弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2青梅税務署長が控訴人に対して平成18年10月31日付けでした,亡A
(平成16年3月14日相続開始)の相続に係る相続税の再更正処分のうち課
税価格5億3278万3000円,納付すべき税額1億5695万0700円
を超える部分(ただし,平成19年11月5日付け裁決により一部取り消され
た後のもの)及び青梅税務署長が控訴人に対して平成18年6月30日付けで
した亡Aの相続に係る相続税の更正処分に係る過少申告加算税賦課決定処分
(ただし,平成19年11月5日付け裁決により一部取り消された後のもの)
を取り消す。
第2事案の概要
1本件事案の概要は,後記3及び4のとおり当審における当事者双方の主張を
付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2事案の概要」に記載の
とおりであるから,これを引用する。なお,被控訴人は,本件訴えのうち,本
件再更正処分(青梅税務署長が控訴人に対して平成18年10月31日付けで
した,亡Aの相続に係る相続税の再更正処分)のうち課税価格5億3278万
3000円,納付すべき税額1億5695万0700円を超える部分の取消し
を求める訴えは,適法な不服申立手続を経ておらず,出訴期間を徒過して提起
されたものであるから不適法であるとして,その却下を求める本案前の答弁を
した(被控訴人の原審平成20年10月15日付け準備書面(1))。
2原審は,上記再更正処分の取消しを求める訴えは適法であるとして,被控訴
人の本案前の答弁を容れず,控訴人の請求はいずれも理由がないとして,全部
棄却した。
控訴人は,これを不服として本件控訴を提起した。
3当審における控訴人の主張
(1)本件訴えの適否について
本件訴えは,適法であり,これを適法であるとした原判決は,憲法におけ
る司法的救済の原理に基づき,国民の権利保護を重視する立場に基づくもの
であって正当である。
被控訴人の主張は,憲法前文及び1条における国民主権の原理に基づき,
国民の行政上の権利を救済するため簡易迅速な手続による国民の権利利益の
救済を図るという行政不服審査の目的(行政不服審査法1条)を逸脱し,形
式論理により国民の権利保護を軽視するもので著しく不当な解釈である。
(2)本件α土地の評価の適法性について
本件α土地は,道路よりも高い位置にあるから,その評価は,宅地に転用
する場合に通常必要とされる造成費に相当する金額を控除してしなければな
らない。
宅地として造成するためには,整地に要する土地1㎡当たり400円の狭
義の整地費,抜根・伐採に要する土地1㎡当たり650円の抜根・伐採費,
地盤改良に要する土地1㎡当たり1200円の地盤改良費,構築する擁壁の
面積1㎡当たり3万3600円の擁壁工事費(土止め工事費。少なくとも8
1万4350円)が必要であって,1㎡当たり500円の整地費だけでは到
底その費用を賄うことができない。
上記宅地造成費を考慮しない本件α土地の評価は,時価とかい離しており,
違法である。
(3)本件各山林の評価の適法性について
ア八王子市β町×番地所在の8筆合計3万8000㎡の土地の造成工事の
費用は5億4574万円である(甲13)から,同番地の本件β山林2万
2399㎡の造成工事の費用は3億2167万2039円となる(計算式
:5億4574万円÷3万8000㎡×2万2399㎡。1㎡当たりの単
価1万4361円)。したがって,本件β山林については,被控訴人によ
る評価額5273万8420円の約6倍の造成工事費用を要することにな
る。
なお,控訴人は,本件β山林に隣接する八王子市β町××番地所在の山
林2585㎡(以下「本件売却土地」ともいう。)を前所有者から購入し,
平成17年9月27日,これをBに1㎡当たり6050円で売却した(甲
8)。本件売却土地の売買単価は,前所有者が行った造成工事の費用の単
価と同額であり,Bは,土地自体の価値を0円と評価して購入した。この
造成工事は,本件売却土地を駐車場用地とするために1㎡当たり6050
円という安価な費用で行われたものであり,本件β山林を正規に造成する
とすれば,その2倍以上の1㎡当たりの単価1万4361円の造成工事の
費用を要する。
イ前記のとおり,本件β山林は,多額の造成費を支出しなければ売買の対
象とはならないのが現実であるが,このことは本件各山林に共通する事情
である。土地所有者としては,宅地としての価額より宅地造成費の方が大
きくなるようなときは,経済的合理性の観点から,宅地化をせずに現況の
まま放置せざるを得ないが,本件各山林は,現況の山林としての利用が可
能である。
したがって,本件各山林の価額は,現実の状況を踏まえ,宅地化の期待
