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平成25年9月24日判決言渡
平成25年(行ケ)第10122号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成25年9月3日
判決
原告株式会社ラック
訴訟代理人弁理士山本健男
被告特許庁長官
指定代理人大橋良成
渡邉健司
堀内仁子
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の求めた裁判
特許庁が不服2012-7131号事件について平成25年4月15日にした審
決を取り消す。
第2事案の概要
本件は,商標登録出願に対する拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決の取消
訴訟である。争点は,周知商標との同一性又は類似性(商標法4条1項10号)で
ある。
1特許庁における手続の経緯
原告は,平成23年6月8日,下記本願商標につき商標登録出願(商願2011
-39588号)をし,平成23年11月25日,指定商品の補正をしたが,平成
24年1月30日,拒絶査定を受けたので,平成24年4月19日,これに対する
不服の審判請求をした(不服2012-7131号)。
特許庁は,平成25年4月15日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決をし,その謄本は同年4月26日に原告に送達された。
(甲1,2,4~6)
【本願商標】
オルトリリー(標準文字)
指定商品(平成23年11月25日付け補正後のもの)
第20類クッション,座布団,まくら,マットレス
2審決の理由の要点
【引用商標(引用商標1及び引用商標2)】
[引用商標1]
イタリア国所在のファベ社(FabeS.r.l.〔ファベソチエタアレスポンサビ
リタリミタータ〕)が,イタリア国において,本願商標の登録出願前から商品『ま
くら』について使用する商標『Ortolily』
[引用商標2]
ファベ社が,我が国において,本願商標の登録出願前から商品『まくら』につい
て使用する商標『オルトリリー』
(1)引用商標の周知性について
下記ウェブサイト(書証番号は本件訴訟におけるもの。また,各ウェブサイトを
摘示した項には,本判決を通じての通し番号を付した。)における各記載によれば,
引用商標は,遅くとも本願商標の出願日前である平成22年には,ファベ社の業務
に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されている商標
と認められるものであり,かつ,その周知性は査定時においても継続している。
なお,下記ウェブサイトにおける各記載が,たとえファベ社以外のネット通販業
者等によるものであるとしても,引用商標がファベ社製の商品を表すものとして写
真付きで紹介されるなど,その広告宣伝等の内容及びその使用例等に照らせば,こ
れに接する取引者・需要者は,引用商標をファベ社の取扱いに係る商標として認識
し,取引に当たる。
[1]「~~快眠サポート寝具専門店~~らくらくショッピング」のウェブサイトにおいて,
「イタリアファベ社製オルトリリー枕」の見出しの下,「イタリアファベ社製オルトリ
リー枕のご紹介♪」「販売するたび絶大な人気を誇る,ファベ社の枕が登場!・・・・・」との記
載(http://kaiminsupport.seesaa.net/article/121585514.html平成21年6月16日掲載
〔乙6〕)。
[2]「【買い物上手】厳選商品を紹介!ここだけの話・・・」のウェブサイトにおいて,「イ
タリアファベ社製オルトリリー枕」の見出しの下,「皆さん,販売するたび絶大な人気を
誇るファベ社製の枕ってご存知ですか?」との記載(http://blog.livedoor.jp/kaimono_joho
/archives/794046.html平成21年6月25日掲載〔乙8〕)。
[3]「通販商品人気ランキングショップ」のウェブサイトにおいて,「イタリアファベ社
製オルトリリー枕通販」の見出しの下,「・・・・・●販売するたび絶大な人気を誇る,ファベ社
の枕が登場!!・・・・・」との記載(http://ufumaga.at.webry.info/200906/article_12.html平
成21年6月30日掲載〔乙7〕)。
[4]「いいもの通販モバイル店バイヤーブログ」のウェブサイトにおいて,「グレードア
ップしたイタリアファベ社製オルトリリー枕」の見出しの下,「大人気のファベ社製の枕が
ニューリアルして登場です!」との記載(http://blog.livedoor.jp/iimonotuuhan/archives/
176688.html平成21年9月12日掲載〔乙24〕)。
[5]「drecom_fabeのブログ」のウェブサイトにおいて,「ファベ社オルトリ
リーについて」の見出しの下,「ファベ社オルトリリーは,ファベ社のメディカル(整体)
枕が進化した,他では買えないネット限定品です。・・・・・頭を包みこんでくれるようで寝心地
がいい,という感想も多いんですよ。」との記載(http://fabe.dreamlog.jp/archives/24635
