弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人岸本静雄の上告趣意第一点について。
 所論は、法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(刑法
九六条ノ三第二項所定の談合罪は、公の競売又は入札において、「公正ナル価格ヲ
害シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」で、競争者が互に通謀して成る特定の者をして契
約者たらしめるため、他の者は一定の価格以下又は以上に入札しないことを協定す
ることによつて成立し、右の「公正ナル価格」とは、入札なる観念を離れて客観的
に測定せらるべき公正価格をいうのではなく、当該入札において公正なる自由競争
が行われたならば形成せられたであらう落札価格をいうものと解すべきであること
は、既に当裁判所判例の示すところである。昭和二八年(あ)第一一七一号同年一
二月一〇日第一小法廷決定刑集七巻一二号二四一八頁、昭和二九年(あ)第三一九
八号同三二年一月二二日第三小法廷判決刑集一一巻一号五〇頁、昭和二九年(あ)
第四八四号同三二年七月一九日第二小法廷判決刑集一一巻七号一九六六頁各参照。
また、刑法同条項後段の「不正ノ利益」を得る目的を以つてする談合は、それが公
の入札又は競売の公正を害する危険があるために処罰の対象とされているのである
が、その危険は抽象的に存在すれば足り、同項前段の場合のように、「公正ナル価
格」を害する具体的危険の存在することを必ずしも必要としないものであること、
従つて右「不正ノ利益」であるか否かは、その利益を得ることによつて当該入札に
おける公正価格が現実に害されたか否かによつて決定さるべきものではなく、いや
しくも前記のような協定即ち談合の対価として取得を意図せられた金銭等の利益が、
社会通念上祝儀その他正当なものと認められる程度を超え不当に高額のものである
か否かによつて決定すべきであると解すべきことも、既に当裁判所判例の示すとこ
ろである。昭和二九年(あ)第三一九八号同三二年一月二二日第三小法廷判決刑集
一一巻一号五〇頁、昭和三〇年(あ)第二八号同三二年一月三一日第一小法廷判決
刑集一一巻一号四三五頁各参照。そして上記各判例の示す見解に従つて、第一審判
決の認定した判示第一及び第二の各事実を、同判決挙示の各証拠について検討して
見ても、その事実認定に何らの誤りはなく、また所論のような法令違反のかどもな
い。所論は入札談合罪が必要的共犯たる性質を無視した違法がある旨主張するけれ
ども、右判決判示第一の事実摘示によれば、被告人以外の判示競争入札者において
もまた、前記の意味における「公正ナル価格」を害する目的を以つて、被告人と通
謀の上判示のような談合をした趣旨を看取できるのみならず、同第二の事実摘示も、
判示Aにおいて右「公正ナル価格」を害する目的で被告人と通謀の上判示談合をし
た趣旨を判示したものと認めるのが相当であるから、右主張は失当である。その余
の論旨の採用に値しないことは、前記各判例の趣旨に照らし明らかである。原判決
は、右と理由を異にするけれども、一審判決判示第一と第二の各事実につき、入札
談合罪の成立を肯認したその結論においては正当なるに帰する。)
 同第二、第三点について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らな
い。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三四年七月一四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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