弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを懲役一年に、被告人Bを懲役六月にそれぞれ処する。
     被告人Aに対し、原審における未決勾留日数中四〇日をその刑に算入す
る。
     被告人Bに対し、本裁判確定の日から二年間、その刑の執行を猶予す
る。
     押収物件中、原判決書添付の目録記載の物件を被告人両名から没収す
る。
         理    由
 本件各控訴の趣意は、検察官岡谷良文作成の控訴趣意書及び被告人Aの弁護人安
井栄三、同横田静造、同西川金矢連名作成の控訴趣意書の各記載のとおりであり、
検察官の控訴趣意に対する答弁は、被告人Bの弁護人安井栄三、同横田静造、同西
川金矢連名作成の答弁書及び補充答弁書の各記載のとおりであるから、いずれもこ
れを引用する。
 (中 略)
 第二、 検察官の控訴趣意に対する判断(被告人B関係)
 一、 関税法違反の罪に関する主張について
 論旨は、原判決は、被告人Bに対する密輸出予備の共同正犯の公訴事実、すなわ
ち、「同被告人は、被告人Aと共謀のうえ、所轄神戸税関の許可を受けないで兵庫
県美方郡a町及び同県城崎郡b町付近から船舶により朝鮮に向けて貨物を密輸出し
ようと企て、昭和三五年九月末頃東京都より右a町及びb町まで、その頃購入し又
は所持していたミシン一台等の貨物合計二五五点を鉄道便により又は携帯して運搬
し、かつその間右貨物を船舶に積み込むため連絡手配する等密輸出の予備をし
た。」との事実につき、被告人Bが自ら密輸出を企図したとの証拠は不十分で密輸
出予備の共同正犯ではなく、単に被告人Aの密輸出予備の犯行を幇助したのに過ぎ
ず、しかも密輸出予備の幇助については刑法六二条の適用はなく他にこれを処罰す
る規定はないからとの理由で、被告人Bに対し無罪の言渡をした。しかし、同被告
人については右密輸出予備の共同正犯の事実は証拠によつてこれを認め得るから、
この点において原判決の事実認定には誤りがある。仮りにそうでないとしても、原
判決が密輸出予備の幇助について刑法六二条の適用を否定したのは同条の解釈を誤
つたものであり、この点において原判決には法令の解釈適用を誤つた違法がある、
というのである。
 よつて案ずるに、原判決が被告人Bに対し右公訴事実につき、所論の如き理由
で、無罪の言渡をしたことは記録上明らかである。
 そこで、原審において適法に取り調べられた同被告人関係の証拠によつて事実関
係の確定を試みるのに、これらの証拠によると、同被告人は、被告人Aが原判示第
二のとおり貨物の密輸出の予備をした際、右密輸出の情を知りながら、(1)昭和
三五年九月二〇日頃から同月二三日頃までの間、右被告人Aに対し、密輸出用貨物
の購入資金や乗船予定地へ赴く旅費その他の経費に当てさせる趣旨で一五万円を貸
与したほか、原判示シンガーミシン、ミシン用針、ライカ、カメラの購入の世話を
してやりその代金を立替え支払つてやつたこと、(2)同月二五日夜同被告人に同
行してF駅を発ち翌二六日かねて北鮮からの指令により乗船予定地に指定されてい
たa町に至つたのであるが、その間同被告人とともに本件密輸出用貨物の一部を携
帯運搬し、又同町において同被告人が北鮮からの迎え船の乗員と連絡をとるためC
小学校付近に行つている間に、自ら国鉄D駅に赴き、さきに手荷物として東京から
同駅へ送付しておいた前記ミシン等の貨物を受取り旅宿に運び込んで同被告人から
の連絡を待つたこと、(3)a町からの密輸出に失敗したため、翌二十七日、同被
告人とともに予備乗船地であるb町c海岸に赴き、同日昼相共に迎え船の乗員との
連絡指定地である同所共同墓地に行つて下検分をし、又同夜同被告人が右乗員との
連絡のため右墓地に行つている間に、自ら国鉄E駅に赴き、さきにD駅から転送し
ておいた前記貨物の到着していることを確認したうえ、旅宿において同被告人から
の連絡を待つていたことが認められる。
 従つて、被告人Bが、被告人Aの企図した本件貨物密輸出の、準備行為をしたこ
とは明らかである。そこで次に、被告人Bの右準備行為が、原判決が判断したよう
に単に被告人Aの密輸出予備の幇助行為に過ぎないか、或いは検察官の主張するよ
うに同被告人との共同による密輸出の予備行為であるかどうかを検討する。
