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裁判例


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主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1控訴人ら
(1)原判決を取り消す。
(2)被控訴人は,P1に対し,1374万0405円及び内690万9
525円については平成15年1月21日から支払済みまで,内683万08
80円については同年4月5日から支払済みまで,それぞれ年5分の割合によ
る金員を請求せよ。
2被控訴人
本件控訴を棄却する。
第2事案の概要
1事案の要旨等
(1)本件は,東京都小金井市(以下「市」という。)の住民である控訴
人らが,小金井市長を被告として,同市長の職にあったP1が市の予算を流用
した上,公金を同市議会(以下「市議会」という。)が否決した費途であるα
駅南口地区第一種市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)に係
る都市計画に関する図書作成業務(その2)委託料及びα駅周辺まちづくり整
備計画作成業務(その2)委託料に充てる旨の支出命令を発したことは,市議
会の予算審議権を侵害し,違法であると主張して,地方自治法242条の2第
1項4号に基づき,被控訴人に対し,P1に対して上記支出命令に基づく支払
額相当額の損害賠償請求をすることを求めた事案である。
(2)原判決は,上記の予算流用及びそれに基づく支出命令は違法である
が,市は,その支出に見合う都市計画図書及び調査報告書等の成果物を得てい
るから,損害は発生していないとして,控訴人らの請求を棄却した。
これに対して控訴人らが不服を申し立てたものである。
2前提事実,当事者の主張等
以上のほかの事案の概要は,次に付加訂正するほか,原判決の事実及び理由
欄第2記載(1頁以下)のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)
原判決事実及び理由欄第2の2(前提事実)の(2)ア(6頁)最終行の「5
869万4000円」を「869万4000円」と訂正する。
(控訴人らの当審における主張)
本件において,市には損害が発生している。その根拠は,次のとおりである。
(1)本件においては,公金の支出自体を損害とみるべきこと。
控訴人らは,原審において,本件の損害につき,市議会が市にとって不要と
判断した事柄について,市議会の意思に反して公金を支出して公金減少を招い
たこと自体をもって損害とみるべきであると主張したが,これに対し,原判決
は,全く判断をしておらず,判断を脱漏している。
憲法93条は,「地方公共団体は,法律の定めるところにより,その議事機
関として議会を設置する。」と規定しており,その議事機関とは,その地方公
共団体の意思を決定する機関を意味する。したがって,憲法93条は,地方自
治体の事業等に対する当該支出及びそれによる成果物が当該地方公共団体にと
って最終的に必要有益なものであるのか否か,予算の支出に値するものか否か
につき地方自治体としての意思を決定する機関は,地方公共団体における議会
であることを規定していると解することができる。
また,住民訴訟制度の意義については,①住民の直接参政の手段,②地方公
共の利益の擁護,③財務会計の運営に対する司法統制の3点に要約され,①と
②の制度的意義は,究極的には③の財務会計事項の違法を裁判で争うことを通
じて実現される。したがって,住民訴訟制度の存在意義は,③の司法統制が十
分に行われるか否かによって決定付けられている。そうであるのに,司法判断
において,違法であるにもかかわらず,その結果が損害がないものとして安易
に容認されるならば,違法な財務会計上の行為を予防・是正し,もって財務会
計の適正な運営を確保しようとする地方自治法の趣旨が没却されてしまう結果
となる。
本件において問われているのは,通常の住民訴訟において問題とされるよう
な,法律に違反した財務会計行為の問題だけではなく,議会の意思に反した予
算執行の当否である。仮に,本件において,損害がないとして違法な行為の結
果を許容するならば,議会の明確な意思に反して行われた長による予算の流用
を容認することとなり,そのことはすなわち,憲法及び地方自治法が規定した
議会と長との権限の対抗関係,議会の予算統制を通じて財政に対する民主的コ
ントロールを確保するという地方自治制度の仕組みそれ自体を破壊する結果を
容認することになる。
(2)住民訴訟の意義と損害の判断の在り方等
地方財務行政の適正な運営の確保,違法の防止又は是正を図ることを目的と
する住民訴訟制度の本来の意義からすれば,損害がないとの判断や損益相殺の
運用は厳格になされるべきである。単に計算上対価性があれば損害がなくなる
というのであれば,双務契約の場合には,常に何らかの対価性のある成果物が
存在するため,住民訴訟の意義の大半が失われてしまう結果となるからである。
