に示すとおりの構成からな
り,引用商標5,7,9は「LINK」の欧文字を書してなり,引用商標
8,11ないし17は「LINK」及び「リンク」の文字から構成されてい
ると認定した。
第3当事者の主張
1原告主張の審決の取消事由
審決は,引用商標2ないし4は,商標法4条1項11号の「他人の商標登
録」に該当しないのに,これに該当するものとして本願商標との類否判断を
行った上,本願商標と引用商標との類否判断を誤った結果,本願商標が商標
法4条1項11号に該当すると誤って判断したものであるから,違法として
取り消されるべきである。
なお,本願商標及び引用商標の各構成に関する審決の認定事実,引用商
標(引用商標2及び3を除く。)から「リンク」の称呼が生じること,本願
商標の指定役務が引用商標の各指定役務と同一又は類似のものを含むことは
認める。
(1)取消事由1(不適格な引用商標との対比)
ア引用商標2,3は平成17年5月31日に,引用商標4は同年10月
31日にそれぞれ存続期間が満了し,審決時(平成18年3月10日)
には,いずれも存続期間の更新登録の申請がされずに権利が消滅してい
るから,引用商標2ないし4は,商標法4条1項11号の「他人の登録
商標」に該当しない。
したがって,引用商標2ないし4は,本願商標との類否判断を行う対
象としての適格性を欠くにもかかわらず,本願商標が引用商標2ないし
4と類似することを本願商標の登録出願の拒絶の根拠とした審決は,違
法である。
イこれに対し被告は,引用商標4について,存続期間経過後6月以内で
あれば,商標法4条1項11号の「他人の商標登録」に該当する旨主張
するが,当該期間中に更新登録の申請がされた事実がない以上,当該商
標権は,存続期間の満了の時にさかのぼって消滅したものとみなされる
のであるから,引用商標4が不適格なものであることに変わりはない。
また,被告は,引用商標2,3は,商標法4条1項13号の商標権が
消滅した日から1年を経過していない「他人の商標」に該当し,これに
類似する本願商標は登録をすることができない旨主張するが,審決は,
引用商標2,3が同条1項11号の「他人の登録商標」に該当すること
を前提として本願商標との類否判断を行っているだけで,引用商標2,
3の「他人の商標」(同条1項13号)該当性についての審理及び判断
をしていないから,引用商標2,3が「他人の商標」(同条1項13
号)に該当するかどうかは,引用商標2,3が「他人の登録商標」(同
条1項11号)に該当するものとして類否判断を行った審決が違法であ
ることに何ら影響するものではなく,被告の上記主張は失当である。
(2)取消事由2(本願商標と引用商標の類否判断の誤り)
ア本願商標の観念,称呼の認定の誤り
審決は,本願商標について,「「RINKU」の文字は,特定の語義
あるいは特定の読み方を有する語として一般に普及しているとは認めら
れない一種の造語と解されるものというべきであるところ,造語と理解
される語が欧文字で表記されている場合にあっては,これに接する取引
者,需要者は,我が国で馴染まれた外国語である英語風又はローマ字風
の読みで称呼することが多いといえるものであるから,本願商標は,そ
の構成文字全体を「リンク」と読み,その称呼をもって取引に資するの
が自然であるというべきである。」(審決書10頁6行∼12行)と認
定しているが,次に述べるとおり誤りである。
(ア)①「RINKU」は,「りんくうタウン」という地名(の略称)
又は地域名称であり,「RINKU」から「りんくうタウン(及び
その周辺地域)」という観念を生じる。
「りんくうタウン」とは,関西国際空港の開発の際に空港島の対
岸地域に新たに開発された商工業地域であり,このことは,一般的
な学校教育を受けた平均的な日本人であれば当然に知っているはず
の公知の事実であり,「りんくう」が「臨空」に由来することも容
易に理解するところである。
②りんくうタウンないしその周辺地域には,「りんくうゲートタワ
ービル」,JR西日本及び南海電鉄の「りんくうタウン駅」,「り
んくう公園」など,「りんくう」の名を冠した施設が多数存在す
る。
そして,りんくうタウンの開発主体である大阪府が自ら「りんく
う」のローマ字表記として「RINKU」の文字を使用し,りんく
うタウンに所在する多数の施設の名称の英語表記でも,「Rink
uTownStation」,「RinkuConvent
ionCenter」,「RinkuGateTower
Building」,「RinkuERGABuildin
g」,「RinkuGeneralMedicalCent
er」,「RinkuInternationalLogis
ticsCenter」,「RinkuPapara」,「R
inkuPark」等,「RINKU」を使用しており,そのた
め他の公的機関や民間事業者も一様に「RINKU」の表記を使用
し,実際に施設の看板,パンフレットの資料,施設を紹介するホー
ムページにおいて「RINKU」の英語表記を使用し,地名として
の「りんくう」の英語表記として「RINKU」は定着している。
したがって,「RINKU」は,審決がいうような「一種の造語」
ではない。
これに対し被告は,上記各施設において「RINKU」と他の欧
文字を組み合わせた表示がされているが,「RINKU」単独で表
示されたものは存在しないから,「RINKU」から「りんくうタ
ウン」の観念が生じる根拠とならない旨主張するが,りんくうタウ
ン近辺の多数の施設において「RINKU」と他の欧文字を組み合
わせた表示がされているのであれば,一般需要者は「RINKU」
が「りんくうタウン」の略称の「りんくう」であると理解するはず
であり,また,「RINKU」単独で表示されたものがないのは,
誰もが「RINKU」を地名(の略称)である「りんくう」の英語
表記であると認識するため,「RINKU」単独では識別力がない
か又は極めて弱いと考えているからにほかならないのであり,被告
の上記主張は失当である。
③したがって,一般需要者は,本願商標の「RINKU」の文字列
を「りんくう」と読み,かつ,「りんくうタウン」ないしその周辺
地域を想起するものである。
(イ)①原告は,著名な「プレミアム・アウトレット(PremiumOutlet
s)」のブランドでアメリカ合衆国の各地においてアウトレットモー
ルを運営するチェルシー・プロパティー・グループと日本企業2社
との合弁企業である。
原告が平成12年11月23日にりんくうタウン地区内に開業し
た「りんくうプレミアム・アウトレット」(大阪府泉佐野市りんく
う往来南所在)は,西日本最大級の我が国の主要なアウトレットモ
ールの一つである。
原告は,「りんくうプレミアム・アウトレット」のほかに,平成
12年7月に静岡県御殿場市に「御殿場プレミアム・アウトレッ
ト」,平成15年3月に栃木県佐野市に「佐野プレミアム・アウト
レット」を開業し,以後,佐賀県鳥栖市に「鳥栖プレミアム・アウ
トレット」,岐阜県土岐市に「土岐プレミアム・アウトレット」を
開業し,全国において「プレミアム・アウトレット」事業を展開中
である。原告は,その事業展開の中で,各地の「プレミアム・アウ
トレット」の出所を表示する商標として,地名のローマ字表記に色