 一般に、共同正犯とは、数人が特定の犯罪を行うために共同意思のもとに一体と
なつて自己の犯罪意思を実現するものをいう。そして、たとえ自らその実行行為を
分担しなくとも、いやしくも他人の実行行為を利用して自己の犯罪意思の実現を図
る以上、それは共同正犯(共謀共同正犯)であるとともに、自ら実行行為を分担実
行するかぎり、それはもはや他人の犯罪への加功ではなくて、常に自己の犯罪を実
行したものとして共同正犯(実行正犯)となるものと解される。これに反し、従犯
とは自己の犯罪意思の実現を目的とするものではなく、単に他人の犯罪に加功し実
行行為以外の行為をもつてこれを幇助するに過ぎないものと解される。従つて、共
同正犯と従犯とを区別するについては、一般に、犯人が自ら実行行為をしたかどう
かがその区別の基準の一つとなることは明らかである。しかしながら、この基準
(実行行為分担の有無)による区別は、基本的構成要件の実行に着手した後の犯罪
(既遂又は未遂)には疑いもなくあてはまるが、右着手前の準備行為を捉えて一個
の犯罪類型としたいわゆる予備罪にまでこれを適用することは妥当ではない。もと
より、予備罪もそれ自体一個の構成要件であるから、これについても固有の実行行
為を観念することができる。しかし、それは、基本的構成要件の如くそれ自体の実
現を目的とするものではなく、あくまでも、基本的構成要件の実現を目的としてな
された、基本的構成要件における実行に着手する前の、準備行為に過ぎない。従つ
て、このような準備行為自体を採つて自己の犯罪の実行(共同正犯)と他人の犯罪
への加功(従犯)とを区別する基準とすることはできない。すなわち、予備罪にお
いて共同正犯と従犯との区別の基準となる「実行行為」とは、予備罪自体の構成要
件上の行為ではなくて、その基本的構成要件上の行為である。予備罪の共同正犯と
は、基本的構成要件の共同正犯たるべき者がたまたま実行の着手前に犯罪が発覚し
た等の理由により予備の段階にとどまつたものに過ぎず、予備罪の従犯もまた同様
に基本的構成要件についての従犯たるべき者がその正犯がたまたま予備にとどまつ
たため自らも予備罪の従犯とされるに過ぎないのである。これは、予備罪が単に基
本的構成要件の修正形式に過ぎないことから考えても当然のことであるのみなら
ず、もしこのように解さないと、正犯が実行に着手すればその従犯となるに過ぎな
い者がたまたま正犯が予備にとどまつたため自己もまた(予備罪の)正犯となると
いうことになり、それ自体甚だしく奇異な結果となるばかりではなく、本件密輸出
に関する罪の如くその基本的構成要件にあたる罪の刑と予備罪の刑とが全く同一で
あるときには、従犯減軽の適用上不当な結果を招来することとなるからである。こ
れを本件についてみると、被告人Bの前認定の各行為のうち、少くとも前記(2)
の本件密輸出貨物の一部を自ら東京からa町へ携帯運搬し、さらに国鉄D駅からさ
きに手荷物として同駅に送付しておいた貨物を受取り旅宿に運び込んで待機した行
為、(3)の国鉄E駅で転送貨物の到着を確認したうえ待機していた行為が本件密
輸出予備罪の構成要件上の行為に当たるものと考えられるが、右の理により、その
故をもつて直ちに同被告人を本件密輸出予備の共同正犯とすることはできない。従
つて、予備罪については結局犯人の意思によつて共同正犯と従犯とを区別するのほ
かはないこととなるが、さきに述べた共同正犯と従犯との区別に関する一般的基準
のうち実行正犯についてのものを予備罪に適用すると、犯人が自ら基本的構成要件
上の行為を分担実行する意思をもつてその予備行為をした以上、その者は予備罪の
共同正犯となるが、自ら基本的構成要件上の行為を実行する意思はなく単に他人の
行為を幇助する意思でその予備行為をした者は予備罪の従犯となると解するのほか
はない。そこで本件についてこれをみるのに、被告人Bは、さきに認定したよう
に、被告人Aが本件密輸出を企図した際その情を知りながらその密輸出用貨物の購
入、輸送等に協力したのみならず、自ら船積み予定地であるa町、b町に至り、鉄
道手荷物便で送付した右貨物を駅で受取り旅宿に運び込み又は駅で貨物の到着を確
認するなどして、北鮮からの迎え船の乗員との連絡のため指定地へ赴いた同被告人
