弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1原判決中,控訴人ら関係部分を取り消す。
2被控訴人は,第1事件控訴人らに対し,それぞれ別紙請求金額目録1「差額として
控除された金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成14年12月11日から支払
済みまで年5分の割合による各金員を支払え。
,,「」3被控訴人は第2事件控訴人らに対しそれぞれ別紙請求金額目録2控除合計額
欄記載の各金員及びこれに対する平成15年12月11日から支払済みまで年5分の
割合による各金員を支払え。
4訴訟費用は,第1,2審を通じて,被控訴人の負担とする。
5この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
第1,2事件(以下「両事件」という)。
主文同旨
第2事案の概要
1本件は,私立学校を経営する学校法人である被控訴人と労働契約を結んでいる教職
員である控訴人らが,被控訴人に対し,被控訴人が平成14年12月10日及び平成
15年12月10日に支給すべき期末勤勉手当を,いずれも違法に減額し,一部しか
支払わなかったとして,その差額と遅延損害金の支払を求めた事件(平成14年関係
が第1事件,平成15年関係が第2事件)である。
,,原審が5月に開催された理事会での議決では未だ具体的請求権は発生しておらず
11月の理事会で,人事院勧告に基づき調整した金額を支給すると議決したことでそ
の請求権が発生したものであり,その決定額全額が支払われたのであるから,未払い
はないとして,控訴人らの請求を棄却したので,控訴人らが控訴した。ただし,原審
両事件原告P1,同P2は,控訴を取り下げたので,原判決が確定した。なお,原判
,「」「」「」,決中には期末勤勉手当期末手当勤勉手当などの用語が用いられているが
「」「」「」。期末勤勉手当とは期末手当及び勤勉手当からなるものであると解される
2争点についての当事者の主張
(1)控訴人ら
ア(ア)被控訴人は,平成14年度については同年5月30日に,平成15年度
については同年5月28日に,それぞれ開催された理事会(以下,あわせて
「5月理事会」という)において,期末勤勉手当の算定基礎額(その年の。
人事院勧告による改訂額を基準とする)と乗率とを議決したから,控訴人ら
は,その決定に従った支給額による期末勤勉手当の具体的な請求権を取得し
た。また,控訴人らは,従来から,その計算方法による額の賞与の支給を受
けて来ており,その信頼と期待利益は,労働法上保護するに値する。
なお,上記5月理事会の決定には,各年の11月に開催される理事会(以
下「11月理事会」という)で正式に決定するとの付記があるが,11月。
理事会は,従来から人事院勧告の数値を当てはめる以外の決定はしていない
のであるから,このような付記があるという理由だけで,11月理事会の決
定があるまでは具体的請求権が発生しないと考えるのは,極めて形式的,非
現実的な判断で,不当である。
(イ)被控訴人は,平成14年6月20日,上記5月理事会の決定を,控訴人
らに通知しているから,それは賞与支給の申し込みに当たり,控訴人らがそ
れに対し,黙示の承諾をしたので,その時点で,具体的請求権を取得した。
,,,。またその信頼期待利益は上記と同様に労働法上保護されるべきである
ウ被控訴人は11月理事会平成14年度については同年11月14日,(),(
平成15年度については同年11月10日にそれぞれ開催)において,上記
のとおり具体的に発生した期末勤勉手当の支給額から,平成14年度,平成
15年度改定後給与規程による給与の改定を各年4月に遡らせたため生じた
差額を控除する旨決定した。かかる決定は,控訴人らの権利の一方的不利益
変更にあたるから,違法,無効である。
イ(ア)労働条件の不利益変更の遡及適用は違法,無効である(具体的に発生し
た賃金請求権を,事後に変更された就業規則の遡及適用で変更することは出
来ないとする最判平成8年3月26日・民集50巻4号1008頁参照。)
被控訴人が期末勤勉手当の支給額決定にあたって基準とする人事院勧告は,
基本給にあたる俸給表等を引き下げた上で,改定実施時期について,当該年
度の12月期の期末勤勉手当の額について,当該年度の4月から改定の実施
の前日までの間の給与について調整措置を講ずることとするものであるか
ら,被控訴人が,11月理事会において決定した期末勤勉手当の支給額算定
方法も,その実質は当該年度の11月に行った給与を減額する改定を4月に
遡及して適用するというものであり,違法,無効である。
(イ)そして,上記給与の減額を内容とする給与規程の改定につき控訴人らの
同意はなく,また,被控訴人と控訴人らの間において,控訴人らの俸給を公
務員の人事院勧告に倣って決定するとの慣行も存在しない。
(ウ)なお,被控訴人は,11月理事会で調整した賞与額を支払ったと弁解す