彩の付された図形を組み合わせた商標を使用しており,例えば,「
御殿場プレミアム・アウトレット」については「GOTEMBA」
の文字列と図形を組み合わせた商標(商標登録第4703541
号)を,「佐野プレミアム・アウトレット」については「SAN
O」の文字列と図形を組み合わせた商標(商標登録第470354
2号)を使用している。
②原告は,平成12年11月23日の「りんくうプレミアム・アウ
トレット」の開業前後から少なくとも平成16年3月ころまで,「
りんくうプレミアム・アウトレット」の施設の内外において本願商
標を継続して使用してきた。
「りんくうプレミアム・アウトレット」には,年間数百万人が来
場しているが,入場者は,必ず「パスポート」と呼ばれる案内用小
冊子(甲21)や,クーポンブック(甲22),クーポンシート(
甲23)の表紙に印刷された本願商標を目にする上,施設内の至る
場所で本願商標を使用した看板や本願商標を付したポスターを目に
し,また,施設内の建物外壁やフラッグに表示されている本願商標
を目にする(甲24,25,29,30の1・2)。
加えて,原告は,「りんくうプレミアム・アウトレット」の開
業(平成12年11月23日)の前後から少なくとも平成15年に
かけてテレビ広告(甲30の1・2)を実施した。
このような原告の継続的な本願商標の使用により,「りんくうプ
レミアム・アウトレット」の周知性の獲得とともに,本願商標は一
般消費者の間で「りんくうプレミアム・アウトレット」の出所を表
示するものとして遅くとも審決時には既に広く知られたものとなっ
ていたものである。
③これに対し被告は,原告提出の証拠中には,「PREMIUM
OUTLETS」又は「PREMIUMOUTLETS記TM
号(登録商標であることを示すマルアール)」の各文字がそれぞれ
付加された態様の他人の登録商標が示されているだけであり,これ
らは本願商標の態様とその構成を異にするものであるから,これら
の証拠からは,本願商標の使用を立証したものとはいえない旨主張
する。
しかし,本願商標の使用態様は,他人の登録商標(乙1の1ない
し5)が本願商標と同時に使用されているだけのことであり,本願
商標を使用している事実に何ら変りはないし,もとより,登録商標
の使用に当たっては,他の文字,図形又は記号と同時に使用する場
合(例えば,ハウスマークとペットマークを同時に使用する場合,
他の登録商標を同時に使用する場合)が多く,このような態様で登
録商標が使用される場合であっても,当該登録商標の使用と認める
ことに何らの障害もないことは明らかである。このことは,被告自
身がその審査基準(商標審査基準[改定第5版]第103.(1)
③登録商標と他の文字,図形又は記号との同時使用の場合)にお
いて自ら認めていたところであるから,被告の上記主張は失当であ
る。なお,「PREMIUMOUTLETSプレミアム・アウト
レッツ」及び「RINKUPREMIUMOUTLETSリン
クウ・プレミアム・アウトレッツ」の登録商標(乙1の1ないし
5)の権利者は「シーピージーパートナーズエルピー」であり,
同社は,原告の主要な株主であり,かつ,世界的にプレミアム・ア
ウトレット事業を展開するチェルシープロパティグループの関連会
社である。
(ウ)そして,本願商標は,彩色された図形の下に「RINKU」の文
字を書し,該欧文字の上下に平行する2本直線を配した構成からなる
ものであるところ,その図形部分及び2本の直線のみからは直ちに特
定の称呼,観念が生じないとしても,原告の運営する「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」の周知性と相まって,一般需要者は,文字部
分を分離して観察することなく,本願商標の全体から「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」の観念を看取し,図形部分がりんくうタウン
の前に広がる海面から朝日が昇る(又は夕日が沈む)様子をイメージ
したものであることを容易に理解し,「りんくうプレミアム・アウト
レットのマーク」であると認識するものである。
仮に「RINKU」の文字列に着目するとしても,「りんくうタウ
ン(及びその周辺地域)」という観念が生じるものである。
(エ)また,本願商標に接した一般需要者は「りんくうプレミアム・ア
ウトレット」又は「りんくうタウン」ないしその周辺地域を想起する
以上,「RINKU」の文字部分は「りんくう」としか読みようがな
く,本願商標からは,「りんくう」という称呼のみが生じる。
(オ)したがって,審決が,「「RINKU」の文字は,特定の語義あ
るいは特定の読み方を有する語として一般に普及しているとは認めら
れない一種の造語」であり,「本願商標は,その構成文字全体を「リ
ンク」と読み,その称呼をもって取引に資するのが自然である」と認
定したのは誤りである。
イ類否判断の誤り
審決は,本願商標につき「かかる構成にあっては,図形部分と文字部
分とが視覚上分離して看取されるばかりでなく,これらを常に一体不可
分のものとして認識,把握しなければならない特段の事情も見いだし得
ない」(審決書9頁36行∼38行),引用商標につき「上記引用商標
1ないし引用商標5,引用商標7ないし引用商標9及び引用商標11な
いし引用商標17は,それぞれの構成文字に相応して,「リンク」の称
呼が生ずるというべきである。また,引用商標6及び引用商標10は,
・・・全体として「LINC」及び「Linc」の欧文字を表したもの
であると容易に認識できるものといわざるを得ない。そして,該「LI
NC」「Linc」の文字は,特定の観念の生じない造語であるという
べきであるから,・・・「リンク」の称呼を生ずるというのが相当であ
る。」(同10頁31行∼11頁2行)とした上で,「してみれば,本
願商標と引用商標とは,外観において差異を有し,観念においては,比
較することができないとしても,「リンク」の称呼を共通にする全体と
して相紛れるおそれのある類似する商標」である(同11頁3行∼5
行)と判断している。
しかし,商標の類否の判断に際しては,「商標の外観,観念または称
呼の類似は,その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを
推測させる一応の基準にすぎず,従って,右三点のうちその一において
類似するものでも,他の二点において著しく相違することその他取引の
実情等によって,なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めが
たいものについては,これを類似商標と解すべきではない。」(最高裁
昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)
と解されるところ,審決は,以下のとおり,本願商標と引用商標との外
観及び観念の明らかな相違について一顧だにすることなく,かつ,原告
が提出した取引の実情に関する証拠についてまったく検討することな
く,「リンク」との共通の称呼が生じるとの形式的理由のみによって本
願商標と引用商標とが類似すると簡単に結論づけており,外観,観念,