からの連絡を待つていたこと、及び原審において適法に取調べた証拠によつて認め
得る、本件貨物が手荷物便で送つた物五包(こも包四個及びボール箱入り一個)の
ほか被告人両名の携行した物もあり、その重量及び容量からみて被告人Aが一人で
そのすべてを旅宿又は駅から乗船地へ運びかつ短かい積込み予定時間内にその船積
みを完了することは甚だ困難である事実に照らすと、被告人Bは、被告人Aからの
連絡のあり次第直ちに本件貨物を乗船場に運び同被告人とともに迎え船に積込む作
業に当たる意思であつたと推認するのほかはない。そうだとすると、右貨物の船積
み行為及びこれに接着する乗船場への運搬行為が基本的構成要件たる貨物密輸出罪
の実行行為(これに密着する行為を含む)に当るものと解すべきであるから、被告
人Bは自ら右実行行為を分担実行する意思でその予備行為をしたことが明らかであ
り、同被告人については密輸出予備の共同正犯が成立するものというべきである。
従つて、同被告人につき密輸出予備の共同正犯の成立を否定して無罪の言渡をした
原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認があるから、原判決中こ
の点に関する部分は、その余の所論(密輸出予備の幇助につき刑法六二条の適用が
ある旨の主張)について判断するまでもなく、破棄を免れない。
 (被告人Bにつき右の如く密輸出予備の共同正犯を認定すべき以上、被告人Aに
対しても同罪の共同正犯を認めざるを得ず、従つて同被告人に対して同罪の単独犯
を認定した原判決にはこの点において同被告人関係についても事実の誤認があると
いわざるを得ないが、この誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえ
ない。)
 二、 出入国管理令違反幇助に関する主張について
 論旨は、原判決は、被告人Bに対する密出国企図(予備)の幇助の公訴事実、す
なわち、「同被告人は、被告人Aが原判示第一の(一)の密出国を企てた際、その
情を知りながら、昭和三五年九月頃同人に東京都より出航地までの旅費等の資金を
提供するとともに、同月二六日頃同人に随伴して東京都よりa町及びb町付近に至
り、旅館その他に対する交渉連絡に当る等同人の右密出国の企てに便宜を与え、そ
の犯行を容易ならしめて幇助した。」との事実につき、右密出国予備の幇助を罰す
る旨の特別の規定はなく、又従犯に関する一般規定である刑法六二条は予備の幇助
に適用がないからとの理由で、被告人Bに対して無罪の言渡をした、しかし、右刑
法六二条は予備の幇助についてても適用があるのであつて、この点において原判決
には法令の解釈適用を誤つた違法がある、というのである。
 よつて案ずるに、原判決が被告人Bに対し右公訴事実につき、所論の如き理由
で、無罪の言渡をしたことは記録上明らかであり、又本件密出国予備につきその幇
助を罰する旨の特別の規定のないことも疑問の余地がない。
 <要旨>そこで、密出国予備の幇助につき刑法六二条の適用があるかどうかを審究
するのに、予備罪についても共同正犯ないし正犯と従犯との区別が考えられ
ることはさきに説示したところにより明らかであるから、その従犯の行為(幇助)
も、刑法六四条の如き除外規定にあたらない以上、同法六二条、六三条により処罰
の対象となるものと解すべきはむしろ当然である。そして、この見解は、予備罪で
ある通貨偽造準備罪(刑法一五三条)の幇助を認めこれに対して右六二条、六三条
を適用した大審院判例(昭和四年二月一九日宣告、同院刑事判例集八巻八四頁)の
趣旨にもそうものである。従つて、刑法六四条の除外規定の適用のないことの明ら
かな本件密出国予備の幇助をした者も同法六二条にいわゆる従犯として同法六三条
により法律上の減軽のされた刑の範囲内で処罰を免れないのであつて、これと反対
の見解を採り密出国予備の幇助につき同法六二条の適用のないことを理由に被告人
Bに対して無罪の言渡をした原判決には所論の如き法令の解釈適用上の誤りがあ
り、かつその誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決中この点
に関する部分も破棄を免れない。(結局、当裁判所は、検察官の論旨とその結論を