るが,11月理事会では,5月理事会で決定した算定基礎額や乗率を変更し
ていないし,単に平成14,15年度改訂給与表に基づいて算出した期末勤
勉手当額から「調整」と称して,4月から11月までの給与減額分の合計,
。,,,額を控除しただけであるこれは全額を支給して差額を別途徴収すると
労働条件不利益遡及禁止,賃金全額払いの原則に明らかに反するから脱法的
に考えられたもので,許されない。
ウ被控訴人は,平成14年度及び平成15年度のいずれも,同年4月から11月
までの給与の過払分を控除したとして,5月理事会において決定した支給金額の
一部を支払わないから,労働基準法24条1項に違反する。
(2)被控訴人の主張
ア(ア)被控訴人は,5月理事会においては,いずれも期末勤勉手当の乗率を決
定したにすぎず,具体的な支給額は人事院勧告を待ってその額により決定す
ることとしていたから,それらの理事会において,控訴人らに対する期末勤
勉手当の支給額が決定していたとはいえない。
(イ)被控訴人は,11月理事会において,初めて当該年度の12月10日に
支給する期末勤勉手当の支給額を,人事院勧告に倣って具体的に決定したも
のである。既に決まっていた支給額を減額するという決定をしたものではな
い。仮にその結果が事前に予測出来るものであっても,学校法人の意思決定
は,理事会の議決によらなければならないのは当然であり,その議決がない
以上,控訴人らに具体的請求権が発生することはない。なお,人事院は,期
末手当の支給について,単に給与額に一定の乗率を掛けるだけではなく,得
られた額にさらに「調整(改定給与に支給乗率を掛けて算出した期末手当」
額から,4月に遡って算出した既に支払った給与と改定給与額との差額を控
除して得られた額を,期末手当とするという内容の)をすることまで勧告し
,,。ており11月理事会の議決はこの部分も含めてそれに倣ったものである
(),,イア被控訴人は人事院勧告に倣って給与を支給するという慣行に基づいて
期末勤勉手当の金額を決定したものであるが,人事院勧告は物価などの変動
に応じて実質的に前年度と等価を支給するために額の修正を行うものである
から,数額が減額となっても,実質的には等額に修正されるだけであり,何
ら不利益な取扱をするものではない。むしろ,人事院勧告に従いながら,そ
の適用を次年度からとした場合には,昇給勧告があった年に退職する場合の
退職金の算定に昇給が反映されない等の不利益を考慮すれば,当年度から適
用するのが,相当といえる。
また,被控訴人の収入の大部分は,生徒の保護者からの校納金と福岡県及
び福岡市から支給される補助金であり,被控訴人のような教育機関は市場原
理の働きにくい業務であるので,人事院勧告に倣って給与を決定することに
は,必要性,合理性があり,人事院勧告の内容も社会的に相当と承認されて
いる。
したがって,人事院勧告に倣った給与の減額,期末勤勉手当の支給は有効
である。
(イ)被控訴人は,昭和50年ころから,職員の給与を人事院勧告に倣って決
定することとしており,それは労使慣行になっていたといえる。
ウ被控訴人の給与規程において,期末勤勉手当の額は,その都度理事会で定める
金額を支給するとされており,被控訴人はこの規程に従って,平成14年度及び
平成15年度のいずれも,11月理事会において,期末勤勉手当の額を決定し
て,その決定に従って期末勤勉手当を支給したものであり,支給すべき金額の全
額を支払っている。
第3当裁判所の判断
1争点についての判断の前提となる事実は原判決2頁2行目から3頁23行目までの
とおりであり,この前提事実に加えて,証拠により認められる事実及び当該証拠につ
いては原判決6頁5行目から8頁22行目までに摘示のとおりである(ただし,2頁
18行目,3頁10行目に「期末勤勉手当」とあるのを「期末手当」と,3頁9行目
に「甲5の1ないし33」とあるのを「甲14の1ないし33(ただし,4,5,1
7,22,32を除く)の各3,控訴人P3,P4,P5関係で弁論の全趣旨」。)
とそれぞれ改め,7頁21行目に「前記第2の2(3」とあるのは「前記第2の1)
()」,「()」「()」3の8頁21行目に前記第2の33とあるのは前記第2の14
のいずれも誤記であるから,その旨訂正する。。)
2上記認定事実に基づき,控訴人らが主張するアについて判断すれば,両年度の12
月期の期末勤勉手当が,これに先立つ5月理事会において具体的な支給額まで決定し
たということはできず,これが決定されたのは11月理事会においてであることは,
原判決が8頁23行目から10頁4行目までに説示するとおりである。
そうすると,控訴人らの主張アは採用することができない。
3(1)しかしながら,既に認定したところに照らせば,被控訴人においては,昭和
,,51年以来長きにわたって給与規程を人事院勧告に従って改定してきたこと
したがって各年度の12月期の期末勤勉手当もその都度の人事院勧告に準拠し
て支給してきたこと,そのようなところから,平成14年度及び平成15年度
