弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小川契弐の上告趣意第一点について。
 憲法一四条は、人格の価値がすべての国民について平等であり、従つて、人種、
信条、性別、社会的身分又は門地等の差異にもとずいて、国民の政治的、経済的又
は社会的関係における基本的な権利義務に関し、あるいは特権を有し、あるいは特
別に不利益な待遇を与えられてはならないという大原則を示したものであつて、国
民各自の年令、自然的素質、職業、人と人との間の特別な関係等の各事情を考慮し
て、道徳、正義、合目的性等の要請により、国民がその関係する各個の法律関係に
おいて、それぞれの対象の差に従い合理的に異る取扱を受けることまで禁止する趣
旨を包含するものでないこと、刑法において尊属親に対する殺人、傷害致死等が一
般の場合に比して重く罰されているのは、法が子の親に対する道徳的義務を重要視
し、加害者たる卑属の背倫理性を重き犯情としてとくに考慮に入れられたものであ
つて、被害者たる尊属親に対し、尊属なるが故に特別に利益な権利又は待遇を与え
てこれを保護せんとする立法趣旨でないこと、従つて、刑法二〇五条二項の規定は、
憲法一四条に違反しないことは、既に当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところで
あつて(昭和二五年一〇月一一日大法廷判決判例集四巻一〇号二〇三七頁以下参照)、
いまなおこれを変更する必要を認めない。されば、所論憲法一四条違反の主張は採
用できない。
 次に、論旨は、刑法二〇五条二項の規定は、卑属なるが故に尊属よりは尊重され
ないという結果になるから、憲法一三条の「すべて国民は、個人として尊重される」
との条規にも違反する旨主張する。しかし、右刑法の条項は、前述のように卑属の
背倫理性を重き犯情としてとくに考慮したものであつて、尊属を尊属なるが故に卑
属よりも特別に尊重保護せんとした規定ではない。されば、背倫理性を重く処罰す
る刑法二〇五条二項の刑罰規定を目して憲法一三条に反するとの所論は採用できな
い。
 さらに、所論は、憲法二四条二項にいわゆる「家族」とは、民法改正後の現在に
おいては親族と読みかえるべく、また、同条項にいわゆる「その他の事項」の中に
は、親子間の殺傷事件に関する処罰事項等をも当然包含されるものであるから、親
子間の殺傷事件についても、法律は、個人の尊厳に立脚して制定されなければなら
ず、従つて、被害者が尊属たると卑属たるとによつて法定刑を区別した刑法二〇五
条二項は、憲法二四条二項にも反する旨主張する。しかし、憲法二四条二項は、配
偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚、その他婚姻及び家族に関する事項
に関しては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、立法されなければならな
いといつているだけで、所論のごとき親族間の処罰事項等に関する立法まで包含す
る規定ではない。されば、所論違憲の主張は、独自の見解であつて、採用すること
はできない。
 同第二点について。
 所論は、量刑の非難であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また、記録
を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四〇八条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は、真野裁判官の反対意見(前掲大法廷判決中の同裁判官の反対意見の
とおり)を除く外裁判官全員一致の意見によるものである。
  昭和二九年一月二〇日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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