同じくするものではあるが、しかし密出国予備罪が殺人予備罪等の如き基本的構成
要件の拡張ないし修正形式としての予備罪とは類型を異にするものであることを前
提として、その可罰性を主張する所論は採用しない。)
 弁護人は、
 (1) 刑法六二条にいわゆる「正犯」とは刑罰法規各本条の実行行為すなわち
基本的構成要件に該当する行為を行う者に限る。このことは、同法六〇条が二人以
上共同して「犯罪を実行」した者は皆「正犯」とするとの表現を用いていること等
に照らして明白である。従つて実行に着手する前の行為である予備行為をしたに過
ぎない者は「正犯」ではなく、従つてこれを幇助したとしても刑法六二条を適用す
る余地はない。
 (2) 仮りに予備罪についても「実行行為」の観念を容れることができるとし
ても、なお予備の幇助には刑法六二条の適用がない。すなわち、元来、予備は一般
に基本的構成要件上の結果を発生させる蓋然性は極めて少く、法益侵害の危険性も
軽微であるから、通常可罰性がなく、ただ法益が国家的、社会的に極めて高い特殊
の犯罪に限つて法は特に例外的に予備を罰することとしたのである。他方、従犯
も、これに対する刑が正犯の刑に照らして減軽されるべきものとされていること
(刑法六三条)によつて明らかなように、従犯の違法性、可罰性が正犯のそれに比
して本質的に低いものであることは否定できない。従つて本来既遂又は未遂に比し
その危険性、可罰性の軽微な予備罪について、さらにその従犯をまで処罰するため
には、特にその旨の明文の規定を必要とするのである。又予備は実行行為に着手す
る前の準備行為のすべてを総称するものであつて、基本的構成要件上の行為が定型
的であるのと異り、無定型、無限定であり、その態様も雑多であるから、予備を罰
する場合にはその処罰の範囲が著しく拡大され、社会的には殆んど無視しても差支
えのない行為までが処罰の対象とされる危険がある。そこで、法は、或る種の予備
罪(例、刑法一五三条、爆発物取締罰則三条)については特に当該予備罪を構成す
る行為の範囲を限定列挙しているほどである。他方、従犯の行為もまた無定型、無
限定である。従つて、もし予備の従犯が一般に処罰されることとなると、処罰の対
象は著しく拡大され、なんらの可罰性もない社会的に無視して差支えのない行為ま
でが処罰の対象とされる危険は一層大となる。この見地からも予備罪の従犯の処罰
については特に明文の規定が必要であると解すべきである。刑法七九条が特に内乱
罪の予備の幇助を罰する旨を規定し、又爆発物取締罰則五条、破壊活動防止法三八
条ないし四〇条がそれぞれ幇助行為の種類を限定したうえで当該予備の幇助を罰す
る旨を規定しているのはこの理によるのである。
 というのである。
 しかしながら、
 (1) 法がある基本的構成要件の準備行為を予備として処罰の対象とする場合
(予備罪)には、それ自体一個の構成要件であるから、これについても固有の実行
行為を観念することができることはさきに述べたとおりである。もつとも、この意
味における予備の実行行為が予備の共同正犯ないし正犯とその従犯とを区別する基
準とならないこと、すなわち、その正犯と従犯との区別の基準は自ら予備の実行行
為をしたかどうかにあるのではなく、むしろ犯人の主観、すなわち基本的構成要件
上の実行行為をする意思があつたかどうかにあることも前説示のとおりである。従
つて、予備罪に対して、犯罪を実行した者を正犯とする旨の刑法六〇条を適用する
場合には、その性質上、或る程度の解釈上の修正を必要とすることは明らかである
(しかし、それは刑法六〇条を拡張解釈するものではなく、むしろ予備罪の実行行
為をした者でもその正犯とならないものがあるというふうに制限的に解釈するので
ある)。しかしながら、予備罪についてその正犯の観念が認められる以上、正犯を
幇助した者を従犯とする旨の刑法六二条の予備罪への適用を否定することはできな
い。
 (2) 予備が基本的構成要件上の行為に比し危険性、違法性ないし可罰性が軽
微であることは弁護人の所論のとおりである。しかしながら、なお、予備といえど
も、その危険性、違法性を道義的に無視できないときとか或いは行政取締上の必要
がある場合などには、特に法はこれを処罰の対象としているのである。