については人事院勧告の内容がいわゆるマイナス勧告であったにもかかわら
ず,従前同様に同勧告に従って,給与規程を減額改定した上,それを4月期に
遡って実施することとして,12月期の期末勤勉手当においてそのための「調
整」をした結果,両年度の12月期の期末勤勉手当について減額支給したもの
であること,そのためにそのような減額支給は認められないとする控訴人らと
の間で本件紛争が生じたものであることが明らかである。
このような観点からすれば,双方の主張イこそが本件の核心的な争点という
べきものである。
(2)ところで,原判決は,この点につき「控訴人らの当該主張は,控訴人らが,
期末手当等の具体的な請求権を有していることが前提となるところ,控訴人ら
はそのような請求権を有しているとはいえないから,当該主張はその前提を欠
いている」かのようにいい,或いは,期末勤勉手当の支給額の決定は専ら被控
訴人の理事会の裁量に委ねられているとした上で,11月理事会における期末
勤勉手当の支給額の決定をもって裁量を逸脱する違法,無効なものとはいえな
いと結論しているが,これらについてはたやすく同意することができない。
(3)思うに,賞与もまた本質的には月払いの賃金と同様に労働者に対する賃金に
ほかならないと解すべきであり,したがって,賞与の支給の有無及びその支給
額は,労働契約の重要な内容をなすものというべきである。
この点を本件について見るに,被控訴人の給与規程では,期末勤勉手当の支
給について「6月30日,12月10日,及び3月15日にそれぞれ在職す,
る職員に対して,その都度理事会が定める金額を支給する」と定められている
だけであるが(第4条,ここにいう期末勤勉手当とは賞与にほかならず,ま)
た,ここでは期末勤勉手当が支給されること自体は当然の前提とされているの
である。しかも,被控訴人は,私立学校の運営という社会の経済状況に左右さ
れにくい事業を営んでおり,それに勤務する控訴人らを含む教職員の業績にも
大きな較差はないことから,原則として同一の条件での支給が継続されている
という実情もあるのである。そうであれば,12月期に期末勤勉手当が支給さ
れることは,被控訴人と控訴人らとの労働契約の重要な内容となっているもの
といわなければならない。なるほど,上記のとおり,給与規程では「その都度
理事会が定める金額を支給する」と規定されており,12月期の期末勤勉手当
については11月理事会の決定により支給額が決定されることとされていたこ
とは既に認定したとおりであるが,それだからといって,具体的な支給額が決
まらなければ,期末勤勉手当の請求権が発生しないというものではない。この
ことは,偶々11月理事会において具体的な支給額が決定されなかったという
ような場合を考えて見れば明々白々である。そのような場合においても,控訴
人らが12月期の期末勤勉手当の請求権を有していること自体に疑問を差し挟
む余地はないのである。したがって,前記(2)で見た原判決の説示を採用す
ることができないことは明らかである。
(4)ところで,上記のように,11月理事会において具体的な支給額が決定され
なかった場合における12月期の期末勤勉手当については従前の支給実績具,(
体的には前年の支給額ということになろう)に基づいて請求権が発生するも。
のと解するのが相当である。それは,毎年度の期末勤勉手当の支給実績がその
都度個別の労働契約の中に取り込まれ,労働契約の要素と化しているものと解
されるからである。
そうだとすると,11月理事会において従前の実績を下回る支給額が決定さ
れた場合においても,それは労働契約の内容を労働者に不利に変更するものに
ほかならないから,それが効力を有するためには原則として個別に労働者側の
同意があることを要するものというべきである。したがって,労働者側の個別
の同意がない場合において,当該決定が有効であるといえるためには,その減
額が必要やむを得ないものであるなど合理的な理由があり,かつ相当であるな
ど,特段の事情が認められなければならない
(5)平成14年度及び平成15年度の12月期の期末勤勉手当について,11月
理事会における決定に基づいて控訴人らに支給された額は,前記原判決第2の
1(3)及び(4)のとおりであって,いずれも従前の実績を下回るものであ
るところ,そのことについて前記のような労働者側の明示の同意があったとは
認められない。もっとも,弁論の全趣旨によれば,控訴人らは,両年度の人事
院勧告の内容に従った給与規程の減額改定自体は,これをやむを得ないものと
して受け容れていることが認められるから,これについては黙示の同意があっ
たものとみなされる。また,そうであれば,両年度の12月期の期末勤勉手当
が減額改定された給与規定に基づいて算定されることについても,同様に黙示
の同意をしているものと認めて差し支えない。控訴人らが,本件訴訟で請求し
ているのは上記「調整」による減額分のみであり,また,別紙請求金額目録1
の基になった控訴人ら作成の同目録においても「本来支給されるべき金額」,
