弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破毀する。
     本件を高松高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人本吉加岐盤上告趣意第一点について。
 よつて記録を調査するに、原審第一回公判調書によれば、所論の長尾警察署長の
香川県刑事課及び長尾郵便局長宛て各電話照会に対する回答聴取書については、い
ずれもその証拠調べをなした旨の記載がない。その他原審公判において、右書類の
証拠調をした形跡がない。然るに原判決は、右両回答聴取書中の記載の一部を引用
し、他の証拠と相俟つて判示事実を認定しているのであるから、適法に証拠調べを
しない証拠を他の証拠と不可分的に綜合して犯罪事実を認定した違法あるに帰する。
しかも右の違法は判決に影響を及ぼさないとはいえないから、原判決はこの点にお
いて全部破毀を免かれない。
 よつて同弁護人の他の論旨に対する判断を省略し、なお右の違法は事実の確定に
影響を及ぼすべきものと認められるから刑訴第四四八条の二により主文のとおり判
決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二三年一一月六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎

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