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令和2年7月22日判決言渡
令和元年(ネ)第10084号商標移転登録抹消請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成30年(ワ)第28604号)
口頭弁論終結日令和2年6月10日
判決
控訴人X
訴訟代理人弁護士小田島常芳
被控訴人一般社団法人情報機器
リユース・リサイクル協会
訴訟代理人弁護士仲江武史
峰岸泉
成田周平
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人の請求を棄却する。
第2事案の概要(略称は,特に断りのない限り,原判決に従う。)
1事案の要旨
本件は,別紙商標権目録記載の「IoT機器3R協会」の標準文字からなる
商標(以下「本件商標」という。)の商標登録(以下,この商標登録に係る商
標権を「本件商標権」という。)を受けた被控訴人が,被控訴人の元専務理事
であった控訴人が被控訴人に無断で本件商標権について控訴人名義の別紙移転
登録目録記載の移転登録(以下「本件移転登録」という。)を経由したと主張
して,控訴人に対し,本件商標権に基づいて,本件移転登録の抹消登録手続を
求める事案である。
原審は,被控訴人の請求を認容したため,控訴人がこれを不服として本件控
訴を提起した。
2前提事実(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨によ
り認められる事実である。)
⑴当事者等
ア被控訴人は,平成18年7月4日,パソコン等の中古情報機器に係る事
業者の育成,中古情報機器市場の発展等を目的とする有限責任中間法人(名
称「有限責任中間法人中古情報機器協会」)として設立され,平成20年1
2月1日施行の一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般
社団法人法」という。)により有限責任中間法人から移行した一般社団法人
(移行時の名称「一般社団法人中古情報機器協会」)であり,理事会設置法
人及び監事設置法人である(甲1,2)。
被控訴人は,平成24年5月22日,名称を「一般社団法人情報機器リ
ユース・リサイクル協会」に,目的を「情報機器リユース・リサイクル(再
資源化)に係わる良質な事業者の育成,情報機器に関係する各事業者の協
力による良質なリユース情報機器の認知度向上及び普及活動により我が国
リユース情報機器市場の発展を図ること,情報機器のリサイクル推進によ
る我が国への貢献」に変更し,さらに,平成29年5月23日,目的を「情
報機器のリユースとリサイクル(再資源化)に係る産業の健全な発展を図
るとともに,情報機器のリユースとリサイクルを促進し,我が国の循環型
社会発展に貢献すること」に変更した(甲1,2)。
イ控訴人は,被控訴人の設立当初から平成30年3月30日までの間,被
控訴人の理事(代表権のない専務理事)兼事務局長の地位にあった者であ
る。
ウ(ア)控訴人は,平成26年6月16日,情報機器(パソコン・サーバー・
携帯電話・スマートフォン等)のリユース及びリサイクル(再資源化)
等に関する業務の運営受託等を目的とする株式会社オン(以下「オン社」
という。)を設立し,その代表取締役に就任した(乙1,31)。
(イ)被控訴人とオン社は,平成26年6月17日付け経営委託契約書(乙
19)を作成して,被控訴人がオン社に対し,被控訴人が実施する情報
機器リユース・リサイクル協会事務局運営に関する事項等の業務を委託
し,被控訴人の定時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月
分は月額111万2500円,平成27年1月分から4月分は月額11
2万3500円)を支払う旨の経営委託契約を締結した。
⑵本件商標の商標登録及び移転登録の経緯について
アオン社は,平成28年11月25日,本件商標の商標登録出願(商願2
016-133683号。以下「本件出願」という。)をした(乙2の2,
3)
イオン社は,平成29年7月12日頃,被控訴人に対し,本件出願により
生じた権利(以下「本件登録前権利」という。)を譲渡し,同月13日,オ
ン社から被控訴人へ出願人名義を変更する旨の出願人名義変更届が特許庁
に提出された(乙6,7の1ないし3)。
ウ被控訴人は,平成29年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権
の設定登録)を受けた(甲9)。
エ本件商標権について,被控訴人から控訴人への本件移転登録(受付日平
成29年9月14日)が経由された。
本件移転登録の登録申請書には,譲渡人を被控訴人,譲受人を控訴人と
する控訴人及び被控訴人作成名義の同年9月11日付け「譲渡証書(付:
単独申請承諾書)」(以下「本件譲渡証書」という。甲4)が添付された。
本件譲渡証書の被控訴人名下には被控訴人の代表者印が押印されている。
3争点
⑴本件移転登録の登録保持権原の有無(争点1)
⑵本件移転登録の登録保持権原に係る理事会の承認又は決議の要否(争点2
-1)
⑶被控訴人による理事会の承認又は決議の欠缺を理由とする無効主張の信義
則違反の有無(争点2-2)
⑷本件請求の権利濫用の成否(争点3)(当審における控訴人の追加主張)
4争点に関する当事者の主張
⑴争点1(本件移転登録の登録保持権原の有無)について
(控訴人の主張)
ア被控訴人とオン社は,平成29年8月22日,本件登録前権利の譲渡に
係る契約を合意解除し,被控訴人がその原状回復義務の履行として本件商
標権を控訴人に移転する旨の合意(以下「本件返還合意」という。)をし,
本件返還合意に基づいて,本件商標権について被控訴人から控訴人への本
件移転登録が経由された。
本件返還合意及び本件移転登録は,以下のとおり,被控訴人の代表理事