13.html平成21年9月13日〔乙25〕)。
[6]「店長まりこの徒然日記」のウェブサイトにおいて,「イタリアファベ社製オルト
リリー枕販売開始」の見出しの下,「当店通販ショップ素敵への扉で販売するたび絶大な
人気を誇る,あのイタリアはファベ社の枕がグレードアップして登場しましたのでご紹介しま
す。」との記載(http://sutekine.seesaa.net/archives/201006-1.html平成22年6月28
日掲載〔甲12,乙26〕)。
[7]「寝具の通販情報」のウェブサイトにおいて,「イタリアファベ社製オルトリリー枕」
の見出しの下,「●あの大人気『オルトペディコ枕』が進化して登場!NEWタイプの枕『オ
ルトリリー枕』・・・・・」との記載(http://sleep.torablog.net/archives/day/20100804.html
平成22年8月4日掲載〔乙27〕)。
[8]「厳選☆美容・健康オススメ通販情報」のウェブサイトにおいて,「オルトリリー枕(イ
タリアファベ社製)ホテル並みリッチサイズ♪」の見出しの下,「販売するたび絶大な人気を
誇る,イタリアファベ社から『オルトリリー枕』が新登場!・・・・・」との記載(http://tenb
iyoublog.blogspot.jp/2010/10/blog-post_04.html平成22年10月3日〔乙28〕)。
[9]「布団通販こだわり安眠館メルマガバックナンバー」のウェブサイトにおいて,「■
ホテルに枕がある理由■セカンドピロー(枕)生活」の見出しの下,「・・・・・イタリアFAB
Eファベ社製▼オルトリリー枕ORTOLILYまったりソフトな寝心地感・・・・・」との記載
(http://blog.livedoor.jp/futon_futon/archives/1203129.html平成22年11月8日〔乙
29〕)。
[10]「楽天ランキング履歴データベース」のウェブサイトにおいて,「2010年11
月24日の『低反発枕』ジャンルの楽天ランキング」の見出しの下,「7位・・・イタリアF
ABEファベ社製オルトリリー枕・・・・・」との記載(http://rakuten.retail-ranking.com/20
101124/500270.html平成22年11月24日掲載〔乙30〕)。
[11]「楽天」のサイト内「ブランド枕・寝具インテリアセレクトショップヌーン」の項
に,「楽天ランキング急上昇!/第2位/オススメ度★★★★★/オルトペディコ枕のグレー
ドアップ版/fabe社/オルトリリー枕」「=オルトリリー【Ortolily】/売れ筋
NO.1枕に高性能ウレタンを+プラスし進化したオルトペディコ枕。」との記載(http://we
b.archive.org/web/20101019062227/http://item.rakuten.co.jp/noone/ortolily平成22
年10月19日掲載〔乙1〕)。
[12]「楽天」のサイト内「こだわり安眠館」の項に,「上記がイタリアファベ社製である
ことを表しています。/更に環境に優しいエコテックス100取得!/Ortolilyオル
トリリーピロー」との記載(http://web.archive.org/web/20100630230911/http://item.raku
ten.co.jp/futon/m133-17wh平成22年6月30日掲載〔乙12〕)。
(2)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標1とは,外観において相違し,観念においては比較できない
としても,『オルトリリー』の称呼を共通にするものであり,類似の商標
である。
本願商標と引用商標2とは,観念においては比較できないとしても,外観及び『オ
ルトリリー』の称呼を共通にするものであり,類似の商標である。
(3)本願商標に係る指定商品と引用商標に係る商品との類否について
本願商標に係る指定商品と引用商標に係る商品とは,同一又は類似する商品であ
る。
(4)審決判断のまとめ
本願商標は,ファベ社製の枕を表示するものとして遅くとも本願商標の登録出願
時に需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって,そ
の商品又はこれらに類似する商品について使用をするものであるから,商標法4条
1項10号に該当する商標である。
第3原告主張の審決取消事由
1取消事由1(引用商標の周知性の認定の誤り)
次のとおり,審決が引用商標に周知性を認めたのは誤りである。
(1)周知性の認定資料
審決は,各ウェブサイトの記載から引用商標がファベ社の業務に係る商品を表示
する商標として周知であると認定したが,何人もインターネット上に手軽に自分又
は自社の宣伝広告を掲載できるのであるから,インターネット上のウェブサイトに
引用商標が掲載されたからといって引用商標がファベ社の業務に係る枕を表示する
商標として周知であるとはいえない。
なお,審決は,ファベ社のウェブページ上で引用商標1が使用されていると認定
しているが,同社のウェブページ(http://www.fabesrl.it/azienda/http://www.