したがって,損害の有無を判断する基準としては,対価性だけでなく,必要性,
有用性が判断基準とされなければならない。そして,当該支出が必要かつ有用
であるかどうかは,議会の予算議決権によって決定されるのであり,この判断
権は,極めて政治的なものであって法的判断になじむものではなく,議会の幅
広い裁量権の範囲に属するものである。首長は,議会が必要かつ有用と判断し
て定めた予算を執行できるにすぎず,議会が否決した費途へ予算を流用し,執
行すること自体,必要性,有用性が否定されたものへの支出である。
市議会は,平成14年3月23日に本件各支出(後述)に関する繰越明許費
を計上した補正予算案を否決したが,それだけでなく,その後も,地区計画条
例案や予算の審議などを通じて,現行案のまま本件再開発事業を進めることを
繰り返し否定している。また,平成16年3月26日にも,市議会は,本件再
開発関連予算を含む平成16年度一般会計当初予算案を否決し,同年5月27
日及び同年7月27日の市議会においても,本件再開発関連予算を削除した修
正予算案を可決しているのであって,本件再開発関連予算をすべて否決してい
るものである。このように,市議会は,本件予算の流用・執行は市にとって不
要かつ無用であることを表明し続けており,市に損害があることは明白である。
(3)本件成果物は無用なものであること。
仮に,議会の意思に反する支出自体が直ちに損害とはいえないとしても,現
在,本件再開発事業を現行計画のまま進めることは極めて困難となっている。
このような現状において,本件の予算流用によって作成した都市計画図書や報
告書は,無用の長物となっており,市に損害を与えている。
すなわち,本件再開発事業は,その事業内容や採算性が不透明であるだけで
なく,現行の再開発計画に強固に反対している有力地権者のビルが都市計画道
路上に存在し,また,多数の地権者が再開発計画の抜本的見直しを求めている。
このような現状に照らせば,α駅南口地区の再開発を実現するには,本件再開
発事業の内容と都市計画の変更は不可避である。そして,都市計画を変更する
ためには,必要図書も作り直さなければならないから,結局,本件で納品され
た必要図書は全く無駄なものになる。また,α駅周辺まちづくり整備計画作成
業務(その2)に関する委託契約による各報告書も,現行都市計画決定を前提
に,各整備計画の承認を得て国庫補助を得るために作成されたものであるから,
都市計画決定自体が変更となれば,これらの報告書も改めて作成し直さざるを
得ず,無駄なものとなる。このように,計画変更が不可避な状況において無用
となる都市計画図書及び報告書への予算流用・支出が,市に損害を与えるもの
であることは明らかである。
(被控訴人の当審における主張)
(1)本件予算流用・支出命令は適法である。
本件予算流用(後述)は,市議会が当該事業の実施を否定して予算から削除
した事業の費途に充てたものではないし,予算議決権の侵害にも当たらず,市
長の権限の範囲で行われた適法なものである。その理由は,次のとおりである。
ア市議会で可決された平成14年度の市の一般会計予算には,本件再
開発事業に係る「再開発用地取得費」及び「市街地再開発事業分担金」が含ま
れていたが,これらは,都市計画決定後に執行することを前提とするものであ
る。一方,平成13年度の市の一般会計補正予算(第4回)で否決された繰越
明許費のうち,本件再開発事業に係る都市計画についての図書作成業務(以下
「本件図書作成業務」という。)は,都市計画決定に向け,関係機関との事前
協議資料,地区計画,地域地区,都市計画道路,市街地再開発事業の都市計画
決定に必要な図書を作成するものであって,本件図書作成業務がなければ都市
計画決定をすることはできないものであり,また,α駅周辺まちづくり整備計
画作成業務(以下「本件まちづくり整備計画作成業務」という。)は,都市計
画決定に合わせ,計画的なまちづくりの推進のため,都市活力再生拠点整備事
業の街区整備計画及び住宅市街地整備総合支援事業の整備計画の策定経費であ
る。
すなわち,市議会は,平成14年度予算では,都市計画決定後に執行すべき
予算を可決しながら,平成13年度補正予算案を否決することで,その前提と
なる都市計画決定に必要な図書の作成を否定しているのであって,市議会の意
思として矛盾したものと言わざるを得ない。少なくとも,都市計画決定後に執
行すべき「再開発用地取得費」,「市街地再開発事業分担金」等が平成14年
度予算中に認められていることは,市議会の意思としても,平成14年度中に
都市計画決定がなされることを認めているのであって,その意味から,都市計
画決定に必須の本件図書作成業務及び本件まちづくり整備計画作成業務の平成
14年度中の執行もまた,市議会として許容していると判断できるものである。
また,執行機関である市長P1には予算の執行義務があるところ,上記平成
14年度予算の執行の前提として,本件図書作成業務及び本件まちづくり整備
計画作成業務は不可欠なものであった。
