弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人小野清一郎の上告趣意第一点について。
 原審が是認した第一審判決の事実摘示は論旨摘録のとおりである。しかし、その
判文は稍精密を欠く嫌がないではないが、その挙示する証拠の内容を斟酌すれば、
判旨は被告人がAと強盗を共謀して見張をしている間に、右Aにおいて被害者Bに
対し携えていた刃渡四十五センチメートルの日本刀を突き付けて「金を出せ」「騒
ぐと突き刺すぞ」などと申向けて脅迫し同女から金員を強取しようとしたところ、
同女が右手で右日本刀にしがみつき大声をあげて救を求めたためその目的を果さな
かつたが、その際Aがその刀を引いたのでその切先などにより同女の右手掌及び左
眼瞼に全治二週間を要する切創を負わしめたとの事実を認定しているのである。犯
人が被害者に対し前示のような日本刀を突き付ける所為をなせばそれだけでも人の
身体に対する不法な有形力を行使したものとして暴行を加えたといい得ること勿論
であつて、かかる際に判示の如く被害者がその日本刀にしがみつき救を求め、犯人
がその刀を引いたことにより被害者の判示部位に切創を負わしめたとすればその負
傷は右暴行による結果たること多言を要しないところであるから本件は所論のよう
に強盗が暴行を加えずただ脅迫をしただけというような事態ではなく、強盗が暴行
により被害者に傷害を加えたとの事案なのである。されば論旨は結局原判旨にそわ
ない事実関係を前提とする所論であり採用の限りでない。(なお判例集三巻三号三
七六頁以下当法廷の判決参照)。
 同第二点について。
 所論証人Aが当初被告人Cと共同被告人として併合審理されていたものであるこ
とは所論のとおりである。しかし、第一審判決が事実認定の資料として引用した所
論同証人の供述及びその供述記載は、右併合審理手続の分離後右Aが被告人Cに対
する公判において証人として尋問された際における証言及びその記載なのである。
論旨引用の判例は現に共同審理を受けている共同被告人の供述に関するものであり、
本件には適切でない。第一審判決が所論証人Aの供述及びその供述記載を独立の証
拠能力あるものとして事実認定の資料に供したからとて所論のような違反があると
はいい得ない。その他の所論はすべて単なる訴訟法違反の主張であり刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。(所論共謀又は見張の点に関する第一審判決の事実認定も
同判決挙示の証拠を綜合すればこれを肯認するに難くはない。所論被告人の供述が
たとえ罪となるべき事実に関する自白を包含していないとしても、その内容に照ら
し、これを情況証拠として綜合認定の資料の一つとするに何等の妨げもない。また
所論証人Dの供述が誘導又は脅迫によるものであることを認むべき証跡は記録上存
在しない。そしてその証言に「実質的な証明力は皆無である」とする所論は独断で
あり、結局事実審の裁量に属する証拠の採否を非難するに帰着する。なお追加上告
趣意の所論は事実誤認、量刑不当の主張を出でないものであり刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。)そして本件では刑訴四一一条を適用すべきものとは認められな
い。
 よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見て主文のと
おり決定する。
  昭和二八年二月一九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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