弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人ら代理人加藤晃、同鬼倉典正、同伊東忠夫の上告理由第一点について。
 所論の点に関する原判決及びその引用に係る第一審判決の理由は必ずしも明瞭で
はないが、その趣旨とするところは次の如きものであると解するを相当とする。す
なわち原判決及び第一審判決はその挙示の証拠により昭和二九年九月五日頃、D並
にその母EはFの懇請によつて、同人がDらに無断でなした判示行為を了解する旨
の言辞をなしたことは認められるが、右Fの不法になした行為に対しその個人的責
任を免除する趣旨に過ぎないものであつたと認むべきであつて、この事実を外にし
てはDらがFに対し判示無権代理行為を追認する旨の意思表示をなした事実は遂に
確認することができないというのであり、原審に顕出された証拠資料に照合すれば
そのような判断もできないわけではない。所論は原判決の認定しない前示追認の意
思表示のあつたことを前提として原判決に所論法律の解釈の誤りのあつたが如く主
張するに帰するものであつて、採るを得ない。
 同第二点について。
 所論はひつきょう原審がその有する専権によつて証拠を自由に評価しこれに基い
てなした前示事実認定に対し如何にも所論の違法あるが如く攻撃するだけのもので
あつて、上告適法の理由とするを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    高   木   常   七

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