弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決全部を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 名古屋高等検察庁検事長代理次席検事中条義英の上告受理申立の理由について。
 原判決は、本件A株式会社の代表取締役である被告人は法定の除外事由がないに
かかわらず、昭和三一年六月一日から同月二五日までの間、同会社工場において、
女子労働者B外一一名をして延約一一七五時間の時間外労働および休日労働をさせ
ながら、これに対し基本賃金の二割五分以上の割増賃金合計約三二九一五円八六銭
のうち合計約一六五九一円六九銭を支払つたのみでその差額計一六三二四円一七銭
を支払わなかつたこと、および右の時間外労働並びに休日労働は労働基準法(以下
法とのみ云う)三三条所定の行政官庁の許可を経て行われたものではなく、ないし
はその事後承認があつたわけでもなく、また法三六条にいわゆる使用者と労働組合
ないし、労働者団体との間に成立した協定に基いて行われたものでもないことを是
認しながら、被告人には右割増賃金の支払義務あることは当然であるが、これを支
払わなかつたからといつて、法三七条一項、一一九条一号の罪責あるものと解すべ
きではない。けだし、右法条所定の罪責は法三三条の規定により行政官庁の許可を
経て行われた場合(あるいはその事後承認のある場合)および法三六条により使用
者と労働組合、ないしは労働者団体との間に成立した協定に基いて行われた場合に
のみ関するものであることは法三七条一項の文理解釈上極めて明白であるが、その
反面、前示認定のように時間外労働等が前示法条に則つた行政官庁の許可等に基い
て行われたものでない場合に割増賃金不払について罪責を問う何らの明文がないか
らである、云々と云うのであつて、その見解の下に原審は被告人に前示認定の事実
について無罪を言い渡したものであることは、所論のとおりである。さて、法三三
条または三六条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用
者が割増賃金支払の義務あることは法三七条一項の明定するところであるが、右条
件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。法はこの点明示
するところがないが、適法な時間外労働等について割増金支払義務があるならば、
違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは
事理の当然とすべきであるから法三七条一項は右の条件が充足された場合たると否
とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相
当とする。果して、そうだとすれば、右割増賃金の支払義務の履行を確保しようと
する法一一九条一号の罰則は時間外労働等が適法たると違法たるとを問わず、適用
あるものと解すべきは条理上当然である。さすれば被告人は右罰則の適用を免れな
い筋合であり、従つて原判決が前示認定事実について被告人に対し無罪を言い渡し
たのは違法であり、論旨は理由あるに帰する。そして事案は、本件公訴事実中原判
決が有罪とした第一審判決の判示第一の事実と併合罪の関係ありとして起訴された
ものにかかるものであるから、右の違法は、原判決の全部に影響を及ぼすことも明
らかである。
 よつて、刑訴四一一条一号、四一三条本文に従い裁判官全員一致の意見で主文の
とおり判決する。
 公判出席検察官 吉河光貞
  昭和三五年七月一四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    高   木   常   七

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