という欄が設けられ,そこには人事院勧告に従って減額改定された給与規定に
基づいて算定された期末勤勉手当額が掲げられていることも,そのことを裏付
けるものというべきである。
これに対し,控訴人らが「調整」による減額について同意をしていないこと
は明白である。
そうすると,本件においては「調整」による減額について,労働者側の個,
別の同意がないにもかかわらず,なおその効力を肯定すべき特段の事情が認め
,,,られるか否かのみを判断すれば足りることになるが以下においては便宜上
上記両年度の12月期の期末勤勉手当の支給額の決定そのものにつきそのよう
な特段の事情が認められるか否かを含めて検討することとする。
(6)上記のとおり,被控訴人においては,昭和51年以来,長きにわたって給与
規程を人事院勧告に倣って改定してきたこと,したがって各年度の12月期の
期末勤勉手当もその都度の人事院勧告に準拠して支給してきたこと,そのよう
なところから,平成14年度及び平成15年度については人事院勧告の内容が
いわゆるマイナス勧告であったにもかかわらず,従前同様に同勧告に従って,
両年度期末勤勉手当についても減額支給したものである。
しかしながら,同じく人事院勧告に倣うといっても,その勧告内容の如何に
よっては労働者側にとっては大きな差が出現することになるのは見易いところ
である。それにもかかわらず,被控訴人と控訴人らとの間に,勧告内容がどう
であれ,常に毎年毎の人事院勧告に従って給与規程が改定され,12月期の期
末勤勉手当の支給額もこれに基づいて算定されるということについて明示又は
黙示の合意があったとまでは認められない。むしろ,昭和51年以来,人事院
は一貫していわゆるプラス勧告をしてきたのであり,同勧告の直接の対象であ
る一般職国家公務員はもとより,労働者側,使用者側,さらには国民一般にお
。,いてもそのこと自体を疑うようなことは絶えて無かったのであるしたがって
上記両年度のように,いわゆるマイナス勧告がなされるというような事態はお
よそ想定されていなかったものと言わなければならない。そうであれば,被控
訴人において,長年にわたって上記のような運用をし,これが当然の如くに被
控訴人の職場に受け容れられてきたという事実があるからといって,それは勧
告内容がいわゆるプラス勧告であり,労働者側にとって相応の利益になるもの
であったが故に,たまたま労働者側の個別の同意を得るまでもなかったという
に過ぎず,上記両年度のようにいわゆるマイナス勧告がなされた場合について
まで,安易にこれと同視することは許されない。
もっとも,人事院勧告は,物価の変動や一般職国家公務員給与の民間企業に
おけるそれとの格差の有無・程度などの諸事情を勘案してなされるものである
から,その勧告内容は相応の客観的な根拠を有するものと評価することができ
るが,それだからといって,被控訴人の給与規程などが常に人事院勧告に倣っ
た内容に改定されなければならないという必然性はないし,また,その旨の労
使間の協定や合意があったともいえない以上,この点をもって前記判断を左右
することはできない。
(7)さらに,被控訴人が人事院勧告に倣ったと強調する「調整」については,法
律(一般職の職員の給与に関する法律)で,その支給すべき俸給等が定められ
る一般職国家公務員の場合には,その改定時期をいつからと定めるかは,国会
の法律案の議決で決められるが,民間給与を決定する場合にも,それが当然合
理性を持ちうることにはならない。この場合には,労働条件を遡って不利益に
変更出来るかという問題に直面せざるを得ず,しかも,その金額自体は全体の
額からすれば僅少にしかならないことからすれば,そのような調整をすること
が許されるためには,さらに特段の事情が必要であると考えられる。
然るに,被控訴人は,人事院勧告に倣ったということ以上には何ら特段の事
情を主張せず,それだけでは上記のような「調整」を合理的なものであるとす
ることができないことは,前記(6)で判断したとおりである。
(8)以上によれば,平成14年度及び平成15年度の12月期の期末勤勉手当の
支給は,控訴人らの個別の同意を得ることもないまま,また,そのような結果
もやむを得ないとするだけの特段の事情も認められないにもかかわらず,平成
14年度及び平成15年度の人事院勧告に従って,給与規程に基づく給与の減
額改定をした上,さらにはそれを4月に遡らせるという労働者にとって不利益
(減額)をもたらす結果となる内容の両年度の人事院勧告に漫然と従って「調
整」をして支給したという点において違法であり,その限りにおいて無効であ
るものと言わなければならない。
4そうすると,その余の控訴人らの主張(労働基準法24条1項違反)については判
断するまでもなく,上記両年度の12月期の期末勤勉手当のうち,上記のとおり違法
・無効とされる減額部分の支払いを求める控訴人らの請求は理由があることになる。
そして,第1事件関係の控訴人らの平成14年度改定後給与規程による改定前の給
