弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成12年(行ケ)第289号 審決取消請求事件(平成13年3月7日口頭弁論
終結)
          判         決
       原      告   【A】
       被      告   特許庁長官 【B】
       指定代理人      【C】
       同          【D】
       同          【E】
同          【F】
          主         文
     原告の請求を棄却する。
     訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   特許庁が平成9年審判第4578号事件について平成12年6月26日にし
た審決を取り消す。
   訴訟費用は被告の負担とする。
 2 被告
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は、追加の特許出願である特願昭57-175141号出願を、昭和6
3年6月6日に独立の特許出願に変更して、名称を「水上エレベーター装置」とす
る発明(以下「本願発明」という。)につき特許出願をした(特願昭63-138
632号、以下「本件出願」という。)が、平成9年2月4日に拒絶査定を受けた
ので、同年3月26日、これに対する不服の審判の請求をした。
   特許庁は、同請求を平成9年審判第4578号事件として審理した上、平成
12年6月26日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄
本は同年7月14日、原告に送達された。
 2 平成10年11月30日付け手続補正書による補正後の明細書(以下「本件
明細書」という。)に記載された特許請求の範囲
   滑車E1に掛けられた索E2の一方の端に重錘Wを取付け、他方の端にシリ
ンダーF、ピストン部Pおよびリンク機構Aからなる物体Vを取付ける。
   シリンダーFの内部中間に隔壁F4を設け、隔壁F4を挟んでシリンダーF
内を上下にスライド運動するピストンP8とピストンP9を設ける。ピストンP8
とピストンP9は所定の間隔を置いて連結棒P7に固定する。シリンダーFに隔壁
F4とピストンP9との間に気密室F1を形成するための大気が出入りするシリン
ダー開口部F32を設け、シリンダー開口部F32と大気とが管路によって繋が
り、管路に大気の出入を制御する空気制御器F30、F31を設ける。ピストンP
9の下部にダイヤフラムを介してピストンP10を設ける。ピストンP9と隔壁F
4は伸縮自在な管P6によって繋げる。
   連結棒P7はピストンP8より上方に伸して、連結棒P7の上端に上部シリ
ンダーP1を設け、上部シリンダーP1内を上下運動するピストンP20を設け
る。ピストンP20のロッドの上端にピストンP20を上部シリンダーP1の上死
点および下死点に移動させるリンク機構Aを設ける。連結棒P7は連結棒中空部P
4を有し、ピストンP9の取付部にピストン軸開口部P15が設けられていて、隔
壁F4とピストンP9の間にできる空気室F1とピストンP20の上部シリンダー
室P1とが連通している。
   シリンダーFの上下運動の上死点および下死点には各々シリンダーFを一時
的に保持するシリンダー係脱装置D2、D3が設けられている。また重錘Wの上死
点には重錘Wを一時的に保持する重錘係脱装置D1を設ける。
   物体VのシリンダーFとピストン部Pを水中に置いて、ピストンP9がシリ
ンダーF内を上下運動することで、物体Vの気密室F1に空気を出入させて、物体
Vに浮力を発生させたり無くしたりして、物体Vの重量を変化させて、物体Vと重
錘Wとのバランスで物体Vと重錘Wとが交互に上下運動するようにした水上エレベ
ーター装置。
 3 審決の理由
   審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、①特許出願の変更による出願日の
遡及は、本件明細書が、原出願である特願昭57-175141号出願の出願当初
の明細書及び図面に記載した事項の範囲外の事項を含むものであるから認めない、
