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平成12年(行ケ)第62号 特許取消決定取消請求事件(平成13年3月12日
口頭弁論終結)
          判         決
       原      告   三菱電機株式会社
       代表者代表取締役   【A】
       訴訟代理人弁護士   尾 崎 英 男
       被      告   特許庁長官 【B】
       指定代理人      【C】
       同          【D】
       同          【E】
       同          【F】
          主         文
      原告の請求を棄却する。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   特許庁が平成10年異議第75657号事件について平成11年12月22
日にした決定中、特許第2755096号の請求項1ないし3、5ないし6に係る
特許を取り消すとした部分を取り消す。
   訴訟費用は被告の負担とする。
 2 被告
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は、平成5年2月26日に特許出願され、平成10年3月6日に設定登
録された、名称を「携帯電話機構造」とする特許第2755096号発明(以下、
この特許を「本件特許」といい、この発明を「本件特許発明」という。)の特許権
者である。
   本件特許につき異議申立てがされ、平成10年異議第75657号事件とし
て特許庁に係属したところ、原告は、平成11年6月4日、明細書の特許請求の範
囲及び発明の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正請求をし、さらに、同年11
月9日、訂正請求書の補正をした(以下、この補正後の訂正請求書に係る訂正を
「本件訂正」という。)。
   特許庁は、同特許異議の申立てにつき審理した上、平成11年12月22日
に「特許第2755096号の請求項1ないし3、5ないし6に係る特許を取り消
す。同請求項4に係る特許を維持する。」との決定(以下「本件決定」といい、本
件決定のうち「特許第2755096号の請求項1ないし3、5ないし6に係る特
許を取り消す。」との部分を「本件取消部分」という。)をし、その謄本は、平成
12年1月19日、原告に送達された。
 2 特許請求の範囲
  (1) 設定登録時の明細書の特許請求の範囲の記載
   【請求項1】下記の(a)および(b)とを備えた携帯電話機構造。
    (a) 着呼キー、再呼キー、応答保留キーのうち少なくとも1個とその他の
キーを持つスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、
    (b) 本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記着呼キー、再呼キー、応
答保留キーのうち少なくとも1個は露出した状態で前記スイッチ手段を覆うカバ
ー。
   【請求項2】カバーに設けた切欠きにより閉じたとき特定のキーを露出させ
ることを特徴とする請求項1項に記載の携帯電話機構造。
   【請求項3】カバーに設けた孔により閉じたとき特定のキーを露出させるこ
とを特徴とする請求項1項に記載の携帯電話機構造。
   【請求項4】孔を開閉するスライド板をカバーに設けたことを特徴とする請
求項第3項に記載の携帯電話機構造。
   【請求項5】着呼キー、再呼キー、応答保留キーの少なくとも1個とその他
のキーを持っスイッチ手段と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、この
本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記スイッチ手段を覆うカバーとを備えた
携帯電話機構造において、前記カバーに設けた孔に押しボタンを設け、カバーを閉
じた状態でこの押しボタンを押すことにより前記着呼キー、再呼キー、応答保留キ
ーの少なくとも1個が操作されることを特徴とする携帯電話機構造。
   【請求項6】前記カバーを回動可能に保持する本体の部分をヒンジ構造とし
てマイクロホンの音孔を設け前記カバーを閉じた状態で前記音孔が露出するように
したことを特徴とする請求項第1項または請求項第5項のいづれかに記載の携帯電
話機構造。
  (2) 本件訂正に係る明細書(以下「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲
の記載
    着呼キー、再呼キー、応答保留キーとその他のキーを持つスイッチ手段
と、スピーカと、マイクロホンとを備えた本体と、
    本体に回動可能に保持され、閉じたとき前記その他のキーを覆うカバーと
を備えた携帯電話機構造であって、
    前記着呼キー、再呼キー、応答保留キーは前記カバーを閉じたとき前記カ
バーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されていることを特徴とする
携帯電話機構造。
 3 本件決定の理由
   本件決定は、別添決定書写し記載のとおり、①訂正請求書の補正は、訂正請
