弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人植木昇の上告趣意第一点について。
 論旨は、事実誤認、又は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。(一件記録竝びに原審で取り調べた証拠によれば、(2)岡山県
苫田郡a村、b村、c村の三ケ村は、昭和二二年三月頃共同で新制中学校を設置す
ることとなりa村外二ケ村中学校組合規約が適法に作成されたこと、(2)組合関
係者は、当時組合設立許可の申請書類が提出されたものとして行動していたこと、
(3)昭和二二年五月九日岡山県告示二五八号を以て岡山県知事から同年三月三一
目附で岡山県苫田郡c村、a村、b村学校組合立d中学校の設立認可を受け、その
後組合議会決定の校地に新校舎が建築されたこと、(4)右建物整備補助金として
岡山県教育委員会から補助金を交付されたこと、(5)昭和二四年三月三一目附を
以て岡山県知事から右学校整備費として八〇万円の起債を許可する旨の指令のあつ
たこと、(6)被告人Aは、昭和二四年二月二〇日、同Bは、同年四月二一日右学
校組合の組合会議員に挙げられ、いずれも同組合の学校建築委員で且つその常任委
員として組合会議に出席し学校建築の事務にも関係していたこと等を認めることが
できる。以上の諸事実に徴すれば、本件学校組合は、前記(3)の組合立中学校の
設立認可を受けた当時、岡山県知事の許可により、法律上有効に設置されたものと
認めるのが相当である。されば、原判決が本件組合を法律上未だ設立過程中の学校
組合としたことは、失当ではあるが、被告人等を刑法七条にいわゆる公務員と解し
たのは、結局正当に帰するから、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。)
 同第二点について。
 昭和二五年法律一〇一号公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理等に関
する法律三条(9)項、同法律附則等によれば、昭和二五年五月一日以降所論学校
組合の会議員と村会議員との兼職が禁止されたことは、所論のとおりであるが、同
法律三三条によれば、同法施行の際現に二以上の地方公共団体の議会の議員を兼ね
ている者については、これらの職を兼ねている間に限り第三条に規定する地方自治
法九二条二項の改正規定を適用しない旨規定しているから、原判決のこの点に関す
る説示は失当であるけれども、本件につき右自治法の改正規定の適用あることを前
提とする所論は、採用できない。
 よつて、刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三二年二月七日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    入   江   俊   郎

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