のAの指示により行われた。
被控訴人の代表理事の適格性をめぐる被控訴人内部での争いが発生して
いた平成28年10月頃,当時被控訴人の副代表理事であったAらによる
新団体設立構想の検討を進める中で,控訴人が新団体で使用する名称とし
て本件商標を発案し,控訴人が代表取締役を務めるオン社を出願人として
本件出願をした。その後,控訴人は,平成29年7月13日,同年5月2
3日に被控訴人の代表理事に就任したAの指示に従い,本件登録前権利を
オン社から被控訴人へ譲渡し,同年8月10日,被控訴人が本件商標の商
標登録を受けた。ところが,Aは,代表理事に就任したばかりであり,被
控訴人が本件登録前権利の譲渡及び本件商標の商標登録を受けたことにつ
いて理事会に上程しておらず,A以外の理事は認識していない状況にあり,
他の理事にうまく説明できなかったことから,収まったばかりの被控訴人
内部の争いが再燃することをおそれて,同月22日の理事会後,被控訴人
事務局において,控訴人に対し,本件商標を控訴人に戻す旨を述べて,本
件返還合意及び本件移転登録の指示をした。
イ仮に被控訴人とオン社間の本件返還合意の成立が認められないとしても,
被控訴人は,平成29年8月22日,控訴人に対し,本件商標権を無償で
譲渡(以下「本件譲渡」という。)し,本件譲渡に基づいて,本件商標権
について被控訴人から控訴人への本件移転登録が経由された。
本件譲渡及び本件移転登録は,前記アの経緯により,被控訴人の代表理
事のAの指示により行われた。
(被控訴人の主張)
被控訴人とオン社間の本件返還合意及び被控訴人と控訴人間の本件譲渡の
事実は,いずれも否認する。
本件移転登録は,被控訴人の専務理事兼事務局長の控訴人が事務局で保管
されていた被控訴人の代表者印を無断で使用して作成した本件譲渡証書(甲
4)によって経由されたものであり,被控訴人の代表理事のAが控訴人主張
の指示を行った事実は存在しない。
本件移転登録の当時,被控訴人が本件商標と同一又は類似の名称に変更す
る可能性が具体的に存在し,また,被控訴人が本件商標の権利者となること
により,第三者が本件商標と同一又は類似の商標,名称等を使用することを
防止することができることから,本件商標は被控訴人にとって価値のあるも
のであった。
⑵争点2-1(本件移転登録の登録保持権原に係る理事会の承認又は決議の
要否)について
次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の4⑴に記載
のとおりであるから,これを引用する。
ア原判決3頁25行目のAをAと改める。
イ原判決4頁3行目の「すなわち」から5行目末尾までを削る。
⑶争点2-2(被控訴人による理事会の承認又は決議の欠缺を理由とする無
効主張の信義則違反の有無)について
次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」の第2の4⑵に記載
のとおりであるから,これを引用する。
ア原判決4頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
「また,控訴人は,Aの指示に従い,対価を期待して,本件登録前権利
を被控訴人の実費負担で譲渡したが,被控訴人が負担した実費相当額(出
願人名義変更手数料等1万4087円)は被控訴人に返金し,被控訴人
から対価の支払を受けることができないまま,本件譲渡により本件商標
権が控訴人に戻っただけであるから,控訴人には何らの利得はない。
他方で,本件商標は,被控訴人の名称と異なる別団体の名称を示すも
のであるが,被控訴人は,設立以来,「RITEA(リテア)」(Refurbished
(Reused)&RecycleInformationTechnologyEquipmentAssociation)
の通称で情報機器のリユース・リサイクル業界をけん引してきた業界団
体であり,その通称は,業界の内外を問わず,高いブランド力と認知度
があったから,被控訴人にとって別団体の名称を示す本件商標は無価値
であり,本件譲渡による損失はない。
したがって,本件譲渡によって,控訴人と被控訴間に実質的な利益相
反は生じていない。」
イ原判決5頁5行目末尾に行を改めて次のとおり加える。
「平成29年7月25日開催の被控訴人の理事会では,IoT関連分
野の取込みが可能か否かの協議を始めることが決められたにすぎず,
本件譲渡がされるまでの間,更には控訴人が理事を解任された平成3
0年3月30日までの間,かかる協議が行われたことは一度もない。
また,控訴人が作成した平成29年7月21日付けの「今後の当協会
の方向性と取り組みについて(案)」と題する資料(乙29)は,A
以外の理事に配布したことはない。
したがって,A以外の理事は,平成30年3月30日までの間,本
件商標の商標登録の存在すら認識していなかった。
カ以上によれば,被控訴人が,本件譲渡が「理事が自己のためにする
一般社団法人」との取引(利益相反取引)(一般社団法人84条1項
2号)又は「重要な財産の処分」(同法90条4項1号)に該当し,
理事会の承認又は決議の欠缺を理由に本件譲渡の無効を主張すること
は,信義則に反して許されないというべきである。」
⑷争点3(本件請求の権利濫用の成否)(当審における控訴人の追加主張)
(控訴人の主張)
ア被控訴人は,本件商標を使用したことは一度もなく,今後も,本件商標
を使用する具体的な予定すらない。これは,被控訴人は,設立以来13年
以上にわたって「RITEA(リテア)」という通称を使用し続けており,
「RITEA(リテア)」という通称に係る文字及び呼称により生じた社
会的信用を活かすことと「IoT機器3R協会」の文字からなる本件商標
を使用することは両立し得ないためである。
イ控訴人は,平成30年4月10日,IoT対応製品の3R(リユース,
リサイクル及びリデュース)等を目的とする「一般社団法人IoT対応3