求書の要旨を変更するものではないから、特許法120条の4第3項において準用
する同法131条2項(注、「平成10年法律第51号による改正前の同法131
条2項」の趣旨と解される。)の規定に適合するとし、②訂正明細書の特許請求の
範囲に記載された発明(以下「訂正発明」という。)は、特開平4-23547号
公報(以下「刊行物1」という。)に記載された発明(以下「刊行物発明」とい
う。)並びに慣用及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明し得るもの
であって、本件訂正は、特許法120条の4第3項で準用する同法126条4項
(注、「特許法120条の4第3項の規定により準用され、特許法等の一部を改正
する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定がなお従前の例によるとす
ることによって適用される同法による改正前の特許法126条3項」の趣旨と解さ
れる。)の規定に適合しないので、本件訂正は認められないとし、③本件特許発明
の要旨を設定登録時の明細書の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上、その請
求項1~3、5に係る各発明は刊行物発明及び慣用の技術事項に基づいて、請求項
6に係る発明は刊行物発明及び実願昭59-91469号(実開昭61-7145
号)のマイクロフィルムに記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発
明をすることができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条
2項の規定に反してされたものであり、同法113条2項に該当して取り消される
べきものであるが、請求項4に係る発明は取消理由を発見しないとした。
第3 原告の主張する本件決定中の本件取消部分の取消事由
   本件決定の理由中、訂正請求書の補正についての判断、訂正発明の要旨の認
定、刊行物1の記載事項の認定、訂正発明と刊行物発明との一致点及び相違点の各
認定は認める。また、設定登録時の明細書の特許請求の範囲の請求項1~3、5、
6に係る各発明が当業者において容易に発明をすることができたものであることは
争わない。
   本件決定は、本件訂正の許否についての判断に際し、訂正発明と刊行物発明
との相違点についての判断を誤った結果(取消事由1、2)、訂正発明が刊行物発
明並びに慣用及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明し得るものであっ
て、本件訂正は独立特許要件に適合しないので認められない旨誤って判断し、ひい
て、本件特許発明の要旨の認定を誤って、その請求項1~3、5、6に係る特許が
特許法29条2項の規定に反してされたとの誤った結論に至ったものであるから、
本件決定中の本件取消部分は違法として取り消されるべきである。
 1 取消事由1(相違点についての判断の誤り1)
  (1) 本件決定は、訂正発明と刊行物発明との相違点として認定した、カバーを
閉じたとき露出して配置されている特定キーが、訂正発明では、「着呼キー」、
「再呼キー」及び「応答保留キー」であるのに対し、刊行物発明では、着信時又は
電話番号入力後通話可能状態にする「通話キー」及び通話状態を終了する「通話終
了キー」である点(決定書9頁4行目~8行目、以下「相違点1」という。)につ
き、「本件発明(注、訂正発明)において、特定のキーを、着呼キー、再呼キー、
応答保留キーとした理由は、これらのキーをカバーを閉じた状態でも即座に操作可
能にすることにより、利便性を向上するためであることは、本件特許明細書の記載
から明らかであるが、刊行物1に記載された発明(注、刊行物発明)において、着
信時の即応性を問題にしていることから、特定のキーを通話キー、通話終了キーと
した理由も上記理由と同じであることは、明らかである。また、着呼キー、再呼キ
ー、応答保留キーは、電話機において慣用されているものであって・・・これら電
話機において慣用されているキーを露出させることにより、即座にそれらのキーの
操作が可能になり、利便性が向上するであろうことは、当業者に容易に予測される
ことを考慮すると、特定のキーを着呼キー、再呼キー、応答保留キーとすること
は、当業者が容易になし得ることである」(同9頁17行目~10頁16行目)と
認定判断した。
    上記認定判断のうち、訂正発明が、着呼キー、再呼キー及び応答保留キー
を特定キーとした理由が、カバーを閉じた状態でも即座に操作可能にすることによ
り、利便性を向上するためであること、刊行物発明が通話キー、通話終了キーを特
定キーとした理由も同様であること、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーが電話
機において慣用されているものであることは認める。しかしながら、特定キーを着
呼キー、再呼キー及び応答保留キーとすることが当業者において容易になし得ると
することは、以下のとおり、誤りである。
  (2) 訂正発明において、「着呼キー」は、通常の送信時や携帯電話機に着信し
て呼出音が鳴ったときに通話をするために押すキーであり、着呼キーを押すことは