②本件明細書及び図面の記載上、本願発明が実現できる構成が不明であるから、本
件出願は、特許法36条3項及び4項(注、「平成2年法律第30号による改正前
の特許法36条3項及び4項」の趣旨と解される。)に規定する要件を満たしてい
ないとした。
第3 原告主張の審決取消事由
 1 審決は、本件明細書及び図面に記載された技術事項を誤認して(取消事
由)、本件明細書及び図面の記載上、本願発明が実現できる構成が不明であると誤
って判断したものであるから、違法として取り消されるべきである。
 2 取消事由(技術事項の誤認)
  (1) 審決は、願書に添付された図面の「第3図から第4図に移る過程が、外部
エネルギーの供給無しに実現し得るものであるか」(審決謄本2頁13行目~14
行目)、すなわち、ピストンPがシリンダーFに対して下降するかどうかを、「便
宜上、本願明細書(注、本件明細書)及び図面に記載された水上エレベーター装置
の実施例において採用されている各部の寸法及び重量を用いるものとし、物体
〔V〕の周囲、上部シリンダー室F2内、伸縮自在な管P6内及びダイヤフラム水
室P11内の液体は同じ比重の水とするとともにその水中における各部材自体の占
める容積、浮力或いは抵抗等は無視するものとする」(同2頁15行目~19行
目)との前提の下に、「第3図の状態(ピストンPがシリンダーFに対して上死点
にある。)から、ピストンPがシリンダーFに対して1mだけ下降した過程」(同
2頁20行目~21行目)において検討したものである。
    そして、審決は、「ピストンPがシリンダーFに対して下降することは不
可能である。すなわち、上記経過を辿るためには、・・・大気から気密室F1内に
加圧された空気を送り込むための外部エネルギーを必要とする。・・・外部エネル
ギー無くしては第3図の状態から第4図のような状態は実現できず」(同3頁17
行目~27行目)と認定判断したが、以下のとおり、上記認定判断は誤りである。
  (2) 本願発明のシリンダ構造は、ピストンP9の下面に上方向の圧力を受ける
と、ピストンP9は上に動き、気密室F1を上方に閉じるものであるが、ピストン
P9の上面に下方向の圧力を受けると、ピストンP9が下に動き、気密室F1を下
方に開くようになっている。
    審決は、「ピストンP9の下面に作用する水圧について検討する。固定板
P10は、ダイヤフラムとピストンP9と共にダイヤフラム水室P11を構成して
おり自由に上方に動くことができるので、上記固定板P10の下面に作用する水圧
22ton/㎡は、上記固定板P10を介してダイヤフラム水室P11内の水にも作用
するものであり、ピストンP9の下面には21ton/㎡の水圧が作用することにな
る。(伸縮自在な管P6の底面積を無視するならば、ピストンP9の下面に21
tonの上向き荷重が作用することを意味する。)」(同2頁35行目~3頁4行
目)、「気密室F1内の空気の影響について検討する。気密室F1内の空気は、ピ
ストンP9の上面にその気圧に対応する下向き荷重を与える。ここで、今までの検
討では、大気圧の影響を無視して検討しているから、気密室F1内の空気による下
向き荷重は0である。(大気圧を考慮した場合、ピストンP9の下面には、1気圧
に対応する10ton/㎡の大気圧を加えた31ton/㎡の圧力、すなわち、31tonの上
向き荷重が作用し、ピストンP9の上面には、1気圧に対応する10ton/㎡の大気
圧、すなわち、10tonの下向き荷重が作用していると言える。)」(同3頁5行目
~12行目)、「ピストンPの自重が3.5tonであり、ピストンP8に作用する上
向き及び下向き荷重は相殺されるから、結局、ピストンPに作用する下向き荷重は
ピストンPの自重(3.5ton)+気密室F1内の空気による下向き荷重(0ton)
であり、上向き荷重は、ピストンP9の下面に作用する上向き荷重(21ton)であ
る。」(同3頁13行目~17行目)として、上記「ピストンPがシリンダーFに
対して下降することは不可能である」との判断に至ったものである。
    しかしながら、水面から18メートルの位置にあるピストンP8の上面に
も18ton/㎡の圧力が加わっており、その圧力はピストン軸を介してピストンP9
にも作用している。したがって、審決のように、ピストンP9の下面に21ton/㎡