R協会」(以下「控訴人新法人」という場合がある。)を設立し,平成3
1年4月1日,名称を「一般社団法人IoT3R協会」に変更した。控訴
人新法人において,例えば,同種団体と合併等を行うこととなった場合に
は,本件商標を使用する可能性が十分にある。
この間の平成30年5月30日頃,被控訴人は,控訴人に対し,控訴人
がした「IoT対応3R」の商標等の商標登録出願の取下げ又はこれらの
商標権の被控訴人への無償譲渡,控訴人新法人の名称の使用停止及び解散
を請求(乙21)した。
ウ以上のとおり,被控訴人においては本件商標の使用実態が全くなく,か
つ,使用の予定を立てようがないのであるから,被控訴人が控訴人に対し
て本件移転登録の抹消登録手続を求める本件請求は,本件商標権の禁止権
により本件商標と類似の標章の使用を禁じることのみを目的とするもので
あり,権利の濫用として許されないというべきである。
(被控訴人の主張)
控訴人の主張は争う。
第3当裁判所の判断
1認定事実
前記前提事実と証拠(甲1ないし6,8ないし10,12ないし16,乙1
1ないし23,25ないし37,39ないし49(枝番があるものは枝番を含
む。),証人A,控訴人本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が
認められる。
⑴ア被控訴人は,平成18年7月4日,パソコン等の中古情報機器に係る事
業者の育成,中古情報機器市場の発展等を目的とする有限責任中間法人(名
称・「有限責任中間法人中古情報機器協会」)として設立された後,平成
20年12月1日に有限責任中間法人から一般社団法人へ移行し,平成2
4年5月22日,名称を「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協
会」に変更した。被控訴人は,その設立以来,「RITEA」の通称で,
事業活動を行っている(乙39)。
被控訴人は,パソコン等の情報機器のリユース・リサイクルに関連する
事業等を行う事業者を会員(正会員,準会員等)とし,正会員をもって社
員としている。正会員は,使用済み情報機器の買取り,販売,輸出等のリ
ユース・リサイクル取扱事業者,情報機器のデータ消去ソフトのソフトウ
ェアメーカー等で構成され,理事は正会員会社の取締役以上から,代表理
事は正会員会社の代表取締役から選任されていた。
イ控訴人は,被控訴人の設立当初から平成30年3月30日に解任される
までの間,被控訴人の専務理事兼事務局長の地位にあった。被控訴人の代
表者印は,事務局で保管されていた。
ウ控訴人は,平成26年6月16日,オン社を設立し,その代表取締役に
就任した。また,控訴人は,オン社の一人株主である。
被控訴人とオン社は,同月17日付け経営委託契約書(乙19)を作成
して,被控訴人がオン社に対し,被控訴人が実施する情報機器リユース・
リサイクル協会事務局運営に関する事項等の業務を委託し,被控訴人の定
時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月分は月額111万2
500円,平成27年1月分から4月分は月額112万3500円)を支
払う旨の経営委託契約を締結した。
⑵アBは,平成27年5月19日,被控訴人の代表理事に就任した後,平成
28年5月頃出身母体の正会員会社の代表取締役及び取締役を退任したが,
退任後も被控訴人の代表理事に留まっていることが判明したことを契機と
して,同年10月18日に開催された被控訴人の理事会(乙5)において,
Bの代表理事としての適格性の件の議案について審議がされた。
控訴人は,事務局長の立場でBの代表理事資格に問題があることを報告
しようとしたが,報告は中止となり,最終的には,Bは平成29年5月の
任期終了まで代表理事に留まること,代表理事の選出や会の運営等に関し
て「改善改革委員会(仮称)」で協議し,理事会で決定することの決議が
された。その審議の際,副代表理事のAを含む複数の理事が,Bが代表理
事に留まることについて反対の意見を表明した。
一方で,Bは,その当時,事務局長の被控訴人の給料が高額であること
や,代表理事が直接関与することなく決算報告書が作成されるなど事務局
における代表者印の取扱いを問題視していた。
イ(ア)控訴人は,平成28年11月ころ,Aを中心に新団体(一般社団法
人)を設立することを構想し,新団体の名称として「IoT機器3R協
会」を発案した。
オン社は,同月25日,弁理士を代理人として,「IoT機器3R協
会」の標準文字からなる本件商標の商標登録出願(本件出願)をした。
その後,オン社は,同年12月1日,上記弁理士に対し,本件出願の
出願手数料及び特許印紙代として合計7万9274円を支払った。
(イ)控訴人は,平成28年11月28日,A及び理事のCに対し,控訴
人作成の「一般社団法人電子機械機器3R協会」の活動目的のご報告
(案)」と題する書面(乙2の1の7~8枚目)を添付して,本文に控
訴人が同月25日に経済産業省情報通信課に説明に行き,新団体の名称
を「一般社団法人電子機械機器3R協会」とすることについて同意を得
た旨を記載したメールを送信した。
上記書面の「1.目的」には,「当協会は,パソコン等の情報機器の
3R,特にリユース・リサイクルの推進を目的に平成18年に設立した
「一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会」(RITEA)の
10年間の活動実績を踏襲しながら一層の発展拡大をめざし,情報機
器・通信機器を含む電子機器,家庭用電気機器,産業用機械機器等を総
称として「電子機械機器?」と名付け,電子機械機器の3Rの推進対応
をめざして平成29年4月に設立を行う団体です。」,「当協会は,個
人情報・企業情報等のデータ消去・破壊等のセキュリティ対策の実施を
前提に,特にいわゆるパソコン機能を内蔵しているモノの普及が拡大し