一般の固定電話機における受話器を上げる操作に相当する。「再呼キー」は、最後
に電話をかけた相手先に再び電話をかけるためのキーで、通話相手の電話番号をメ
モリから呼び出して再び電話をかける機能を有する。「応答保留キー」は、応答保
留状態とする機能を有するキーであるが、終話キーを兼ねており、通話状態から終
話するときに応答保留キーを押し、また、着信時に直ちに通話状態とせず、応答保
留状態とするときにも応答保留キーを押す。この状態から通話状態とするときには
着呼キーを押し、通話しないで回線を断つ場合には再度応答保留キーを押す。
  (3) 訂正発明は、カバー付き携帯電話機において、着呼キー、再呼キー及び応
答保留キーの3つを特定キーとしてカバー領域外に配置し、カバーを開くことなく
押せるようにしたものであるが、このことによる利便性は本件特許出願前には知ら
れていなかった。
    すなわち、携帯電話機にカバーがある場合に初めてカバー外に露出させる
キーの選択を考えることが必要になり、特定キーをカバー領域外に配置することに
よる利便性を意識することになるが、本件特許出願当時においては、カバー付き携
帯電話機であって、カバーを開くことなく特定キーを押すことのできるものは商業
化されておらず、そのような技術思想が刊行物1によって公知となっている程度に
すぎなかったのであり、どのキーを特定キーとしてカバーの領域外に配置すれば利
便性があるかなどということは、誰も考えようとしないことであった。
そして、携帯電話の実際の使用に当たっては、上記(2)で述べたような使用
のされ方がされ、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーの3つのキーが組み合わさ
れて使用されることが多く、したがって、訂正発明の特定キーの選択は、多くの場
合に、カバーを開くことなく、特定キーの操作のみでカバー付き携帯電話機を扱う
ことのできる利便性を有するものである。
    これに対し、刊行物発明は、本件決定の認定するとおり、着信時の即応性
を問題にして通話キー、通話終了キーを特定キーとしたものであるが、刊行物発明
にはそもそも再呼キーが存在せず、また、その通話終了キーも着信に対し応答保留
状態とする機能を有していないから、訂正発明の応答保留キーとは異なるものであ
る。したがって、刊行物1(甲第4号証)の問題意識は着信時の即応性にとどまっ
ており、訂正発明の特定キーの構成による上記のような利便性を示唆するものでは
ない。
    また、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーが電話機において慣用されて
いるといっても、本件特許出願当時においては、それは一般にカバーのない携帯電
話機においてのことであり、カバー付き携帯電話機においてはこれらの三つのキー
はカバーによって覆われていたのである。したがって、着呼キー、再呼キー及び応
答保留キーが電話機において慣用されていることが、カバー付き携帯電話機におい
て、これら三つのキーを特定キーとすることを示唆するものではない。
    被告は、刊行物1に送信時に使用されるファンクションキーについても保
護カバーを開くことなく操作可能とする構成を適宜採用し得ることが示唆されてお
り、送信時の即応性をよくすることも当業者が適宜考慮し得る程度のことであると
主張するが、刊行物1において、送信時の即応性をよくするため露出させることが
示唆されているのは短縮キーであって、再呼キーではない。本件特許出願当時、製
品化され普及していた携帯電話機には、再呼キー及び短縮キーの双方、さらにはメ
モリに入力した電話番号を呼び出すためのコールボタンが送信のために設けられて
いたから、送信時の即応性という観点だけからはこれらのキーを全部露出させれば
よいということになるが、カバー付き携帯電話機はキーをカバーで覆うことが原則
であり、露出させるキーの数や配置に制約もあるから、送信時の即応性を考慮して
も、なお特定キーの選択を必要とするのである。
  (4) したがって、本件決定が、相違点1につき、特定キーを着呼キー、再呼キ
ー及び応答保留キーとすることが当業者において容易になし得るとした判断は誤り
である。
 2 取消事由2(相違点についての判断の誤り2)
  (1) 本件決定は、訂正発明と刊行物発明との相違点として認定した点、すなわ
ち、カバーを閉じた状態でも特定キーの操作を可能とするため、特定キーがカバー
を閉じたとき露出して表示部の近傍に配置されているという態様が、訂正発明で
は、カバーを閉じたとき、当該カバーの領域外で当該カバーと表示部の間に露出し
て配置されているというものであるのに対し、刊行物発明では、カバーを閉じたと
き、当該カバーに設けた開口部に露出して配置されているというものである点(決
定書9頁8行目~16行目、以下「相違点2」という。)につき、「カバーを閉じ
た状態でもキー操作可能にするために、キーをカバーの領域外に設けることは、テ
レビジョン装置を遠隔操作するリモコン装置等で周知である・・・から、カバーを
閉じた状態でも特定のキーの操作を可能とするために、特定のキーがカバーに設け
た開口部に設けられているという態様に代え、『カバーを閉じたとき前記カバーの
領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されている』という態様にすること