fabesrl.it/prodotti/ortolily/〔甲22,23〕)はイタリア語で記載されており,
イタリア語を解さない者にはその内容を理解できず,URLの「ortolily」も商標
的に使用されているものではない。ファベ社は日本国内向けのウェブサイトを有し
ておらず,『オルトリリー』を検索語にしてもファベ社のウェブサイトにはたどり
着かない。
(2)周知性の寄与者
審決は,各ウェブサイトの記載から引用商標がファベ社の業務に係る商品を表示
する商標として周知であると認定したが,それらウェブサイトは,一か所[9]を除き,
原告と取引関係がある者又は原告作成・提供の画像等の情報を利用した者など原告
と何らかの関係がある者が掲載したものであり,ファベ社が掲載したものではない。
インターネットで『オルトリリー』を検索した結果多数の店舗・ショッピングモー
ルが表示されるのは,原告が有名なショッピングモールへ出店して販売をしてきた
ことやネット販売に主力をそそぐ会社への卸販売を強化してきたことによるもので
あり,ファベ社はそのような周知活動を一切行っていない。
(3)周知性の対象者
審決は,引用商標がファベ社の業務に係る商品を表示する商標として認識される
と認定したが,審決が引用したウェブサイト(前記第2,2(1)),下記ウェブサイ
ト(甲17,18)及び被告が引用したウェブサイト(後記第4,1(1))において,
商標又は商品名を『オルトリリー』とする枕等を販売する業者はいずれも国内業者
であり,かつ,その旨の表記もされているから,引用商標の使用者は,原告又は原
告と何らかの関係にある者と取引者・需要者に認識され,ファベ社とは認識されな
い。ファベ社は,日本国内に総代理店や販社を設置しておらず,輸入ルートも固定
されていない。
[13]株式会社リアルウェイの運営する「trendrush」のウェブサイトにおいて,
「イタリアファベ社製オルトリリー枕」との記載(http://item.rakuten.co.jp/trendrush/
243369/)
[14]合同会社ドンズバの運営する「donzuba!!」のウェブサイトにおいて,「イ
タリアファベ社製オルトリリー枕」との記載(http://item.rakuten.co.jp/donzuba/24336
9/)
[15]株式会社ミチバタ・ジャパン・リミテッドの運営する「睡眠布団枕工房」のウェブサ
イトにおいて,「ファベ社(fabe)オルトペディコ枕オルトリリー」の見出しの下,「あ
の大人気オルトペディコ枕が進化して登場!ニュータイプの枕『オルトリリー枕』」との記
載(http://item.rakuten.co.jp/suimin/1506-pilily/)
[16]SEOクリエイティブソリューションズの運営する「RELAXSTYLE」のウ
ェブサイトにおいて,「イタリアファベ社製オルトリリー枕」と記載(http://www.rs-tei
hanpatsu.com/contents/item/243369.html)
[17]株式会社ケーズの運営する「K'zTown」のウェブサイトにおいて,「イタリア
ファベ社製オルトリリー枕」との記載(http://item.rakuten.co.jp/k-ztown/243369/)
2取消事由2(誤認混同のおそれの有無)
原告はファベ社の真正商品を扱っている業者の信用を守るために本願商標の登録
出願をした。商標法4条1項10号の趣旨は出所の混同防止にあるところ,原告は,
真正商品であるファベ社製の枕についてのみ本願商標を使用する予定であり,また,
本願商標の商標登録がされたとしても,原告はファベ社製の枕を輸入する業者に対
しては権利行使をせず,又は真正商品の並行輸入若しくは権利行使をしない旨を宣
言したことによる包袋禁反言により原告がそれら業者に権利行使をすることはでき
ない。
したがって,本願商標が商標登録されたとしても,出所の混同を生じさせるおそ
れはなく,また,原告には不当な目的もない。
第4被告の反論
1取消事由1(引用商標の周知性の認定の誤り)に対して
(1)引用商標の周知性について
枕が,眠りの質,ひいては健康に及ぼす影響が注目されている近年においては(乙
16),消費者の枕への関心も高い実情にあるところ,市場の拡大が進む(乙14)
インターネット通販サイトにおける下記[11][18]~[24]のウェブサイトの記載及び
上記[1]~[3](乙6~8)によれば,引用商標を多数の需要者が目にしたというべ
きである。また,引用商標に係る商品は,下記[25]~[29]のウェブサイトの記載の
とおり,インターネット通販大手といえる(乙15)「楽天」や「Yahoo!シ
ョッピング」をはじめ,インターネット通販業者による売上げや人気等のランキン