ている電子機械機器の3Rの推進による我が国への貢献を目的としま
す。」などの記載がある。
(ウ)Aは,平成28年11月29日,控訴人に対し,前記(イ)の書面に
関し,「協会名について下記の案では如何ですか?それとも直りませ
んか?電子機械機器→電子機械・機器もしくは電子機器機械でどうでし
ょう。」などと記載したメール(乙2の1の6枚目)を返信した。
また,Cは,同日,控訴人に対し,前記(イ)の書面に関し,「一点,
RITEAの名前を出していること及び10年の活動実績を踏襲という
ところが,新たな協会とRITEAとの関係性を示すものであり,後々
問題になりはしないかと危惧しますが,それ以外,現時点で役所に対す
る説明はこの程度でよいというのであれば,特に意見はございません。」,
「私,個人的にはXさんの進める新たな協会の設立および参加に賛同し
たいと思いますが,会社役員の立場として考えた場合,この設立目的で
はRITEAを脱会して新たな協会に参加するメリットもしくは必然性
を感じ得ません。」,「加えて,現時点で,Xさんの進退を含め,道を
狭める必要はない(新たな協会を4月に設立ありきとの一本で考えない
ほうが良いのでは)とも思います。」などと記載したメール(乙2の1
の9枚目)を返信した。
⑶ア平成29年4月20日に開催された被控訴人の理事会(乙28)におい
て,役員の資格(理事は正会員会社の取締役以上,代表理事は正会員会社
の代表取締役)を定める規定(乙25の29条)を新設する定款変更の議
案が可決され,Bは,Bの出身母体の正会員会社は次期の理事を辞退し,
Bは代表理事を退任する旨を表明した。
同年5月23日に開催された被控訴人の定時社員総会において,定款変
更の決議などのほかに,Aを代表理事に選任する旨の決議がされた。
イ控訴人は,平成29年7月11日,代表理事のAに対し,控訴人の個人
会社であるオン社名義で本件出願をした旨を伝えたところ,Aは,オン社
名義で本件商標の商標登録をすることは控訴人の事務局長の立場として
後々に問題となるなどと述べた。
オン社は,同月12日頃,オン社を譲渡人,被控訴人を譲受人とする同
月12日付け譲渡証書(乙6)を作成して,被控訴人に対し,本件出願に
より生じた権利(本件登録前権利)を譲渡した。
被控訴人は,同月13日,弁理士に委任して,本件出願の出願人名義を
オン社から被控訴人へ変更する旨の出願人名義変更届(乙7の2)を特許
庁に提出した(乙7の3)。
同月25日,被控訴人の預金口座から上記弁理士に対し,上記出願人名
義変更に係る名義変更手数料及び特許印紙代として合計1万3979円が
支払われた(甲15の1,乙8)。
ウ控訴人は,平成29年7月21日付けの「今後の当協会の方向性と取組
みについて(案)」と題する資料(乙29)を作成し,Aに交付した。同
資料には,以下のような記載がある。
(ア)「協会活動についての今後の方針について(案)」
「当協会は,平成18年7月の設立以来,情報機器=パソコンを中心
としたリユース・リサイクルに特化した活動を展開してきましたが,最
近では,モバイル機器に代表されるように,「インターネット機能を有
するすなわち「パソコン機能を内蔵するもの」」の機器・機械が多分野
で製品化され拡大しています。」,「これを意味する言葉がIoT
(InternetofThings)対応機器(IoT機器)ですが,もはやはやり
の言葉の領域を超えていると思われ,当協会としても積極的に対応すべ
き時代になったと考えています。」,「今後の方向性」として,「①現
状最も大きいビジネスである「リユースパソコン」市場等,既存の「単
体装置」ビジネスは維持・拡大。②IoT動向を考慮し,取扱い機器を
拡大。・現行の「情報機器」→「インターネット機能を有するすなわち
「パソコン機能を内蔵するもの」の機器・機械③低価格である「リユ
ース機器を活用・組み合わせたソリューション・サービス事例形態の普
及。・ネットワークからみでのデータ消去やAP等についてノウハウを
有する事業者との協力関係の構築が必要。」(13枚目)
(イ)「名称変更時の協会名イメージ」
「・以下の名称等を候補としてご提案を申し上げます。知名度があるR
ITEAの名称は,今後も使用。
機械関係の取扱いの場合は,名称に「機械」の名称の追記も必要とし
て検討。
①電子機器機械3R協会(××3R・RITEA®)(××3RA・
RITEA®)
②IoT対応機器機械3R協会(×××3R・RITEA®)(××
×3RA・RITEA®)
※なお,IoTからみの商標申請が多数発生しているため,抑えと
して最もシンプルな名前の「IoT機器3R協会」の名称について
は申請中」(20枚目)
⑷ア平成29年7月25日に開催された被控訴人の理事会(乙9)において,
「協会における今後の課題(案)について」と題する議案の審議がされ,
委員長をD副代表理事,委員をC理事ほか4名の理事とする委員会を開設
し,委員会が被控訴人の「知名度の向上(対外的要因)」と「協会内部充
実(対内的要因)について検討し,理事会へ報告する旨の決議がされた。
上記議案の資料(乙10)中の「1)知名度の向上(対外的要因)」の
項目には,「案2」として「情報機器リユース,リサイクルと言う限定し
た範囲の中だけでなくIoTに関連した分野の取り込みが可能か?を協議
する。」,「案3」として「異業種,他業界との連携ができるか?を協議
する。(リース業界,情報機器販社,機械業界,建設業界,家電業界,等)」,
「案4」として「上記2案,3案に付いて,可能ならば協会名を変更する。」
などの記載がある。
上記委員会の名称は,「RITEA運営実行委員会」とされた。
イ被控訴人は,平成29年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権
の設定登録)を受けた。
ウ平成29年8月22日に開催された被控訴人の理事会(乙11)におい