の水圧が加わり、21トンの上向き荷重が作用すると考えるのであれば、ピストン
P9に作用するこの18トンの下向き荷重も考慮しなければならないのに、審決は
これを考慮してない。
    すなわち、審決は、ピストンP8に作用する上向き及び下向き荷重は相殺
され、ともに0となるとしておきながら、ピストンP9に作用する上向き荷重を検
討する際に、いったんは0としたピストンP8の下面に加わる水圧18ton/㎡を計
算に入れて21トンと算出した点に誤りがある。
    例えば、水1m3
は水中でも1トンの重さで押し合っているように、圧力と
は水の重さであって、本願発明は、ピストンP9の下面に受ける圧力を上面に受け
る圧力と釣り合わせ、その上にピストン部の自重3.5トンが加わるのであり、ピ
ストンP9と固定板P10とによって構成されたダイヤフラム水室P11が伸縮自
在であるから、水室F2内の水はピストンの自重により圧力を受けて、管P6を通
ってダイヤフラム水室P11を膨張させ、ピストンP9は下降して気密室F1に空
気が入るものである。
    また、気密室F1の開閉弁が開いて大気と連通した際には、大気圧である
1気圧に、水面からピストンP9の上面までの空気の重さが加わるものであり、大
気圧の1気圧は、水を介してピストンP8の上面にもかかり、同じくピストンP9
の下面にもかかる。このように、大気圧はどこにおいてもかかっているで、審決
が、気密室ではこれが0トンであるとしたことは誤りである。
第4 被告の反論
 1 審決の認定及び判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
 2 取消事由(技術事項の誤認)について
   水中にある物体は水深に応じた水圧を受けること、その物体がその水圧に耐
えることができる程度の剛体でない場合には、受けた水圧をその内部にそのまま伝
達してバランスするから、物体の内部が水であるとすれば、その水にも水深に応じ
た水圧が生ずることは、水力学上の技術常識である。
   この技術常識に従って検討すると、本願発明において、ダイヤフラム及びピ
ストンP9とともにダイヤフラム水室P11を構成している固定板P10が、自由
に上方に動くことができ、かつ、ダイヤフラム水室P11内は伸縮自在な管P6を
介して上部シリンダー室F2と連絡しているから、上部シリンダー室F2を構成す
るピストンP8には、その上面及び下面にそれぞれ水深に応じた水圧18ton/㎡が
作用するものである。
   他方、上記ダイヤフラム水室P11を構成するピストンP9の下面にも水深
に応じた水圧21ton/㎡が作用するが、その上面には水が存在しないから水圧は作
用しない。
   そうすると、第3図の状態(ピストンPがシリンダーFに対して上死点に位
置する状態)でピストンP9が下降するためには、気密室F1内に加圧空気を送り
込んでピストンP9を加圧し、ピストンP9の下面に作用する水圧とバランスさせ
ること、すなわち、加圧空気を気密室F1内に送り込むための外部エネルギーが必
要である。
   したがって、これと同旨の審決の認定判断に誤りはない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由(技術事項の誤認)について
  (1) 本件明細書(甲第4、第8号証)記載の実施例につき審決がした検討にお
いて、ピストンP9が水深21mの位置にあるとすれば、ピストンP9の下面に水
深に応じた21ton/㎡の水圧がかかり、したがって、上下面の面積が1㎡のピスト
ンP9(同実施例において、シリンダーFの外筒の底面積は1㎡である(甲第8号
証10頁7行目~8行目)から、ピストンP9、同P8の各上下面の面積も1㎡と
してよいものと認められる。)には上向き荷重21トン(厳密には、後記のとお
り、これに大気圧に由来する上向き荷重が加わる。)が作用するのに対し、ピスト
ンP9に作用する下向き荷重はピストンPの自重3.5トン(厳密には、後記のと
おり、上記大気圧に由来する上向き荷重と等しいと考えてよい大気圧に由来する下
向き荷重が加わる。)のみであるから、ピストンP9(ピストンP)がシリンダー
Fに対し下降することは不可能であり、これと同旨の審決の認定判断に誤りはな
い。
