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広島地裁平成18・4・26
316条の20第1項棄却
主文
本件裁定の申立てを棄却する。
理由
1申立ての趣旨及び理由
本件裁定申立ての趣旨及び理由は,弁護人ら提出の証拠開示命令請求書記載のとおりであるが,その要旨は,被告人の女性関係,女性に
対する態度等に関する供述を内容とする被告人以外の者の供述録取書,捜査報告書のすべて(以下「本件各証拠」という。)については刑
事訴訟法316条の20第1項に該当するが,検察官は,その開示に応じていないから,本件各証拠の開示を求めるというものである。
2当裁判所の判断
弁護人らは,「被告人は,幼児性愛者ではないのであって,本件犯行の前後を通じて,わいせつ目的はなかった」との主張を予定してい
るところ,本件各証拠は,「被告人が女児,女性について普段どのような接し方,性的関係を有していたかということを推測させるもので
あるところ,一般的にみて,成人女性と健全な関係を有している場合には,幼児性愛者でないと言えるから,弁護人らが予定している上記
主張に関連するものであり,刑事訴訟法316条の20第1項の主張関連証拠に当たる旨主張する。
確かに,被告人に対する平成17年12月21日付け公訴事実第1の犯行(以下「本件犯行」という。)について,被告人が被害児童に対しわい
せつ目的を有していたか否かは争点となっている。しかしながら,検察官は,上記わいせつ目的を推認させる具体的事実として,被告人の
過去の性癖を主張しているのではなく,被害児童が着用していたブルマー及びパンツを脱がし,被害児童の膣内及び肛門に手指を挿入する
などしてもてあそびながら自慰行為に及び射精し,その結果,被告人の精液が,同児童の肛門部付近及び同児童のパンツに付着したという,
本件犯行当時の被告人の具体的な行為を主張しているのであり(検察官の平成18年3月10日付け証明予定事実記載書面第3の1),弁護人らに
おいても,被害児童の陰部及び肛門部付近に触れたこと(弁護人らの平成18年4月19日付け予定主張事実記載書面第1の1の(4)),被告人が
自慰行為をしたことは認める(弁護人らの平成18年4月21日付け証拠調請求書(被告人の精神鑑定及び情状鑑定を求めるもの)第2の1)とこ
ろである。そうすると,被告人がわいせつ目的を有していたか否かは,被告人の本件犯行当時の行為からそのわいせつ目的が推認できるの
か否かにつきるのであって,被告人が幼児性愛者でなく,あるいは,被告人の日頃の女性関係及び女性に対する態度が良好なものであった
というようなことは,特段の事情のない限り,上記の点について弁護人らの防御に資する事情とはならない。
以上によれば,本件各証拠は,わいせつ目的を有していなかったとの弁護人らの主張に関連するとは認められず,あるいは,その関連性
の程度は極めて低く,被告人の防御の準備に必要性があるとも認められないから,刑事訴訟法316条の20第1項の要件を満たさないというべ
きである。
3結論
よって,本件裁定の申立てには理由がないから,これを棄却することとし,刑事訴訟法316条の26第1項により,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・岩倉広修,裁判官・甲斐野正行,裁判官・中井優美子)

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