弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審
とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求
めた。
 当事者双方の主張ならびに証拠の関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示の
とおりであるから、これを引用する。
 控訴人は、当審において、抗弁として、本件自動車につき留置権をもつて被控訴
人に対抗することを主張し、その留置権発生の原因として次のとおり述べた。
 (一) 本件自動車は、控訴人が訴外Aから買受けたものであるが、仮りに被控
訴人主張のごとく右Aが本件自動車の所有権を取得していないとしても、同人がそ
の所有権を有するように装つて控訴人を欺罔して本件自動車を買わせその代金名下
に金一八〇万円を控訴人から騙取したのであるから、この不法行為により、同額の
損害賠償請求権を控訴人は右Aに対し取得したものであり、仮りに右不法行為が成
立しないとしても、右Aが無権利者であることのために同人と控訴人との右売買契
約が無効となり、よつて右Aは、代金相当額一八〇万円を控訴人の損失において不
当に利得しているから、控訴人は右Aに対し同額の不当利得返還請求権を有するも
のであつて、以上の請求権はいずれも、本件自動車に関して生じたものである。
 (二) 被控訴人は右訴外Aとの本件自動車の売買契約を解除しているから、右
Aは被控訴人に対し金三五方円(代金として支払つた分)の不当利得返還請求権を
有するものである。そこで、控訴人は前記(一)の請求権を保全するために右Aが
被控訴人に対して有する右三五万円の不当利得返還請求権を代位行使するが、この
不当利得返還請求権も本件自動車に関して生じた債権であるから、本件自動車につ
き留置権をもつて被控訴人に対抗できるものである。なお、右代位権行使につき右
Aの無資力は要件でない。
 被控訴人は、控訴人の右主張を争い、特に、被控訴人の訴外Aに対する金三五万
円の不当利得の事実は否認すると述べた。
         理    由
 原判決の理由説示は、当裁判所の認定判断と同じであるから、ここにこれを引用
する。
 次に、当審における控訴人の留置権に関する主張について、当裁利所の判断を示
す。
 <要旨>(一) 控訴人の主張する訴外Aに対する金一八〇万円の不法行為に基づ
く損害賠償請求権及び不当利得返還請求権は、被控訴人がその所有権に基づ
き控訴人に対し行使する本件自動車の引渡請求権との間に牽連関係がなく、したが
つてまた、本件自動車自体との間にも、公平観念に基づく留置権制度の予定する牽
連関係が存するとはいいえず、民法第二九五条にいう「其物ニ関シテ生シタル債
権」には当らないものと解せられるから、その余の認定判断をするまでもなく、控
訴人の前記(一)に基づく主張は採用できない。
 (二) 控訴人が主張する訴外Aの被控訴人に対する金三五万円の不当利得返還
請求権は、被控訴人と右Aとの売買契約の解除を原因として発生したものと主張さ
れているところ、その発生時点以後において右Aが本件自動車を占有していたこと
の主張立証がない本件としては(なお、原審証人Bの証言ならびに同証言によつて
成立を認めうる甲第一号証及び成立に争いのない乙第一号証によれば、被控訴人と
訴外Aとの本件自動車の売買契約が解除された時点以前に本件自動車は右Aから控
訴人に引渡され、右Aはその後もこれを占有したことはないことが認定できる)、
右不当利得返還請求権につき右Aのために留置権の発生を考える余地はないものと
いわなければならない。また、控訴人主張のように右Aの債権者たる控訴人によつ
て右請求権が、代位行使されることになり、かつ、控訴人がその時点において本件
自動車の占有者であるとしても、それによつて右Aの被控訴人に対する右請求権に
ついて留置権が生ずることはありえないものといわなければならない。したがっ
て、控訴人の前記(二)の主張も、その余の点について認定判断をするまでもなく
採用できない。
 よつて、被控訴人の本訴請求を認容した原判決は正当であり、本件控訴は理由が
ないからこれを棄却すべきものとし、控訴費用は敗訴の控訴人に負担させることと
して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 安倍正三 裁判官 中島一郎 裁判官 桜井敏雄)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