て,「RITEA運営実行委員会合意事項承認の件」の議案について審議
がされ,可決された。上記理事会で承認されたRITEA運営実行委員会
の合意事項(乙12)は,次のとおりである。
「合意事項
①定款の変更
法務局からの指摘事項の変更(署名方法)
専務理事が事務局長を兼務することを削除
事務局長の任免を社員総会決議から理事会決議に変更
②事務局の体制の枠組みを作り,その中で事務局を運営する
給与体系の制定(同時に外注形式の撤廃)
退職年齢の制定
年間スケジュールと事務局の業務の明確化
③その他(略)」
⑸ア控訴人は,平成29年8月25日頃までに,本件出願手続をした弁理士
に対し,本件商標を控訴人名義に変更する手続に必要な書類の作成を依頼
し,上記弁理士は,同月25日,控訴人に対し,本件商標の登録証ととも
に,名義変更手続に必要な委任状及び譲渡証書を送付した(乙13)。
上記弁理士は,同年7月14付けの被控訴人あての登録査定に係る納付
手数料及び特許印紙代の合計4万2579円を請求額とする請求書(乙1
4)を作成して,控訴人に送付したが,控訴人の指示により請求先を控訴
人個人とした同日付けの同内容の請求書(乙3)を改めて作成し,控訴人
に送付した。
控訴人は,同年8月31日,上記請求額の支払をした。
イ控訴人は,被控訴人の事務局で保管されていた被控訴人の代表者印を用
いて,前記アの「譲渡証書」の譲渡人欄の被控訴人名下に被控訴人の代表
者印を押印するなどして,譲渡人を被控訴人,譲受人を控訴人とする平成
29年9月11日付けの本件商標権の「譲渡証書(付:単独申請承諾書)」
(本件譲渡証書。甲4)を作成した。
控訴人の代理人の弁理士は,本件譲渡証書を原因証書として,本件商標
権の移転登録申請(甲5)をした。
本件商標権について,被控訴人から控訴人への本件移転登録(受付日同
月14日)が経由された。
ウ控訴人は,平成29年9月19日,本件登録前権利の移転に伴う手数料
及び振込手数料(合計1万4087円)に相当する金額を被控訴人の預金
口座に入金した(甲15の2,乙17)。
⑹ア平成29年11月15日,RITEA運営実行委員会で協議がされた。
その協議事項は,「ON社との業務委託契約の解除(民法651条)」,
「事務局の給与について上限600万円とし支給額は理事会で個別に決
定する」,「代表理事の印鑑の適正な保管(定款では,事務局が管理)
現状はX氏の個人管理×」などであった(乙19の9枚目)。
イ控訴人は,平成29年11月16日,「IoT3R」の標準文字からな
る商標について商標登録出願(商願2017-151031号)をした(乙
19の10枚目)。
ウ平成29年12月12日に開催された被控訴人の理事会において,オン
社と被控訴人との間の経営委託契約を解除し,事務局の給与の上限を年6
00万円とする旨の決議がされた(乙19の2枚目,9枚目)。
エ控訴人は,平成30年2月ころ,被控訴人の会員に対し,被控訴人を退
会し,設立準備中の新団体への入会を勧誘する旨の資料(「今後の活動の
方向性について(案)(「残された個人・企業情報の消去破壊を前提とし
たIoT対応製品でのリユース・リサイクル促進」平成30年2月準備会)
を配付した(乙19の12枚目ないし19枚目)。
被控訴人らの理事らは,同年3月6日頃,控訴人に対し,被控訴人の会
員の連絡先等に関する資料や被控訴人の代表者印をA代表理事に引き渡す
よう求めたが,控訴人は,これを拒絶した(乙19の1枚目ないし3枚目)。
オ平成30年3月30日に開催された被控訴人の臨時社員総会において,
控訴人を専務理事兼事務局長から解任する旨の決議がされた。
⑺ア控訴人は,平成30年4月10日,「一般社団法人IoT対応3R協会」
(その後平成31年4月1日に「一般社団法人IoT3R協会」に名称変
更)(控訴人新法人)を設立し,同年5月21日,その代表理事となった
(乙49)。
イ被控訴人の代理人弁護士は,平成30年5月30日付け内容証明郵便(乙
21)で,控訴人に対し,本件商標権に基づいて,本件移転登録の抹消,
本件商標及びこれに類似する商標,商号,名称その他の表示の使用の停止,
「IoT3R」,「IoT対応3R等」の商標の商標登録出願の取下げ又
は被控訴人への無償譲渡,控訴人新法人の活動停止及び解散等を求める旨
の請求をした。
ウ被控訴人は,平成30年9月5日,原審に本件訴訟を提起した。
2争点1(本件移転登録の登録保持権原の有無)について
⑴控訴人は,平成29年8月22日,被控訴人の当時の代表理事のAの指示
により,被控訴人とオン社は,本件登録前権利の譲渡に係る契約を合意解除
し,被控訴人がその原状回復義務の履行として本件商標権を控訴人に移転す
る旨の合意(本件返還合意)をし,本件移転登録は,本件返還合意に基づい
て経由された旨主張するので,以下において判断する。
ア控訴人の原審における供述(乙31の陳述書を含む。以下同じ。)中に
は,①平成29年8月22日,専務理事が事務局長を兼務することを定め
た定款規定の削除,事務局の給与体系の制定,退職年齢の制定等のRIT
EA運営実行委員会の合意事項の承認決議がされた被控訴人の理事会が終
了した後,他の理事と一緒に外出したAが,10分ないし15分後にトイ
レを借りに被控訴人の会議室に一人で戻って来た,②控訴人は,その際,
Aに対し,本件商標の取扱いについて理事会にどうして上程してくれなか
ったのかと問い掛けたところ,Aは「使わなくなった」旨答えたので,「そ
れでしたら商標を返してください」と言ったところ,Aは,「Xさんに返
します。ただし,その費用については,RITEAでは払えない」旨述べ
たので,「それではすぐに私のものに商標を戻させてください」,「そう
いう行動をします」旨述べた,③Aが「使わなくなった」旨述べのは,A
が被控訴人の理事に本件商標についていろいろと説明したが,相手の理事
がAの説明を理解できなくて,了解を得られなかったという意味であると