は、当業者が容易になし得ることである。」(同10頁16行目~11頁9行目)
と認定判断した。
    上記認定判断のうち、テレビジョン装置を遠隔操作するリモコン装置等に
おいて、カバーを閉じた状態でもキー操作可能にするために、キーをカバーの領域
外に設けることが周知であることは認めるが、カバー付き携帯電話機において、カ
バーを閉じたときに、特定キーをカバーの領域外でカバーと表示部の間に露出して
配置するという態様にすることが、当業者において容易になし得るとすることは、
以下のとおり、誤りである。
  (2) 着呼キー、再呼キー及び応答保留キーを特定キーとした場合に、これらの
三つのキーをカバーの領域外でカバーと表示部の間に配置することは、これらのキ
ーの操作をしながら表示部を確認することが容易にできるので利便性が高いもので
ある。
    すなわち、再呼キーは、最後に電話をかけた相手先の電話番号に発信する
キーであるから、最後に電話をかけた相手先を確認した後に発信するものであり、
したがって、表示部に表示された電話番号を見ながら操作を行うものである。ま
た、応答保留キーは、着信時、直ちに応答できないため、応答保留とする場合に押
すキーであるが、そのときには表示部に、例えば、「ホリュウ」などと表示され
る。使用者は、この表示によって応答保留状態であるか否か、すなわち、誤って2
回押して終話してしまっていないかどうかを確認しながら、着呼キーを押して通話
に入るのである。したがって、再呼キー、応答保留キー及び着呼キーを表示部の近
くに配置することに利便性がある。
    これに対し、刊行物発明の特定キーである通話キーと通話終了キーは、い
ずれも表示部を見ながら操作を行うキーではないから、刊行物発明において特定キ
ーが表示部の近傍に配置されているとしても、それは、それらのキーを操作すると
きの表示部の見やすさを意図したものではなく、訂正発明の、着呼キー、再呼キー
及び応答保留キーをカバーの領域外でカバーと表示部の間に配置する構成を示唆す
るものではない。
    また、本件決定は、テレビジョンのリモコン装置において、カバーを閉じ
た状態でもキー操作を可能にするためにキーをカバーの領域外に設けることが周知
であるとするが、テレビジョンのリモコン装置には表示部がないから、これも、訂
正発明の、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーをカバーの領域外でカバーと表示
部の間に配置する構成を示唆するものではない。
  (3) 被告は、訂正明細書の特許請求の範囲の記載が、表示部に再呼する相手の
電話番号等が表示されること等、特定キーの操作と表示部の表示内容の関係につい
て何ら限定をするものではなく、また、訂正明細書に、着呼キー、再呼キー及び応
答保留キーをカバーと表示部との間に配置することが、これらのキーの操作時に、
同時に表示部をも見ることができるようにするためであることについて全く記載は
ないと主張する。
    しかしながら、平成元年10月にNTT中央移動通信株式会社が発行した
「携帯電話 ご愛用の手引き 803型」(甲第15号証)及び平成3年9月に同
社が発行した「mova ご愛用の手引き」(甲第16号証)に、「再呼ボタン」を押
した場合にディスプレイに直前にかけた電話番号が表示されることが記載されてお
り、それらが同社(現在の株式会社NTTドコモ)の当時の主力機種であった携帯
電話機の取扱説明書であること、本件特許出願が平成5年2月であって、その間に
おけるこの分野の技術進歩が急速であったことを考慮すると、これらの機種に採用
されていた操作仕様は本件特許出願当時の当業者の技術常識を形成するものであ
り、本件特許出願時において、携帯電話機の再呼キーを押せば表示部に直前にかけ
た電話番号が表示されることは技術常識であったといい得るものである。なお、被
告は、携帯電話機は世界各国の多数の会社で製造、販売され、普及しているもので
あるから、NTT中央移動通信株式会社の発売していた携帯電話機の取扱説明書の
記載のみによって、上記技術が技術常識であったといえるものではないとも主張す
るが、例えば、本件特許出願当時、世界で最も多くの携帯電話機を製造していた米
国モトローラ社製の携帯電話機HP-501(わが国ではセルラーが販売)の取扱
説明書(甲第23号証)には、短縮ダイヤルを操作する呼出キーによって(同機種
には独立した再呼キーは存在しない。)、最後にかけた電話番号に再度かける場合
の操作として、呼出キーを押した後に「00」のキーを押すと最後にかけた番号が
表示される旨が記載されている。このように、最後にかけた番号に再び電話をかけ
る操作をした場合には表示部にその電話番号が表示されることは当然のことであ
る。
    また、本件特許出願当時、一般に普及していた大部分の携帯電話機におい
て「再呼キー」は電話機の最も下方に配置されていたから、当業者は、訂正発明の
構成を見れば、当然、表示部に表示された電話番号を見ながら再呼キーを押す動作
ができることを理解できるものである。
    したがって、訂正明細書には、明記されてはいないものの、再呼キーをカ
バーと表示部の間に配置することの目的、効果が実質上記載されているということ
ができる。
    被告は、訂正明細書(甲第3号証添付)の「発呼して相手が話中の場合、