イまた,都市計画決定自体は,議会で議決すべき事柄ではなく,都市
計画法等で定める手続に従って行われるものであり,市においても,法に基づ
き手続を進め,地権者,市民,住宅・都市整備公団(現在は都市基盤整備公団。
以下「公団」という。),関係機関等と折衝して,平成14年10月までに都
の都市計画決定を得,平成15年度中に所轄大臣の事業計画認可を得るという
方向で,上記関係者等の大方の理解を得ていた。そして,平成14年10月の
都市計画決定に間に合わせるには,平成14年4月22日の時点で,本件予算
流用の措置をとり,同年5月14日に契約を締結せざるを得なかったものであ
る。
なお,平成13年8月14日に公団との間で締結した本件図書作成業務(そ
の1)の委託契約及び同年12月19日に締結した本件まちづくり整備計画作
成業務(その1)の委託契約を翌年度に繰り越すための手続については,繰越
明許費という手続の選択ではなく,事故繰越という手続によって処理すること
も可能であった。
ウ上記のように,本件において,執行機関(市長)であったP1は,
上記のような関連予算が可決されている事実や市長の関連予算執行義務,都市
計画決定の法的位置付け及び手続経緯を考慮し,また,本来であれば,市長P
1が義務費として執行権をも有していたと考えられること,事故繰越としての
繰越手続をとれば予算で定めることを要しなかったこと,公団や,国及び東京
都,関係団体との信頼関係の維持,住民説明会での状況(都市計画原案等につ
いて大方の理解を得たと判断できたこと等)を総合的に勘案した上で,本件予
算流用を行ったものである。
このようなP1のとった措置は,多様化,複雑化した行政実務を円滑かつ効
率的に運営するため,現実の情勢の変化に臨機応変に対応できるようにしたも
のであり,地方自治法が認める長の権限(予算調整権)の範囲に含まれると解
されるべきである。また,関連予算との関係や,繰越明許費の否決理由等,市
議会における審議経過に照らしても,本件予算流用が明白に議会意思に反する
ものとはいえないのであって,これが議決権を侵害する違法なものとは評価で
きない。なお,本件の事実関係からすれば,本件で,P1が本件の財務会計行
為を決定したことについて,故意,過失があったとはいえない。
(2)本件において,市には損害は発生していない。
ア今回の都市計画は,小金井市長期総合計画や,東京都住宅マスター
プラン及び小金井市住宅マスタープランなどのまちづくりに関する上位計画を
踏まえ,かつ現に事業が行われているJR中央本線連続立体交差事業の計画に
整合させることを前提としており,α駅南口地区について,交通広場の位置な
どの都市基盤施設の変更と合わせ,地区計画区域を広げ,土地利用方針等のま
ちづくりの方針を明らかにする都市計画変更を行ったものである。また,この
都市計画をベースに用途地域の変更などの地域地区を定めるとともに,南口地
区で先行して実施する本件再開発事業の都市計画を定めたものである。したが
って,今回の都市計画は,関係権利者を始めとした市民の理解を得て地区レベ
ルのまちの在り方を定めることを基本として都市計画を行ったものであり,市
にとって,この都市計画が無駄になることはあり得ない。ゆえに,本件図書作
成業務及び本件まちづくり整備計画作成業務が市にとって必要不可欠なもので
あったことは明らかである。
また,本件予算流用により,本件の2件の委託料が執行されたことを含む平
成14年度決算は,市議会によって認定されており,さらに,平成15年度予
算において,市街地再開発事業に要する経費も予算として議決され,P1は,
その予算議決に基づき,平成15年中において,その各経費を執行している。
本件2件の委託料は,関連予算(平成14年度における土地取得費及び分担金,
平成15年度における分担金及び負担金等)の前提条件として必要不可欠な支
出である。
これらの一連の経緯にかんがみれば,仮に,平成14年度決算の認定が流用
手続を含む財務会計行為の違法性を治癒するものとまでは言えなくとも,少な
くとも市議会が本件2件の委託について,その有用性を認めていることは明ら
かであり,関連予算と密接な(又は前提となる)本件2件の支出のみが損害と
される理由はない。
イ本件2件の業務委託については,業務委託契約の内容に沿う成果品
が納品され,それを基に平成14年9月27日に都市計画決定がなされ,さら
に国庫補助金の内定も取り付けているのであって,これらの事実からすれば,
市に損害が生じていないことは明らかである。再開発事業の実施に当たっては,
国,東京都からの補助金の導入は不可欠である。そして,平成15年度の国費
・都費の新規採択及び補助金確保をより確実なものとするためには,平成14
年12月から平成15年1月の国費・都費補助の最終要望事案の提出時に既に
都市計画決定を得ておくことが求められ,そのためには,第155回東京都都
市計画審議会の日程(平成14年9月都市計画決定告示予定)に間に合わせる
ことがタイムリミットだと認識されていた。したがって,そのスケジュールに
間に合うように本件2件の業務委託契約を急ぎ再契約する必要があったもので