利益等を含まない林業経営のための純山林としての価額を上限として評価
されるべきである。
これに反し,本件各山林につき,画一的かつ迅速的な処理の観点から評
価し,あるいは,林産物の搬出の便等という林業経営に着目した事情より
も周辺の市街地化の程度や市街地の中心への交通の便という所在地による
事情が主要なものになるとして,中間山林として評価するのは,本件各山
林の現実の状況を無視するものである。
本件各山林を純山林ではなく中間山林として行った評価は,時価を著し
く超えて明らかに不合理であり,違法である。
4当審における被控訴人の主張
(1)本件訴えの適否について
本件訴えは,不服申立てを経ず,かつ,出訴期間経過後にされたものであ
るから,不適法である。
ア本件訴えは,本件再更正処分等に係る国税通則法(以下「通則法」とも
いう。)75条の不服申立てを経ておらず,そのことに正当な理由はない。
原判決は,本件訴えが適法な不服申立てを経ていないことにつき,「本
件更正処分に対する不服申立手続がとられた結果,本件再更正処分につい
て実質上審理判断が行われており,これに対する審査請求及び裁決を経て
いるとみることができる」などとして,通則法115条1項3号の正当な
理由があると認めたが,以下のとおり,通則法115条1項の解釈を誤っ
たものである。
(ア)本件審査請求において,本件更正処分等及び本件再更正処分等の全
体について審理した本件裁決がされたが,異議申立ての対象とされなか
った処分に関する審査請求は本来不適法であるから,これに対して実体
審理をした上で裁決がされたとしても,異議申立ての対象とされなかっ
た処分について異議申立てがされたことになるものではない(東京高裁
平成9年9月25日判決・行政事件裁判例集48巻9号661頁及びそ
の上告審の最高裁平成15年2月27日第一小法廷判決・税務訴訟資料
253号順号9294)。
通則法115条柱書本文は,国税に関する処分について,課税標準の
認定が複雑かつ専門的であるため,司法審査を行う前に専門的な知識と
経験を有する行政庁に再検討の機会を与えて自主的解決を期待するのと
同時に,大量かつ反復的に行われる処分に対して大量の訴訟が提起され
ることを回避し,税務行政の統一的,安定的運用を図ることを可能とす
るため,異議申立てについての決定及び審査請求についての裁決という
二段階の不服申立前置を要求し,審査庁に処分の当否について再検討さ
せることに加え,納税者が所定の期間内に不服申立てをしない限り,当
該処分の効果を前提としてその後の徴収事務等を行うことを可能とした。
通則法115条柱書本文の上記のような趣旨及びその文言からすれば,
国税に関する個々の処分についての取消しの訴えを提起するには,納税
者による不服申立てがされ,それについての裁決がされていることが必
要であることになる(東京地裁平成17年5月13日判決・民集62巻
8号2133頁,その控訴審である東京高裁平成18年4月20日判決
・民集62巻8号2338頁及びその上告審である最高裁平成20年9
月16日第三小法廷判決・民集62巻8号2089頁参照)。
したがって,本件更正処分につき,国税不服審判所長が通則法104
条2項の規定に基づくあわせ審理(以下,単に「あわせ審理」ともい
う。)をし,本件再更正処分について実質上審理判断が行われていると
しても,本件再更正処分に対する審査請求及び裁決がされているとみる
ことはできず,通則法115条1項3号の正当な理由があるとすること
もできない。
(イ)また,通則法90条1項及び3項によるみなす審査請求は,2以上
の更正決定等について,1次更正決定等に係る審査請求の係属中に2次
更正決定等に係る異議申立てがされたことによる効果であり,あわせ審
理がされれば後続の更正決定等についての不服申立てに意味がなくなる
ものではなく,これによって正当な理由があることにはならない。
(ウ)控訴人は,原審において,通則法115条1項3号の正当な理由が
あることを全く主張していない。
控訴人は,平成18年10月6日付け本件異議決定に対して同年11
月6日付けで本件審査請求をして不服申立手続を経験しており,また,
その間の同年10月31日付けでされた本件再更正処分等に係る通知書
に添付された教示文(乙35の2枚目)により,本件再更正処分等に係
る不服申立手続の手順を容易に知ることができた。国税不服審判所長は,
あわせ審理をする場合,対象となる処分(本件においては本件再更正処
分等)の異議申立期間経過後,処分行政庁及び審査請求人に対し,審査
請求についてのあわせ審理の通知書(乙36)を同時に発送するのが一
般的な取扱いである(乙37)から,控訴人が本件再更正処分等につい
てあわせ審理されることを知ったのは,本件再更正処分等の異議申立期
間(通則法77条1項,10条2項)を経過した平成19年1月4日よ