使用者が収納状態でくりかえし再呼操作を行うこともできる」(段落【0010】)と
の記載を引用して、再呼キーが表示部を見ることなく操作できるものであることが
示されていると主張するが、当該記載は、相手が話し中で、繰り返し再呼動作を行
う場合についてのもので、通常の場合で最初に再呼キーを押すときは、表示部に表
示される相手先電話番号を容易に確認できるように、再呼キーを表示部に近接した
位置に露出して配置することが、使用者にとって利便がある。
    被告は、さらに、再呼キーが直前にかけた電話番号に再び電話をかけるた
めのキーであるから、表示部を見る必要がないとも主張するが、直前にかけた電話
番号であっても、それをかけたのが必ずしも時間的に直前であるとは限らないか
ら、実際に発信をするに当たって、番号の表示を確認することは必要であり、ま
た、使用者の心理としては、再呼キーを押すときに表示部を見ることによって、安
心感を得ることができるのである。
  (4) 被告が、再呼キーが表示部の近傍に配置された携帯電話機が記載されてい
るとして引用する原告発行の「三菱ビル設備機器」とのパンフレット(乙第3号
証)及び意匠公報(乙第4、第5号証)に掲載されているのは、カバー付き携帯電
話機ではない。また、カバーのない携帯電話機においても、ほとんどの場合再呼キ
ーは表示部から離れた位置にあり、上記各刊行物に記載されたような配置はむしろ
少ない。
  (5) したがって、本件決定が、相違点2につき、カバー付き携帯電話機におい
て、カバーを閉じたときに、特定キーをカバーの領域外でカバーと表示部の間に露
出して配置するという態様にすることが、当業者において容易になし得るとした判
断は誤りである。
  (6) なお、本件特許発明以降のカバー付き携帯電話機の多くは、訂正発明の特
定キーの配置構成を有しているが、これは、上記のような利便性が客観的に認めら
れ、上記構成が各社のデザイン等における独自性とは関係なく普遍的に必要とされ
ているからにほかならず、このことは、訂正発明の進歩性を根拠付けるものであ
る。
第4 被告の反論
   本件決定の認定及び判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
 1 取消事由1(相違点についての判断の誤り1)について
   刊行物1(甲第4号証)には、刊行物発明につき、着信時の即応性がよく、
通話中での誤操作を低減させるとともに、収納性、携帯性に優れた携帯用無線電話
機を提供することを目的とする旨が記載されており(2欄13行目~16行目)、
特に着信時の即応性をよくすることが問題にされているが、送信時の即応性をよく
することも当業者が適宜考慮し得る程度のことである。そして、本件決定において
述べたとおり、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーは、電話機において慣用され
ているキーであるから、これらのキーを特定キーとして露出させることにより、送
信時の即応性を含めた利便性を認識することが、当業者にとって、格別困難である
ということはできない。
   このことは、刊行物1(甲第4号証)に「ファンクションキーの一部、例え
ば送信時に相手先電話番号を暗記させた短縮キーを保護カバーに設けることによ
り、送信時においても、保護カバーを開くことなく送信可能である。」(7欄19
行目~8欄3行目)と記載され、送信を迅速に行うためのファンクションキーにつ
いても保護カバーを開くことなく操作可能とする構成を適宜採用し得ることが示唆
されていることからも明らかである。
   なお、原告は、カバー付き携帯電話機はキーをカバーで覆うことが原則であ
り、露出させるキーの数や配置にも制約があるから、送信時の即応性を考慮して
も、なお、再呼キー、短縮キー、コールボタン等の送信のためのキーから特定キー
を選択することを必要とする旨主張するが、これらのキーの機能によってどのキー
を露出させればどのような利便性が得られるかは容易に分かることであり、即応性
を考慮することに加え、露出させるキーの数や配置との関係でどのキーを露出させ
るかを選択することは、設計上適宜なし得ることである。訂正発明は、再呼キーを
露出させることによる利便性に重きを置いて、それを選択したにすぎない。
 2 取消事由2(相違点についての判断の誤り2)について
  (1) 原告は、再呼キーが表示部に表示された電話番号を見ながら操作を行うも
のであり、応答保留キーは、これを押したときの表示部の「ホリュウ」などの表示
を確認しながら、使用者が着呼キーを押して通話に入るものであるから、これらの
キーを表示部の近くに配置することに利便性があると主張する。
    しかしながら、前示訂正明細書の特許請求の範囲には、特定キーと表示部
との関係につき、「着呼キー、再呼キー、応答保留キーは前記カバーを閉じたとき
前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されている」と記載さ
れているのみであって、表示部に再呼する相手の電話番号等が表示されることや、
応答保留キーを押したときに表示部に「ホリュウ」などと表示されること等、特定
キーの操作と表示部の表示内容の関係について何ら限定をするものではない。ま
た、訂正明細書(甲第3号証添付)の発明の詳細な説明に、着呼キー、再呼キー及
