弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     弁護人碓井忠平に支給した訴訟費用は、被告人A、同B両名の負担とす
る。
         理    由
 被告人C、同D、同E、同F、回G、同H、同I、同J、同K、同Lの弁護人杉
之原舜一の上告趣意第一について。
 所論は、単なる法令違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そ
して、所論一は、原判示小樽市条例(昭和二五年一二月一八日小樽市条例七〇号集
会集団行進及び集団示威運動に関する条例)は、憲法二一条、二八条等に違反する
旨主張するが、所論も認めるように、本件第一審判決判示第一の警察職員の出動を
みたのは、右小樽市条例違反による無許可集会の取締のためのみを目的としたもの
ではなく、他面M記者に対する暴行犯人捜査のためであること一審判決の認定した
ところであり、原判決もこれを是認するところである。してみれば、右暴行犯人搜
査のため出動した警察職員の公務の執行の適法なること明らかな本件において、被
告人等の右職員に対する公務執行妨害罪の成立は、所論小樽市条例が所論のごとく
違憲であつて、その犯情に影響あると否とにかかわりなく、これを否定することは
できない。されば、この点に関する所論は採るを得ない。また、所論二は、原判示
共謀共同正犯の成立を争うが、いわゆる共謀共同正犯が成立するには、二人以上の
者が特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となつて互に他人の行為を利用し、
各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よつて、犯罪を実行」すれ
ば足り、右「共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない者
でも、他人の行為をいわば自己の手段として犯罪を行つたという意味において共同
正犯の刑責を負うもので、かく解することは憲法三一条に違反しない」とすること、
当裁判所大法廷判例(昭和二九年(あ)一〇五六号同三三年五月二八日判決、判例
集一二巻八号一七一八頁以下参照)の示すところであつて、今なおこれを変更すべ
きものとは認められないから、所論は採ることができない。
 同第二について。
 所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由
に当らない。
 同被告人十名の弁護人青柳盛雄、同大塚一男、同安達十郎の上告趣意第一点につ
いて。
 所論一、二は、本件小樽市条例の違憲を主張し、ひいて本件警察職員の職務執行
の適法性を否定するものであるが、その採り得ないことは、前示杉之原弁護人の論
旨第一につき判示したとおりである。同三は、共犯者の自白の証拠能力を争い憲法
三八条三項違反を主張するが、「共同審理を受けていない単なる共犯者は勿論、共
同審理を受けている共犯者(共同被告人)であつても、被告人本人との関係におい
ては、被告人以外の者であつて、かかる共犯者または共同被告人の犯罪事実に関す
る供述は、憲法三八条二項のごとき証拠能力を有しないものでない限り、独立完全
な証明力を有し、憲法三八条三項にいわゆる「本人の自白」と同一視し、またはこ
れに準ずるものではない」こと、当裁判所大法廷判例の示すところである(前示大
法廷判決参照)から、所論は採ることができない。
 同四は、憲法三八条二項違反を主張するが、所論強制の事実は、これを認むべき
証拠がなく、また、所論被告人Aの供述は、拘禁後三ケ月余を経てなされた供述で
あり、所論被告人Bの供述は、同人が約一年拘禁された後保釈で十四日ばかり出所
し保釈決定取消により更に拘禁された後三ケ月余を経てなされた供述であるが、本
件のごとき被告人並びに関係者が多数であり、事件の内容も複雑であることに鑑み
れば、当裁判所大法廷累次の判例に照し(例えば、判例集二巻一二号一五五八頁以
下、同巻七号七一五頁以下参照)、不当に長い拘禁後なされた自白とは認め難い(
なお、被告人Bの供述調書については、被告人らはこれを証拠とすることに同意し
ている)。
 同第二点について。
 所論は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない
(この点に関する原判示は正当である)。
 同第三点、第四点について。
 同第三点は、単なる法令違反、事実誤認の主張を出でないものであり、同第四点
は、量刑不当の主張であつて、いずれも、同条の上告理由に当らない。
 被告人A、同Bの弁護人碓井忠平の上告趣意について。
 所論は、違憲をいう点もあるが、実質は、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当
の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお、本件
小樽市条例の廃止年月日は、原判示のごとく本件犯行後である昭和二八年三月三一
日と認められる)。
 被告人Cの上告趣意について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張を出でないものであつて、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Dの上告趣意について。
