弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告理由第一点について。
 地方税法二九五条一項一号にいう「前年中」の意義がいわゆる「前年度中」を指
すものではなく、前年の一月一日から一二月三一日までを意味するものであること、
原判決が判文中数箇所において「前年度」の用語を使用していることは、所論のと
おりである。
 しかし、原判決が「前年度中」なる用語をとくに「前年中」と区別して使用した
形跡はなく、これと同義に用いたものと解すべきであるから、所論は採るに足りな
い。
 同第二点について。
 論旨(末段部分を除く。)は、被上告人が所得の根源としての農業に従事してい
たというためには、被上告人が重労働しての農耕以外の軽作業に従事していた場合
でも足り、また本業以外の副業に従事していたことでも十分であり、さらに、必ず
しも業として農業に従事していたことを必要とせず、また消極的な形で夫の農業経
営に寄与したことでも足りるのであるから、原審証人の証言から、被上告人がこれ
らの形で農業に従事していたことは十分認められるはずであるのに、原審がかよう
な認定をしなかつたことは実験則に反するというのである。
 しかし、原審の認定するところによれば、被上告人の夫Dは、田畑二反余を所有
し、主として日傭人夫を使用して農耕に当らしめ、自らは単にこれを指図するとい
う形で農業を営み、被上告人はDの妻として、お茶くみや食事の世話程度の仕事を
していたに過ぎないというのであり、この認定が経験則に反するということはでき
ない。右認定事実によれば、被上告人は、夫Dと共同経営者の立場で農業を経営し
ていたといい得ないのはもとより、Dの農業経営の直接の補助者として農業に従事
していたともいい得ず、同人は、単に農業経営者たるDの家庭において家事労働に
従事することによつて、せいぜい、間接にDの農業経営に寄与していたに過ぎない
ものというべきである。かような場合、わが国今日の社会観念によれば、農業経営
による収入は、もつぱら、夫Dの所得であつて、被上告人には、農業による所得は
なかつたと解さざるを得ない。この関係は、あたかも、一般勤労者や事業者の妻が
家庭において家事労働に従事することにより間接に夫の勤労従事や事業経営に寄与
している場合と異なるものではなく、わが国今日の社会観念では、かような場合、
所得はもつぱら夫の所得とされ今日の税法体系も、このような社会観念を前提とし
ていることは明らかである。本件において、被上告人が茶くみや食事の世話をして
いたとしても、同人の労働は、一般の家事労働の域を出るものとは認められないか
ら、原審が被上告人に独立の所得がなかつたと判断したことは正当であり、論旨は、
原審の事実認定を攻撃するのでなければ、原審の認めないとする事実を前提とし、
独自の見解に立つて原判決を攻撃するものであつて、採るに足りない。
 論旨末段部分は、採証法則違反を云為しているが、論旨の主張する乙号証だけで
は、被上告人が実際に農業に従事していたものと認むるに足りないことは、原審の
判断するとおりである。
 同第三点について。
 論旨前段部分は、原判決には地方税法の解釈を誤つた違法があると主張するので
あるが、原審の認定した事実によれば、被上告人には農業による所得はなかつたも
のと解すべきであること、論旨第二点について説明したとおりであるから、原審が
被上告人には地方税法二九五条一項一号該当者として町民税を課することはできな
いとして本件賦課を取消したことはもとより正当であつて、原判決には所論の違法
はない。
 その他、論旨は課税の権衡を云為しているが、原審の認定によれば、夫Dの前年
中の所得は一〇万円以下であつて、その年令は六五才以上であり、妻には所得はな
いというのであるから、かような場合、夫が町民税を免除されるときは、妻も同時
に町民税を収めないこととなるのは、法の趣旨からいつて当然であつて、論旨が負
担権衡を云為して原判決を攻撃するのは、法の趣旨を誤解するのでなければ、原判
決の認めない事実を前提としてこれを非難するものであつて採り得ない。
 なお、本件課税処分が原判決のいうような理由で取り消されても、これによつて、
a町は単に特定人に対し特定年度の町民税収入を失うに過ぎないから、それが直ち
に公共の福祉に反するといい得ないことはいうまでもないところであつて、原審が
行政特例法一一条を適用しなかつたことは正当である。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