  (2) 原告は、まず、審決が、ピストンP9の下面に21ton/㎡の水圧が加わ
り、21トンの上向き荷重が作用すると考えるのであれば、ピストンP8の上面に
かかり、ピストン軸を介してピストンP9に作用する18トンの下向き荷重を考慮
しなければならないのに、これを考慮していないことは誤りであると主張する。
    しかしながら、水中にある物体は水深に応じた水圧を受けること、その物
体がダイヤフラム水室のように水圧を受けて自由に変形するものである場合には、
受けた水圧をその内部にそのまま伝達してバランスし、物体の内部が水であるとす
れば、その水にも水深に応じた水圧が生ずることは、被告主張のとおり、水力学上
の技術常識というべきである。そして、本願発明の実施例において、ピストンP8
及び隔壁F4等で構成される水室F2は、伸縮自在な管P6を介してピストンP9
の下に設けられたダイヤフラム水室P11に連通しており、水室F2、ダイヤフラ
ム水室P11及び管P6の内部は、全体として閉じた水室を構成しているが、ダイ
ヤフラム水室P11は、これを構成するピストン(固定板)P10が自由に上方に
動くことができるから、外側で受けた水圧を水室内部に伝達し、当該閉じた水室
(水室F2、ダイヤフラム水室P11及び管P6)内の水にも、水深に応じた水圧
が生ずるものと認められる。そうすると、ピストンP8が水深18mの位置にある
とすれば、その上面に18ton/㎡の水圧がかかり、上下面の面積が1㎡のピストン
P8には下向き荷重18トン(厳密には、これに大気圧に由来する下向き荷重が加
わる。)が作用するが、その下面にも18ton/㎡の水圧がかかり、ピストンP8に
は上向き荷重18トン(厳密には、上記大気圧に由来する下向き荷重と等しい大気
圧に由来する上向き荷重が加わる。)が作用することになるから、結局、これらの
ピストンP8に作用する上向き及び下向きの各荷重は相殺されることになる。
    審決が、ピストンP9の下面に作用する水圧について検討する直前にした
「ピストンP8の上面に作用する水圧」及び「ピストンP8の下面に作用する水
圧」についての検討(審決謄本2頁23行目~34行目)が、上記の趣旨をいうも
のであることは明白であり、審決が、ピストンP9の下面に21ton/㎡の水圧が加
わり、21トンの上向き荷重が作用すると判断した際、ピストンP8の上面にかか
る18トンの下向き荷重を考慮しなかったことに原告主張の誤りはない。
    なお、原告は、審決が、ピストンP8に作用する上向き及び下向きの荷重
が相殺され、ともに0となるとしておきながら、ピストンP9に作用する上向き荷
重を検討する際に、いったんは0としたピストンP8の下面に加わる水圧18
ton/㎡を計算に入れて21トンと算出した点に誤りがあるとも主張するが、上記の
とおり、ピストンP8に作用する上向き及び下向きの荷重が相殺されるのは、ピス
トンP8に作用する圧力バランスの結果であって、その上下面にそれぞれ作用する
圧力がともに0になるということではない。そして、ピストンP9に作用する上向
き荷重を検討するに当たって、ピストンP8の上下面にかかる水圧とは別に、ピス
トンP9の水深に応じて21ton/㎡の水圧がピストンP9の下面にかかるものとす
ることに誤りはない。
  (3) 原告は、次に、本願発明が、ピストンP9の下面に受ける圧力を上面に受
ける圧力と釣り合わせ、その上にピストン部の自重3.5トンが加わるのであり、
水室F2内の水がピストンの自重により圧力を受けて、管P6を通ってダイヤフラ
ム水室P11を膨張させ、ピストンP9が下降して気密室F1に空気が入ると主張
する。
    しかしながら、本願発明においては、ピストンP9の上面とシリンダーF
の隔壁F4の下面との間に気密室F1が設けられており、本件明細書(甲第8号
証)には、第3図の状態(シリンダーFがストローク下死点にあって、ピストン部
PがシリンダーFに対して上死点にある状態)において、開閉弁F16の弁頭側が
荷台K4面に当たって下部空気制御器F31が開放され、気密室F1の開口部F3
2から、連通管F14、上部空気制御器F30、連通管F12、下部空気制御器F
31、連通管F13、連通管F17を経て大気中の空気取入口F18に至る経路が
開かれることが記載されている(12頁16行目~21行目)から、気密室F1内
