弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件特別抗告を棄却する。
         理    由
 所論は原決定が憲法三七条一項の公開の裁判に反するというのであるが、一たん
公開公判手続を経た確定判決に対する再審を開始するか否かの手続は、公判そのも
のではなく憲法にいわゆる「裁判の対審」ではないと解しうべきことは当裁判所の
判例の趣旨とするところであるということができる(昭和二三年(つ)二五号同年
一一月八日、刑集二巻一二号一四九八頁)から違憲の主張は前提を欠き、所論はそ
の余の論旨を含みすべて特別抗告適法の理由に当らない。(再審は確定判決の効果
を動かすものであるから、法は厳格な要件の下においてのみその開始を許すのであ
る。刑訴四三五条六号にいう「明らかな証拠」というのは証拠能力もあり、証明力
も高度のものを指称すると解すべきであつて、被告人の弁護人宛の事件を否認する
書信の如きは証拠能力の点からいつても、また証明力の点からいつても到底「明ら
かな証拠」ということはできない。更に同号の「原判決において認めた罪より軽い
罪」というのは当裁判所判例(昭和二八年一〇月一五日第一小法廷決定刑集七巻一
〇号一九二一頁)のいうとおり法定刑の軽い犯罪をいうものであつて心神耗弱の主
張を含まないものである。その点の原判断には違法はない。)。
 よつて刑訴四三四条、四二六条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり
決定する。
  昭和三三年五月二七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己

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