思った,④控訴人とAが二人で話をした時間は2,3分であり,話が終わ
った後,控訴人の手帳に備忘録をとった旨の供述部分(以下「控訴人の本
件供述部分」といい,それぞれの供述部分を番号に応じて「控訴人の本件
供述部分①」などという。)がある。控訴人の本件供述部分に沿うように,
控訴人の手帳(乙24)の2017年8月22日の欄には「15:00理
事会Aさんと商標戻しに関する打合せ」との記載がある。また,Eの陳
述書(乙30)中には,平成21年4月1日から平成30年3月31日ま
での間,被控訴人の事務局に在籍していたEは,平成29年8月22日の
理事会が終わってから15分くらい経過した後,Aが「トイレを借りるよ」
といって戻って来たので,「はいどうぞ」と答えた,トイレから出たAは,
会議室で控訴人と話していたようであった旨の記載部分がある。
しかしながら,他方で,証人Aの原審における供述(甲12の陳述書を
含む。)中には,Aは,平成29年8月22日の理事会が終わった午後4
時半頃,F理事及びC理事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プリンス
ホテルに向かい,午後8時頃まで同ホテルで3人で飲んでいた,Aが被控
訴人の事務所を出た後,事務所に戻ったことはなく,控訴人と話をしたこ
ともない旨の供述部分がある。
また,Cの陳述書(甲13)中には,上記理事会終了後,Cは,A及び
Fと一緒に,被控訴人の事務所を出て,徒歩で東京プリンスホテルに行き,
同ホテルで午後8時頃まで飲んでいたが,3人が被控訴人の事務所のビル
を出た後,Aがいったん事務所に引き返したことも,ホテルに到着した後
にしばらく席をはずしたこともない旨の記載部分がある。
そこで検討するに,証人Aの上記供述部分及びCの陳述書の上記記載部
分によれば,Aは,平成29年8月22日に開催された被控訴人の理事会
が終了した後,F理事及びC理事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プ
リンスホテルに向かい,同ホテルで午後8時頃まで飲酒したことが認めら
れる。
しかるところ,当時被控訴人の事務所が入っていた「ジー・イー・ジャ
パンビル」から東京プリンホテルまでの距離は約600m,徒歩約7分で
あること(乙37),東京プリンスホテルでトイレを利用することに支障
があったことをうかがわせる証拠はないことに照らすと,F理事及びC理
事と一緒に被控訴人の事務所を出て東京プリンスホテルに向かったAが,
「10分ないし15分後にトイレを利用するために一人で事務所に戻っ
た」旨の控訴人の本件供述部分①は,いかにも不自然である。また,同様
に,控訴人の本件供述部分①に沿うEの陳述書の上記記載部分も不自然で
ある。
イ(ア)次に,前記1の認定事実によれば,①控訴人は,被控訴人の設立当
初から平成30年3月30日までの間,被控訴人の専務理事兼事務局長
の地位にあり,事務局で保管されていた被控訴人の代表者印を管理して
いたこと,②控訴人が代表取締役を務め,その一人株主であるオン社と
被控訴人は,平成26年6月17日付けで,被控訴人がオン社に対し,
被控訴人が実施する事務局運営に関する事項等の業務を委託し,被控訴
人の定時総会で定める定額業務報酬(同年6月分から12月分は月額1
11万2500円,平成27年1月分から4月分は月額112万350
0円)を支払う旨の経営委託契約を締結したこと,③オン社は,平成2
8年11月25日,「IoT機器3R協会」の標準文字からなる本件商
標の商標登録出願(本件出願)をしたこと,④控訴人は,平成29年7
月11日,同年5月23日に被控訴人の代表理事に選任されたAに対し,
控訴人の個人会社であるオン社名義で本件出願をした旨を伝えたところ,
Aは,オン社名義で本件商標の商標登録をすることは控訴人の事務局長
の立場として後々に問題となるなどと述べたこと,⑤オン社は,同年7
月12日頃,被控訴人に対し,本件出願により生じた権利(本件登録前
権利)を譲渡し,同月13日,オン社から被控訴人へ出願人名義を変更
する旨の出願人名義変更届が特許庁に提出されたこと,⑥被控訴人は,
同年8月10日,本件商標の商標登録(本件商標権の設定登録)を受け
たこと,⑦同月22日に開催された被控訴人の理事会において,専務理
事が事務局長を兼務することを定めた定款規定の削除,事務局の給与体
系の制定,退職年齢の制定などを内容とするRITEA運営実行委員会
の合意事項を承認する決議がされたこと,⑧本件商標権について,受付
日を同年9月14日として,被控訴人から控訴人への本件移転登録が経
由されたこと,⑨控訴人は,本件移転登録前の同年8月31日,本件商
標の登録査定に係る納付手数料及び特許印紙代(合計4万2579円)
を弁理士に支払い,また,本件移転登録後の同年9月19日,被控訴人
の預金口座から弁理士に支払われた本件出願の名義変更に係る名義変更
手数料,特許印紙代及び振込手数料(合計1万4087円)に相当する
金額を被控訴人の預金口座に入金したことが認められる。
上記認定事実によれば,控訴人は,平成29年8月22日に開催され
た被控訴人の理事会において,専務理事が事務局長を兼務することを定
めた定款規定の削除,事務局の給与体系の制定,退職年齢の制定などを
内容とするRITEA運営実行委員会の合意事項を承認する決議がされ
たことにより,定款変更により専務理事と事務局長の兼務を禁止するこ
となどが被控訴人の理事会の方針として決まったものと認識し,定款変
更の総会決議がされた時点で専務理事兼事務局長に留まることはできな
いものと理解したものと認められる。また,控訴人の供述中には,上記
理事会において,D理事から,定款変更の件については,同年9月に臨
時社員総会を開催して審議する予定である旨の説明を受けた旨の供述部
分があることに照らすと,控訴人は,臨時社員総会が開催されて定款変
更の審議がされる可能性もあるものと考えたものと認められる。