称呼の総合的判断を怠った点において明らかな違法がある。
(ア)審決は,本願商標について「図形部分と文字部分とが視覚上分離
して看取されるばかりでなく,これらを常に一体不可分のものとして
認識,把握しなければならない特段の事情も見いだし得ない」とし
て,本願商標の図形部分を特段の理由もなく無視ないしは軽視し,文
字部分を要部と認定している。
しかし,図形部分と文字部分との結合商標の場合に,両部分が外観
上概念上不可分一体の関係にあるものと認めるべき事由がある場合の
みにこれを一体のものとし,これに当てはまらない場合は別個のもの
として,文字部分に依拠して商標の要部をとらえるとの考察方法は,
安易にすぎる。図形部分と文字部分とを分離観察すべきかどうかとい
う点については,「当該結合商標の文字と図形が,構成上どのような
結合商標となっているか,外観,称呼,観念において関連性を有して
いるか否か,識別力の点で一方が特に顕著性を有してないか否かなど
の点を考慮するとともに,当該結合商標が使用されている場合には,
その使用されている商品の取引の実情,あるいは取引者や需要者に当
該結合商標が著名,周知であるか否かなどを考慮して,当該結合商標
の文字と図形の両者が不可分一体をなして一個の外観,称呼,観念を
形成するもの」であるかどうかで判断されるべきである(東京高裁平
成7年3月29日判決・判例時報1565号131頁,東京高裁平成
6年10月25日判決・判例時報1523号145頁参照)。
そして,本願商標については,①図形部分と文字部分は構成上,上
下に相接して位置していること,②海あるいは波及び太陽を図案化し
た図形部分と「りんくう」という地名を示す文字部分とは,当該地域
が海岸地域に位置していることも相まって観念的にも自然な結合をな
しているというべきであること,③図形部分が青,緑,赤,紫の4色
を鮮やかに配した印象的な図形であり決してありふれたものでないの
に対し,「RINKU」の文字部分は特徴のない標準文字で,しかも
黒色であること,④図形部分が「RINKU」の文字部分に比べて同
程度以上の大きさを有していること,⑤文字部分「RINKU」は地
名の略称である「りんくう」の英語表記であり,それ自体の識別力は
ないか若しくは極めて弱いこと,以上の①ないし⑤の点に鑑みると本
願商標の文字部分が識別力の点で特に顕著なものであるということは
できない。
また,本願商標は,日本最大規模のアウトレットモールとして周知
の「りんくうプレミアム・アウトレット」を示すものとして,平成1
2年11月ころから宣伝広告などに使用されてきたものであり,本願
商標は一般消費者の間で「りんくうプレミアム・アウトレット」の出
所を表示するものとして遅くとも審決時において既に広く知られたも
のとなっていたものである。
そうすると,本願商標は,取引者,需要者において図形と文字が不
可分一体のものとして認識されるものと認めるのが相当であり,安易
に文字部分を要部と認めて,そこから生じる称呼のみを問題として引
用商標との対比を行うことは,余りにも形式的な判断であるといわざ
るを得ない。
(イ)前記のとおり「RINKU」の文字列からは「りんくうタウン(
及びその周辺地域)」との観念が生じるのに対し,「Link」,「
Linc」等からは「つながり,連結」等の観念が生じるものであ
り,これらは著しく異なっている。
さらに,本願商標の全体と引用商標とを対比したときには,本願商
標からは「りんくうプレミアム・アウトレット」又は「りんくうタウ
ン(及びその周辺地域)」との観念が生じるのに対し,引用商標から
は「つながり,連結」等の観念が生じるものであるから,観念におい
て著しく異なっている。仮に百歩譲って本願商標から特定の観念が生
じないとしても,「Link」,「Linc」等からは,「つなが
り,連結」等の明確な観念が生じるから,本願商標と引用商標とは観
念において明瞭に相違するものである。なお,東京高裁平成13年1
2月12日判決(判例時報1780号137頁参照)は,「痛快
!」(本願商標)と,図案化された「Tsu」と「Kai」を二段に
併記してなる「TsuKai」(引用商標)とについて,「「痛快
!」(本願商標)からは「『痛快』,『とても気持ちのよいこと』,
『大変愉快なこと』等の明確な観念を生ずるのに対し」,「TsuK
ai」(引用商標)からは「特定の観念が生じないことはもとより,
引用商標が何らかの意味合いをもって把握されることもないから,両
者は観念においても明りょうに相違するものと認められる。」と判断
しており,上記判決の基準によれば,本件において,本願商標と引用
商標との観念の相違は明瞭である。
(ウ)また,「RINKU」と「Link」,「Linc」等とでは,
商標に接した取引者・需要者の注目度が一般に最も高いと言われてい
る第1文字において「R」と「L」との顕著な差があり,仮に百歩譲
って「RINKU」から「リンク」との称呼が生じるとしても,「
R」と「L」との外観の違いのほか,「RINKU」は末尾に「U」
の文字を有し5文字の欧文字から構成されるのに対し,「Lin
k」,「Linc」はいずれも末尾に「U」の文字を有しないため,
4文字のみより構成される違いがあり,このような短い単語における
1文字の差がもたらす外観の相違は顕著である。このように文字部分
のみに着目しても本願商標と引用商標との外観には大きな相違が認め
られるものである。さらに図形部分の有無という決定的な違いによっ
て,全体として本願商標と引用商標とでは,外観において著しく異な
っている。
(エ)そうすると,本願商標と引用商標とでは,外観において著しく異
なり,また,観念においてもその相違は明瞭であるから,審決が,本
願商標と引用商標とが,「「リンク」の称呼を共通にする全体として
相紛れるおそれのある類似する商標」であると判断したのは誤りであ
る。
2被告の反論
審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
(1)取消事由1に対し
ア商標法20条2項ないし4項によれば,商標法20条2項に規定する
更新登録の申請手続期間(存続期間の満了前6月から満了の日までの
間)を経過しても当該商標権は当然には消滅せず,存続期間は更新され
たものとし,存続期間の満了後6月内に更新登録の申請がないときに初
めてその商標権は遡及して消滅することとなる。
そうすると,引用商標4については,審決時には,存続期間経過後6
月以内の期間中であり,その商標権者は更新登録の申請がなくとも商標
権者としての地位が認められていたから,引用商標4は,商標法4条1
項11号の「他人の登録商標」に該当するというべきである。
イ引用商標2,3については,審決時には,商標権の存続期間の満了の
日から6月以上経過していたが,未だその商標権が消滅した日から1年
を経過していなかったため,本願商標は,商標法4条1項13号の「商
標権が消滅した日から1年を経過していない他人の商標に類似する商
標」であって,「その商標権に係る指定役務又はこれに類似する役務に
ついて使用をするもの」に該当し,審決時には,本願商標の登録をする
ことができなかったものである。
(2)取消事由2に対し