び応答保留キーをカバーと表示部との間に配置することが、これらのキーの操作時
に、同時に表示部をも見ることができるようにするためであることについて全く記
載はない。かえって、訂正明細書(甲第3号証添付)には、「発呼して相手が話中
の場合、使用者が収納状態でくりかえし再呼操作を行うこともできる」(段
落【0010】)旨、再呼キーが収納状態で、すなわち、表示部を見ることなく操作で
きるものであることが示されている。
    したがって、原告の上記主張は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載され
た訂正発明の構成に基づくものではなく、また、訂正明細書の記載にも基づかない
ものである。
    この点につき、原告は、NTT中央移動通信株式会社が発行した「携帯電
話 ご愛用の手引き 803型」(甲第15号証)及び平成3年9月に同社が発行
した「mova ご愛用の手引き」(甲第16号証)の記載を引用して、本件特許
出願時において、携帯電話機の再呼キーを押せば表示部に直前にかけた電話番号が
表示されることは技術常識であったと主張するが、携帯電話機は、NTT中央移動
通信株式会社(株式会社NTTドコモ)に限らず、世界各国の多数の会社で製造、
販売され、普及しているものであるから、同社の発売していた携帯電話機の取扱説
明書の記載のみによって、再呼キーを押せば表示部に直前にかけた電話番号が表示
されることが技術常識であったといえるものではない。
    仮に、それが技術常識であったとしても、直前にかけた電話番号を再呼す
る再呼キーは、主に相手が話し中の時に再呼するためのものであり、電話番号は既
に確認済みであるから、必ずしも表示手段を見ながら操作することを必要とするも
のでないことも技術常識である。
  (2) また、平成4年2月に原告が発行した「三菱ビル設備機器」とのパンフレ
ット(乙第3号証、同年5月15日日本デザイン保護協会公開)、同年9月30日
発行の意匠公報(乙第4号証)、同年10月15日発行の意匠公報(乙第5号証の
1、2)には、再呼キーに相当するリダイヤルキー、RCLキー又はRCL/CE
キーが表示部の近傍に配置された携帯電話機が記載されている。したがって、本件
特許出願当時、携帯電話機において、表示部の近傍に再呼キーを配置することが慣
用されていたのであり、再呼キーを表示部に近接させて配置することも、当業者が
設計上で適宜採用し得ることにすぎない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1(相違点についての判断の誤り1)について
  (1) 訂正発明が、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーを特定キーとした理由
は、カバーを閉じた状態でも即座に操作可能にすることにより、利便性を向上する
ためであること、刊行物発明が通話キー及び通話終了キーを特定キーとした理由も
同様であることは当事者間に争いがない。また、刊行物1に「『着信時の即応性が
良く、通話中での誤操作を低減させるとともに、収納性、携帯性に優れた携帯用無
線電話機を提供する』・・・ことを目的とし、『本体筐体と可動自在に装着され、
通話キーとダイヤルキー及びファンクションキーを備えた操作部をカバーする保護
カバーに、少なくとも通話キーを操作するための操作手段を設けること』・・・を
課題を解決する手段とし、『着信時に保護カバー4を開閉することなく即時に通話
できるので即応性が良い』・・・ことを発明の効果とし」(決定書5頁3行目~1
5行目)た携帯用無線電話機(刊行物発明)が記載されていることは当事者間に争
いがなく、さらに、刊行物1(甲第4号証)には「実施例においては、通話キーと
通話終了キーを保護カバーに設けた実施例を説明したが、・・・ファンクションキ
ーの一部、例えば送信時に相手先電話番号を暗記させた短縮キーを保護カバーに設
けることにより、送信時においても、保護カバーを開くことなく送信可能である」
(7欄16行目~8欄3行目)との記載がある。
    そうすると、刊行物1には、刊行物発明につき、通話キー及び通話終了キ
ーを特定キーとして着信時の即応性をよくし、利便性を向上することが記載されて
いるが、「相手先電話番号を暗記させた短縮キー」を例として、送信時に使用する
ファンクションキーを特定キーとすることにより「送信時においても、保護カバー
を開くことなく送信可能」であるとして、送信時における即応性をよくすることも
示唆しているということができる。
    他方、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーが電話機において慣用されて
いるものであることは当事者間に争いがない。
    そうであれば、刊行物発明に再呼キーが存在せず、あるいは刊行物発明の
通話終了キーが訂正発明の応答保留キーと完全に同一ではないとしても、再呼キー
及び応答保留キーが電話機において慣用されているものである以上、それらを刊行
物発明のファンクションキーとした上、着信時の即応性のみならず、送信時の即応
性を含めた利便性を向上させることを目的として、通話キー(着呼キーに相当する
ものと認められる。)とともに、特定キーとして選択することは、当業者にとって
容易であるというべきである。
