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平成10年(行ケ)第214号 審決取消請求事件
         判    決
   原      告   デマルト プロ アルテ ベー,ファウ,
   代表者   【A】
   訴訟代理人弁護士   佐 藤 雅 巳
   被      告   株式会社ヨシダ興業
   代表者代表取締役   【B】
   訴訟代理人弁護士   谷 村 和 治
   同          浅 野 芳 朗
         主    文
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定
める。
         事    実
第1 原告が求める裁判
「特許庁が平成8年審判第14452号事件について平成10年3月30日に
した審決を取り消す。」との判決
第2 原告の主張
 1 特許庁における手続の経緯
原告は、別紙商標目録表示の標章からなり、旧23類「時計及びその附属
品、その他本類に属する商品」を指定商品とする登録第2455490号商標(以
下「本件商標」という。)の商標権者である。なお、本件商標は、平成元年7月2
8日に登録出願され、平成4年9月30日に商標権の設定登録がされたものであ
る。
被告は、平成8年8月22日に本件商標の商標登録を取り消すことについて
審判を請求した(審判の予告登録日は、平成8年9月24日)。
特許庁は、これを平成8年審判第14452号事件として審理した結果、平
成10年3月30日に「登録第2455490号商標の登録は、取り消す。」との
審決をし、同年4月20日にその謄本を原告に送達した。なお、原告のための出訴
期間として90日が付加された。
 2 審決の理由
   別紙決定書の理由(一部)写しのとおり
 3 原告主張の審決取消事由の要点
審決は、事実認定を誤ったか、法律の解釈を誤ったかした結果、商標法50条の規
定に基づいて本件商標の商標登録を取り消したものであって、違法であるから、取
り消されるべきである。
 (1)審決は、原告が提出した証拠に表示された「SALVADORDALI」,「Demart
ProArteB.V.1996」,「Dali」及び「Dの欧文字とデフォルメされた時計の図形の
結合したもの」等が、「例え本件商標と社会通念上同一であるといえるとしても」
本件商標は本件審判請求の登録前3年以内に日本国内においてその指定商品につい
て使用されていたとは認められない旨認定した(審決9頁3行ないし22行)。
しかしながら、本件商標の通常使用権者である株式会社ソニー・クリエイティブ・
プロダクツ(以下「ソニー・クリエイティブ」という。)は、本件審判請求の登録
前3年以内に、その指定商品である時計について,審決が本件商標と社会通念上同
一であると仮定したものを使用することにより、商標法2条3項1号の要件を満た
していたものである。すなわち、ソニー・クリエイティブは、時計用の包装箱とし
て、一側面に「Dの欧文字とデフォルメされた時計の図形の結合したもの」及
び「9DemartProArteB.V.1996」の表示が、他の側面に「SALVADORDALI」の表示
がそれぞれ付されたものを平成8年9月18日に東洋紙業株式会社(東京本社)に
発注し、遅くとも同月20日、ソニー・クリエイティブの静岡プロダクツセンター
においてその納品を受けた。このことは、甲第7号証の写真5,6(包装箱の写
真)、甲第11号証(注文書)、第16号証(陳述書)によって明らかである。
 (2)被告は、商標が付された商品が流通状態に置かれない限り、当該商標が使
用されているとはいえない旨主張するが、失当である。商品は、流通に置かれる前
に、まず製造されるのであり、商標法2条3項1号の「商品又は商品の包装に標章
を付する行為」は、当該商品の流通に先立ち、製造の段階で行われるものだからで
ある。
 (3)なお、被告は、原告が登録第4088368号の商標登録を得たことを捉
えて、原告は本件商標の不使用を自認している旨主張するが、原告が上記商標登録
を得たことは本件商標が使用されていたか否かとは全く別個の問題である。
第3被告の反論の要点
   原告の主張1,2は認めるが、3(審決取消事由)は争う。審決の認定判断
は正当であって、これを取り消すべき理由はない。
 1 原告は、甲第7の写真5,6(包装箱の写真)、第11号証(注文書)、第
16号証(陳述書)を援用して、ソニー・クリエイティブが本件審判請求の登録よ
り前3年以内に、原告主張の包装箱を発注し、かつその納入を受けた旨主張する。
しかしながら、甲第7号証と甲第11号証との結び付きは不明確であるうえ、甲第
16号証をもってしても、甲第11号証の発注に応じて現実に納入された日が本件
審判請求の登録より前であることを認めることはできない。
仮に、原告主張の包装箱の納入が本件審判請求の登録より前であったとしても、ソ
ニー・クリエイティブが本件審判請求の登録前3年以内にその指定商品である時計
について本件商標を使用していたとは認められないとした審決の認定が正当である
ことに変りはないというべきである。商標の本来的機能が自他商品の識別、出所表
示であることからすれば、商標を使用しているといい得るためには、当該商標が指
定商品に付され流通状態に置かれることが必要であるというべきであるのに、ソニ
ー・クリエイティブが原告主張の商標を使用した時計の販売を開始した日が早くと
も平成8年10月であることは明らかだからである(乙第7号証参照)。
 2 なお、原告は、平成8年6月11日、本件商標と全く同一の標章について、
本件商標の指定商品と重複する14類「時計」を指定商品とする商標登録出願を
し、平成9年12月5日に商標登録(登録第4088368号)を得ている。した
がって、原告は、本件商標の不使用を自認したものというべきである。
         理    由
第1 原告の主張1(特許庁における手続の経緯)及び2(審決の理由)は、被告
も認めるところである。
第2 原告は、本件商標の通常使用権者であるソニー・クリエイティブが、本件審