ある。
第3当裁判所の判断
当裁判所も,本件の予算流用及びそれに基づく支出命令は違法であるが,市
に損害は発生したとは認められず,控訴人らのP1に損害賠償をすべきことを
求める本件請求は理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりであ
る。
1本件の事実経過
原判決の事実及び理由欄第2の2の前提事実(6頁以下)及び証拠(甲1,
6,15ないし20,34,乙1の1及び2,2の1及び2,3,乙11ない
し16,17の1及び2,18)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が
認められる(なお,事実経過の詳細は,原判決の事実及び理由中,上記前提事
実,第3の1(2)(17頁以下)及び第3の2(2)(23頁以下)のとおりであ
る。)。
(1)α駅南口周辺地区の再開発事業の経過
α駅南口周辺地区については,昭和40年代の初めころから,再開発による
まちづくりをしようという動きがあり,市も,本件地区の整備を進めるべく,
再開発事業の計画を立てていたが,JR中央本線の高架化の目途が立っていな
かったことなどから,計画も進展しなかった。
このような状況にあったところ,東京都知事は,JR中央本線連続立体交差
事業の一環として,平成6年5月,都市計画法18条1項に基づき,都市計画
「小金井都市計画都市高速鉄道」(事業施行期間は平成7年11月から平成1
6年3月まで)の決定を行い,平成7年11月には,建設大臣(当時)から都
市計画法59条2項に基づき,上記都市計画事業の認可がされた。
その後,平成8年5月には,上記都市計画の変更により,α駅南口周辺地区
が再開発促進地区に位置付けられ,都及び市はリーフレット「住みよいまちづ
くりをめざして(東京都(小金井都市計画)都市再開発方針(素案)」を作成
・配布した。一方,地元にまちづくりの組織が結成され,同組織は,再開発事
業の実施について検討した結果,上記再開発事業を再開発組合によって施行す
ることは困難であると判断し,公団に対し,再開発事業の施行主体となること
を要請し,市に対しても,公団にその旨を依頼してほしいと要請した。そこで,
市は,平成9年7月,公団に上記再開発事業の施行を依頼し,平成10年4月
には,公団との間で上記再開発事業に関する基本協定を締結した。そのころ,
国の予算上も本件地区が再開発事業の地区として採択され,同年8月には,市
と公団がそれぞれ現地事務所を開設し,事業化に向けてスタートした。その後,
平成11年11月には,都が,三鷹駅から国分寺駅までの間のJR中央本線連
続立体化交差事業の完成時期を平成18年度と定めた。
市は,平成12年7月に「α駅南口地区市街地再開発事業に係る市の方針」
を決定し,公団に対して,上記再開発事業について事業化に向けた覚書を交換
したいと申し入れていたところ,平成13年6月,公団から,南口地区の第1
地区(駅に近い地区)については事業化の目途が立ち,同第2地区(第1地区
の南側の地区)については引き続き事業化に向けて取り組んでいく旨の回答が
あった。そこで,市は,上記第1地区について先行的に再開発を進めることと
し,同地区を対象とする本件再開発事業(対象区域は小金井市β,γ及びδ各
地内)の計画を立案した。また,市は,α駅南口地区(対象区域は,小金井市
ε,β,γ及びδ各地内)につき,調和のとれた複合的な都市拠点機能の充実
を図るべく,同地区の地区計画(都市計画法12条の4第1号)を定めた。そ
して,同年8月23日,公団との間で覚書を取り交わした。
(2)公団との当初の委託契約
P1は,平成13年ないし平成15年当時,小金井市長(以下「市長」とい
う。)の職にあった者である(なお現在もP1が市長である。)。
上記再開発事業に係る市の方針を決定して公団に覚書の交換を申し入れた後,
P1は,平成13年度小金井市一般会計予算を平成13年第1回市議会定例会
に提出したが,同予算には,本件再開発事業に係る都市計画に関する図書作成
業務(その1)委託料(以下「本件図書作成業務委託料①」という。)179
5万5000円,及びα駅周辺まちづくり整備計画作成業務委託料(以下「本
件まちづくり整備計画作成業務委託料①」という。)869万4000円が計
上されていた。これに対し,市議会は,平成13年3月2日,同定例会におい
て,平成13年度小金井市一般会計予算を可決した(上記各委託料の支出を認
めたことになる。)。
これを受けて,市は,平成13年8月14日,公団との間で,本件再開発事
業に係る都市計画に関する図書作成業務(その1)委託契約(以下「本件図書
作成業務委託契約①」という。)を,同年12月19日には,α駅周辺まちづ
くり整備計画作成業務委託契約(以下「本件まちづくり整備計画作成業務委託
契約①」といい,両契約を併せて「本件各委託契約①」という。)をそれぞれ
締結した。
(3)繰越明許費を含む補正予算の否決等
しかし,関係機関等との調整が進展しなかったことから,本件再開発事業が
