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裁判例


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平成15年(行ケ)第375号 審決取消請求事件(平成15年11月19日口頭
弁論終結)
判    決
    原    告       株式会社セント・ローラン
   同訴訟代理人弁護士    浅 井   正
   同     弁理士    足 立   勉
   同            石 原 啓 策
   被    告      ベアー ユー.エス.エー.インコーポレー
テッド
   同訴訟代理人弁護士    吉 武 賢 次
   同            宮 嶋   学
   同     弁理士    黒 瀬 雅 志
   同            小 泉 勝 義
    同            塩 谷   信
   主    文
   1 原告の請求を棄却する。
   2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の請求
 1 特許庁が取消2001-31307号事件について平成15年7月10日に
した審決を取り消す。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
第2前提となる事実(争いのない事実)
1特許庁における手続の経緯
 原告は、指定商品を商標法施行規則別表第25類「被服,ガーター,靴下止
め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特
殊靴」(以下「本件商品」という。)とし、別紙審決書の写し(以下「審決書」と
いう。)別掲(1)のとおり、「USABEAR」の欧文字及び「アズエーベー」の片
仮名文字を上下に2段書きした登録第4345622号商標(平成11年2月15
日登録出願、同年12月17日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者
である。
 被告は、平成13年11月19日、本件商標に対する登録取消審判の請求を
した。
 特許庁は、同請求を取消2001-31307号事件として審理した上、平
成15年7月10日、「登録第4345622号商標の商標登録は取り消す。」と
の審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月23日ころ、原告に
送達された。
 2 本件審決の理由 
 本件審決は、審決書記載のとおり、本件商標の通常使用権者である株式会社
岐阜武(以下「岐阜武」という。)が商品「ジャケット」について使用した審決書
別掲(2)記載の通常使用権者使用商標(以下「本件使用商標」という。)と審決書別
掲(3)記載の請求人使用商標(以下「請求人使用商標」という。)とが類似している
と判断した上、岐阜武による本件使用商標の使用が、本件商品についての本件商標
に類似する商標の使用であって、請求人(本訴被告、以下同じ。)の業務に係る商
品と混同を生じさせるものをしたというべきであり、被請求人(本訴原告、以下同
じ。)がその事実を知っていたものと認められるから、本件商標の登録が、商標法
53条1項の規定により、取り消されるべきであるとした。
第3 原告主張の審決取消事由の要点
 本件審決は、①請求人使用商標と本件使用商標とが非類似であるにもかかわ
らず、その認定判断を誤り(取消事由1)、②請求人使用商標が、他の先願商標よ
り後願であって無効であるにもかかわらず、この点を看過し(取消事由2)、ま
た、③被告の有する商標が、第三者の図形を盗用していて著作権の侵害であり、そ
の行使は権利の濫用である(取消事由3)から、違法として取り消されるべきであ
る。
 なお、本件審決の認定判断のうち、原告と岐阜武が本件商標に関する使用許
諾契約を締結し、岐阜武が本件商標に関する通常使用権者であること、岐阜武が本
件使用商標を商品「ジャケット」に使用していること、本件商標と本件使用商標と
が類似する商標であること、商品「ジャケット」が本件商品中の「被服」に含まれ
ること、請求人使用商標を付した被告の販売に係る「ジャケット」が、雑誌に宣伝
広告されており、この「ジャケット」と本件使用商標を使用した商品「ジャケッ