判請求の登録前3年以内に、本件商標の指定商品である時計に、審決が本件商標と
社会通念上同一であると仮定したものを使用した旨主張する。原告の上記主張のう
ち、ソニー・クリエイティブが本件商標の通常使用権者であることは、被告が争う
ことを明らかにしていないから、自白したものとみなされる。
 1 証拠によれば、以下の事実が認められる。
a 甲第7号証の写真3は「SALVADORDALI」の欧文字及び「DemartProArte
B.V.1996」の欧文字と数字が表示されている時計の裏面の写真であり、甲第16号
証(陳述書)によれば、この時計はソニー・クリエイティブが製造販売したもので
あることが認められる。そして、甲第10号証(注文書)によれば、ソニー・クリ
エイティブが平成8年9月18日に「セイコータイムテック(株)」に対して、時
計(「DL1リストウオッチ」として示される時計。以下「ダリ・ウオッチ」とい
う。)423個の本体を同月26日までに「(株)長谷川時計店」へ納入するよう
に書面による発注をしたことが認められる。
b 前掲甲第16号証によれば、甲第7号証の写真1に見られるタグ及び第8号証
のタグはダリ・ウオッチ用のタグの写真であることが認められ、甲第7号証の写真
1および第8号証によれば、同タグには、「SALVADORDALI」の欧文字が表示さ
れ、「この製品はデマート・プロ・アルテB.V.とのライセンス契約により生産され
たものです」と記載されていることが認められる。そして、甲第9号証(注文書)
によれば、ソニー・クリエイティブが平成8年9月9日に「ナカムラレーベル
(株)」に対して、ダリ・ウオッチ用のタッグ(タグ)2万1000枚を同月18
日までに「(株)バンビ浦和工場」へ納入するように書面による発注をしたことが
認められる。また、甲第15号証(ファクシミリ受信用紙)によれば、「セイコー
タイムテック株式会社」が平成8年9月5日付けでソニー・クリエイティブに対
し、「Daliウオッチのプライスタグ」を「(株)バンビ浦和工場」へ送付するよう
に依頼していることも認められる。
c 前掲甲第16号証によれば、甲第7号証の写真5,6はダリ・ウオッチの包装
箱の写真であることが認められ、甲第7号証の写真5,6によれば、同包装箱の一
側面には「SALVADORDALI」の欧文字、他の側面には「DemartProArteB.V.1996
」の欧文字と数字及び「D」の欧文字とこれに掛けられている軟らかな時計の図形
が表示されていることが認められる。そして、第11号証(注文書)及び前掲甲第
16号証によれば、ソニー・クリエイティブは、先行した口頭の発注を確認するた
め、平成8年9月18日に「東洋紙業(株)東京本社」に対して、上記包装箱の
「1ケ箱」4050個を同月20日までに「静岡プロダクツセンター」(ソニー・
クリエイティブの一部門)に納入するように書面による発注をしたことが認められ
る。
以上の事実を総合すれば、ソニー・クリエイティブは遅くとも平成8年9月5日よ
りも前に「セイコータイムテック株式会社」に対してダリ・ウオッチの製造を発注
しており、タグについては同月18日までに、包装箱については同月20日まで
に、時計本体については同月26日までに、所定の場所に納入されるように手配し
ていたことが明らかである。
 2 以上の事実を前提に、ソニー・クリエイティブが、本件審判請求の登録日で
ある平成8年9月24日より前に、審決が本件商標と社会通念上同一であると仮定
したものにつき、商標法2条3項1号の規定する行為をしたといえるか否かにつき
検討する。前掲甲第11,第16号証により、原告主張の包装箱の製造が平成8年
9月20日(甲第11号証上の納期)までに既に完了していたと認めることは可能
である。しかし、「包装に標章を付する行為」が「商品についての使用」と認めら
れるのは、それが「商品に標章を付する行為」と同視できる意味を有することにそ
の根拠があると考えるべきであるから、商品と離れて包装に標章が付されても、そ
れだけではまだ商標法2条3項1号に該当しないと解すべきである。
ところが、平成8年9月24日より前に、原告主張の包装箱が時計を包装する状態
に置かれたと認めることはできない。前認定のとおり、時計本体の納入期限とされ
ていたのは平成8年9月26日であり、これより前に時計本体がソニー・クリエイ
ティブに納入されたことを認めさせる証拠はないからである。
したがって、原告主張の包装箱を根拠に、平成8年9月24日より前に商標法2条
3項1号の要件が満たされたとすることはできない。
なお、前記認定のダリ・ウオッチの本体及びタグに付された標章は、本件商標の中
で最も強く看者の目を引く「D」の欧文字とこれに掛けられている軟らかな時計の
図形を欠いており、本件商標との間に社会通念上の同一性が認められないものであ
ることは、明らかというべきであるから(乙第6号証参照)、その製造時期のいか
んにかかわらず、これらをもって本件商標の使用を根拠づけることはできない。
 3 その他、本件全資料を検討しても、本件商標について、本件審判請求の登録
日である平成8年9月24日より前に商標法2条3項1号の要件を満たすべき行為
があったことは認めることができない。
第3 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、その他審
決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、審決の取消しを求める原告の本訴請求を失当として棄却することとし、訴
訟費用の負担及びこの判決に対する上告等のための期間付加について行政事件訴訟
法7条,民事訴訟法61条及び96条を適用して、主文のとおり判決する。
  (口頭弁論終結日 平成11年8月3日)
     東京高等裁判所第六民事部
         裁判長裁判官山 下 和 明
            裁判官春 日 民 雄
            裁判官宍 戸   充

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