弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
     前項の部分に関する被上告人の請求を棄却する。
     訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人中谷茂、同山口勉、同前田基博の上告理由第一点一の1及び第二点に
ついて
一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。
 1 上告人は、平成三年三月一五日、Dから強迫を受けて、被上告人との間に、
上告人が被上告人から三五〇〇万円を弁済期日同年六月一五日、利息年三割六分の
割合等の約定により借り受ける旨の本件消費貸借契約を締結した。この際、上告人
は、Dの指示に従って、被上告人に対し、貸付金はE株式会社の当座預金口座に振
り込むよう指示し、被上告人は、これに応じて、利息等を控除した残金三〇三三万
七〇〇〇円を、右口座に振り込んだ。
 2 上告人は、平成六年二月二四日、被上告人に対し、Dの強迫を理由に本件消
費貸借契約を取り消す旨の意思表示をした。
二 本件において、被上告人は、上告人は本件消費貸借契約に基づき給付された金
員につき悪意の受益者に当たるとして、民法七〇四条に基づき、被上告人がEの当
座預金口座に振り込んだ金員のうち二九四一万七九一七円及びこれに対する上告人
が悪意となった日の後である平成三年六月一六日から支払済みまで年一割五分の割
合による利息の支払を求めている。
 原審は、被上告人が前記のとおり振込みを行ったのは上告人の指示に基づくもの
であったから、上告人は右振込みに係る金員の交付を受けてこれを利得したという
べきであるなどとして、被上告人の不当利得返還請求について、利息の割合を民法
所定の年五分として、これを認容した。
三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のと
おりである。
 消費貸借契約の借主甲が貸主乙に対して貸付金を第三者丙に給付するよう求め、
乙がこれに従つて丙に対して給付を行った後甲が右契約を取り消した場合、乙から
の不当利得返還請求に関しては、甲は、特段の事情のない限り、乙の丙に対する右
給付により、その価額に相当する利益を受けたものとみるのが相当である。けだし、
そのような場合に、乙の給付による利益は直接には右給付を受けた丙に発生し、甲
は外見上は利益を受けないようにも見えるけれども、右給付により自分の丙に対す
る債務が弁済されるなど丙との関係に応じて利益を受け得るのであり、甲と丙との
間には事前に何らかの法律上又は事実上の関係が存在するのが通常だからである。
また、その場合、甲を信頼しその求めに応じた乙は必ずしも常に甲丙間の事情の詳
細に通じているわけではないので、このような乙に甲丙間の関係の内容及び乙の給
付により甲の受けた利益につき主張立証を求めることは乙に困難を強いるのみなら
ず、甲が乙から給付を受けた上で更にこれを丙に給付したことが明らかな場合と比
較したとき、両者の取扱いを異にすることは衡平に反するものと思われるからであ
る。
 しかしながら、本件の場合、前記事実関係によれば、上告人とEとの間には事前
に何らの法律上又は事実の関係はなく、上告人は、Dの強迫を受けて、ただ指示さ
れるままに本件消費貸借契約を締結させられた上、貸付金をEの右口座へ振り込む
よう被上告人に指示したというのであるから、先にいう特段の事情があった場合に
該当することは明らかであって、上告人は、右振込みによって何らの利益を受けな
かったというべきである。
 そうすると、右とは異なり、上告人の指示に基づき被上告人がEに対して貸付金
の振込みをしたことにより上告人がこれを利得したとして、被上告人の不当利得返
還請求の一部を認容すべきものとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違
法があり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。この点をい
う論旨は理由があり、その余の論旨について検討するまでもなく、原判決中右請求
の一部を認容した部分は、破棄を免れない。そして、右部分について、被上告人の
請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がないから、これを棄却す
べきである。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    尾   崎   行   信
            裁判官    元   原   利   文
            裁判官    金   谷   利   廣

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