当初の予定より大幅に遅れ,本件各委託契約①に基づく公団の各業務が平成1
3年度内に完了する見込みが立たなくなった。そこで,P1は,本件図書作成
業務委託料①及び本件まちづくり整備計画作成業務委託料①について,地方自
治法213条に従って繰越明許費として翌年度に繰り越すことを決定し(以下
「本件繰越明許費」という。),これを計上した平成13年度小金井市一般会
計補正予算(第4回)を平成14年第1回市議会定例会に提出した。しかし,
市議会は,平成14年3月23日,これを否決した(平成13年3月に市議会
議員の選挙があり,本件再開発事業に否定的な議員が増えた模様である。)。
P1は,上記補正予算に義務費が含まれていることを理由に再議に付すこと
も検討したが,それをすることなく,同年3月27日の平成14年第1回市議
会臨時会において,本件繰越明許費部分を削除した平成13年度小金井市一般
会計補正予算(第5回)を提出し,市議会は,同日,これを可決した。
上記のように,本件繰越明許費を計上した予算案が否決されたことに伴い,
市は,公団との間で,平成13年中に,本件各委託契約①を,それまでの出来
高に対応する部分に変更して精算した上,契約をいったん終了させた。
(4)予算の流用及び再度の委託契約等
ア本件図書作成業務は,都市計画決定及びその変更までの手続に沿っ
て,関係機関と調整を行いながら都市計画の図書(都市計画法14条)を作成
していくものであり,また,本件まちづくり整備計画作成業務は,α駅周辺地
区の計画的なまちづくりを推進するため,住宅市街地整備総合支援事業及び都
市活力再生拠点整備事業の整備計画を作成するという内容のもので,これによ
り作成された計画を基に本件再開発事業につき都市計画決定を得,また,市が
行う道路整備等のための補助金を国に申請することになっており,いずれの業
務も,本件再開発事業を推進するに当たって必要不可欠なものであった。
また,当時,市においては,地権者,市民,公団,関係機関等との間で,平
成14年10月までに都による都市計画決定を得て,平成15年度中に所轄大
臣による事業計画の認可を受けるという方向で大方の理解を得ていた。
そして,平成14年10月の都市計画決定に間に合わせるためには,早急に
本件図書作成業務及び本件まちづくり整備計画作成業務について,その委託契
約を締結する必要があった。
イそこで,市は,P1の指示の下,平成14年3月28日,公団に対
し,本件再開発事業に係る都市計画に関する図書作成業務(その2)及びα駅
周辺まちづくり整備計画作成業務(その2)各委託の見積りを依頼した。そし
て,市長P1は,同年4月22日,公団の見積り結果を踏まえて,上記各業務
の委託料合計1374万1000円につき,平成14年度小金井市一般会計予
算の「(款8)土木費」,「(項4)都市計画費」,「(目1)都市計画総務
費」,「(節17)公有財産購入費」(1億8239万3000円)から,同
目内の「(節13)委託料」(α駅南口地区第一種市街地再開発事業に係る都
市計画に関する図書作成業務(その2)委託料,α駅周辺まちづくり整備計画
作成業務(その2)委託料)に流用する手続をとった(以下「本件予算流用」
という。)。
その後,市長P1は,市を代表して,同年5月14日,公団との間で,α駅
南口地区第一種市街地再開発事業に係る都市計画についての図書作成業務(そ
の2)に関する委託契約(以下「本件図書作成業務委託契約②」という。)及
びα駅周辺まちづくり整備計画作成業務(その2)に関する委託契約(以下
「本件まちづくり整備計画作成業務委託契約②」といい,両契約を併せて「本
件各委託契約②」という。)をそれぞれ締結した。
ウ市は,平成14年6月に開催された平成14年第2回定例会におい
て,本件予算流用によって不足が生じた「(款8)土木費」,「(項4)都市
計画費」,「(目1)都市計画総務費」の中の「(節17)公有財産購入費」
を補てんするため,都市開発整備基金から,本件図書作成業務委託契約に基づ
く委託料690万9525円及び本件まちづくり整備計画作成業務委託契約②
に基づく委託料683万0880円(以下,両委託料を併せて「本件各委託料
②」という。)を繰り入れることを内容とする補正予算を提出したが,市議会
は,これを否決した。
また,市議会は,「市議会が否決した再開発事業予算を勝手に執行し,独断
専行で契約を強行したP1市長の責任を問う決議」を可決した。
(5)公団の図書等の納入及び本件各支出等
アその後,平成14年9月27日,東京都知事により,都市計画法1
8条1項に基づき「小金井都市計画第一種市街地再開発事業」が決定され,上
記計画の中に本件再開発事業が定められた。
他方,控訴人らは,平成14年11月8日,本件に関する監査請求をした。
イ公団は,平成14年12月,本件図書作成業務委託契約②に基づき,
市に対し「都市計画書」・「参考図書」・「都市計画関連図」・「附属資料」
から成る冊子(甲34,乙18。以下「本件都市計画図書」ともいう。)5部
を納入した。これを受けて,P1は,委託料の支出命令を発し,市は,平成1
