弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人大類武雄の上告趣意第一点について。
 国税犯則取締法(以下単に取締法と略称する。) 一四条の通告処分は、国税局
長又は税務署長が間接国税に関する犯則の心証を得た場合、原則として犯則者に対
し、罰金又は科料に相当する金額その他の財産上の負担を通告し、犯則者がこれを
任意に履行したときは、当該犯則について訴を受けることなからしめることとする
手続であつて、かような手続が認められた所以のものは、間接国税の犯則のごとき
財政犯の犯則者に対しては、先ず財産的負担を通告し、これを任意に履行したなら
ば敢えて刑罰をもつてこれに臨まないこととすることが、間接国税の納税義務を履
行させその徴収を確保するという財務行政上の目的を達成する上から見て、適当で
あるという理由に基ずいているのである。しかし、通告処分は、これを行うことが
財務行政上、刑事政策上その他の理由によつて適当でないと認められる場合には、
これによらないこともあるのであつて、取締法一三条、一四条は、まさにその場合
に関する規定に外ならない。そして、本件においては、告発の事由が「通告の履行
見込なきに依る」もので、取締法一四条二項前段の「通告ノ旨ヲ履行スル資力ナシ
ト認ムルトキ」に準拠してなされたものであることは所論のとおりであるが(記録
三二丁)、既に述べたとおり、通告処分は犯則者に対し財産上の負担を通告し、こ
れが履行を期待するものであるから、犯則者がその通告の内容たる財産上の負担を
履行しうる能力を持つていることが前提であつて、(所論のような現に財産のない
者でも借金をしてでも通告の旨を履行しうると認められる者であれば、それは借金
をなし得る信用という能力があるのであるから、右規定の適用については、履行す
るの資力ある者に該当すると解しうる。)これを欠いていると認められる場合にも、
なお、これに対し通告処分を行うことは、無意味であり、右取締法一四条二項前段
の規定は、そのような無意味なことは、これを行わないとする趣旨の下に定められ
た規定と解すべく、所論のように財産の有無又は貧富の程度によつて、国民を差別
して取扱う趣旨の規定と解すべきではない。それ故、取締法一四条は憲法一四条に
違反するものであるということはできない。
 同第二点について。
 論旨は単なる採証法則違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由
に当らない。記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官栗山茂の右第一点に対する少数意見を除くほか裁判官全員一致
の意見である。
 裁判官栗山茂の少数意見は次のとおりである。
 弁護人の上告趣意第一点の違憲の主張は原審で主張されず、従つて原判決の判断
を経ていないもので、刑訴四〇五条一号にあたらないから本件上告は不適法として
棄却すべきものであること、昭和二六年(あ)第四六二九号同二八年三月一八日言
渡大法廷判決において述べたとおりであるから、ここに引用する。
  昭和二八年一一月二五日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    入   江   俊   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