ト」とが、同一又は密接な関係にあること、原告が、上記の宣伝広告等から、被告
が請求人使用商標をジャケットに使用していた事実を知っていたこと(6頁14~
18行、同頁25行~7頁7行、同頁末行~8頁2行、同頁8~11行)は、いず
れも認める。
 1 請求人使用商標と本件使用商標との非類似(取消事由1)
(1) 本件審決は、本件使用商標について、「これに接する取引者、需要者は構
成中の「BEAR」の文字部分に着目して、この部分をもって商品の取引にあたる
ことも決して少なくないものとみるのが相当である。」(7頁13~16行)と認
定判断しているが、本件使用商標は、図形と一体となり、しかも、「USABEA
R」と一連に表示された不可分一体の商標であるから、本件審決が、「BEAR」
の文字部分にのみ着目して判断を下している点は誤りである。
(2) すなわち、本件審決は、「BABYBEAR/ベビーベアー」(登録第8
62065号商標、甲2)、「GOLDEN BEAR」(登録第1572840号
商標、甲3)、「ゴールデン ベアー」(登録第1572841号商標、甲4)、
「LITTLE BEAR」(登録第2239238号商標、甲5)、「FINE 
BEAR/ファイン ベア」(登録第2710434号商標、甲6)、「THREE
 BEARS」(登録第2705437号商標、甲7)、「ミニベアー/MINI 
BEAR」(登録第3135725号商標、甲8)、「BLACK BEAR」(登
録第4048833号商標、甲9)、「PETIT BEAR」(登録第41526
20号商標、甲10)、「The Blue Bear」(登録第4375925号
商標、甲11)、「OLD BEAR」(登録第4393619号商標、甲12)、
「DANDYBEAR」(登録第4532263号商標、甲13)などの登録商標
(以下「登録商標例1」という。)に示されるように、「BEAR」等と他の文字
を結合した商標の登録例が存することを全く考慮していないものである。
  このような特許庁における登録状況からみれば、熊等の動物名を使った標
章や「BEAR」に他の語句を付加した商標が種々存在するため、被服等の指定商
品について、需要者・取引者は、「BEAR」に付加された他の語句や図形等の差
異によって、種々存在する「BEAR(ベアー)」の商標を識別しているのである。
  この点は、東京高裁平成13年(行ケ)第395号事件判決(甲14)及び同
高裁平成13年(行ケ)第396号事件判決(甲15)並びに無効2000-3567
2号事件審決(甲17)及び無効2001-35015号事件審決(甲18)において
も、明確に指摘されている。
  また、本件審決は、「USA」の文字部分についても、一体となっている
という事情を全く考慮せず、この部分を抽出して、単に「米国」を意味すると判断
している(7頁11~12行)が、この判断も、「ジャック」(登録第65619
7号商標、甲19)と「USAJACK」(登録第3310755号商標、甲2
0)、「TEAM/チーム」(登録第2723948号商標、甲21)と「team
 USA」(登録第3347272号商標、甲22)、「EST」(登録第1030
058号商標、甲23)と「ESTUSA」(登録第2517069号商標、甲2
4)、「RFU」(登録第1950478号商標、甲25)と「USARFU」(登
録第2325313号商標、甲26)などの登録商標(以下「登録商標例2」とい
う。)を全く無視した誤ったものである。
  さらに、原告の有する登録第4536505号商標(甲27、以下「原告
登録商標」という。)は、熊の図形と「USBEAR」の文字部分からなる不可分
一体の商標であるが、このように本件使用商標と枠内の「A」の1字のみが相違す
る商標が、請求人使用商標と混同を生じるような商標とは判断されず、商標登録さ
れている事実を考慮すべきである。
(3) 以上のような商標の登録状況や判決及び審決の考え方からすれば、「BE
AR」に一体に付加された「USA」の文字や、原告所有商標権(甲16)の対象で
ある熊の図形と請求人使用商標の図形の差異によって、本件使用商標と請求人使用
商標とは、容易に識別が可能であり、何ら類似することのない商標であるから、商
品の出所の混同を生じるようなことはない。
  したがって、本件使用商標の使用は、商標法53条1項の規定に該当せ
ず、本件商標を取り消すことはできない。
 2 先願商標に基づく請求人使用商標の無効(取消事由2)
