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裁判例


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平成30年3月16日宣告

判決
主文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,かねてより自分は生きていても仕方がないと思い悩んでいたところ,
夫であるBが現に住居として使用し,かつ,同人が現在する札幌市a区・・・・・
当時の被告人方(木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建,床面積合計107.64平方メー
トル)に放火して自殺しようと考え,平成29年7月3日午前1時45分頃,同所
1階和室において,押し入れ内の毛布上に置いた新聞紙にマッチで点火して火を放
ち,その火を押し入れ,壁等に燃え移らせ,よって,同和室等を焼損(焼損床面積
約40平方メートル)した。
なお,被告人は,その犯行当時,精神病症状を伴わない重症うつ病に罹患してい
たため心神耗弱の状態にあった。
(法令の適用)
罰条刑法108条
刑種の選択有期懲役刑を選択
法律上の減軽刑法39条2項,68条3号(心神耗弱)
未決勾留日数の算入刑法21条
刑の執行猶予刑法25条1項
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
被告人は,深夜,一般住宅等が立ち並ぶ住宅街に位置する自宅において,燃えや
すい新聞紙に直接火を放ったものであり,当時,火を放った和室の隣室には,ほぼ
目の見えない夫も寝ていた。このような被告人の本件犯行は,夫はもちろん,近隣
住民の生命及び身体も危険にさらす行為であり,その危険性は高い。そして,本件
犯行により,夫が所有する被告人の自宅は約40平方メートルという比較的広範囲
にわたり焼損するなどの財産的損害が発生した。ただ,被告人が犯行後すぐに夫を
起こして逃げるよう伝えたこともあって,早い段階で鎮火され,幸いにも人的被害
や隣家への延焼等の重大な結果は生じなかった。次に本件犯行の動機・経緯を見る
と,被告人は,数年前から重症化していたうつ病の影響下で自殺念慮が高まり,衝
動的に本件犯行に及んだものであり,被告人を強く非難することはできない。これ
らの事情に照らすと,本件は,現住建造物等放火の事案の中で比較的軽い事案とい
うべきである。
さらに本件では,夫に対し,1150万円の火災保険金が支払われており,本件
犯行による財産的損害の一部は填補されている。また,夫は,被告人の心情や病状
等を理解し,被告人を許している。加えて,被告人が再びこのような行為に及ばな
いためには,うつ病に対する適切な治療を要すると考えられるが,被告人の夫や長
女はその必要性を理解し,今後の支援を約束している。他方,被告人も事実関係を
認めた上,夫や近隣住民に対する謝罪の言葉を述べるなど本件犯行を反省し,今後,
医療機関の助力を得るなどしてうつ病の治療に向き合っていきたい旨述べている。
以上の事情を考慮すると,被告人に対しては,心神耗弱による法律上の減軽をし,
主文の刑に処した上で,その刑の執行を猶予することが相当である。
(求刑懲役4年)
平成30年3月16日
札幌地方裁判所刑事第2部
裁判長裁判官中桐圭一
裁判官向井志穂
裁判官遊間洋行

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