 所論第一、第二は、本件小樽市条例の違憲を主張し、ひいて、本件公務執行妨害
罪の不成立を論ずるものであるが、その理由のないことは、前示杉之原弁護人の論
旨第一について判示したとおりである。所論第三ないし第六は、事実誤認、単なる
法令違反の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Eの上告趣意について。
 所論二は、本件小樽市条例の違憲を主張し、ひいて、本件公務執行妨害罪の不成
立を主張するものであるが、その理由のないことは、前示杉之原弁護人論旨第一に
ついて判示したとおりであり、その余の主張は、違憲をいう点もあるが、実質は、
事実誤認、単なる法令違反(所論誘導、おどし等の事実は、これを認めるべき資料
がない。)、量刑不当の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に
当らない。
 被告人Fの上告趣意について。
 所論中本件小樽市条例の違憲を主張し、ひいて、本件公務執行妨害罪の不成立を
論ずる点の理由のないことについては、前示杉之原弁護人の論旨第一につき判示し
たとおりである。
 その余の所論は、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Gの上告趣意について。
 所論一は、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。所論二
中本件小樽市条例の違憲をいう点の採るを得ないことは、前示杉之原弁護人の論旨
第一につき判示したとおりであり、その余は、量刑不当の主張を出でないものであ
つて、同条の上告理由に当らない。
 被告人Hの上告趣意について。
 所論第一の本件条例を違憲とすることを前提とする公務執行妨害罪の不成立を論
ずる主張の理由のないことは、前示杉之原弁護人の論旨第一につき判示したとおり
である。その余の論旨は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであ
つて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Iの上告趣意について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張を出でないものであつて、
刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお、本件条例の違憲の点について他の被告
人の上告趣意を援用するが、その採ることのできないことについては、他の被告人
のこの点に関する上告趣意について述べたとおりである。)。
 被告人Kの上告趣意について。
 所論は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇
五条の上告理由に当らない。
 被告人Jの上告趣意について。
 所論一、二は、単なる訴訟法違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四
〇五条の上告理由に当らない。所論三、四中の本件条例の違憲、ひいて、公務執行
妨害罪の不成立の主張の理由のないことについては、前示杉之原弁護人の論旨第一
について述べたとおりである(なお、M記者に対する暴行捜査について警察官の出
動したことを否定する点は、事実誤認の主張であつて、前示のごとく同条の上告理
由に当らない。)。
 被告人Lの上告趣意について。
 所論は、違憲をいう点もあるが、その実質は、事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇
五条の上告理由に当らない(所論末尾の条例違憲の主張が本件公務執行妨害罪の成
立にかかわりないことは、前示杉之原弁護人の論旨第一に関する判示のとおりであ
る。)。
 被告人Aの上告趣意について。
 所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの上告趣意について。
 所論(一)は、小樽市公安条例の違憲を主張するが、その本件公務執行妨害罪の
成否にかかわりないことは、前示杉之原弁護人の論旨第一に関する判示のとおりで
ある。その余の論旨は、違憲をいう点もあるが、実質は、単なる法令違反、事実誤
認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 よつて、刑訴四〇八条、一八一条(被告人A、Bのみにつき)に従い、裁判官高
木常七の意見ある外、裁判官の全員一致で、主文のとおり判決する。
 被告人C、同D、同E、同F、同G、同H、同I、同K、同J、同Lの弁護人青
柳盛雄、同大塚一男、同安達十郎の上告趣意第一点三に対する裁判官高木常七の意
見は次のとおりである。
 所論は共犯者の自白の証拠能力を争い憲法三八条三項違反を主張するが、原判決
は所論被告人A、同Bの自白の外一審判決挙示の多数の証拠を検討しこれを綜合し
て所論共謀の事実を認定しているものであること判文上おのずから明瞭であるから
違憲の主張は前提を欠くものであり採るを得ない。
  昭和三四年七月三〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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