弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2被告は,原告に対し,金755万6407円,平成16年12月5日限り金98万
8132円及び同年10月から本判決確定に至るまで毎月22日限り金46万859
2円を支払え。
3原告のその余の請求を棄却する。
4訴訟費用は被告の負担とする。
5この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1主文第1項と同旨
2被告は,原告に対し,平成15年10月から本判決確定に至るまで,毎月22日限
り金48万2592円,毎年3月15日限り金21万4270円,毎年6月15日限
り金96万6651円,毎年12月5日限り金91万3919円を支払え。
第2事案の概要
本件は,被告経営の専門学校に教師として雇用されていた原告が,被告より勤務先
のパソコンを使用してインターネット上のいわゆる出会い系サイトに投稿してメール
を送受信したことを理由として懲戒解雇されたことから,これが権利濫用で無効であ
ると主張して,雇用契約上の地位の確認及び未払いの賃金と賞与の支払を求めている
事案である。
1争いのない事実等
(1)ア原告は,昭和52年4月,被告の経営するα専門学校(以下「被告学校」と
いう)の前身であるβ専門学校の自動車科教師として採用され,平成8年4。
月1日,被告学校の自動車工学科進路指導課課長に就任し,本件当時,被告学
校の自動車工学科において教師として授業を担当するとともに,進路指導課長
を兼任していた。
イ被告は,私立の学校法人であり,久留米市内等において,γ大学,δ高等学
校,ε自動車学校及び被告学校を経営している。
(2)原告は,平成14年3月妻と離婚し,子供2名がおり,解雇される直前の平成
15年6月ないし8月に,被告学校から給与として月額48万2592円(うち
,,,基本給35万5400円管理職手当1万7700円扶養手当2万7400円
住宅手当2万7000円,技術手当2万8432円,能率手当1万0660円,
危険手当2000円,通勤手当1万4000円)を支給されていた(甲1の1な
いし3。なお,支給日は毎月22日であった。)
また,毎年3回,賞与(期末手当,勤勉手当)を支給されており,平成14年
12月の支給額は91万3919円(ただし,補習手当540円を含む,平。)
(,。),成15年3月の支給額は21万4270円ただし補習手当590円を含む
同年6月の支給額は96万6651円であった(甲1の4ないし6。なお,支)
給日は12月が5日,3月及び6月が15日であった。
(3)被告学校は,原告に対し,平成15年9月8日,同年7月18日及び同年8月
6日の勤務時間内において,私用でいわゆる出会い系サイトに被告のメールアド
レスでアクセスした行為が被告の服務規則第8条4項及び5項にあたり,被告の
名誉信用を傷つけたとして,同服務規則第73条3項により,処分が決定するま
での当分の間出席を停止し,謹慎を命ずる処分をした(以下「本件出勤停止」と
いう。甲3。)
(4)そして,同月25日,被告は原告に対し,いわゆる出会い系サイトヘの投稿や
これに基づく私的メールの送受信が被告の業務用のパーソナルコンピューターを
使用してもっぱら勤務時間中に多数回にわたってなされた行為が,被告の服務規
則第4条,第5条1項・2項,第6条2項・8項及び第8条4項に違反し,第7
5条1号及び18号に該当するとして,懲戒解雇の処分をした(以下「本件懲戒
解雇」という。甲7,8。その後,原告は,被告から給与1か月分の支給を受)
けたので,同年9月分の賃金の一部として受領した。
(5)被告の服務規則には,以下の定めがある(甲14。)
第4条(規則遵守の義務)
学園及び職員はこの規則を誠実に守りその義務を履行し相ともに協力し
て業績の発展に努めなければならない。ただし特別職職員及び教授にあっ
ては業務遂行上この規則の一部についてその適用を免除することがある。
第5条(服務の基本)
1職員は,一般社会,学校及び学生,生徒全体の奉仕者であって教育事業
の尊厳及び自己の使命を自覚し学園及び学校等の諸業務の効率的な運営に
よってこれを発展させもって社会に貢献することを念頭に置き自己の本分
を守り全力を挙げて職責の遂行に専念しなければならない。
,,2職員は常に品性を正しくし職能の向上に努め互いに人格を尊重し信義
礼節を重んじ相協力して職務を完うしなければならない。
3職員は職務の遂行に当たり,法令,規則及び諸通達を守り,所属上司の
職務上の命令,指示に従い忠実に職場の秩序を保持しなければならない。
第6条(職場の秩序維持)
2職員は勤務時間中定められた業務に専念し上司の許可を得ないでほしい
ままに職務を離れてはならない。
8職員は学園又は学校等の施設,設備,自動車,燃料,油脂,電動力その
他の財産又は物品を愛護節用し,いやしくもこれを不当に使用し棄却し,
