弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一年四月に処する。
     原審における未決勾留日数中三〇日を右本刑に算入する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人田中耕輔の控訴趣意書および控訴趣意補正書に各記載
されたとおりであるから、これらを引用する。
 論旨は量刑不当の主張である。
 まず職権をもつて調査すると、原判決は、罪となるべき事実の第一として、被告
人がAと共謀のうえ二回に、、Bほか一名に対し、猥せつな白黒八ミリ映画フイル
ム計五巻を代金計二万五千円で販売したという猥せつ図画販売の事実を、また同第
三として、被告人がAほか一名またはAもしくはCほか一名と共謀のうえ或は単独
で、前後九回にわたり、Dら計数名に対し、猥せつなカラーまたは白黒の映画フイ
ルム計約一〇一巻を代金計約八一万七、〇〇〇円で販売したという猥せつ図画販売
の事実をそれぞれ認定したうえ、被告人には、右第一の事実と第三の事実との中間
に、別の罪により懲役一〇月(但し三年間執行猶予)に処せられた確定裁判がある
として、右確定裁判の介在により、該確定裁判前の猥せつ図画販売(原判示第一)
とそれ以後の猥せつ図画販売(原判示第三)とに二分し、右確定裁判を経た罪とそ
の確定裁判前に犯した原判示第一の罪との間に刑法第四五条後段の併合罪の関係が
あるとして、同法第五〇条を適用して未だ裁判を経ていない右第一の罪につき一個
の刑を言渡し、原判示第三の罪および右確定裁判以後に犯した原判示第二の恐喝罪
については別個の刑を言渡していることは、判文上明らかである。
 <要旨>しかし数個ないし一〇数個の猥せつ図画販売行為が、継続的になされた場
合には、その全部が包括して一個の猥せつ図画販売の罪に該当するものであ
つて、その猥せつ図画販売の行為の中間に別個の罪の確定裁判が介在しても、その
ためにその猥せつ図画販売の罪が前後二個の猥せつ図画販売の罪に分割されるもの
でないと解すべきであり、そして本件の場合右一個の猥せつ図画販売の罪は前記別
罪の裁判確定後に終了したものであることが記録上明らかであるから、その終了時
を基準として刑法第四五条の適用については、その猥せつ図画販売の罪は別罪の裁
判確定後の犯罪と解するのが相当であつて、右確定裁判を経た罪とは同法第四五条
の併合罪の関係に立つものではないというべきである(昭和三九年七月九日最高裁
判所第二小法廷決定、刑集一八巻六号三七五頁参照。)。しからば、本件猥せつ図
画販売の罪を判示第一と第三とに分割して、原判示第一の事実について、これを前
記確定裁判を経た罪と同法第四五条後段の関係にある併合罪として処断した原判決
は、包括一罪の個数に関する法律上の判断を誤り、ひいては併合罪に関する法令の
解釈適用を誤つたものであり、右誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるか
ら、原判決は全部破棄を免れない。
 よつて控訴趣意に対する判断を省略し、刑事訴訟法第三九七条、第三八〇条によ
り原判決を破棄し、同法第四〇〇条但書により本件について更に次のとおり判決す
る。
 原判決の認定した事実(ただし原判示第一と同第三の各事実については、前記の
理由により猥せつ図画販売の包括一罪と認定する。)に法令を適用すると、原判示
第二の所為は刑法第二四九条第一項に、同第一、第三の各所為は包括して同法第一
七五条前段、罰金等臨時措置法第三条第一項第一号(刑法第六条、第一〇条により
昭和四七年法律第六一号による改正前のもの。)、第六〇条(ただし同判示第三の
(四)の(1)、(2)を除く。)に各該当するので、右猥せつ図画販売の所為に
ついて所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同
法第四七条、第一〇条により重い原判示第二の恐喝罪の刑に法定の加重をなした刑
期の範囲内で被告人を処断すべきところ、本件は、被告人が前記のとおり、他の者
と共謀のうえまたは単独で前後一一回にわたり、猥せつな映画フイルム計約一〇六
巻を代金計約八四万二、〇〇〇円で販売したという事犯のほか、原判示第二のよう
に、被告人がEからエロテープを購入したことにいわゆる因縁をつけて金員を喝取
しょうと企て、同人に対し脅迫的文言を申し向けて畏怖させ、同人から現金一〇万
円の交付を受けてこれを喝取したという事犯であつて、本件各犯行の罪質、動機、
態様、ことに原判示第二の恐喝の所為については、被告人がその当時所属していた
的屋であるF連合会G会と関連のあるH連合会なる団体名を持ち出し、被害者の弱
点につけ込んでこれを敢行したものであり、また原判示第一、第三の猥せつ図画販
売の所為については、その販売回数、巻数等に徴し、一般社会の善良な風俗を著し
く害するものというべく、更に原判示第一の犯行は前記確定裁判を経た罪にかかる
事件の審理、保釈中になしたものであり、また同判示第二、第三の各犯行は、右確
定裁判があつたのち、その罪の刑の執行猶予中になしているものであることなどに
徴すれば、その犯情は決して軽視を許されず、その刑責は相当に重いものといわな
ければならない。しかし他面原審当時被告人の内妻であるIにおいて、原判示第二
の恐喝の被害者Eの妻Jに示談金一〇万円を差出して示談が成立していたところ、
当審に至つて、改めてこれを証する示談書および証と題する(Jから被告人宛の右
一〇万円を領収した旨の)書面が提出されたこと、被告人の経歴ことに被告人は昭
和四二、三年頃から前記的屋のF連合会に入つていたものであるところ、原判決後
である昭和四八年五月右F連合会から離脱するに至つたことのほか記録および当審
における事実取調の結果によつて認められる被告人に有利な諸事情をも参酌したう
え、被告人を懲役一年四月に処し、原審における未決勾留日数の算入につき刑法第
二一条を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 石田一郎 裁判官 菅間英男 裁判官 柳原嘉藤)

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