 他方、従犯が正犯に比しその違法性、可罰性の低いことも弁護人所論のとおりで
あり、それ故にこそ刑法六三条は従犯の刑を正犯の刑に照らして減軽すべきことと
したのである。しかしながら、それだからといつて、予備罪の従犯に可罰性なしと
は直ちにいうことはできないし、予備罪の従犯を処罰するためには特に(予備を罰
する旨の規定及び従犯処罰に関する刑法六二条六三条のほかに)その旨の規定を必
要とするということはできない。その可罰性の逓減に応してその刑も逓減されるだ
けである(例えば殺人罪の法定刑と殺人予備罪の法定刑ならびに殺人予備幇助の処
断刑を比較せよ)。又予備及び従犯の行為が基本的構成要件上の行為ほどには定型
的でないことは明らかだが、しかしなお所論のように無定型、無限定であると断ず
ることはできない。そこにはおのずから社会通念上の限定があり、解釈上も基本的
構成要件との関連において一応の定型が考慮されるのである。所論刑法七九条、爆
発物取締罰則五条、破壊活動防止法三八条ないし四〇条が予備又はその幇助行為を
列挙し又はこれを列挙しないで当該予備の幇助を罰する旨規定しているのは、いず
れも立法者が特に、その予備又は幇助行為の限定を裁判所の解釈に委ねるよりも立
法的に解決するほうが適当であるとして、それらの行為を法文上列挙し、又はこれ
に対する刑罰についても刑法六三条、六八条による一般従犯減軽例に従うことが適
当でないとしてそれぞれ固有の法定刑を規定したのに過ぎないのであつて、このよ
うな立法例があるからといつて、予備の幇助には従犯処罰に関する一般規定である
刑法六二条の適用は全然ないと解釈することは妥当でない。
 第三、 結論
 以上の次第であるから、原判決中、被告人Aに関する部分は刑事訴訟法三九七条
一項、三八一条により、又被告人Bに関する部分は同法三九七条一項、三八二条、
三八〇条により、それぞれこれを破棄し、同法四〇〇条但書により被告人両名に対
して更に次のとおり判決する。
 (中略)
 二、 被告人Bについて
 (罪となるべき事実)
 被告人Bは、
 (一) 被告人Aと共謀のうえ、原判決書添付の目録記載の物件合計四八九点を
所轄税関の許可を受けないで本邦から北鮮へ輸出しようと企て、昭和三五年九月二
五日夜相共に右貨物の一部を携帯して東京都を発ち、翌二六日船積み予定地である
兵庫県美方郡a町へ、更に翌二七日同様船積み予定地である同県城崎郡b町へ順次
携行し又その間他の貨物のうちシンガー・ミシン等はこれをF駅より、毛糸はG駅
よりそれぞれ国鉄手荷物便を利用して右a町及びb町へ順次輸送し、さらにフイル
ム、印画紙はa町に到着後これを購入したうえ、右二六日にはa町で、又二七日に
はb町でかねて連絡手配しておいた北鮮からの出迎えの船を待ちその船積みの機会
をうかがつたが、迎え船が来なかつたため、右貨物の無許可輸出の予備をしたにと
どまり、
 (二) 被告人Aが原判示第一の(二)記載のとおり旅券に出国の証印を受けな
いで本邦より北鮮に出国することを企てた際、その情を知りながら、昭和三五年九
月二三日頃、同被告人に対し、その居住地東京都より乗船予定地たる前記a町まで
の旅費等出国のための諸経費に当てさせるため、一五万円を貸与し、又同被告人が
帰鮮に際して携行する身廻品等の運搬等を手伝い、もつて同被告人の右密出国の企
てに便宜を与えてこれを幇助し
 たものである。
 (証拠説明省略)
 (法令の適用)
 被告人Bの右(一)の所為は刑法六〇条、関税法一一一条二項、一項に、同二の
所為は刑法六二条一項、出入国管理令七一条にそれぞれ該当するから、いずれも所
定刑中懲役刑を選択するところ、右(二)の点は従犯であるから刑法六三条、六八
条三号により法律上の減軽をし、以上は同法四五条前段の併合罪であるから同法四
七条、一〇条により重い右(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被
告人を懲役六月に処し、かつ同法二五条一項を適用して二年間右刑の執行を猶予す
ることとし、なお没収の点につき関税法一一八条一項を適用する。
 (裁判長裁判官 松村寿伝夫 裁判官 河村澄夫 裁判官 細江秀雄)

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