与等の算定基礎額を基にした平成14年度における12月期の期末手当,勤勉手当の
合計額は別紙請求金目録1の本来支給されるべき金額欄記載のとおりであり甲,「」(
4,5の1ないし4,6ないし31,33,弁論の全趣旨,その金額から,平成1)
4年度改定後給与規程に基づいて,同年4月に遡って再計算した給与減額分の総額か
ら,給与が減額されたことによる公租公課の減額分を加算した差額分(上記甲5各証
のベア差額欄の額を控除したのが平成14年度の12月期の期末勤勉手当同「」),(
別紙「実際に支給された金額」欄記載の額)であるから,同別紙「差額として控除さ
れた金額」欄記載の額が未払となっており,被控訴人は同額及びそれに対する支給日
の翌日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。また,第2
事件関係の控訴人らの平成14年度改定後給与規程による算定基礎額を基にした平成
15年度における期末手当,勤勉手当の合計額から,平成14年度分の金額と平成1
5年度改定後給与規程に基づく平成15年度分のそれの差額割合である較差の率1.
07パーセントを同年4月から11月までの8か月分給与及び6月の期末勤勉手当の
支給総額に乗じた額(別紙請求金目録2の「控除合計額」欄記載の額)を控除したう
えで平成15年度の12月期の期末勤勉手当を支給しただけであるから同別紙控,,「
除合計額」欄記載の額が未払となっており,被控訴人は同額及び上記と同様の遅延損
害金の支払義務がある。
然るに,原判決は,これと異なり,控訴人らの請求を理由がないものとして棄却し
ているから,取消しを免れない。
よって,主文のとおり判決する。
福岡高等裁判所第3民事部
裁判長裁判官西理
裁判官有吉一郎
裁判官吉岡茂之
別紙
請求金額目録1
本来支給実際に支給差額として
氏名されるべき金額された金額控除された金額
11,386,9561,301,03085,926P6
21,397,6301,311,70485,926P7
31,378,2291,293,24584,984P8
41,352,6521,269,56383,089P3
51,346,0761,250,78495,292P9
61,185,0381,112,33672,702P10
71,244,9131,154,45190,462P11
81,372,4031,289,35183,052P12
91,299,8541,207,38292,472P13
101,230,7771,155,23875,539P14
111,158,6481,088,15170,497P15
121,269,6621,192,40677,256P16
131,278,2141,202,67575,539P17
141,318,3531,226,89191,462P18
151,271,5961,181,13490,462P19
161,328,1701,233,72794,443P4
171,209,1091,135,45673,653P20
181,273,2061,194,83078,376P21
191,129,7821,044,37385,409P22
201,079,111993,70285,409P23
211,056,433988,32168,112P5
221,095,3271,025,80369,524P24
231,177,1611,097,57779,584P25
241,185,0381,112,33672,702P26
251,343,1081,262,84680,262P27
261,184,2701,111,84572,425P28
271,155,6481,085,15170,497P29
28930,593872,35658,237P30
291,016,477951,32265,155P31
30698,730663,10335,627P32
31783,482738,87244,610P33
2,388,685
別紙
請求金額目録2
控除合計額
154,483P6
254,739P7
354,284P8
453,615P3
554,084P9
647,756P10
752,007P11
856,981P12
951,216P13
1049,971P14
1145,826P15
1249,841P16
1355,352P17
1451,805P18
1552,408P19
1655,028P4
1750,274P20
1851,914P21
1944,930P22
2040,989P23
2141,851P5
2244,071P24
2345,914P25
2448,604P26
2555,297P27
2647,482P28
2745,634P29
2838,523P30
2939,812P31
3028,656P32
3145,511P34
1,508,858

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