ア(ア)文字,図形,記号等の結合よりなる結合商標の類否の判断に当た
っては,一般に,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際において,各構成部分
がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど
不可分的に結合していない限り,常に必ずしもその構成部分全体の名
称によって称呼,観念されるというわけではなく,しばしば,その一
部だけによって簡略に称呼,観念され,その結果,1個の商標から2
個以上の称呼,観念の生じることがあるのは,経験則の教えるところ
であり,この場合,一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同
一又は類似であるとはいえないとしても,他の称呼,観念が他人の商
標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解される(
最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号16
21頁参照)。そうすると,結合商標の各構成要素に上記のような不
可分的結合が認められない限り,全体観察を実態に即して行うための
必須の手法として,分離観察をし,商標の要部を抽出して,引用商標
と対比し,類否判断すべきであるところ,本願商標は,別紙1のとお
り,文字と図形とからなる結合商標であるが,その外観上の構成自体
から,各構成部分はそれを分離して観察することが取引上不自然と思
われるほど不可分的に結合しているとは認めがたい。
(イ)本願商標の構成中の図形部分及び2本の直線については,直ちに
特定の称呼,観念が生じるものではない。
本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分については,審決が
認定するように,特定の語義あるいは特定の読み方を有する語として
一般に普及しているとは認められない一種の造語と解されものであ
り,造語と理解される語が欧文字で表記されている場合にあっては,
これに接する取引者,需要者は,我が国で馴染まれた外国語である英
語風又はローマ字風の読みで称呼することが一般的であるといえるか
ら,本願商標の構成文字全体をローマ字風に「リンク」と読み,その
称呼をもって取引に資すると見るのが自然であり,「RINKU」の
文字部分それ自体が自他役務の識別標識としての機能を果たし得るも
のである。したがって,たとえ「リンクウ」として読まれる場合があ
るとしても,それゆえをもって,本願商標の文字部分の「RINK
U」から「リンク」の称呼は生じないということはできない。
(ウ)本願商標は,何かをかたどったものとは認識しがたい幾何学的図
形と,既製語とは認められない「RINKU」の文字から構成される
ものであるから,本願商標から,特定の観念は生じないというべきで
ある。
もっとも,「臨空」,「りんくう」が関西国際空港の対岸地域に開
発された商工業地域の「りんくうタウン」を指称するものであること
は,関西地方のみならず,他の地方でも知られていることを否定する
ものではないが,本願商標の文字部分の「RINKU」が「りんくう
タウン」等の「りんくう」を指し,「りんくうタウン」等を直ちに連
想,想起させるものであるとはいえない。
原告提出の甲5,6,9ないし12中には,「RINKU」の文字
と他の欧文字とを組み合わせた表示や,「りんくう○○」に対応する
英訳として「RINKU○○」が併記された表示があり,また,「
RINKU」の文字は,「臨空」に由来する平仮名の英語表記とし
て,「りんくう」の平仮名と共に併記されることの多い文字であると
しても,上記甲号各証中には,「RINKU」の文字がそれのみで使
用された表示はなく,「りんくう」の平仮名文字又は「RINKU」
の後に続く「TOWN」,「PARK」等の語と一体となって,構成
全体として「りんくうタウン」内の施設名としての観念が生じるもの
というべきであって,「RINKU」の語のみで独立して「りんくう
タウン」等の観念が生じるとする裏付けにはなっていないというべき
である。
また,原告主張の本願商標の使用態様(甲21ないし25,29,
30の1・2)は,本願商標の下部に,「PREMIUMOUTL
ETS」,「PREMIUMOUTLETS」又は「PREMITM
UMOUTLETS記号(登録商標であることを示すマルアー
ル)」の各文字が付加された態様や,本願商標の下部に,「RINK
U」,「PREMIUM」及び「OUTLETS」の文字を三段に書
した態様などであって,いずれも本願商標とはその構成自体を異にす
るものであり,これらをもって本願商標が使用されたものとはいえ
ず,さらに,本願商標に接した一般の需要者が,本願商標より「りん
くうプレミアム・アウトレット」を想起し,「RINKU」の文字自
体が,「りんくうプレミアム・アウトレット」又は「りんくうタウ
ン」の「りんくう」の英語表記であると理解するものであるというこ
とはできない。
加えて,本願商標に併記されている「PREMIUMOUTLE
TS」又は「RINKUPREMIUMOUTLETS」の文字
部分は,それのみで商標としての出所表示機能を有する部分であるこ
とから,一般需要者が,それら「PREMIUMOUTLETS」
又は「RINKUPREMIUMOUTLETS」の文字の併記
されていない本願商標に接した際に,本願商標より直ちに「りんくう
プレミアム・アウトレット」を想起し,「RINKU」が,「りんく
うプレミアム・アウトレット」又は「りんくうタウン」の「りんく
う」の英語表記であると理解するということはできない。
なお,「PREMIUMOUTLETS」又は「RINKUP
REMIUMOUTLETS」の文字については,他人の登録商標
として,現に有効に存続している(乙1の1ないし5)。
(エ)以上によれば,本願商標に接した取引者・需要者は,本願商標か
ら,「りんくうプレミアム・アウトレット」又は「りんくうタウン」
ないしその周辺地域を想起し,「RINKU」の文字部分は「りんく
う」としか読みようがなく,本願商標からは,「りんくう」という称
呼のみが生じるとの原告の主張は,失当である。
イ(ア)商標の類否の判断は,対比される両商標が同一又は類似の商品に
使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがある
か否かによって決すべきであり,そのような商品に使用された商標が
その外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等
を総合して全体的に考察すべきであって,決して上記3要素の一つの
対比のみによってなされるべきでないが,少なくとも,その一つが類
似している場合には,当該具体的な取引の下では商品の出所の混同を
生じるおそれはないと考えられる特別の事情が認められる場合を除い
て,出所の混同を生じるおそれがあるというべきである。
前記のとおり,本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分が,