 請求人使用商標と同様の、「ベアー」の称呼及び熊の観念を生じる登録第3
335699号商標及び第3335700号商標(いずれも平成6年12月1日登
録出願、平成9年8月1日設定登録、甲28、以下「本件先願商標」という。)
は、請求人使用商標並びに被告の有する登録第4298088号商標、登録第42
87330号商標、登録第4419412号商標及び登録第4345512号商標
(以下「本件被告商標」という。)の先願となる。
 したがって、請求人使用商標は、明確な無効理由を有するものである。
3 著作権侵害による権利の濫用(取消事由3)
  被告の有する前記登録第4419412号商標及び登録第4345512号
商標は、雑誌「93 BUYER′S GUIDE」(甲29)に掲載された広告
中の図形(以下「本件広告図形」という。)と酷似しているから、被告は、第三者
の図形を盗用している。
  このような盗用した商標権に基づいて権利を主張することは、権利の濫用で
ある。
第4 被告の反論の要点
   本件審決の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由にはいずれも理由
がない。
 1 取消事由1について
(1) 本件審決は、本件使用商標と請求人使用商標との類否を判断するに当た
り、「BEAR」の文字部分にのみ着目して判断を下しているわけではないから、
原告の主張は、その前提において誤っており理由がない。
  すなわち、本件審決は、両商標の「BEAR」又は「Bear」の文字部
分から「ベア」又は「ベアー」の称呼が生じるとともに、「熊」の観念が生じるの
で、両商標は、「ベア」又は「ベアー」の称呼及び熊の観念を共通にすると認定し
ているが、更に続けて、外観についても検討した上、両商標は全体として酷似した
印象を受け、時と所を異にして離隔観察すると、外観上見誤るおそれがあるものと
判断している(7頁24~35行)。
  このように、本件審決は、文字部分から生じる称呼及び観念についての類
否のみならず、図形を含めた外観についての類否を判断し、その上で、「通常使用
権者使用商標と請求人使用商標とは、称呼、観念及び外観において極めて紛らわし
いものであり、通常使用権者使用商標は、請求人使用商標を連想観念させるもので
ある」(7頁36~38行)としたものであって、極めて妥当である。
  しかも、本件審決が認定するように、本件使用商標を使用した商品「ジャ
ケット」と請求人使用商標を使用したジャケットとは、同一又は密接な関係がある
商品であるから、岐阜武による「ジャケット」についての本件使用商標の使用は、
被告の業務に係る商品であるかのように取引者、需要者に商品の出所の混同を生ず
るものをしたというべきであり、本件審決の判断に何ら違法はない。
(2) 原告は、東京高等裁判所の判決(甲14、15)を挙げて、本件審決がこ
れらの判決の判断とは異なるものであり、登録状況の判断を誤っていると主張す
る。
  しかし、上述したように、本件審決は、本件使用商標と請求人使用商標に
ついて、「ベアー」又は「ベア」の称呼及び「熊」の観念を共通にすることのみに
基づいて類似すると判断したのではなく、両商標の図形を含めた外観についても考
察を加えた上、両商標が、全体として酷似した印象を受けるから、外観上見誤るお
それがあると認定しているのであり、正に上記各判決と同様の判断過程を経て類似
するとの結論を導いたのである。
 2 取消事由2について
 原告は、請求人使用商標が明確な無効理由を有すると主張するが、商標法5
3条1項は、「他人の業務に係る商品…と混同を生ずるものをしたときは、」と規
定しているのであって、請求人使用商標が登録商標であるか否かは同条の要件では
ない。
 したがって、原告の主張は、本件審決の取消事由とはなり得ない。
3 取消事由3について
 原告の主張は、本件審決の取消事由とはなり得ない。
 なぜなら、商標法53条1項は、登録商標を使用する側の行為を問題として
いるのであり、何人も同条に基づき登録商標の取消しを請求できるのである。した
がって、請求人側の事情は考慮されるべきではない。
第5 当裁判所の判断
 1 請求人使用商標と本件使用商標との非類似(取消事由1)について
(1) 原告は、本件審決が、本件使用商標について、「これに接する取引者、需
要者は構成中の「BEAR」の文字部分に着目して、この部分をもって商品の取引
にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。」と認定判断したこ
とについて、本件使用商標が、図形と一体となり「USABEAR」と一連に表示
された不可分一体の商標であるにもかかわらず、「BEAR」の文字部分にのみ着
目して判断を下している点で誤りであると主張し、「BEAR」等と他の文字を結
合した商標として、登録商標例1を例示する。
  しかしながら、本件審決は、上記文字部分の検討に続いて、「外観におい
ても、通常使用権者使用商標において、外観上看者の目を引く部分は、熊の図柄の
後方に「USABEAR」の文字を囲んだ枠を配置し、両者の輪郭線を連続させて
両者を一体化させたところであるが、請求人使用商標も、同様に、熊の図形の後方
に「Bear」の文字を囲んだ枠を配置して両者の輪郭線を連続させて一体化させ
たものとなっている。そうすると、通常使用権者使用商標と請求人使用商標とは、
熊の図形が右向きか左向きか、また、「USABEAR」と「Bear」の文字の
相違はあるものの、外観上の要部は、熊の図形の後方に欧文字を囲んだ枠を配置し
て両者の輪郭線を連続させて一体化させたところというべきであり、両商標は全体
として酷似した印象を受けるものであるから、時と所を異にして離隔観察するとき
は、外観上彼此見誤るおそれがあるものとみるのが相当である。」(7頁24~3
5行)と認定判断しており、外観に関しても具体的かつ詳細に検討を行っているか
ら、文字部分のみに着目しているわけではなく、原告の本件審決に対する上記非難
は、必ずしも正鵠を得たものとはいい難い。
  そして、本件審決は、本件使用商標の「USABEAR」の文字部分につ
いて、「その構成中の「USA」の文字は、「米国」を意味するものとしてよく知
られているといえるものであり、商品の生産地又は販売地を表示したものと認識さ
れるものであるから、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需
要者は構成中の「BEAR」の文字部分に着目して、この部分をもって商品の取引
にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。」(7頁11~16
行)と認定判断するところ、上記説示は、正当な指摘と解されるが、念のため、本
件使用商標の文字部分全体と請求人使用商標の文字部分全体とを対比検討する。
(2) まず、本件使用商標の文字部分は、「USABEAR」のレタリングされ
た欧文字とその下に「USA」のゴシック体の欧文字を2段書きしたものである
(本件商標の構成中の下段の「アズエーベー」は、意図的に除外されている。)か
ら、本件審決の認定するように「ベア」又は「ベアー」の称呼が生じるだけでな
く、「ユーエスエーベアユーエスエー」又は「ユーエスエーベアーユーエスエー」
の称呼、あるいは、上記称呼がやや冗長であるため、上段のみの文字部分から、
「ユーエスエーベア」又は「ユーエスエーベアー」の簡略な称呼が生じるものと認
められる。また、観念についても、、本件審決の認定するように「熊」の観念が生
じるだけでなく、「米国(製)の熊」の観念が生じるものと認められる。
  他方、請求人使用商標の文字部分は、「Bear」のレタリングされた欧
文字とその右横に「USA」のゴシック体の欧文字を横向き(下が「U」上が
「A」)に書したものであるから、本件審決の認定するように「ベア」又は「ベア
ー」の称呼が生じるだけでなく、「ベアユーエスエー」又は「ベアーユーエスエ
ー」の称呼、あるいは、「ユーエスエーベア」又は「ユーエスエーベアー」の称呼
が生じるものと認められる。また、観念についても、本件審決の認定するように
「熊」の観念が生じるだけでなく、「米国(製)の熊」の観念が生じるものと認め
られる。
  そうすると、本件使用商標の文字部分全体の簡略な称呼と請求人使用商標
の文字部分全体の称呼とは、同一又は類似し、観念も同一であると認められるか
ら、両商標が、称呼及び観念において極めて紛らわしいとした本件審決の結論に誤
りはないといわなければならない。
  また、「BEAR」「Bear」「ベア(ー)」などの文字と他の文字が
結合した商標である登録商標例1は、いずれも当該他の文字部分が全く相違するも
のである(同一出願人に係る登録第1572840号商標と登録第1572841
