弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被上告人(請求者)の請求を棄却する。
     本件手続費用及び上告費用は被上告人(請求者)の負担とする。
         理    由
 上告人の論旨第二点について。
 原判決の確定した本件拘束の事実関係の要旨は、被拘束者は昭和三〇年四月二五
日入国警備官により、同年三月一五日附を以て東京入国管理事務所主任審査官がD
及び被拘束者の両名に対する裁決に基いて発布したDに対する外国人退去強制令書
と同一用紙に被拘束者の氏名、性別、生年月日、続柄等を記載し右Dの随伴者とし
て同人と共に退去強制を受くべき者であることを表示した外国人退去強制令書の執
行を受けて東京入国管理事務所に収容され、引続き本国送還の配船準備を待つため
大村入国者収容所に護送されて同所にDと共に収容拘束されて居る、というのであ
るが、原審判示の「被拘束者が不法入国による退去強制処分の確定した朝鮮女性D
を母としてその不法入国後昭和二六年九月二二日本邦に於て出生した女児であるこ
と」その他の事実関係の下においては、本件は、人身保護規則四条にいう、拘束の
権限なしになされていることが顕著である場合に当らないと認めるのが相当である。
(昭和二八年(ク)五五号同二九年四月二六日大法廷決定参照)。されば、本件退
去強制令書が無効である旨判断して被拘束者の釈放を命じた原判決は、結局同条の
解釈を誤つたものと謂わねばならないのであつて、この点において上告は理由があ
り、原判決は破棄を免れない。
 よつて、其の余の論旨については判断を省略し、かつ本件は当裁判所において自
判するに熟するから、民訴四〇八条、人身保護法一六条一項、一七条、民訴九五条、
八九条に則り、主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官藤田八郎、同池田克の意見を除くその余の裁判官全員一致の意
見によるものである。
 裁判官藤田八郎、同池田克の意見は次のとおりである。
 原判決摘示の事実によれば、本件請求は人身保護規則四条の要件をそなえている
ものと認められるところであるから、その主張の当否について判断しなければなら
ないのであつて(その理由の詳細については、昭和三〇年(オ)第八一号同年九月
二八日大法廷判決の少数意見としての記載を此処に引用する)、多数意見のように、
本件をもつて右四条にいう拘束の権限なしになされていることが顕著である場合に
当らないとすることは正当でない。
 ところで、原判決が被拘束者Bに対する拘束が違法であると判断した理由の要旨
は、出入国管理令五一条所定の退去強制令書には退去強制の理由を記載すべきこと
を定めており、その記載は重要な要件であるところ、本件の右令書には、被拘束者
Bに対する退去強制理由の記載を遺脱しているから、右は出入国管理令五一条の定
める方式に著しく違反した無効のものであり、Bの拘束は違法であるというのであ
るが、本件につき原判決の確定した事実によれば、被拘束者Bは被拘束者Dの子で
満三才の幼児であるため、これらの幼児の違反処理に関する法務大臣の通達に基き、
同児に対する審理手続は一貫してDの随伴者として処理せられ、本件退去強制令書
にも随伴者として氏名、性別、生年月日が記載されていることが認められるところ
である。そして退去強制令書は、審理の結果退去を相当とする場合にその強制執行
をするにつき発行されるものであるところ、随伴者として取り扱われたBについて
は、令書発行の前提手続である出入国警備官の違反調書並びに法務大臣の裁決書に
出入国管理令二四条七号に該当するものであることが明らかにされているのである
から、本件退去強制令書には、直接執行を受くべきDに対する退去強制理由を記載
するほか、Bにつき前記のように随伴者として氏名、性別、生年月日を記載するを
以て足ると解するのが相当である。
 されば、本件令書が無効であるとして被拘束者Bの釈放を命じた原判決は、法令
の解釈を誤つた違法があり、本件上告理由第一点は、その理由があるものといわな
ければならない。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    池   田       克

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