り後である。控訴人は,それ以前に,あわせ審理がされ,本件再更正処
分について実質上審理判断が行われることを知り得なかったのであるか
ら,上記通知書は,本件再更正処分等について不服申立てをしないとい
う控訴人の判断に影響を与えていない。
イ本件訴えは,正当な理由がなく,出訴期間経過後に提起されたものであ
る。
原判決は,本件訴えがいずれも出訴期間経過後に提起されたものである
ことを認めながら,行政事件訴訟法14条1項ただし書及び2項ただし書
の正当な理由があるときに該当すると判断したが,以下のとおり,不当で
ある。
(ア)本件再更正処分については,処分から1年半以上経過して本件訴え
が提起され,その前提となる審査請求はされないまま審査請求期間が経
過した。行政事件訴訟法14条3項における「審査請求があったとき」
に当たるというためには,適法な審査請求があることが必要である(乙
38の364頁)が,本件再更正処分に対して同条による審査請求をす
ることはできず,また,本件再更正処分とは別個の処分である本件更正
処分等について審査請求を行ったというだけでは,本件再更正処分につ
いて審査請求がされたときに準ずるとはいえない(前掲東京高裁平成1
8年4月20日判決参照)。
(イ)控訴人は,原審において,本件訴えが出訴期間を経過して提起され
たことについて正当な理由があることを基礎付ける具体的事実を何ら主
張立証していない。
控訴人は,前記のとおり,本件再更正処分等の通知書に添付された教
示文や本件更正処分に関する不服申立手続の経験から,本件再更正処分
についての不服申立手続の必要性を十分認識していた。また,控訴人が
本件再更正処分等が本件更正処分等とあわせ審理されることを知ったの
は,本件再更正処分の異議申立期間経過後であるから,あわせ審理の通
知は控訴人が本件再更正処分に対して不服申立てをするか否かの判断に
影響していない。したがって,本件再更正処分について,6箇月以内又
は1年以内に本件訴えが提起されなかったことについて,行政事件訴訟
法14条1項ただし書及び2項ただし書に規定する正当な理由があると
はいえない。
(2)本件α土地の評価の適法性について
相続財産の価額は,評価通達の定める評価方法によって評価することが相
当でないと認められる特段の事情がない限り,上記評価方法によって評価す
るのが相当であり,その評価の結果をもって適切な時価であると推認するこ
とができる。控訴人は,狭義の整地費,抜根・伐採費,地盤改良費の1㎡当
たりの金額の算定根拠,本件α土地を宅地として利用する際の抜根・伐採,
地盤改良工事及び擁壁工事の必要性について,具体的な主張立証をしておら
ず,それらの根拠及び必要性は明らかでないから,前記特段の事情があると
認めることはできない。
本件α土地は,土地区画整理事業を了したほぼ平坦な土地であり,本件相
続開始時(平成▲年▲月▲日)には畑として利用されていたから,整地費5
00円以外の費用は控除されない(乙6の553頁,乙7の8~11頁,乙
39の1枚目)。
(3)本件各山林の評価の適法性について
ア控訴人は,本件売却土地の造成工事の費用が1㎡当たり6050円であ
ることの根拠を主張立証せず,その売買契約書(甲8)にも売買単価が造
成費相当額を基に算出されたことをうかがわせる記載はないから,前記評
価方法によって評価することが相当でないと認められる特段の事情がある
とはいえない。
イ控訴人は,甲13に基づき,本件各山林の造成費が1㎡当たり1万43
61円であると主張する。
しかし,相続税法22条の「時価」は相続開始時における当該財産の客
観的交換価値をいうから,本件各土地についても,評価単位となっている
各土地ごとの状況を見て客観的にその交換価値を評価しなければならない。
甲13に記載された事業に係る経費は,本件β山林2万2399㎡とそれ
以外の1万5000㎡以上の土地を併せた約3万8000㎡の土地に関す
るものであり,本件β山林以外の部分が造成費の金額に影響を与えている
ことも考えられるから,上記土地全体の造成費によって算出される単価に
よって本件β山林の造成費が定まるとはいえない。
また,「(仮称)環境緑化整備事業計画書」(甲13)は,その作成目
的や事業主体が不分明で,作成日付や株式会社Cの社印の押捺及び同社の
所在地や事業対象地の具体的な所在地及び正確な面積が記載されておらず,
「D林地開発事業収支表」(甲13の4枚目)には,金額の算出根拠と
なる資料の添付がなく,「防災工」及び「雑工」などの内容不明な工事費,
「地権者対策」及び「近隣対策」などの造成費用といえるか疑わしい経費
も多く計上されているから,本件各山林の造成費の根拠とはならない。
評価通達には,多額の造成費がかかることを理由として中間山林である
山林を純山林として評価する定めはなく,多額の造成費がかかるため造成