しかるところ,控訴人の本件供述部分②は,控訴人がAに対し本件商
標の取扱いについて理事会にどうして上程してくれなかったのかと問い
掛けた際に,Aが,「使わなくなった」,「Xさんに返します。ただし,
その費用については,RITEAでは払えない」旨述べたというもので
あり,Aが述べたとする発言内容自体,具体性に乏しく,本件商標の取
扱いについて理事会に上程していない具体的な理由を明確に述べたもの
と理解することは困難である。
また,控訴人が本件供述部分③で述べる「使わなくなった」旨の発言
の意味も,Aが自ら説明したというものではなく,合理的な根拠や裏付
けがあるものではない。
(イ)一方で,平成29年7月25日に開催された被控訴人の理事会にお
いて審議された「協会における今後の課題(案)」と題する議案の資料
(乙10)中の「1)知名度の向上(対外的要因)」の項目には,「案
2」として「情報機器リユース,リサイクルと言う限定した範囲の中だ
けでなくIoTに関連した分野の取り込みが可能か?を協議する。」,
「案3」として「異業種,他業界との連携ができるか?を協議する。(リ
ース業界,情報機器販社,機械業界,建設業界,家電業界,等)」,「案
4」として「上記2案,3案に付いて,可能ならば協会名を変更する。」
などの記載があること(前記1⑷ア)に鑑みると,上記理事会が開催さ
れた当時,将来的に被控訴人のIoTに関連した分野の取り込みなどを
し,可能ならば被控訴人の名称を変更することはRITEA運営実行委
員会の検討事項の一つとされていたことが認められる。
加えて,被控訴人を商標権者とする本件商標の商標登録がされた同年
8月10日からRITEA運営実行委員会の合意事項を承認する決議が
された理事会が開催された同月22日までの間に,控訴人がAに対し商
標登録がされたことを報告したことを認めるに足りる証拠はないこと,
Aの供述中には,同年7月11日から同年8月22日までの間に,Aが
控訴人との間で本件商標について話をしたことはない旨の供述部分があ
ることに鑑みると,Aは,上記理事会が開催された当時,被控訴人が本
件商標の商標登録を受けた事実を認識していなかったものと認められる。
これらの事実に照らすと,そもそも,上記理事会の終了後に,Aが控
訴人に対し,被控訴人において本件商標を使用する可能性がなくなった
という趣旨で,「使わなくなった」旨述べること自体が不自然であり,
また,Aが被控訴人の理事に本件商標について説明したが,相手の理事
から理解を得られなかったことを理由に,「使わなくなった」旨述べる
ことも不自然である。
ウ以上によれば,控訴人の本件供述部分①ないし④は措信することができ
ない。同様に,控訴人の手帳(乙24)中の「15:00理事会Aさん
と商標戻しに関する打合せ」との記載も措信することができない。
また,そもそも,控訴人の本件供述部分②に係るAが述べたとする発言
内容から,Aにおいて,被控訴人とオン社が,本件登録前権利の譲渡に係
る契約を合意解除し,被控訴人がその原状回復義務の履行として,上記契
約の当事者とは異なる控訴人に対し,本件商標権を移転する旨の合意(本
件返還合意)をするよう指示したものと認めることは困難である。
他に被控訴人とオン社が本件返還合意をしたことを認めるに足りる証拠
はない。
したがって,被控訴人とオン社が本件返還合意をした事実を認めること
はできないから,本件移転登録は本件返還合意に基づいて経由されたとの
控訴人の前記主張は,採用することができない。
⑵控訴人は,平成29年8月22日,被控訴人の当時の代表理事のAの指示
により,被控訴人が控訴人に対し本件商標権を無償で譲渡(本件譲渡)し,
本件移転登録は,本件譲渡に基づいて経由された旨主張する。
しかしながら,前記⑴で説示したのと同様の理由により,控訴人の本件供
述部分①ないし④は措信することができず,他に本件譲渡の事実を認めるに
足りる証拠はない。
したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
⑶以上によれば,控訴人が本件移転登録について登録保持権原を有するもの
と認められない。
3争点3(本件請求の権利濫用の成否)(当審における控訴人の追加主張)に
ついて
控訴人は,被控訴人には本件商標の使用実態が全くなく,かつ,被控訴人の
「RITEA(リテア)」の通称により生じた被控訴人の社会的信用を活かす
ことと「IoT機器3R協会」の文字からなる本件商標を使用することは両立
し得ないため,被控訴人においては今後も本件商標の使用の予定を立てようが
ないのであるから,本件請求は,控訴人に対し,本件商標権の禁止権により本
件商標と類似の標章の使用を禁じることのみを目的とするものであり,権利の
濫用として許されない旨主張する。
しかしながら,①本件請求は,被控訴人が,控訴人に対し,本件商標権に基
づいて,本件移転登録の抹消登録手続を求めるものであって,本件商標と類似
の標章の使用の禁止を求めるものではないこと,②前記2⑶のとおり,控訴人
が本件移転登録について登録保持権原を有するものと認められないから,本件
移転登録と実体上の権利との間に不一致が生じており,本件請求を認めずに,
このような状態を維持することは,商標権の登録制度の公示機能を損なうこと,
③前記1⑷アの認定事実によれば,平成29年7月当時,将来的に被控訴人の
IoTに関連した分野の取り込みなどをし,可能ならば被控訴人の名称を変更
することは,RITEA運営実行委員会の検討事項の一つとされていたことが
認められることに照らすと,被控訴人は,本件商標を現在使用していないが,
将来使用する可能性があることを否定できないことに鑑みると,本件請求が権
利濫用に当たるということはできず,控訴人の上記主張は採用することができ
ない。
4結論
以上によれば,被控訴人の請求は理由があるから,被控訴人の請求を認容し