5年1月20日,公団に対し本件図書作成業務委託契約②に基づく委託料69
0万9525円を支払った(この間の平成15年1月6日に,控訴人らの監査
請求を棄却する決定があった。)。
次いで,公団は,平成15年3月,本件まちづくり整備計画作成業務委託契
約②に基づき,市に対し,「住宅市街地整備総合支援事業整備計画調査報告
書」(乙11の資料18の1)及び「都市活力再生拠点整備事業街区整備計画
調査報告書」(同資料18の2。以下「本件調査報告書」ともいう。)各10
0部を納入した。これを受けて,市長P1は,委託料の支出命令を行い(以下
上記支出命令と併せて「本件各支出命令」という。),市は,同年4月4日,
公団に対し,本件まちづくり整備計画作成業務委託契約②に基づく委託料68
3万0880円を支払った(以下,上記支出と併せて「本件各支出」とい
う。)。
控訴人らは,その間の平成15年2月5日に,本件訴えを提起した。
ウところで,本件再開発事業と併行して行われている住宅市街地整備
総合支援事業の整備計画については,平成15年3月31日付けで国土交通大
臣からの承認が得られ,同年4月1日付けで本件再開発事業と併せて国庫補助
金の内定が出た。
(6)その後の経過
P1は,平成15年度第2回市議会臨時会に,平成15年度一般会計予算を
提出したが,その予算には,「α駅南口第1地区第一種市街地再開発事業分担
金」(2億0920万円)や,「α駅南口第1地区第一種市街地再開発事業に
係る公共施設整備負担金」(1200万円)が含まれていたが,これらの分担
金は,都市計画決定に伴い,都市計画法上必要とされているものであった。こ
れに対して,市議会は,平成15年度第2回市議会臨時会で,上記平成15年
度一般会計予算を可決した。
また,平成16年9月に開催された市議会定例会において,P1は,本件再
開発事業を含む一般会計予算を提案したが,市議会は,本件再開発事業費を除
いた修正案を提出し,可決した。同予算案は,その後,本件再開発事業費(1
億8466万3000円)を含んで可決されたが,同時に本件再開発関連予算
の年度内執行の凍結を求める付帯決議案も採択された。
2本件予算流用の違法性の有無について
(1)被控訴人は,目節は予算の執行科目であり,目節間の流用について
は普通地方公共団体の長の裁量に委ねられるものであるから,節間での流用に
すぎない本件予算流用も適法であると主張するが,この主張をそのまま採用す
ることができないことは,原判決の事実及び理由の第3の1(1)記載のとおり
(15頁以下)である。
(2)上記1の認定事実及び証拠(甲17)からすれば,①市議会の平
成14年第1回定例会において,本件繰越明許費の計上された平成13年度補
正予算(第4回)が否決されたのは,本件繰越明許費を認めることができない
としたためであり,それを削除した平成13年度補正予算(第5回)が市議会
において可決され成立したこと,②それにもかかわらず,市長であるP1は,
上記補正予算が成立した翌日には,公団に見積り依頼を出し,その1か月後に
は,本件予算流用の手続をして,本件各支出命令を行ったことが認められる。
これらの事実に照らせば,本件予算流用は,流用後の経費を,市議会がその
実施を否定して予算から削除した本件各委託の費途に充てる目的でされたこと
が明らかであって,違法といわざるを得ない。そして,このような予算の流用
を前提として行われた本件各支出命令も,市議会の意思に反することが明らか
であって,違法であるといわざるを得ず,また,市長であるP1には,このよ
うな違法な支出命令を行うについて,故意又は過失があったものと認められる。
(3)ア上記の点に関し,被控訴人は,①執行機関であるP1は,関連予
算が可決されている事実や市長の関連予算執行義務,都市計画決定の法的位置
付け及び手続経緯を考慮し,また,本来であればP1が義務費として執行権を
有していたと考えられること,事故繰越としての繰越手続をとれば予算で定め
ることを要しなかったこと,公団や国及び東京都,関係団体との信頼関係の維
持,住民説明会での状況を総合的に勘案した上で,本件予算流用をしたもので
ある②このようなP1の措置は,多様化,複雑化した行政実務を円滑かつ効率
的に運営するため,現実の情勢の変化に臨機応変に対応できるようにしたもの
であり,地方自治法が認める長の権限(予算調整権)の範囲に含まれるもので
あるし,関連予算との関係や,繰越明許費の否決理由等,市議会における審議
経過に照らしても,本件予算流用は,明白に議会意思に反するものといえず,
それが議決権を侵害する違法なものとは評価できないと主張する。
イ確かに,市議会は,本件再開発事業に係る都市計画自体については
必ずしも反対する意向を有しておらず,再開発用地の取得費の予算計上等を認
めていたものである。しかし,そうであるとしても,上記1の認定事実及び証
拠(甲17)からすれば,市議会は,公団に対する本件図書作成業務委託料①
及び本件まちづくり整備計画作成業務委託料①を予算として計上することに対