しない場合は純山林としての価額が上限であるとする控訴人の主張は,独
自の見解である。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由
は,以下のとおり当審における当事者双方の主張に対する判断を付加するほか
は,原判決の「事実及び理由」中「第3当裁判所の判断」に記載のとおりで
あるから,これを引用する。
2争点(1)(本件再更正処分の取消しを求める訴えの適法性)について
(1)被控訴人は,本件再更正処分の取消しを求める訴えは,不服申立手続を
前置していないことにつき,通則法115条1項各号に定める事由が認めら
れないから,不適法である旨主張する。
しかし,本件における事実関係の下では,引用に係る原判決中「第3当
裁判所の判断」の1(1)に説示のとおり,不服申立手続を経ないで本件再更
正処分の取消しを求める訴えを提起したことには,通則法115条1項3号
にいう正当な理由があると認めることができる。
すなわち,控訴人は,本件更正処分等に対して平成18年7月6日に本件
異議申立てをしていたところ,処分行政庁は,同年10月6日付けでこれを
棄却する本件異議決定をし,同月31日付けで本件再更正処分等をした。控
訴人は,同年11月6日に本件異議決定に対する本件審査請求をしたが,国
税不服審判所長は,本件審査請求の審理において本件再更正処分等をあわせ
審理した。控訴人は,本件審査請求において,本件更正処分等だけではなく
本件再更正処分等についても違法である旨主張し(甲1の6頁2項,別紙
4),国税不服審判所長は,平成19年11月5日付けで本件更正処分,本
件再更正処分及び本件賦課決定処分の各一部と本件再賦課決定処分の全部を
取り消す旨の本件裁決をした。本件再更正処分は,増額更正処分であり,本
件更正処分を吸収する関係にあるものであるから,控訴人において,本件更
正処分処分を争いながら本件再更正処分については争わないことは考え難く,
現に,控訴人は審査請求において本件再更正処分等の違法を主張している。
これらの本件における事実関係の下においては,本件再更正処分については,
実質的に不服申立手続が前置されているものと同視することができ,形式的
にこれを経ていないことについては通則法115法3号の正当な理由がある
ということができる。
ところで,あわせ審理(通則法104条2項)は,不服申立てがされた更
正処分と同一の国税について形式的にはこれと別個の再更正処分がされたよ
うな場合において,更正処分と再更正処分との間には不可分の牽連関係があ
ることを考慮して,両処分に対する判断の矛盾・抵触を避け,納税者の手数
を軽減しつつ権利救済の実現を図ることを目的とする制度であることに照ら
せば,本件の事実関係の下において,あわせ審理がされていること等を根拠
として上記のとおり正当な理由があると解しても,その目的に反するもので
はない。なお,あわせ審理は,再更正処分に対する不服申立ての存在を前提
とする制度ではなく(再更正処分に対して異議申立てがされたときは,これ
を審査請求とみなし(通則法90条1項,3号),併合審理(同法104条
1項)をすることによって,上記目的を達成することができる。),実務に
おいては,あわせ審理の通知は,異議申立期間が経過した後にするものとさ
れ,本件においても,本件再更正処分に対する異議申立期間が経過した後の
平成19年8月2日付けでその通知がされている(乙36,37)。したが
って,控訴人が本件再更正処分に対して異議申立てをしなかったのは,あわ
せ審理がされることを知ったためであるとはいえない。しかし,あわせ審理
がされる目的が上記のようなものであることからすれば,あわせ審理の通知
がされたのが異議申立期間経過後であるか否かによって,正当な理由の存否
を決するのは相当でない。
被控訴人は,控訴人が既に本件審査請求をして不服申立手続を経験してお
り,また,本件再更正処分等に係る通知書に添付された教示文(乙35の2
枚目)により,本件再更正処分等に係る不服申立手続の手順を容易に知るこ
とができた旨主張するが,そうであるとしても,あわせ審理において本件再
更正処分に対する実質的な判断がされたことに変わりはなく,被控訴人主張
の事実は,上記判断を左右するものではない。
したがって,被控訴人の上記主張は,採用することができない。
(2)被控訴人は,本件再更正処分の取消しを求める訴えは,出訴期間を経過
して提起されたものであり,行政事件訴訟法14条各項の正当な理由が認め
られないから,不適法である旨主張する。
しかし,前記(1)のとおり,本件再更正処分についてはこれと不可分の牽
連関係にある本件更正処分についての審査請求とあわせ審理がされ,1個の
本件裁決によってこれに対する判断がされているのであって,このような事