号商標を除く。)から、「BEAR」「Bear」の文字部分のみならず、他の文
字部分「USA」も共通する本件使用商標と請求人使用商標との対比検討の参考と
なるものではない。同様の理由により、原告の指摘する裁判例(甲14、15)及び
審決例(甲17、18)も、事案を異にするものであって、上記対比検討に影響を及
ぼすものではない。
(3) 原告は、本件審決が、本件使用商標の一体性を考慮せず、「USA」の文
字部分を抽出して、単に「米国」を意味すると判断していることが、登録商標例2
を無視した誤ったものであると主張する。
  しかしながら、本件使用商標と請求人使用商標とは、「USA」の文字部
分をも共通する点で、登録商標例2の各事案とは異なるから、これらの商標例も類
否判断の参考とならず、この点に関する原告の上記主張も採用することができな
い。
  また、原告は、本件使用商標と枠内の「A」の1字のみが相違する原告登
録商標が、請求人使用商標と混同を生じるような商標とは判断されず、商標登録さ
れている事実を考慮すべきであると主張する。
  しかしながら、本件使用商標と請求人使用商標とが、称呼、外観及び観念
において極めて紛らわしいことは、前示のとおりであり、このような認定判断が、
過去の登録商標の一例によって左右されるものではなく、また、原告登録商標の登
録が、請求人使用商標と対比検討された上で行われたと認めるに足る証拠もないか
ら、原告の主張を採用する余地はない。
(4) 以上のとおり、本件使用商標と請求人使用商標とが極めて紛らわしく、本
件使用商標が請求人使用商標を連想観念させるものである以上、岐阜武による商品
「ジャケット」についての本件使用商標の使用により、請求人使用商標をジャケッ
トに使用していた請求人の業務に係る商品であるかのように取引者、需要者に商品
の出所の混同を生ずるとした、本件審決の認定判断(8頁3~6行)に、誤りはな
いといわなければならない。
 2 先願商標に基づく請求人使用商標の無効(取消事由2)について
   原告は、請求人使用商標及び本件被告商標が、「ベアー」の称呼及び熊の観
念を生じる本件先願商標(甲28)の後願となるから、明確な無効理由を有するも
のであると主張する。
   しかしながら、本件審決は、商標法53条1項に基づいて本件商標を取り消
すものであり、同条項は、「他人の業務に係る商品…と混同を生ずるものをしたと
き」と規定しているところ、本件審決は、上記商品の出所の混同の有無を判断する
前提として、当該「他人の業務に係る商品」の現実の使用態様として請求人使用商
標が使用されていた旨を認定するものであり、その際、請求人使用商標が登録商標
であるか否かは問題とならないから、当該商標が無効理由を有するとする原告の主
張は、それ自体失当なものといわなければならない(なお、本件審決は、本件被告
商標に関する認定判断を行うものではない。また、請求人使用商標については、登
録出願がなされたわけではなく、また、その使用の開始の日時に関する主張立証も
なされていないから、「後願」となる旨の主張自体も、明らかに失当なものであ
る。)。
 したがって、原告の上記主張は、到底、採用することができない。
 3 著作権侵害による権利の濫用(取消事由3)について
 原告は、被告の有する前記登録第4419412号商標及び第434551
2号商標が、雑誌(甲29)に掲載された本件広告図形と酷似しているから、この
ような盗用した商標権に基づいて権利を主張することは、権利の濫用であると主張
する。
 しかしながら、被告は、上記登録商標に係る商標権に基づいて本件商標に対
する登録取消審判の請求をしているわけではないから、上記主張は明らかにそれ自
体失当である。
 したがって、原告の上記主張もまた、これを採用する余地はない。
 4 結論
   以上のとおり、原告主張の取消事由にはいずれも理由がなく、その他本件審
決にこれを取り消すべき瑕疵は認められない。
   よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のと
おり判決する。
 東京高等裁判所第3民事部
    裁判長裁判官  北  山  元  章
         裁判官  青  柳     馨
裁判官  清  水     節
           

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