グにおいて,売上げ及び人気において,高順位にあったことが認められる。
したがって,引用商標は,ファベ社の枕を表示するものとして,本願商標の登録
出願時には少なくとも通販サイト等における枕の需要者の間に広く認識されていた
ものであり,その状態は,審決時においても継続している。
[11]「楽天市場」における株式会社ヌーンのウェブサイトにおいて,「楽天ランキング急
上昇!/オススメ度★★★★★/オルトペディコ枕のグレードアップ版/fabe社/オルト
リリー枕」「=オルトリリー【Ortolily】/売れ筋NO.1枕に高性能ウレタンを+プ
ラスし進化したオルトペディコ枕。」との記載(http://web.archive.org/web/20101019062227
/http://item.rakuten.co.jp/noone/ortolily/平成22年10月19日掲載〔乙1〕)。
[18]「Yahoo!ショッピング」における「こだわり安眠館」のウェブサイトにおいて,
「イタリアファベ社製/オルトリリーピロー」「更に環境に優しいエコテックス100取得!/
Ortolilyオルトリリーピロー」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/futon
/m133-17.html「販売期間:2010年06月18日00時00分~2013年07月31日
23時59分」〔乙2〕)。
[19]「楽天市場」における「Gulliver」のウェブサイトにおいて,「低反発ウレ
タンフォームを使用したオルトリリーは,ファベの中でもダントツの売れ行き!」との記載(h
ttp://web.archive.org/web/20120106130216/http://item.rakuten.co.jp/glv/fab-0001-000/
平成24年1月6日掲載〔乙3〕)。
[20]「オルトペディコ枕(寝具,布団通販)」のウェブサイトにおいて,「ヤフーショ
ッピングの人気売れ筋商品紹介。」「ファベ社(fabe社)オルトペディコ枕を超えた進化
系ピローオルトリリー整体枕メディカル枕との違いを掲載」「ファベ社の枕の中でも圧倒
的評価を受けたオルトリリー枕・・・・・ファベ社の枕で迷ったらこの枕がおすすめです!」との記
載(http://nays.chu.jp/nay2/a17/b127.html平成24年7月22日掲載〔乙4〕)。
[21]「ネットプライス」のウェブサイトにおいて,「累計販売個数4297個」「イタリ
ア製ファベ社/オルトリリー枕」「前回2,800個完売!/リクエスト嵐,あのオルトリリー
枕が満を持して再入荷!!」との記載(http://web.archive.org/web/20120116134209/http://
www.netprice.co.jp/netprice/library/goods/551265/平成24年1月16日掲載〔乙5〕)。
[22]「生活空間」のウェブサイトにおいて,「売れ筋商品」「イタリアファベ社製オ
ルトリリー枕」との記載(http://studio-nostalgic-shop.blogspot.jp/2009/07/blog-post_11
88.html平成21年7月14日掲載〔乙9〕)
[23]「Hatena::Diary」のウェブサイトにおいて,「通販人気アイテム!」
「ファベ社オルトリリー枕」との記載(http://d.hatena.ne.jp/gohohbi/20100607平成22
年6月7日掲載〔乙10〕)。
[24]「イタリアファベ社製オルトリリー枕格安通販」のウェブサイトにおいて,「イ
タリアファベ社製オルトリリー枕」「売れ筋NO.1枕!」との記載(http://kaimin.kai
teki-seikatu.com/altlly.html平成25年6月13日印刷〔乙11〕)。
[25]「楽天市場」のウェブサイトにおいて,「ファベ社ファベ社Newバージョンオ
ルトリリー枕(オルトペディコの進化系)」「売上ランキング2位」との記載(http://web.ar
chive.org/web/20110816215429/http://product.rakuten.co.jp/product/ファベ社+ファベ社
+Newバージョン+オルトリリー枕+(オルトペディコ枕の進化系)/[以下省略]平成23年
8月16日掲載〔乙17〕)。
[26]「寝具専門shop☆エルシング☆」のウェブサイトにおいて,「★2010年人気ラン
キング★」「【第2位】/イタリアファベ社製オルトリリー枕」との記載(http://elsing
u.iinaa.net/mobile/index.html平成25年6月13日印刷〔乙18〕)