地域名称としての「りんくう」に当てた欧文字であるとしても,「R
INKU」の文字部分のみで未だ地域名称としての「りんくう」を想
起させる機能を有するものということはできず,特定の語義を有する
ものとして一般に普及していると認められない一種の造語であるか
ら,観念において,比較するところがないというべきである。一方,
引用商標のうち,引用商標6,10は,全体として「LINC」及
び「Linc」の欧文字を表したものと容易に認識されるものである
が,上記各文字も特定の観念を生じない造語である。
また,本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分は,独立して
取引に資される部分であり,本願商標を分離観察した結果,「リンク
ウ」と称呼される場合があるとしても,「RINKU」の文字部分に
よって「リンク」の称呼は生じないとする理由にはならないから,本
願商標より「リンク」の称呼が生じるというべきである。
そして,この称呼を手がかりとした場合,本願商標と引用商標と
は,その外観に差異を有し,観念において比較できない事情を考慮し
たとしても,「リンク」の称呼において類似しており,かつ,指定役
務の取引の実情等において,役務の出所の混同をきたすおそれはない
と考えられる特別の事情が存在するものとは認められないから,本願
商標と引用商標は類似するというべきである。
そして,本願商標と引用商標とは,商標において類似するばかりで
なく,その指定役務も同一又は類似するものであるから,本願商標が
商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはない。
(イ)なお,原告が引用する「GOTEMBA」の文字列と図形を組み
合わせた商標(商標登録第4703541号),「SANO」の文字
列と図形を組み合わせた商標(商標登録第4703542号)が登録
されているが,登録出願に係る商標が登録され得るか否かの判断は,
当該商標の構成態様と指定商品,指定役務とに基づいて,個別具体的
に判断されるべきものであり,上記登録例等の事実関係は,本件とは
異なるものであるから,本願商標が商標登録の要件を満たすかどうか
の判断を左右するものではない。
第4当裁判所の判断
1不適格な引用商標との対比(取消事由1)について
(1)ア原告は,引用商標2ないし4は,審決時には,いずれも存続期間が満
了し,存続期間の更新登録の申請がされずに権利が消滅しているから,
本願商標との類否判断を行う対象としての適格性を欠くにもかかわら
ず,本願商標が引用商標2ないし4と類似することを本願商標の登録出
願の拒絶の根拠とした審決は,違法である旨主張する。
そこで検討するに,甲28の1ないし3及び弁論の全趣旨によれば,
①引用商標2,3は,平成7年5月31日に商標権の設定登録がされた
後,平成18年2月22日,平成17年5月31日存続期間満了を原因
として,商標権の抹消登録がされたこと,②引用商標4は,平成7年1
0月31日に商標権の設定登録がされた後,その存続期間の更新登録の
申請がされていないことが認められる。
イ上記①の認定事実によれば,引用商標2,3は,審決時(平成18年
3月10日)には,存続期間経過後6月以内に更新登録の申請がなく,
商標権が消滅していたのであるから,商標法4条1項11号の「他人の
登録商標」に該当しないというべきである。
ウところで,商標法19条1項は,商標権の存続期間は,設定登録の日
から10年をもって終了する旨,同条3項は,商標権の存続期間を更新
した旨の登録があったときは,その満了の時に存続期間が更新されたも
のとする旨規定し,同法20条2項は,商標権の存続期間の更新登録の
申請は,その存続期間の満了前6月から満了の日までの間にしなければ
ならない旨,同条3項は,存続期間が満了しても,満了後6月以内であ
れば更新登録の申請をすることができる旨,同条4項は,存続期間の満
了後6月内に更新登録の申請がない場合に,その商標権は存続期間の満
了の時にさかのぼって消滅したものとみなす旨規定している。
これらの規定によれば,商標権の存続期間は設定登録の日から10年
であり,その存続期間の更新登録の申請は存続期間の満了前6月から満
了後6月までの間とし,存続期間の満了後6月内に更新登録の申請がな
いときに初めてその商標権は満了の時に遡及して消滅するのであるか
ら,商標権の存続期間が満了しても,当該商標権は当然には消滅せず,
満了後6月を経過する前の期間中であれば,更新登録の申請がなくと
も,当該商標権が存続するものとして扱うのが相当であると解される。
そして,上記②の認定事実によれば,引用商標4の商標権の存続期間
は,平成17年10月31日の経過により満了したが,審決時(平成1
8年3月10日)には,上記満了後6月を経過していなかったのである
から,引用商標4は,商標法4条1項11号の「他人の商標登録」に該
当するというべきである。本件においては,引用商標4について,結果
的には,存続期間満了後6月以内に更新登録の申請がされなかったもの
であり,その商標権は満了の時(平成17年10月31日)にさかのぼ
って消滅したものとみなされるものではあるが,審決が違法かどうかは
審決時を基準として判断すべきであるから,上記の点は審決を違法なら
しめる理由となるものではない。
(2)以上に説示したところによれば,審決が引用商標2,3を商標法3条1
項11号の「他人の登録商標」に該当するとした点は誤りであるが,審決
は,本願商標と引用商標1ないし17とをそれぞれ対比して類否判断を行
っているのであるから,引用商標2,3が類否判断を行う対象としての適
格性を欠くとしても,その余の引用商標との類否判断に誤りがなければ,
本願商標に係る出願は拒絶されるべきものであるところ,その余の引用商
標との類否判断に誤りがないことは,後記のとおりであるから,審決の上
記誤りは,審決の結論に影響を及ぼすものではないというべきである。
したがって,原告主張の取消事由1は理由がない。
2本願商標と引用商標の類否判断の誤り(取消事由2)について
(1)本願商標の観念,称呼について
原告は,審決は,本願商標の構成中の「RINKU」の文字は,「特定
の語義あるいは特定の読み方を有する語として一般に普及しているとは認
められない一種の造語」であり,「リンク」と読まれ,本願商標から「リ
ンク」の称呼が生じると認定しているが,「RINKU」は,関西国際空
港の対岸地域に新たに開発された商工業地域である「りんくうタウン」と
いう地名又は地域名称の「りんくう」に相当する部分の英語表記であっ
て,造語ではなく,「RINKU」から「りんくうタウン(及びその周辺
地域)」という観念を生じ,本願商標に接した一般需要者は「りんくうプ
レミアム・アウトレット」又は「りんくうタウン」ないしその周辺地域を
想起する以上,「RINKU」の文字部分は「りんくう」としか読みよう
がなく,本願商標からは「りんくう」という称呼のみが生じるから,審決
の上記認定は誤りである旨主張する。
ア証拠(甲1,4ないし25,29,30(いずれも枝番のあるものは
枝番を含む。))及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア)大阪府は,関西国際空港の対岸部(大阪府泉佐野市,泉南市及び