た原判決は結論において相当である。
したがって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文の
とおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官大鷹一郎
裁判官中村恭
裁判官岡山忠広
(別紙)商標権目録
登録番号商標登録第5970463号
商標IoT機器3R協会(標準文字)
出願日平成28年11月25日
設定登録日平成29年8月10日
指定商品第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,電気通信機器具,電
話機械器具,有線通信機械器具,搬送機械器具,放送用機械器具,
無線通信機械器具,無線応用機械器具,遠隔測定制御機械器具,音
声周波機械器具,映像周波機械器具,電気通信機械器具の部品及び
附属品,電子応用機械器具及びその部品,電子応用機械器具(「ガ
イガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器
具・産業用ベータートロン・磁気探鉱器・磁気探知機・地震探鉱機
械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・
超音波応用探知機・電子応用扉自動閉鎖装置・電子顕微鏡」を除く。),
電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算用プログラムを記憶さ
せた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,ガイガー計
数器,高周波ミシン,サイクロトン,産業用X線機械器具,産業用
ベータ―トロン,磁気探鉱器,磁気探知機,地震探鉱機械器具,水
中聴音機械器具,超音波応用測深器,超音波応用探傷器,超音波応
用探知機,電子応用扉自動閉鎖装置,電子顕微鏡,家庭用テレビゲ
ーム機おプログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記
憶させた電子回路及びCD-ROM,レコード,インターネットを
利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インター
ネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,
録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライ
ドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物,ダウンロ
ード可能なコンピュータプログラム,タブレット型コンピュータ」
指定役務第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこ
れらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案(広告
に関するものを除く。),電子計算機用プログラムの設計・作成又
は保守,ウェブサイトの作成又は保存,電子計算機・自動車その他
その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・
技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及
び説明,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算
機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネットセキュ
リティのためのコンピュータプログラムの作成又は保守に関する情
報の提供,通信ネットワークシステムのセキュリティ用プログラム
の設計・作成又は保存」
(別紙)移転登録目録
順位番号甲区2番
【特定承継による本権の移転】
受付年月日平成29年9月14日
受付番号014690
登録権利者X

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今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
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「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
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答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
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◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

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メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

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ITJ法律事務所 採用担当宛
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職種 事務職
時給 当社規定による
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経験不問です。

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