しては明確な反対意思を有していたことは明らかであり,本件各支出が議会の
意思に反する支出であったことは明らかである。
また,上記の事実に加え,地方公共団体の長が,予算流用の方法を用いて,
普通地方公共団体の経費を,議会が当該事業の実施を否定して予算から削除し
た事業の費途に充てることを目的とする予算執行は,議会に与えられた予算議
決権を一部空洞化させ,議会による予算統制を定めた地方自治法の趣旨に反す
るものである。これらを考慮すれば,いかに市長P1が,平成14年当時の状
況からみて,平成15年度中の事業認可に向け,平成14年10月の都市計画
決定に間に合わせる必要があるなど現実の情勢に合わせた予算執行をする必要
があったからといって,それが地方自治法が認める長の権限(予算調整権)の
範囲に含まれるとはいえない。
上記被控訴人の主張は採用し難い。
3本件予算流用等に対する市議会の追認の有無等について
被控訴人は,市議会が本件予算流用又は本件各支出命令を追認している以上,
それらの違法性は治癒されたと主張するけれども,その主張が採用し難いこと
は,原判決事実及び理由欄第第3の2(2)ないし(4)(23頁以下)記載のとお
りである。
4損害の有無について
そこで,本件各支出によって,市が損害を被ったといえるか否かにつき検討
する。
(1)控訴人らは,まず,本件委託料②の支出につき,市議会が市にとっ
て不要と判断した事項について,市議会の意思に反して公金を支出して公金減
少を招いたこと自体をもって損害とみるべきであると主張する。
しかしながら,地方自治法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟におい
て住民が執行機関に対して行使を求める損害賠償請求権は,民法その他私法上
の損害賠償請求権と異なるところはないというべきである。そうすると,損害
の有無及びその額については,そのような私法上の観点から判断されるべきで
あり,また,損益相殺が問題になる場合はこれを行った上で損害の有無等を確
定すべきものである。市議会の意思に反する支出であるというだけで,公金の
支出が直ちに損害となるとはいえない。
(2)そこで,上記の観点から,本件について損害の有無を検討する。
上記1の認定事実及び証拠(甲34,乙11,18)によれば,(ア)市は,
本件各委託契約②に基づいて,公団から,相当程度詳細な内容にわたる本件都
市計画図書及び本件調査報告書を受領していること(本件都市計画図書は,前
記のとおり都市計画図書,参考図書,都市計画関連図,附属資料から成るもの
で,約180頁のものであり,本件調査報告書は,平成14年3月の調査報告
書を受けた「住宅市街地整備総合支援事業整備計画調査報告書」と「都市活力
再生拠点整備事業街区整備計画調査報告書」の2部から成り,合わせて約20
0頁のものである。),(イ)本件都市計画図書及び本件調査報告書は,本件
再開発事業を含む小金井都市計画第一種市街地再開発事業や,本件再開発事業
と併行して行われている住宅市街地整備総合支援事業の整備計画の手続を進め
るに当たって,必要な資料として利用されていること(これらの事業は中止の
決定がされたわけでなく,継続している。),(ウ)その結果,平成15年4
月1日付けで上記住宅市街地整備総合支援事業については,本件再開発事業と
併せて国庫補助金の内定が出るなどしていることが認められる(弁論の全趣
旨)。
これらの事実からすれば,市は,上記報告書等を受領することによって,本
件各委託料②の支出に見合う成果物を得たものと認められる。
そうすると,このような観点からみるとき,本件で,市に,本件各委託料②
相当額の損害が発生したものと認めることはできない。
(3)ア上記(2)の点につき,控訴人らは,住民訴訟制度の本来の意義から
すれば,損害がないとの判断や損益相殺の運用は厳格になされるべきであり,
損害の有無を判断する基準として,対価性だけでなく,必要性,有用性が判断
基準とされるところ,当該支出が必要かつ有用であるかは,議会の予算議決権
によって決定されるのであるから,議会が否決した費途へ予算を流用し,執行
すること自体が必要性,有用性がないものへの支出であると主張する。
しかし,財務会計上の行為により普通地方公共団体に損失が生じた反面,そ
の行為の結果,その地方公共団体が利益を得,あるいは支出を免れたといえる
か否かは,当該地方公共団体が実施すべき事務や事業との関係で客観的に判断
されるべきものと解される。議会が否決した費途への支出であるというだけで,
それが直ちに必要性,有用性を欠き,地方公共団体の利益にならないとはいえ
ない。
イ本件でこれをみるに,前記のとおり,本件図書作成業務は,都市計
画決定ないし変更までの手続に沿って関係機関と調整を行いながら都市計画の
図書(都市計画法14条)を作成していくものであり,本件まちづくり整備計
画作成業務は,同駅周辺地区の計画的なまちづくりを推進するため,住宅市街
地整備総合支援事業及び都市活力再生拠点整備事業の整備計画を作成するとい
