弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄し、本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人堀部進、同松永辰男の上告理由について。
 原審は、上告人の所有にかかる名古屋市a区b町c番地の一境内地五五九坪三合
八勺のうち四〇〇坪ほか二筆の土地の仮換地である本件土地上に被上告人らが建物
を所有することにより、それぞれ本件土地を権原なく占有しているものとして、上
告人が右仮換地に対する使用収益権に基づき右建物の収去による本件土地の明渡を
求めたのに対し、被上告人らの抗弁を採用して、被上告人らは、昭和二一年頃、そ
れぞれ上告人との間で直接右土地について賃貸借契約を締結するか、または、その
ころ訴外Dが上告人に対して有していた右土地の賃借権を上告人の承認のもとに譲
り受けるなどして適法な賃借権を取得したものと認定し、被上告人らの占有権原を
認めて、上告人の請求を排斥している。
 しかし、原審が被上告人らまたは訴外Dにおいて右賃借権を取得したと認定した
当時施行されていた旧宗教法人令(昭和二〇年勅令七一九号)一一条には、宗教法
人たる寺院が不動産を処分するについては総代の同意を要する旨、当該寺院が宗派
に属するものであるときはさらに宗派の主管者の承認を受けることを要する旨、右
の総代の同意または宗派の主管者の承認を受けないでした行為は無効とする旨を定
めていたのであつて、建物所有を目的とし、民法六〇二条所定の存続期間をこえる
土地の賃貸借契約は、右にいう不動産の処分にあたるものと解される(最高裁判所
昭和三六年(オ)第一八六号、同三七年七月二〇日第二小法廷判決、民集一六巻八
号一六三二頁参照)ところ、原審は、被上告人らに関する土地賃貸借契約(原審が
右賃貸借について民法六〇二条所定の存続期間をこえない期間の定めがあつたこと
を認定したものではないことは、その判文に照らして明らかである。)を認定する
にあたり、上告人(正確には宗教法人法施行前における旧法人たるA)の総代の一
人であるDが、当時住職として主管者の地位にあつた亡Eおよび総代の一人である
Fの長男Gらと相談して、本件土地を利用しその収益によつてAの維持を図ろうと
し、Dにおいて土地上に建物を建築し、これに多数の者を入居させてAに地代を得
させる方針であつたところ、Dは、建築資金に窮し、結局、被上告人らに右建物を
売却し、被上告人らにおいて右建物を所有しその敷地の貸借人となつたとの事実を
確定したにすぎず、総代でないGに本件土地を右のような目的に利用するについて
同意を与える権限があつた点については格別の判示がないのみならず、原審の確定
した事実関係のみをもつてしては、いまだ旧法人たるAの主管者であつたEが被上
告人らまたは訴外Dとの間で原判示の賃貸借契約を締結するについて同令一一条所
定の総代の同意があつたものと認めることはできない。
 してみれば、旧法人たるAと被上告人らないし訴外Dとの間に締結された土地賃
貸借契約は同令一一条に照らして無効と解すべきであるのにかかわらず、これが有
効であることを前提にして被上告人らの本件土地の占有権原を認めた原判決は、法
令の解釈適用を誤り、ひいて理由不備の違法をおかしたものといわざるを得ないか
ら、諭旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
 もつとも、原審の認定した事実関係に徴すれば、上告人は、昭和三六年六月頃ま
では被上告人らから本件土地の地代を異議なく受領していたというのであるから、
宗教法人法(昭和二六年法律第一二六号)の施行後、上告人と被上告人らとの間に
新たな本件土地の使用に関する合意が成立したかどうかについてはさらに審理する
余地がないとはいえず、被上告人らの主張にはそのような趣旨が窺われないではな
い。ただ、本件において上告人所有の土地については仮換地の指定があり、上告人
は被上告人らが現に仮換地上に建物を所有しこれを占有していることを理由に建物
の収去、仮換地の明渡を求めるものであること前示のとおりであるが、原審は、右
仮換地の指定があつた日時、被上告人らが仮換地上に施行者からかりに使用収益し
うる部分の指定を受けたものかどうかについては確定していない。しかし、かりに
被上告人らが従前の土地について賃貸借契約に基づく占有権原を有していたとして
も、被上告人らに対して使用収益部分の指定がなければ被上告人らは本件土地を使
用収益する権原を有しないことになる余地があるから、右の審理にあたつては、な
お被上告人らの占有権原について釈明をし、この点に関する事実関係をもあわせて
審理すべきである。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、本件を原審に差し戻すべきものとし、裁判官全
員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