弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人村田利雄の上告趣意第一点について。
 しかし原審たる控訴審は検事及び弁護人の控訴趣意はいずれも理由がないが、第
一審のなした法令の適用に誤ありとして第一審判決を破棄した上、第一審判決の認
定した事実に対し法令の適用を示し、刑の言渡をしたのである。この場合、訴訟法
上、第一審判決は全部破棄されたのであるが、原審は第一審判決の事実の認定には
何ら違法の点がなく、従つて犯罪事実は第一審において適法に確定されたものと考
えたのであるから、原審が第一審判決の認定した事実を基礎としてこれに法令の適
用をしたのは正当というべきである。(昭和二四年新(れ)一七八号、同二六年三
月九日第二小法廷決定参照)。従つて原判決には所論のごとき違法はないのであり、
その違法であることを前提として憲法違反を主張する論旨のすでに採用しがたいこ
とは明白である。
 同第二点について。
 論旨はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。のみならず原審の量刑に関
する判断説示が理由不備の違法あるといえないことは昭和二六年(あ)一二五号、
同二七年一月二四日第一小法廷決定に徴して明白である。論旨は理由がない。
 よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと
おり決定する。
  昭和二八年八月七日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判官藤田八郎は出張につき記名押印することができない。
         裁判長裁判官    霜   山   精   一

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