田尻町)の地域について,空港と地域が共に繁栄することを目指し,
関西国際空港と一体となって地域を整備する計画をし,その計画の対
象とした地域を「りんくうタウン」の愛称で呼ぶこととした。
関西国際空港は平成6年9月に開港したが,「りんくうタウン」(
面積・約320ヘクタール)は,その開港前から,商業業務ゾーン,
流通・製造・加工ゾーン,住宅関連ゾーン,空港関連産業ゾーン及び
工業団地ゾーンの5ゾーンを中心にまちづくりが進められてきた。
りんくうタウン内には,JR「りんくうタウン駅」及び南海電鉄「
りんくうタウン駅」,「りんくうゲートタワービル」,「りんくうエ
ルガビルディング」,「りんくうパパラ」,「りんくう公園」等の施
設がある。
原告は,平成12年11月23日,りんくうタウン内(商業業務ゾ
ーン)に,国内外の「ブランド」の直営店72店舗,飲食店7店舗の
合計79店舗のテナントが出店する「りんくうプレミアム・アウトレ
ット」という名称のアウトレットモール(大阪府泉佐野市りんくう往
来南所在)を開業した。「りんくうプレミアム・アウトレット」は,
西日本最大規模のアウトレットモールであり,開業当時からりんくう
タウンの人気施設の一つとなり,年間数百万人が来場している。
平成14年3月8日には,新たに40店舗を加え,「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」の総店舗数は119店舗となった。
(イ)大阪府,財団法人大阪府臨海・りんくうセンター発行の広報誌
等(甲6ないし10)には,「りんくうタウン」は「RINKUT
OWN」又は「RinkuTown」,「りんくうタウン駅」は「
RinkuTownStation」,「りんくうゲートタワー
ビル」は「RinkuGateTowerBuildin
g」,「りんくうエルガビルディング」は「RinkuERGA
Building」,「りんくうパパラ」は「RinkuPapa
ra」,「りんくう公園」は「RinkuPark」とそれぞれ表
記されている。
なお,りんくうタウン内の「りんくう総合医療センター」の看板に
は,「RINKUGENERALMEDICALCENTE
R」(甲14の写真⑨)の表示がともに付されている。
(ウ)①原告が作成した「OUTLETS<R>」と題するリーフレッ
ト(甲13)の表紙には,本願商標とともに,その構成部分であ
る「RINKU」の文字の真下の位置に,同構成部分の2本の直線
のうち下の直線に沿うように「PREMIUMOUTLETS<R
>」の文字が記載されている。
原告が作成した「PASSPORT」と題する小冊子(甲21)
の表紙及び裏表紙の各中央,本文末尾には,本願商標及びその真下
の位置に「PREMIUMOUTLETS」の文字が記載されTM
ている。また,原告が作成した「COUPONBOOKJanuary
-March2001」と題するクーポンブック(甲22)の表紙及び裏表紙
には,本願商標及びその真下の位置に「PREMIUMOUTL
ETS<R>」の文字が記載されている。また,原告が作成した「C
OUPONSHEETJune2002」と題するクーポンシート(甲
23)の表紙及び裏表紙に,本願商標及びその真下の位置に「PR
EMIUMOUTLETS」の文字が記載されている。
上記リーフレットは,「りんくうプレミアム・アウトレット」に
おいて無償で配布されており,各店舗の所在位置,「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」へのアクセスの手段等が記載されている。
上記小冊子は,「りんくうプレミアム・アウトレット」の各店舗で
発行された一定金額以上のレシートを提示することにより入手する
ことができ,各店舗の割引,近隣施設の割引情報等が掲載されてい
る。上記クーポンブック及びクーポンシートは,各店舗で割引やギ
フトの特典が得られるクーポン券である。
②さらに,原告が作成した「1stアニバーサリーセール開催!
2001年11月16日(金)∼25日(日)」との大見出し
の「りんくうプレミアム・アウトレット」のポスター(甲24)に
は,その下部右隅に,本願商標及びその真下の位置に「PREMI
UMOUTLETS<R>」の文字が記載され,また,「葛西選手,
船木選手,山田選手のトークショー&サイン会ゲーム大会」との大
見出しのポスター(甲25)には,その中央付近に,本願商標及び
その真下に「PREMIUMOUTLETS」の文字が記載され
ている。
(エ)①平成12年10月3日,18日,25日,31日,同年11月
1日ないし5日,7日ないし14日,16日ないし18日,20日
ないし29日,同年12月1日ないし6日,8日ないし16日,1
8日ないし22日,24日ないし28日,31日,平成13年1月
1日,3日ないし5日,8日ないし12日,14日,16日,17
日,19日,20日,22日,23日,25日,28日,同年2月
1日,3日,5日,7日ないし9日,13日ないし15日,19日
ないし23日,25日,27日,同年3月1日,4日ないし13
日,16日,19日,20日,22日の各日付けの日刊紙(毎日新
聞,日本経済新聞,読売新聞等),スポーツ紙(日刊スポーツ,報
知新聞,デイリースポーツ,サンケイスポーツ等),業界紙(日経
流通新聞,繊研新聞,日本繊維新聞等)又は雑誌(関西ウォーカ
ー,るるぶジャパン,じゃらん等)において,「りんくうプレミア
ム・アウトレット」の紹介記事ないし広告記事が掲載された。
②平成12年11月18日,21日ないし24日,同年12月11
日,16日,23日,平成13年1月18日,同年3月1日,6日
ないし8日,14日,20日には,「りんくうプレミアム・アウト
レット」のテレビ広告が,テレビ大阪,関西テレビ,毎日放送,朝
日放送,読売テレビ及びその系列局等で放映された。平成12年1
1月23日,24日,平成13年3月7日には,NHKのテレビニ
ュースで,「りんくうプレミアム・アウトレット」が取り上げられ
た。
③さらに,平成14年7月17日,18日,同年11月8日ないし
13日,同年11月12日,同年12月16日,17日,19日,
平成15年3月17日,18日,同年10月,同年11月12日,
平成16年11月26日ないし30日,同年12月1日ないし12
日,平成17年2月28日ないし3月31日,同年7月ないし12
月(1週間に1本),同年11月28日ないし12月4日,平成1
8年1月16日ないし22日に,関西テレビ,毎日放送,朝日放送
又は読売テレビで,「りんくうプレミアム・アウトレット」のテレ
ビ広告が放映された。これらの広告を収録したビデオ中には,本願
商標及びその真下の位置に「PREMIUMOUTLETS<R
>」の文字を大写しにした映像,「RINKU」,「PREMIU
M」及び「OUTLETS」又は「OUTLETS<R>」の各文字
を三段で表示したものを大写しにした映像があり,「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」の入口付近の看板,施設の外壁,施設内に
