弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人又平俊一郎の上告理由第一点前段について。
 本件土地に関し、被上告人と訴外D外二名との間で共有持分の譲渡およびその登
記のなされた昭和二八年五月二二日当時施行されていた特別都市計画法は、新法た
る土地区画整理法の施行と共に、昭和三〇年四月一日廃止されたが、土地区画整理
法施行法五条、六条により、従前の土地区画整理は、新法施行後は新法三条四項に
より施行せられる土地区画整理となつたものとせられ、従前の法令によつてした処
分、手続その他の行為は新法の適用については同法中これらの規定に相当する規定
がある場合においては、同法の規定によつてしたものとみなされているのであつて、
本件土地区画整理についても同様である。そして土地区画整理法は、換地を定める
については過小宅地とならないようにこれを定めることができることとし(九一条
一項)、なお地積が著しく小である地積を増して換地を定めることが適当でない宅
地については換地を定めないことができる旨を規定しているにすぎないのであつて
(同条三項)、当事者が換地を分割して譲渡する場合につき、何らその地積を制限
する趣旨のものでないことは原判示のとおりである。それ故、本件譲渡の目的であ
る土地が三〇坪に満たないから区画整理に関する法令に違反し無効であるとの所論
は採るを得ない。
 同第一点後段、第二点について。
 原判決の確定したところによれば、被上告人は訴外D外二名から昭和二八年五月
二二日本件土地につき四千七百九十七分の二千七十五の共有持分の譲渡を受け登記
を完了し共有関係に入ると共に、共有者間の内部においては、土地を分割し、二〇
坪七合五勺は被上告人の単独所有として独占的に使用し、のち分筆登記が可能とな
つたとき直ちにその登記を為すことを約し、土地引渡を了しておるのであり、上告
人は、その後において、Dを除く二名の者から右土地につき被上告人のため登記さ
れた残余の共有持分の三分の一宛の譲渡を受け、その登記をなし共有関係に入つた
ものであるというのである。しからば、上告人は民法二五四条にいわゆる特定承継
人に該当するものであることは明らかであり、前示共有地分割契約により前主たる
共有者の負担した義務を承継したものであるから、被上告人がその主張の土地につ
き他の共有者に対して有する前記分割契約上の債権は、上告人に対してもこれを行
うことができ、上告人はこれが行使を妨害してはならないものである。このことは、
分割契約につき登記を経たものであると否とにかかわらないと解すべきである(な
お、民法二五四条は所論のような場合にのみ関する規定と解すべき何らの根拠もな
い。)。しからば原判決の判断は結局正当であつて所論は採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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