弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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             主       文
被告人を懲役2年及び罰金300万円に処する。
未決勾留日数中30日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被
告人を労役場に留置する。
             理       由
(犯罪事実)
第1 被告人は,A,B,C,D,E,F,G及びHらと共謀の上,平成15年9月13日から同
月15日までの間,北海道a郡b町の土地において,みだりに,廃棄物である廃酸及び
廃油等の混合物が入ったドラム缶合計167本(ドラム缶を含む重量合計約5万227
5キログラム)を埋め立てて捨てたものである。
第2 被告人は,I,J,K,L及びMと共謀の上,同年9月16日,北海道c郡d町の土地に
おいて,みだりに,廃棄物である廃酸及び廃油等の混合物が入ったドラム缶合計19
4本(合計約3万5502リットル)を捨てたものである。
(証拠の標目,法令の適用・略)
(量刑の理由)
 1 被告人は,それぞれ多数の共犯者と共謀の上,硫酸ピッチ等の廃酸及び廃油等が
詰められたドラム缶167本(重量合計約5万2275キログラム)を,北海道a郡b町内の
牧場敷地内の土中に埋設して投棄し(判示第1),さらに同様のドラム缶194本(合計約
3万5502リットル)を北海道c郡d町内の公有地に放置して投棄した(同第2)ものであ
る。この硫酸ピッチは,軽油の密造過程で生じたものであるが,強酸性を帯び,腐食性
があるので,ドラム缶に入れられていてもこれを腐食させて漏出しやすい。漏出した硫酸
ピッチは,土壌汚染や水源汚染を引き起こすほか,雨水に当たって亜硫酸ガスを発生さ
せ,大気汚染を招くこともある。また,硫酸ピッチの入ったドラム缶には高濃度の亜硫酸
ガスが溜まっており,これを吸引すると重い呼吸器障害を発生させるおそれがある。こ
のように極めて有害な硫酸ピッチを含むドラム缶を投棄することは,周辺環境や周辺住
民の健康に深刻な悪影響を及ぼす行為である。ことに判示第1の犯行では,全てのドラ
ム缶が土中に埋設されて容易に発覚し得ない状態におかれており,うち5本は埋設時ま
でに破損し,現場の土壌は漏出した硫酸ピッチによって汚染され,強酸性を呈するに至
ったもので,硫酸ピッチによる環境破壊は部分的ながら現実に生じている。
 本件各犯行は,被告人をはじめ,投棄先の手配等に介在した運送業者や暴力団関係
者,投棄場所の提供者や紹介者が,長期間にわたって計画を練り,投棄場所の選定,
それぞれの役割分担や報酬,搬出から投棄までの段取りなどを順次取り決めて行われ
た組織的,計画的で悪質なものである。しかも,被告人らは,数千本のドラム缶を搬出し
て投棄することを企てていたものであり,本件はその大規模な犯行計画の一部であっ
た。
 2 被告人は,平成14年四,五月ころ,知り合いの運送関係業者らから大量のドラム
缶を北海道に搬送して処分するという情報を入手し,平成15年3月ころ,それが毒性の
強い硫酸ピッチであることが明確に分かったにもかかわらず,運送会社社員としての営
業成績を上げ,個人的にも利益を得ようと考えて,その不法投棄を企てたものである。と
ころで,被告人は,公判廷において,運び込まれた硫酸ピッチが正規に処理されること
を期待していたかのごとく供述している。しかし,処理費用が正規に処理する場合よりも
著しく低額であること,暴力団関係者が処分の手配に関与しており,関係者の中に正規
に処理する能力のある者はいなかったこと,その他関係者の供述からすれば,被告人
は硫酸ピッチが正規に処理される見込みがないことを熟知し,もともと不法に投棄する
意図で本件各犯行の計画を進めていたものと認められる(なお,判示第2の犯行では,
共犯者Mが有効期限の切れた産業廃棄物処理業の許可証を準備しているが,これも正
規の処分であること又はそのように思っていたことを装うためのものであり,それは被告
人も承知していたものである。)。
 そして,被告人は,搬出元に通じている関係者から本件ドラム缶の投棄を依頼される
と,同関係者には,自己の利益を確保するために代金を直接自分に払うように求め,共
犯者である暴力団関係者等には,投棄場所の選定や投棄の手配を依頼して謀議を重
ね,実行に当たっては,多数の運送業者を手配し,搬出元倉庫からの搬出に立会って
いる。さらに,被告人は,搬出元側から費用・報酬として2800万円を受け取り,共犯者
に分配するとともに自らも500万円を超える多額の利益を得ている。このように,被告
人は,本件のいずれの犯行においても中心的役割を果たしたものである。
 3 加えて,近年,同種事案が多発していることも考慮すると,周辺環境への悪影響を
顧みることなく,自己の利益のために本件各犯行に及び,中心的な役割を果たした被告
人の刑事責任は重いといわなければならない。
 そうすると,本件各犯行が早期に発覚したため,大多数のドラム缶は破損することなく
回収され,硫酸ピッチが漏出した判示第1の土壌に対しても,行政指導等により中和措
置が講じられて一応の改善をみており,重大な環境破壊の発生は幸い未然に防止され
たこと,被告人が共犯者の一部から本件ドラム缶の運び込みを要求されたという面もあ
ること,被告人が事実を認め,事実関係の解明に協力し,反省の情を示していること,交
通関係以外の前科がないことなど被告人に有利に斟酌することのできる諸点を考慮し
ても,被告人に対しては,懲役刑についてもその執行を猶予することは相当ではなく,主
文の刑を定めたものである。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役3年及び罰金400万円)
 平成16年8月5日
   札幌地方裁判所刑事第1部
         裁 判 官  半  田  靖  史

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