弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件上告を棄却する。                    
       上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人篠塚力ほかの上告受理申立て理由及び上告補助参加代理人志澤徹ほか
の上告受理申立て理由について
 1 本件は,私立学校教職員共済法に基づく私立学校教職員共済制度の加入者で
,同法に基づく退職共済年金の受給権者であった甲(以下「甲」という。)が死亡
したことから,甲と内縁関係にあった被上告人が上告人に遺族共済年金の支給を請
求したのに対し,上告人が被上告人に遺族共済年金を支給しない旨の裁定をしたた
め,被上告人が上告人に対してその取消しを請求した事案である。
 本件の主要な争点は,遺族共済年金の支給を受けることができる遺族である配偶
者が被上告人であるのか,それとも,甲の法律上の妻であった上告補助参加人(以
下「参加人」という。)であるのかということである。
 2 原審の適法に確定した事実によれば,①甲と参加人は,甲が勤務していた国
立大学の宿舎で同居していたが,昭和53年ないし55年ころから甲が宿舎を出て
別居して生活するようになり,甲が死亡した平成13年1月12日まで20年以上
の長期にわたり別居を続けた,②その間,両者の間には反復,継続的な交渉はなく
,甲が宿舎料を負担していたほかは一方が他方の生活費を負担することもなかった
,③甲と参加人は,両者の婚姻関係を修復しようとする努力はせず,昭和57年夏
ころ以降は会うこともなかった,④甲は,参加人に対し,平成元年12月22日,
1000万円を送金したが,これには,甲の勤務していた国立大学の宿舎から円満
に転居してもらう費用を支払う趣旨のほか,甲と参加人との間の婚姻関係を清算す
るための金員を支払う趣旨も含まれていた,⑤他方,被上告人は,甲が参加人と別
居するようになった後に甲と親密な関係になり,昭和59年ころから甲と同居して
夫婦同然の生活をするようになって,甲の収入により生計を維持していた,⑥甲が
死亡した際も,被上告人が最期までその看護をした,というのである。このような
事実関係の下では,甲と参加人の婚姻関係は実体を失って修復の余地がないまでに
形がい化していたものというべきであり,他方,被上告人は,甲との間で婚姻の届
出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者というべきであるから,参
加人は私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組合法2条1
項3号所定の遺族として遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に当たらず,
被上告人がこれに当たるとした原審の判断は,正当として是認することができる。論
旨は採用することができない。
 よって,裁判官横尾和子の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文
のとおり判決する。
 裁判官横尾和子の反対意見は,次のとおりである。
 私は,参加人が私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組
合法2条1項3号所定の遺族として遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に
当たり,被上告人はこれに当たらないと考える。その理由は,次のとおりである。
 1 原審の適法に確定した事実によれば,①甲と参加人は,別居の前後を通じて
,両者の婚姻関係を解消することについて合意には至っていない,②他方,甲は,
勤務先の国立大学に対して,参加人を被扶養者(配偶者)として届け出て,扶養手
当の給付を受けており,平成2年に同大学を退職して私立大学に就職した際も,同
大学に対し,参加人を被扶養者として届け出て,扶養手当の支給を受けていた,③
さらに,甲は,参加人を税法上の配偶者控除の対象配偶者として届け出て,同年か
ら同10年までの間,同控除を受けていた,④甲は,同2年4月から国家公務員共
済組合法に基づく退職共済年金を受給していたが,参加人を年金加給の対象配偶者
とする加給年金額の加算を受け,これは参加人が国民年金の老齢基礎年金の受給資
格を充たすに至ったため同加算の対象に該当しなくなった同6年10月まで引き続
いた,⑤また,参加人は,同11年10月までは,私立学校教職員共済組合との関
係で甲の被扶養者として取り扱われ,甲の組合員証を使って治療を受けるなどして
いた,⑥甲は,参加人との別居を開始した後も,参加人が同2年4月まで居住して
いた国立大学の宿舎の宿舎料を給与引落しにより支払っていた,というのである。
このような事実関係によれば,甲は,別居後も,対外的に参加人を妻として取り扱
っていたものというべきであるから,甲と参加人の婚姻関係がその実体を失って形
がい化していたものということはできない。
 2 そうすると,甲と参加人の婚姻関係は形がい化しているなどとして,参加人
が私立学校教職員共済法25条において準用する国家公務員共済組合法2条1項3
号所定の遺族である「配偶者」に当たらず,被上告人がこれに当たるとした第1,
2審の判断は,上記法条の解釈適用を誤ったものであり,判決に影響を及ぼすこと
が明らかな法令の違反がある。論旨は理由がある。したがって,原判決を破棄し,
第1審判決を取り消して,被上告人の請求を棄却することが相当である。
(裁判長裁判官 泉 徳治 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島
田仁郎 裁判官 才口千晴)

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