う内容のもので,これらにより作成された計画を基に本件再開発事業につき都
市計画決定を得,また,市が行う道路整備等のための補助金を国に申請するこ
とになっており,いずれの業務も,本件再開発事業を推進するに当たって必要
かつ不可欠なものであったと認められる。なお,本件で,市議会が可決した平
成15年度一般会計予算には,本件再開発事業にかかる事業分担金や,公共施
設整備負担金も含まれていることは上記1認定のとおりであり,市議会も,本
件再開発事業を進めること自体の必要性は必ずしも否定していないものと解さ
れる。
そうすると,本件図書作成業務及び本件まちづくり整備計画作成業務は,客
観的にみて,市にとって必要なものであったというべきであり,その成果物た
る都市計画図書及び調査報告書等の受領により,市が利益を得ていることは明
らかである。
(4)ア控訴人らは,また,地権者などの反対と小金井市の財政状況に照
らせば,本件再開発事業の実施は不可能であって,本件各委託はその必要性が
なかったものであり,その成果物も無用なものであると主張する。
イしかし,市の財政状況から本件再開発事業の実施が不可能であると
認めるに足る証拠はない。
かえって,前記1の認定事実及び前掲各証拠によれば,①JR中央本線に
ついて,連続立体交差事業とする平成6年5月に都市計画決定されて以降,α
駅南口周辺地区を再開発しようとの気運が高まり,周辺住民が小金井市及び公
団に本件再開発事業を実施してほしい旨の要請をし,平成14年3月以降も,
同地区の地権者及び地権者から構成された団体から小金井市に対し本件再開発
事業の早期実現を求める趣旨の要望書が提出されていること,②市も地権者
を含め市民に対し本件再開発事業についての説明会を開催し,あるいは広報誌
等によりその概要を説明することによって,本件再開発事業についての理解を
求めていること,③本件再開発事業については,東京都知事により都市計画
決定され,本件地区計画についても審議会による承認が得られたこと,④本
件再開発事業と併行して行われている住宅市街地整備総合支援事業の整備計画
については,平成15年3月31日付けで国土交通大臣からの承認を得て,同
年4月1日付けで本件再開発事業と併せて国庫補助金の内定が出ていること,
⑤市議会においても,本件再開発事業に係る負担金等を含む予算については
可決していることがそれぞれ認められる。また,地権者らや同市住民の意向に
ついても,将来とも不変であるとは限らないから,現時点で本件再開発事業に
反対している者が存在したとしても,それだけで,本件再開発事業が確定的に
実施不可能なものであると断ずることはできない。
そうであるとすれば,控訴人らが主張するように,本件再開発事業の実施は
不可能であって,同市が公団から受領した前記報告書等が同市にとって不要な
ものであるということはできない。
(5)ア控訴人らは,さらに,本件再開発事業は,現行計画のまま進める
ことが極めて困難となっている現状において,本件の流用によって作成した都
市計画図書や報告書は,無用の長物となって,市に損害を与えているとも主張
する。
イしかし,上記1の認定事実及び証拠(乙29,37)によれば,①
本件における都市計画は,小金井市長期総合計画等のまちづくりに係る上位
計画を踏まえ,既に着工されているJR中央本線連続立体交差事業計画に整合
させることを前提とし,α駅南口地区については,同駅の高架化に伴う駅前広
場の位置の変更などと併せて,約2.1haであった地区計画区域を駅前まで
の約8.1haに広げ,土地利用方針等のまちづくりの方針を明らかにする都
市計画変更を行ったものであること,②また,このまちづくりの基礎となる
都市計画をベースとして,用途地域の変更などの地域地区が定められるととも
に,南口地区で先行する第1地区を都市計画事業として,本件再開発事業の都
市計画が定められたものであることが認められる。
上記のように,都市計画は,本件再開発事業などの各都市計画事業のベース
となるものであり,いわば,まちづくりの枠組みであると解されるから,仮に,
控訴人ら主張のように,本件再開発事業が,現行計画のまま進めることが困難
となっているからといって,直ちに都市計画自体が変更されるとか,現在の都
市計画決定がその効力を失うというものとは解し難い。そうすると,本件各委
託契約②に基づく上記のような成果物が,将来,無用の長物となるなどとはい
えない。また,これらの成果物が,既に本件再開発事業等の手続を進めるに当
たって,必要な資料として利用され,市に利益をもたらしていることは上記の
とおりである。
上記控訴人らの主張も採用し難い。
第4結論
したがって,控訴人らの請求は理由がないから,これを棄却した原判決は相
当であり,本件控訴を棄却することとする。
よって,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第19民事部
裁判長裁判官岩井俊
裁判官及川憲夫
裁判官竹田光広

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