  (2) 原告は、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーが電話機において慣用され
ているといっても、本件特許出願当時においては、一般にカバーのない携帯電話機
においてのことであり、カバー付き携帯電話機においてはこれらの三つのキーはカ
バーによって覆われていた旨主張するが、仮に、そうであったとしても、それらの
電話機において慣用されているものである以上、上記のとおり、再呼キー及び応答
保留キーを刊行物発明のファンクションキーとし、さらに、刊行物1の示唆に従っ
て、特定キーとして選択することが格別困難であるということはできない。
    また、原告は、刊行物1に送信時の即応性をよくするため露出させること
が示唆されているのは短縮キーであって、再呼キーではないところ、カバー付き携
帯電話機はキーをカバーで覆うことが原則であり、露出させるキーの数や配置に制
約もあるから、送信時の即応性を考慮しても、送信のための短縮キー、再呼キー、
コールボタンなどのうちから、特定キーを選択することを必要とする旨主張する。
しかしながら、送信のためのキーとして、短縮キー、再呼キー、コールボタンなど
があるとしても、そのうちから特定キーを選択するようなことは、露出させるキー
の数や配置の制約などと、各キーの機能に照らした特定キーとすることによる(露
出させることによる)作用効果等とを併せ考えて、設計上、適宜行い得る事項とい
うべきであり、再呼キーを特定キーとすることに格別の困難が生ずるものではな
い。
  (3) したがって、相違点1につき特定キーを着呼キー、再呼キー及び応答保留
キーとすることは当業者において容易になし得るとした本件決定の判断に誤りはな
い。
 2 取消事由2(相違点についての判断の誤り2)について
  (1) 訂正発明と刊行物発明とが「特定のキーはカバーを閉じたとき露出して表
示部の近傍に配置されている携帯電話機構造」(決定書9頁1行目~3行目)であ
る点で一致すること、相違点2に係る訂正発明の構成は、上記「特定のキーはカバ
ーを閉じたとき露出して表示部の近傍に配置されている」態様が「『カバーを閉じ
たとき、前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に露出して配置されている』
というものである」(同9頁12行目~14行目)こと、テレビジョン装置を遠隔
操作するリモコン装置等において、カバーを閉じた状態でもキー操作可能にするた
めに、キーをカバーの領域外に設けることが周知であることは、いずれも当事者間
に争いがない。
    そうすると、刊行物発明に上記周知の技術事項を適用することにより、刊
行物発明に係る「特定のキーはカバーを閉じたとき露出して・・・配置されてい
る」態様であるカバーに設けた開口部に配置する形態を、訂正発明に係る「特定の
キーはカバーを閉じたとき露出して・・・配置されている」態様である特定キーが
カバーの領域外に配置されている形態とすることは、当業者であれば容易に行い得
るものということができる。
  (2) 次に、訂正発明の「特定のキーはカバーを閉じたとき・・・該カバーと表
示部の間に・・・配置されている」との構成につき、原告は、着呼キー、再呼キー
及び応答保留キーを特定キーとした場合に、これらの三つのキーをカバーと表示部
の間に配置することは利便性が高いと主張するが、その理由は、要するに、これら
のキーを操作する際に、同時に表示部に表示される電話番号やメッセージ等の表示
を見ることが容易にできるというものである(なお、前示訂正明細書の特許請求の
範囲の記載が、表示部に再呼する相手の電話番号等が表示されること等、特定キー
の操作と表示部の表示内容の関係について何ら限定をするものではなく、また、訂
正明細書(甲第3号証添付)に、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーをカバーと
表示部との間に配置することが、これらのキーの操作時に、同時に表示部をも見る
ことができるようにするためであるとの記載は見当たらないところ、原告は、本件
特許出願当時において、特定キーの操作時に表示部にそれらの表示がされることは
技術常識であったもので、上記着呼キー、再呼キー及び応答保留キーの配置に係る
作用効果は訂正明細書に実質的に記載されているといえる旨主張するが、その主張
の当否についての判断はしばらくおくこととし、仮に、その主張のとおりであるも
のとする。)。
    しかしながら、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーを操作する際に、同
時に表示部に表示される電話番号やメッセージ等の表示を容易に見ることができる
ためであれば、それらのキーが表示部の近傍にあれば足りるものであって、カバー
と表示部との間に配置すること自体には特段の技術的意義は認められず、単なる設
計的事項にすぎないものというべきである。
    そして、刊行物発明においても特定キーは表示部の近傍に配置されている
ことは上記のとおりである。
    もっとも、刊行物発明の特定キーは、通話キーと通話終了キーであるとこ
ろ、原告は、それらのキーが表示部を見ながら操作をするものではないから、刊行
物発明において特定キーが表示部の近傍に配置されていることは、それらのキーを