[27]「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて,「売れ筋商品ランキング」
「枕」「100位中1~20位」「7位・・・・・ファベ社オルトリリーイタリア製・・・・・」と
の記載(http://shopping.yahoo.co.jp/ranking/3683/平成25年6月16日掲載〔乙19〕)。
[28]「い~つうはんネット」のウェブサイトにおいて,「売れてるランキング」「生活雑
貨・家電・おもちゃ人気商品」「3位イタリアファベ社製オルトリリー枕」との記載(h
ttp://web.archive.org/web/20091022015907/http://e-twohan.net/平成21年10月22
日掲載〔乙20〕)。
[29]「ダイエット器具専門店エアロダイエット2」のウェブサイトにおいて,「低反発
枕関連商品」「順位」「8」「イタリアファベ社製オルトリリー枕」との記載(http://ww
w.kankai.net/dietgire/tagx/低反発枕&sort=sales平成25年6月19日印刷〔乙21〕)。
(2)周知性の寄与者に対して
仮に引用商標が原告及び原告と何らかの関係にある者がインターネット上の各ウ
ェブサイトに掲載したことによりその周知性を獲得したものであるとしても,引用
商標がファベ社の業務に係る枕を表示するものとして需要者の間に広く認識された
商標であることに変わりはない。
(3)周知性の対象者に対して
上記(1)のウェブサイトにおけるファベ社製枕の宣伝広告における引用商標の利
用は,当該商品がファベ社製であることを明示してされているものであるほか,当
該商品のタグには当該商品がファベ社製のものである旨の記載がある(乙12)。
したがって,需要者は,引用商標をファベ社の業務に係る商品を表示する商標であ
ると認識する。
2取消事由2(誤認混同のおそれの有無)に対して
商標法4条1項10号は,他人の未登録周知商標と抵触した商標を登録しない旨
を定めて出所の混同防止を目的とするものであり,真正商品の並行輸入についての
商標権侵害の有無及び真正商品取扱者に対する権利行使の可否とは全く別の問題で
あって,同列に論ずることはできない。
第5当裁判所の判断
1取消事由1(引用商標の周知性の認定の誤り)について
(1)周知性に係る認定事実
アファベ社及び『ortolily』枕について
証拠(甲22,23)及び弁論の全趣旨によれば,ファベ社は、1980年代か
ら,イタリア国において、枕や寝具類の製造販売事業を開始し、その製造する一製
品の枕に引用商標1を使用していることが認められる。
イ本願商標の出願日前の各ウェブサイトの記載について
証拠(乙1,6~10,12,20,24~30)及び弁論の全趣旨によれば,
本願商標の出願日前に掲載されたと認められるインターネット上の各ウェブサイト
には,引用商標2について,少なくとも項番号[1]~[12][22][23][28]のとおりの記
載(前記第2,2(1),第4,1(1)参照)があったことが認められる。
ウ本願商標の出願日後の各ウェブサイトの記載について
証拠(乙2~5,11,17~19,21)及び弁論の全趣旨によれば,本願商
標の出願日後に掲載されたと認められるインターネット上の各ウェブサイトには,
引用商標2について,少なくとも項番号[18]~[21][24]~[27][29]のとおりの記載
(前記第4,1(1)参照)があったことが認められる。
(2)引用商標の周知性について
ア本願商標出願日前の周知性につき
上記(1)ア,イによれば,①引用商標2を付して電磁的方法により広告が提供され
ていたファベ社製の枕は,本願商標出願日前から,相当数のウェブサイトで高い人
気を得た売れ筋商品として取り上げられていたことが認められ,これによれば,引
用商標2は,これらウェブサイトを通じて多数の需要者の目に触れられたものと推
認され,また,②引用商標1を付された同枕は(乙1,2),原告以外の大手通販
業者内で販売される寝具類の中での販売ランキングで上位を占め多数の者がこれを
購入したものと認められ,これによれば,引用商標1は直接多数の需要者の目に触
れられたものと推認される。したがって,引用商標は,遅くとも本願商標出願日ま
でにはファベ社製の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広
く認識されていた商標であると認めるのが相当である。
イ本願商標出願日後の周知性につき
ひとたび周知性を得た商標は,短期間のうちにその周知性を喪失することはない
のが通常であるところ,上記(1)ウのとおり,引用商標を付されたファベ社製の枕は,
本願商標出願日後も相当数のウェブサイトで高い人気を得た売れ筋商品として取り
上げられ続け,また,大手通販業者内で販売される寝具類の中での販売ランキング