掲げられたフラッグに,本願商標及びその真下の位置に「PREM
IUMOUTLETS」の文字を映し出した映像がある。
イ上記認定事実によれば,審決時(平成18年3月10日)には,「り
んくう」という語が,関西国際空港の対岸部に開発整備された地域であ
る「りんくうタウン」又はその略称の意味を持つことは,関西地方のみ
ならず,全国的にも知られており,また,大阪府は,「りんくうタウ
ン」の英語表記として「RINKUTOWN」又は「RinkuT
own」を使用し,りんくうタウン内の各施設を英語表記する場合に
は,例えば,JR及び南海電鉄の各「りんくうタウン駅」は「Rink
uTownStation」,「りんくうゲートタワービル」は「
RinkuGateTowerBuilding」,「りんくう
公園」は「RinkuPark」とし,「りんくう」の語に対応する
部分は「RINKU」と表記されていることが認められる。
しかし,①ローマ字によって国語を書き表す場合には,一般には,長
音はローマ字の母音字の上に「^」をつけて表すが,大文字の場合は母音
字を並べてもよいとされているので(昭和29年12月9日内閣告示第
1号),「りんくう」の語は「RINK」又は「RINKUU」とつづÛ
ることになり,一方,ヘボン式のつづり方によれば,長音に長音記号を
付さないので,「りんくう」の語は「RINKU」とつづることになる
が,②ヘボン式のつづり方によっても,「りんく」は「RINKU」と
つづることになるので,「RINKU」とローマ字でつづった場合に
は,「りんく」又は「りんくう」と読むことができる。加えて,③本件
においては,「RINKU」又は「Rinku」の語それ自体が特定の
意味を表す英単語その他の外国語の単語として一般の辞書に掲載されて
いることの立証はされておらず,「RINKU」の語それ自体は,特定
の語義を有しない一種の造語であると認められる。
以上の①ないし③を前提とすると,本願商標の構成中の「RINK
U」の文字部分は,ローマ字読みで,「りんくう」の称呼が生じるほか
に,「りんく」(「リンク」)の称呼も自然に生じるものと認められ
る。もっとも,りんくうタウンの英語表記として「RINKUTOW
N」又は「RinkuTown」が使用され,りんくうタウン内の各
施設を英語表記する場合に「りんくう」の語に対応する部分は「RIN
KU」と表記されていることは前記のとおりであるが,「RINKU」
の文字が単独で使用されている例はなく,「RINKU」の文字の後に
続く文字部分と相まって「りんくうタウン」などの称呼が生じるものと
いうべきである。
そうすると,本願商標の構成中の「RINKU」の文字部分から「り
んくう」の称呼のみが生じるということはできない。
ウこれに対し原告は,平成12年11月23日にりんくうタウン内に「
りんくうプレミアム・アウトレット」を開業して以来,その施設の内外
で本願商標を継続して使用し,更に多数の来場者,テレビ広告等を通じ
て獲得した「りんくうプレミアム・アウトレット」の周知性と相まっ
て,本願商標は広く知られたものとなり,一般需要者は,本願商標の構
成中の文字部分を分離して観察することなく,本願商標の全体から「り
んくうプレミアム・アウトレット」の観念を看取し,本願商標の構成中
の図形部分がりんくうタウンの前に広がる海面から朝日が昇る(又は夕
日が沈む)様子をイメージしたものであることを容易に理解し,「りん
くうプレミアム・アウトレットのマーク」であると認識するものであ
り,仮に「RINKU」の文字列に着目するとしても,「りんくうタウ
ン(及びその周辺地域)」という観念が生じる以上,本願商標から
は,「りんくう」という称呼のみが生じる旨主張する。
そこで検討するに,前記アの認定事実によれば,原告が運営する「り
んくうプレミアム・アウトレット」は,西日本最大規模のアウトレット
モールであり,開業当時からりんくうタウンの人気施設の一つとなり,
その存在は,年間数百万人の来場者や新聞,雑誌,テレビにおける宣伝
広告等を通じて広く知れわたっていたことは認められる。
しかし,一方で,①その宣伝広告においては,本願商標を単独で使用
したものはなく,本願商標の真下の位置に「PREMIUMOUTL
ETS」,「PREMIUMOUTLETS<R>」又は「PREMTM
IUMOUTLETS」の文字を併記して使用しているものであるこ
と,②「PREMIUMOUTLETS」の語は,英単語の「premiu
m」(形容詞「上等な,高級な等」の意味)と「outlet」(名詞「直販
店,小売店等」の意味)の複数形を結合させたものとして「プレミアム
アウトレット」との称呼が自然に生じるものであること,③本願商標の
構成中の図形部分は別紙1のとおりであるが,上記図形部分から直ちに
原告が主張するようなイメージや特定の観念を想起することは困難であ
ることが認められ,以上の①ないし③に照らすと,本願商標及びその真
下の位置に「PREMIUMOUTLETS」,「PREMIUMTM
OUTLETS<R>」又は「PREMIUMOUTLETS」の文
字を使用した表示に接した一般需要者は,上記表示から「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」を想起し,本願商標の構成中の「RINKU」
の文字部分を「りんくう」と読むということができるとしても,本願商
標が単独で使用された場合にまで,本願商標の全体から「りんくうプレ
ミアム・アウトレット」の観念を看取し,あるいは,「RINKU」の
文字部分から「りんくうタウン(及びその周辺地域)」という観念が生
じ,本願商標から「りんくう」の称呼のみが生じるものとまで認めるこ
とはできない。
また,「りんくうプレミアム・アウトレット」のリーフレット,「P
ASSPORT」と題する小冊子,クーポンブック,クーポンシート,
ポスターや,施設内の看板,建物外壁及びフラッグについても,本願商
標が単独で使用されているものはなく,本願商標とともに,その真下の
位置に「PREMIUMOUTLETS」,「PREMIUMOTM
UTLETS<R>」又は「PREMIUMOUTLETS」の文字が
表示されているのであるから,上記と同様の理由により,本願商標か
ら「りんくう」の称呼のみが生じるものとまで認めることはできない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。
エそうすると,本願商標の構成中の「RINKU」の文字は,「特定の
語義あるいは特定の読み方を有する語として一般に普及しているとは認
められない一種の造語」であり,「リンク」と読まれ,本願商標から「
リンク」の称呼が生じると認定した審決に誤りはないというべきであ
る。
(2)本願商標と引用商標1,4ないし17との類否について
ア(ア)前記(1)イ認定のとおり,本願商標の構成中の「RINKU」の文
字部分からは「りんく」(「リンク」)の称呼も自然に生じるもので
あり,引用商標1,4ないし17の各文字部分から原告も認めている
ように「リンク」の称呼が生じるものである。
そうすると,本願商標と引用商標1,4ないし17は「リンク」と
いう称呼を共通にするというべきである。