の気圧は、大気圧に等しいものと考えることができる。そうすると、ピストンP9
に作用する下向き荷重は、ピストンPの自重3.5トンと、上記大気圧に等しいと
考えてよい気圧がピストンP9の上面にかかることによる荷重との合計であるのに
対し、ピストンP9の下面には、上記21ton/㎡の水圧と大気に開放された水面に
かかる大気圧との和がかかり、ピストンP9にはそれらによる上向き荷重が作用す
るところ、下向き荷重のうち大気圧に等しいと考えてよい気圧がピストンP9の上
面にかかることによる分と、上向き荷重のうち大気圧がピストンP9の下面にかか
ることによる分とは相殺されることになるので、結局、ピストンP9には3.5ト
ンの下向き荷重と21トンの上向き荷重とが作用し、下向き荷重より上向き荷重の
方が大きいから、ピストンP9が下降することは不可能というべきである。
    原告の主張は、要するに、大気と連通する気密室に面したピストンP9の
上面が受ける圧力が、水深21mの水中に面したその下面が受ける圧力と釣り合う
とする点において誤りがある。
  (4) 原告は、さらに、気密室F1が大気と連通した際には、大気圧である1気
圧に、水面からピストンP9の上面までの空気の重さが加わるものであり、また、
大気圧はどこにおいてもかかっているで、審決が、気密室ではこれが0トンである
としたことは誤りであると主張する。
    しかしながら、空気は水と異なり、その密度が極めて小さいので、20メ
ートル前後の高度の違いがあっても、それによる気圧の変化はほとんどないと考え
てよいことは技術常識である。したがって、気密室F1が大気と連通した際に、大
気圧である1気圧に、水面からピストンP9の上面までの空気の重さが加わるとの
原告の主張は意味がなく、気密室F1内の気圧は、上記のとおり、大気圧に等しい
と考えてよいものである。
    また、大気圧が、気密室F1を含め、どこにおいてもかかっていることは
原告主張のとおりである。そこで、気密室F1が大気と連通した際には、上記のと
おり、大気圧(大気圧に等しいと考えてよい気圧)がピストンP9の上面にかか
り、他方、ピストンP9の下面には、大気に開放された水面に作用する大気圧がか
かることになるが、この両者の圧力が等しく、相殺し合うことも明らかである。そ
して、審決が、「今までの検討では、大気圧の影響を無視して検討しているから、
気密室F1内の空気による下向き荷重は0である」(審決謄本3頁6行目~8行
目)としたのが、上記のとおり、ピストンP9の上面と下面にそれぞれかかる大気
圧が相殺し合うことにより考慮する必要がないとの趣旨をいうものであることは、
これに引き続く括弧書きの「大気圧を考慮した場合、ピストンP9の下面には、1
気圧に対応する10ton/㎡の大気圧を加えた31ton/㎡の圧力、すなわち、31
tonの上向き荷重が作用し、ピストンP9の上面には、1気圧に対応する10ton/㎡
の大気圧、すなわち、10tonの下向き荷重が作用していると言える」との説示にか
んがみて明らかであり、審決がそのような趣旨で「気密室F1内の空気による下向
き荷重は0である」としたことに誤りはない。
  (5) したがって、審決が「ピストンPがシリンダーFに対して下降することは
不可能である。すなわち、上記経過を辿るためには、・・・大気から気密室F1内
に加圧された空気を送り込むための外部エネルギーを必要とする。・・・外部エネ
ルギー無くしては第3図の状態から第4図のような状態は実現できず」(同3頁1
7行目~27行目)と認定判断したことに、原告主張の誤りはない。
 2 以上によれば、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決を取り消す
べき瑕疵は見当たらない。
   よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴
訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官 篠   原   勝   美
    裁判官 石   原   直   樹
    裁判官   宮   坂   昌   利

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