実関係の下では,前記引用に係る原判決中「第3当裁判所の判断」の1
(2)に説示のとおり,本件更正処分を知った日から起算される出訴期間内に
前記訴えが提起されなかったことについては正当な理由があると認めること
ができる。
被控訴人の前記主張は,本件の実体に沿わないものであって,これを採用
することはできない。
3争点(2)(本件各土地の評価の適法性)等について
(1)控訴人は,本件α土地の評価は,宅地造成費を考慮しておらず,時価と
かい離しているから違法であると主張する。
しかし,前記引用に係る原判決中「第3当裁判所の判断」の2(2),3
の(1)及び(3)に認定説示のとおり,本件α土地は,土地区画整理事業を了し
たほぼ平坦な土地であり,その価額は評価通達に従って算出するのが相当で
あるから,その価額は5783万3260円となる。
控訴人は,同土地を宅地として造成するためには,控訴人主張の工事が必
要であるなどと主張するが,それらの工事の必要性及び費用額について,こ
れを認めるべき客観的かつ的確な証拠はなく,評価通達の定める評価方法に
よって評価することが相当でないとする特段の事情があるとは認められない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
(2)控訴人は,甲13に基づき,本件β山林の造成工事費用は1㎡当たり1
万4361円であり,本件各山林は,いずれも多額の造成費を支出しなけれ
ば売買の対象とはならず,経済的合理性の観点から現況のまま放置せざるを
得ないから,林業経営のための純山林としての価額を上限として評価される
べきであり,これを中間山林として行った評価は,時価を著しく超えて明ら
かに不合理であって,違法である旨主張する。
しかし,前記引用に係る原判決中「第3当裁判所の判断」の2(3),3
の(1)及び(4)に認定説示のとおり,本件各山林は,その所在及び形状等の状
況に照らし,その価額は評価通達及び評価倍率表に従って算出するのが相当
であるから,本件土地25を除く本件各山林の価額は原判決別表5の各土地
の②評価額欄記載のとおりとなり,本件土地25の価額は729万6922
円となる。
控訴人が上記主張の根拠とする甲13には,1枚目に「(仮称)環境緑化
整備事業計画書」,「東京都八王子市」,「土砂等盛り土による林地開発事
業」,「平成16年月日」,「株式会社C」と記載され,2枚目の「事
業計画(概要)」には,「目的」として「…本件土地を整備し活性事業化す
るプロジェクトである。」,「…環境を破壊せずに形状,土質を改良し,豊
かな自然と調和した,緑化整備事業を進める事が,目的であります。」等の
記載,「計画概要」として「本件計画は,3.8ヘクタール谷地を利用して
自然環境や生活環境も大切に考えて埋め立て工事しながら造成します。」等
の記載,「所在地東京都八王子市β町×番地8筆」,「第1期500,
000㎡」との記載がある。しかし,これらの記載は,誰が事業主体となっ
て,いつ,どのような事業を行うのか,その事業対象地の具体的な範囲及び
面積,これと本件β山林2万2399㎡との関係などを明らかにするもので
はない。また,甲13の4枚目の「D林地開発事業収支表」には,いくつ
かの費目と金額が記載され,金額を合算して「工事費(場内管理費除く)」
が小計3億1774万円,「開発許可費」が小計2億2800万円で,「経
費合計(小計+小計)」が5億4574万円であると記載されている。しか
し,「防災工」,「雑工」,「地権者対策」,「近隣対策」などの費目の支
出が宅地造成工事として必要であることや,計上された各金額が相当である
ことを確認できる資料は何ら添付されていない(甲13の3枚目の「環境緑
化整備事業」にも上記開発許可費の記載と同様の費目及び金額が記載されて
いるだけである。)。このような甲13の記載によって,本件β山林あるい
はこれを含む本件各山林の造成工事費用が1㎡当たり1万4361円である
と認めることはできない。
なお,控訴人は,本件売却土地の造成工事は,駐車場用地とするために1
㎡当たり6050円という安価な費用で行われたものである旨主張するが,
これを認めるべき証拠はない。
したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。
4結論
よって,控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり,本件控訴は
いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第15民事部
裁判長裁判官井上繁規
裁判官笠井勝彦
裁判官菅野正二朗

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