でも上位を占めている。したがって,引用商標は,現在においてもファベ社製の業
務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているもの
と認められる。
(3)原告の主張に対して
ア周知性の認定資料の点について
原告は,インターネットの各ウェブサイトに引用商標が掲載されたからといって,
直ちに引用商標が周知になるものではない旨を主張する。
多数の小規模事業者の参入離脱が頻発するインターネット販売における宣伝広告
には,同一人の手による多数の重複した宣伝広告や不正確で誇張等を含む表現が伴
うこともないではなく,その分量,内容の評価には慎重な態度で臨むべきとはいえ
る。しかしながら,上記(1)イ,ウに認定の各ウェブサイトは,少なくとも原告とは
別の業者によるものであり(甲13,17),また,その内容にとりたてて不自然
な点があるものではないところ,特にその内容について疑念をいだかせる事情につ
いての具体的主張立証はないのであって,原告の上記主張は理由がない。
なお,原告は,イタリア語で記載されたファベ社のウェブページを周知性の根拠
とはできない旨を主張するが,審決は,同ウェブページの記載からファベ社が引用
商標1を使用し始めた時期を認定したに過ぎず,同ウェブページの記載を日本国内
における引用商標1の周知性の根拠にしたものではない。原告のこの主張は審決を
正解しないものである。
イ周知性の寄与者の点について
原告は,仮に引用商標に周知性があるとしても,各ウェブサイトの記載は原告又
はその関係者に起因するものであり,周知性を得たのは原告の寄与によるものであ
ってファベ社の寄与によるものではないと解される主張をする。
しかしながら,周知性とは,結果として需要者の間に広く認識されていることを
いい,広く認識されたことが何に起因するかが引用商標の周知性の認定に影響を与
えるものではない。
原告の上記主張は理由がない。
ウ周知性の対象者の点について
原告は,引用商標を使用していると認識されるのは,商品の製造者であるファベ
社ではなく,原告又は原告の関係者等の国内販売業者である旨を主張する。
しかしながら,前記1(1)イに説示の項番号[1]~[12][22][23][28]の各ウェブサ
イトは,いずれも,引用商標2を「ファベ社」製の枕の商標又は商品名と明示して
いるのであり,そして,実際に同枕を購入した者も,これに付されたタグ,ラベル
などにより同枕がファベ社製であることを容易に認識できるものと認められる(乙
1,12)。
したがって,需要者は,引用商標をファベ社の業務に係る商品を表示する商標で
あると認識するのであり,原告又は原告の関係者等の業務に係る商品を表示する商
標と認識するものとは認められない。
原告の上記主張は理由がない。
(4)小括
以上から,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(誤認混同のおそれの有無)について
原告は,真正商品にのみ本願商標を使用すれば出所の誤認混同を生じない旨を主
張するが,当該真正商品を扱う複数の者がその商品についての同一又は類似の商標
を自己の商標として使用すれば,特段の取引事情のない限り,誤認混同を生じるお
それが生じ,商標の出所識別機能が害されることは明らかであるところ,そのよう
な特段の取引事情のあることについての主張立証はない。
また,原告は,本願商標が商標登録されても真正商品の並行輸入ができる旨を主
張するが,真正商品の並行輸入の可否は,当該商標が非登録事由が認められないと
して登録された後における商標権の効力の問題であり,非登録事由の存否について
の審査において考慮すべきことではない。
さらに,原告は,真正商品を取り扱っている業者に対しては権利行使をしない旨
を明らかにすれば商標法4条1項10号の非登録事由が回避されると解される主張
をするが,独自の見解であって採用することはできない。引用商標1と引用商標2
とを二段に併記して成る商標の登録出願をしたファベ社と本願商標を登録出願した
原告との間では,現に深刻な紛争が生じている(甲19~21)。
以上から,取消事由2は理由がない。
第6結論
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
塩月秀平
裁判官
中村恭
裁判官
中武由紀

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今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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