操作するときの表示部の見やすさを意図したものではなく、訂正発明の着呼キー、
再呼キー及び応答保留キーをカバーの領域外でカバーと表示部の間に配置する構成
を示唆するものではないと主張する。
    しかしながら、刊行物発明の通話キーは訂正発明の着呼キーに相当するも
のと考えられるから、着呼キーについては上記主張は採用することができない。の
みならず、平成4年2月に原告が発行した「三菱ビル設備機器」とのパンフレット
(乙第3号証、同年5月15日日本デザイン保護協会公開)にはリダイヤルキーが
表示部の近傍に配置された携帯電話機(コードレス電話機)が、同年9月30日発
行の意匠公報(乙第4号証)にはRCL/CEキーが表示部の近傍に配置された携
帯電話機が、同年10月15日発行の意匠公報(乙第5号証の1、2)にはRCL
キーが表示部の近傍に配置された携帯電話機が、それぞれ記載されているところ、
弁論の全趣旨によれば、リダイヤルキー、RCLキー又はRCL/CEキーはいず
れも再呼キーに当たるものと認められるから、本件特許出願当時、携帯電話機にお
いて、表示部の近傍に再呼キーを配置することも慣用の手段であったものと推認す
ることができる。そして、原告の主張するように、本件特許出願当時において、表
示部に再呼する相手の電話番号等が表示されることが技術常識であったものとすれ
ば、表示部の近傍に再呼キーを配置する慣用手段において、再呼キーを操作する際
に、同時に表示部に表示される電話番号等を容易に見ることができるとの作用効果
を奏することは、当業者であれば容易に理解するものと認めることができる。ま
た、応答保留キーの操作がされたときに、表示部にそれに対応した表示がされるこ
とも技術常識であれば、応答保留キーについてもそれは同様である。
    なお、上記各刊行物に記載された携帯電話機はカバー付き携帯電話機では
ないが、カバーの有無によって、携帯電話機の表示部の近傍に(カバー付き携帯電
話機についてはカバーの領域外で表示部の近傍に)特定キーを配置することによ
り、そのキーを操作する際、同時に表示部に表示されるそのキー操作に対応した表
示を容易に見ることができるとの作用効果に特段の相違が生ずるものでないことは
明白である。また、原告は、カバーのない携帯電話機においても、ほとんどの場合
再呼キーは表示部から離れた位置にあり、上記各刊行物に記載されたような配置は
むしろ少ないとも主張するが、上記各刊行物が存在するにもかかわらず、表示部の
近傍に再呼キーを配置することが慣用の手段であるといえない程度に、それが稀で
あることを認めるに足りる的確な証拠はない。
    そして、すでに上記のような慣用の手段が存在し、それによって、キー操
作の際、同時に表示部に表示されるそのキー操作に対応した表示を容易に見ること
ができるとの作用効果を奏することが、当業者に容易に理解されるのであれば、刊
行物発明につき、表示部の近傍に配置されている特定キーを、着呼キー、再呼キー
及び応答保留キーとしたときに、それらのキーを操作する際、同時に表示部に表示
される電話番号やメッセージ等の表示を容易に見ることができるとの作用効果を当
然奏するに至ることも、当業者において容易に理解し得ることであると認められ
る。
    また、その場合に、着呼キー、再呼キー及び応答保留キーをカバーと表示
部との間に配置すること自体には、特段の技術的意義はなく、単なる設計的事項に
すぎないことは上記のとおりであるから、それらのキーを表示部の近傍のうちのカ
バーと表示部との間に配置することも、当業者であれば容易に行い得るものという
ことができる。
  (3) 上記(1)及び(2)によれば、その余の点につき判断するまでもなく、訂正発
明と刊行物発明との相違点2につき、「カバーを閉じた状態でも特定のキーの操作
を可能とするために、特定のキーがカバーに設けた開口部に設けられているという
態様に代え、『カバーを閉じたとき前記カバーの領域外で該カバーと表示部の間に
露出して配置されている』という態様にすることは、当業者が容易になし得ること
である。」(決定書11頁3行目~9行目)とした本件決定の判断に誤りはない。
  (4) なお、原告は、本件特許発明以降のカバー付き携帯電話機の多くが、訂正
発明の特定キーの配置構成を有していると主張するが、仮に、その主張に係るよう
な状況が存在するとしても、そのような状況は、消費者の嗜好、意匠的な流行等、
種々の市場的要因が複合的に作用した結果であることが通常であり、特許法29条
2項に従って行うべき発明の進歩性の有無の判断に直接影響を及ぼすものというこ
とはできない。
 3 以上のとおりであるから、原告主張の本件取消部分に係る決定取消事由は理
由がなく、他に本件決定を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
   よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴
訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官 篠   原   勝   美
    裁判官 石   原   直   樹
    裁判官   宮   坂   昌   利

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