弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役三年に処する。
     原審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人高橋久衛の控訴趣意は別紙に記載の通りである。
 本件記録を精査し総ての証拠を検討するに、原判決挙示の証拠により
 被告人は昭和二十一年暮に高知県幡多郡a町b字cのAの長女Bと結婚したが、
夫婦仲がまずくなりBは常に実家のA方に行き、Aにも理解が欠げていたため、遂
に昭和二十四年初頃被告人はBと離別し、衣料品の行商や生命保険の外交員をして
いたがAに対しては好感を持つていなかつた。昭和二十六年十二月十八日午後十時
頃、前示a町bのC(前示Aの弟Dの妻であつたEの夫)方で約一升以上も飲酒し
た被告人が前示A方に行つたところ、寝床で新聞を読んでいた同女が被告人を避け
るようにして出て行つたので当時心神耗弱状態にあつた被告人は憤慨して、同家三
畳聞の壷を打ち倒し座布団を台所の方に投げ同家に放火し、その附近を歩き廻りな
がら、消火に従事している人々に対し俺が建てた家を俺が焼くのだから消すなと騒
ぐうちF巡査に逮捕せられたのであつて、右被告人の放火によつて右Aの住家木造
藁葺平家建一棟(建坪約十坪)を全焼した事実
 を認めることができる。原判決には審理不尽も判決に影響を及ぼすべき事実誤認
も認められない。 鑑定人医師Gの鑑定の結果、その他の証拠によつて本件犯行当
時被告人は深く酩酊(病的なものではない)しており、判断力鈍麻、思考力低下、
抑制力減弱し、一過性の軽い意識溷濁の心神耗弱状態にあつたが<要旨第一>心神喪
失の程度にまでは至つていなかつたものと認められるのである。被告人が犯行を記
憶していないとしても、このことは直ちに被告人が当時心神喪失状態に
あつたことを意味するものではない。
 <要旨第二>総べての証拠を以てするも、被告人が右Aの住宅のどの部分に如何な
る方法で放火したかは判明しないが、証拠によつて認められる当夜の被
告人の言動その他によつて、右住家の焼失が被告人の放火に因るものであることは
明らかに認められるのである。かかる場合被告人の右放火の事実を判示するに当り
その手段方法を判示する術なく、これを判示しないからとて、判決に理由を附せな
い違法があるとは言いえないのである。
 論旨はいずれも理由がない。
 然し諸般の情状上原審が被告人を懲役五年に処したのは量刑過重と認められるの
である。
 よつて刑事訴訟法第三百八十一条第三百九十七条により原判決を破棄し同法第四
百但書の規定にい当裁判所は更に判決する。
 罪となるべき事実は前示の通りで、これを認める証拠は原判決の示すものと同一
である。
 (法令の適用)
 刑法第百八条(有期懲役刑選択)、第三十九条第二項、第六十八条第三号、刑事
訴訟法第百八十一条第一項
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)

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