弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役八月及び罰金五万円に処する。
     被告人が右罰金を完納することができないときは金五百円を一日に換算
した期間被告人を労役場に留置する。
     原判決判示第三の罪につき被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人福田力之助の上告趣意第一点は判例違反をいうけれど、判例を具体的に示
していないから不適法であるばかりでなく、その実質は単なる訴訟法違反の主張を
出でないものであり、(旧刑事訴訟法事件の控訴審及び上告審における審判の特例
に関する規則八条参照)同第二点は単なる訴訟法違反の主張であり、(所論A、B
の始末書については原審公判で適法に証拠調のなされていることが認められる。)
同第四点は事実誤認の主張を出でないものであるから、いずれも上告適法の理由に
当らない。(同第三点は免訴にかかる罪に関する所論であるから説明を与える必要
を認めない。)
 職権を以て調査するに、原判決は判示第一の事実として、被告人が玄米五〇俵の
公定価格超過買受契約をしたこと、同第二の事実として右買受けた玄米の一部を七
回に亙り売渡契約をしたこと、同第三の事実として連続一罪をなす甘藷並澱粉の公
定価格超過買受契約をしたことを認定し、これ等を併合罪として処断しているので
あるが、右判示第三の罪は昭和二七年四月二八日政令第一一七号大赦令一条八七号
により赦免せられたのであるから、原判決はこの点で全部破棄を免れない。
 よつて刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四一一条五号、旧刑訴四四八条、四五五
条、三六三条三号により原判決判示第三の罪につき被告人を免訴すべく、また原審
の確定した判示第一及び第二の事実に法律を適用すると、行為時法によれば各物価
統制令三条、四条、三三条、昭和二二年一一月一日物価庁告示九六〇号及び同年一
二月一〇日物価庁告示一一〇八号に、裁判時法によれば前記各法条の外罰金等臨時
措置法二条に各該当するから、刑法六条、一〇条により新旧比照をなして軽い行為
時法に従うべく、情状により物価統制令三六条により同令三三条所定の懲役及び罰
金を併科すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条、一
〇条に従い前記懲役刑につき犯情の最も重いと認められる判示第一の罪の刑に法定
の加重をなし且つ同法四八条二項に従い各罰金はこれを合算併科することとし、そ
の懲役刑期及び罰金額の範囲内において被告人を懲役八月及び罰金五万円に処すべ
く、被告人が右罰金を完納することができないときは、同法一八条に従い金五百円
を一日に換算した期間被告人を労役場に留置すべきものとし主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 神山欣治関与
  昭和二八年三月一九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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