弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人山口与八郎の上告理由第一について。
 原審の認定したところによれば、被上告人は上告会社に二〇〇万円を貸与し、こ
れが担保の方法として、本件建物を上告会社から被上告人に二〇〇万円で売渡し、
これが代金は右債務と相殺して決済を了したものであり、また右建物の売買は、登
記、買戻期限等につき原判示のような特約のある買戻約款附売買であるというので
あつて、右原判示は挙示の証拠に照らし首肯できる。これによれば、被上告人は本
件建物の所有権を取得するとともに、上告人の消費貸借上の債務は相殺決済によつ
て消滅し、上告人としては、売買代金二〇〇万円を弁済することによつて、本件建
物の所有権を回復しうることとなるのであつて、かかる契約もまた一種の担保形式
としてもとよりこれを是認すべきである。論旨は、原判示に副わない主張であつて、
原判決には所論の如き違法はない。
 同第二について。
 本件建物の資産評価が七七〇万円に達していることを証する証拠は何ら提出され
ていない。その他記録上所論の点に関する証拠の存在なく、原審が本件建物の昭和
二八年六月頃の価格が所論のようなものであることを認めるに足る確証なく、その
他本件売買契約が公序良俗に反したと認むべき事跡は窺われないとした判示は正当
と認める外はない。所論は採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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