(イ)前記(1)イ,ウ認定のとおり,本願商標の構成中の「RINKU」
の文字部分それ自体は特定の語義を有しない一種の造語であり,その
構成中の図形部分からも特定の観念を想起するものではなく,文字部
分及び図形部分(2本の直線を含めて)を結合した本願商標全体とし
てみても特定の観念が生じるものではない。
そして,「LINK」又は「Link」の文字部分を構成中に含む
引用商標1,4,5,7ないし9,11ないし17については,上記
文字部分から英単語の「link」を想起し,「つながり,連結」等の観
念が生じるものと認めれられるものの,「LINC」又は「Lin
c」の文字部分を構成中に含む引用商標6,10については,「LI
NC」又は「Linc」は特定の意味を有しない造語であるため,特
定の観念が生じないというべきである。
そうすると,本願商標と引用商標1,4ないし17とを観念におい
て対比しようとしても,本願商標には対比の対象となる特定の観念が
存しないのであるから,本願商標と「つながり,連結」等の観念が生
じる引用商標1,4,5,7ないし9,11ないし17は,観念にお
いて比較することができないというべきであり,また,本願商標と特
定の観念が生じない引用商標6,10も,観念において比較すること
ができないというべきである。
(ウ)さらに,上記のとおり,本願商標の構成中の図形部分からは特定
の観念を想起するものではなく,本願商標全体からも特定の観念を生
じないのであるから,本願商標がその指定役務に使用された場合に
は,本願商標に接する取引者,需要者としては,「RINKU」の文
字部分に着目し,その部分から生じる称呼によって取引に当たるとみ
るのが自然であり,本願商標の構成中「RINKU」の文字部分が取
引者,需要者に対して役務の提供者の識別標識として支配的な印象を
与えるというべきである。そして,「RINKU」の文字部分から
は,「りんく」(「リンク」)の称呼も生じることは,前記のとおり
である。
(エ)以上の(ア)ないし(ウ)を前提として本願商標と引用商標1,4な
いし17を対比するに,本願商標と引用商標1,4ないし17とは,
それぞれ外観において差異を有するが,観念においては比較すること
ができないこと,本願商標と引用商標1,4ないし17は「リンク」
の称呼を共通にすること,本願商標においては「リンク」の称呼が役
務の提供者の識別標識としての機能を有すること,前記(1)で認定した
原告による本願商標の使用の態様等取引の実情を総合し,本願商標を
全体的に考察すると,本願商標と引用商標1,4ないし17は,本願
商標の指定役務と同一又は類似の役務に使用された場合には,その役
務の提供者につき誤認混同を生じるおそれがあるものと認められるか
ら,本願商標は,上記各引用商標とそれぞれ類似するというべきであ
る。これと同旨の審決は是認することができる。
イ(ア)これに対し原告は,審決は,本願商標と引用商標との外観及び観
念の明らかな相違について一顧だにすることなく,かつ,原告が提出
した取引の実情に関する証拠についてまったく検討することなく,「
リンク」との共通の称呼が生じるとの形式的理由のみによって本願商
標と引用商標とが類似すると簡単に結論づけており,外観,観念,称
呼の総合的判断を怠った点において明らかな違法がある旨主張する。
しかし,審決は,前記ア(エ)における説示と同旨の判断をし,結論
として,「本願商標と引用商標とは・・・全体として相紛れるおそれ
のある類似する商標」(審決書13頁3行∼5行)であると判断した
ものであり,審決は外観,観念,称呼の総合的判断を行っているか
ら,原告の上記主張は採用することができない。
また,原告は,図形部分と文字部分との結合商標である本願商標
は,取引者,需要者において図形と文字が不可分一体のものとして認
識されるものと認めるのが相当であるのに,審決は,本願商標の図形
部分を特段の理由もなく無視ないしは軽視し,安易に文字部分を要部
と認定し,そこから生じる称呼のみを問題として引用商標との対比判
断を行っており,このような審決の判断は,余りにも形式的である旨
主張する。
しかし,前記ア(ウ)で説示したとおり,本願商標全体から特定の観
念を生じるものでなく,その構成中の図形部分からも特定の観念を想
起するものではないため,その構成中の「RINKU」の文字部分が
取引者,需要者に対して役務の提供者の識別標識として支配的な印象
を与えるものであり,審決は,このような趣旨から「RINKU」の
文字部分を本願商標の要部と認定した上で,上記のとおり外観,観
念,称呼の総合的判断を行っているというべきであるから,原告の上
記主張は採用することができない。
(イ)さらに,原告は,本願商標から特定の観念が生じないとしても,
引用商標1,4ないし17の文字部分の「Link」,「Linc」
等からは,「つながり,連結」等の明確な観念が生じ,本願商標と上
記各引用商標とは観念において明瞭に相違し,本願商標と上記各引用
商標は類似しない旨主張する。
しかし,前記ア(イ)のとおり,「LINC」又は「Linc」の文
字部分を含む引用商標6,10からは特定の観念が生じないのみなら
ず,そもそも本願商標から特定の観念が生じない以上,本願商標の観
念と引用商標1,4ないし17の観念とを比較することはできないか
ら,本願商標と上記各引用商標とは観念において明瞭に相違するもの
ということはできず,原告の上記主張は,その前提において採用する
ことができない。
なお,原告の引用する裁判例(東京高裁平成13年12月12日判
決)は,対比される両商標の主要な部分の構成が異なる上,出願に係
る商標から明確な観念が生じることを前提とするものであるから,本
件とは事案が異なり,本件に適切ではない。
(ウ)また,原告は,「RINKU」と「Link」,「Linc」等
とでは,外観の相違が顕著であるなど,本願商標と引用商標1,4な
いし17とは外観において著しく異なっている旨主張する。
しかし,本願商標と引用商標1,4ないし17とは,外観において
原告主張のような差異を有するものではあるが,そのことを考慮して
もなお,本願商標が,上記各引用商標と称呼を共通にし誤認混同を生
じるおそれのある類似する商標というべきであることは,前記のとお
りである。
(3)したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。
3結論
以上によれば,本願商標は,引用商標1,4ないし17と類似する商標で
あり,しかも,本願商標の指定役務は,上記各引用商標の指定役務と同一又
は類似のものを含むことは原告も認めるところであるから,本願商標は,商
標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはないというべきで
ある。
よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主
文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官佐藤久夫
裁判官大鷹一郎
裁判官嶋末和秀

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