毀損し,亡失し又は私用に供してはならない。又は学外に持出しあるいは
他人に使用させてはならない。
第8条(信用失墜行為の禁止)
4学内外を問わず職員としての品位,体面及び学校等の名誉信用を傷つけ
るような行為をしてはならない。
5学園,学校名及び職名等を不当不正に使用してはならない。
第47条(解雇又は降格)
1職員が次の各号の一に該当する場合は30日前に予告するか又は平均賃
金の30日分を支給して解雇し又は降職する。
(4)その他職務に必要な適格性を欠く場合
3天災事変その他やむを得ない事由のため,事業の継続が不可能となった
場合又は職員の責に帰すべき事由による場合は行政官庁の認定を受け直ち
に解雇し,かつ平均賃金の支給を行わないことがある。
第73条(懲戒の方法)
1懲戒の区分は次のとおりとする。ただし違反行為が軽微であって情状酌
量の余地がありかつ本人に改悛の情が明らかに認められるときは懲戒を免
じて「戒告」にとどめることがある。
(1)譴責
(2)減給
(3)出席停止
(4)諭旨退職
(5)懲戒解雇
3第1項の懲戒に該当する行為があった者に対してはその処分を決定する
前においても必要があるときは出勤を停止し謹慎を命ずることがある。
第75条(懲戒解雇,諭旨退職)
次の各号の一に該当する行為があった職員に対しては懲戒解雇若しくは諭
旨退職に処する。ただし情状によっては第73条の懲戒区分によって処分す
ることができる。
(1)学園,学校等の名誉信用を傷つけたとき。
(),。8正当な理由なく異動又は職種職務の変更等の業務命令を拒んだとき
(10)不法,不当の命令,指示を発し若しくは越権専断の行為によって学
園,学校等の秩序を乱し又は業務に支障を与え若しくは損害を与えた
とき。
(16)業務上の命令,指示に不当に反抗し職務上の規律を乱したとき。
(18)その他前各号に準ずる違反又は不都合な行為があったとき。
2争点
(1)本件懲戒解雇が有効か否か。
(2)未払賃金及び賞与の金額
3当事者の主張
(被告の主張)
(1)原告は,被告学校に勤務していた教師で,進路指導課長も兼務していた者であ
るが,原告の職分は,専門学校の教師として,知識・技術を教授するだけではな
く,学生生徒の人間性・人格の形成等についても深く関わるものであり,そこで
求められる職業上のモラルも教育者として自ずから高いものがあったというべき
である。
また,原告は,進路指導課長を兼務する管理職であり,その当時,原告の勤務
する被告学校の自動車工学科において,原告の上司として校長しかおらず,管理
(,,),職である3課長学生課長教務課長進路指導課長の中では最古参であって
自動車工学科で職場秩序の維持等について数少ない管理職としての重責を負って
いた。
(2)原告は,かかる立場にありながら,勤務時間内に,複数回にわたり,被告が運
営し,原告に割り当てたγ大学メールサーバーの業務用アドレス(XXXXX@
cc.YYYYY.ac.jp。以下「本件メールアドレス」という)を連絡。
,,,,先として次のアイを含め被告学校のパーソナルコンピューターを使用して
いわゆる出会い系サイトに交際相手を求める投稿を行うなど,合計8つの出会い
系サイトに書き込みをし,業務用アドレスを連絡先として登録して多数回にわた
(,,「」。)。り私的メールを送受信していた以下下記アイの投稿を本件投稿という
なお,本件メールアドレスには「YYYYY.ac.jp」との記載があり,,
γ大学メールサーバー内のアドレスであることが特定できる。
ア日付平成15年8月6日
投稿先ζ
内容「M嬢を探しています。経験,年齢は一切問いませんので少しでも
興味があればメール下さい。お互いの感性を知ることが大切ですの
でメールからゆっくり始めましょう。感性が合うM嬢と良きパート
ナーの関係が築けるようにお互いに努力して行きたいと思っていま
す。SMに少しでも興味があってマゾっ気の女性であればどなたで
もどうぞメール待っています」。
イ日付平成15年7月18日
投稿先ζ
内容「自分はMじゃないかな?またMですよって思っている女性の方,
先ずはお互いを十分理解するまでメール交換しましょう。話を重ね
ていく中でお互いの信頼が確立するまではプレーには入りませんし
貴女の嫌がる行為は基本的にしません。ソフトでもハードでもご要
望にお答えしますので,勇気を出して先ずメールを下さい。秘密厳
守しますので安心して下さい」。
(3)原告の使用していたパーソナルコンピューターのハードディスク内のメール送
受信記録には,平成10年9月21日から平成15年9月3日までの受信記録合
計1655件及び平成11年5月18日から平成15年9月4日までの送信記録
合計1331件があるところ,いわゆる出会い系サイトに関連すると判断される
ものが,受信メール815件,送信メール820件もあり,原告の送受信したメ
ールのおおむね半数が出会い系サイトの関連メールである。
そして,被告が原告から当該パーソナルコンピューターを引き上げたのは,平
成15年9月4日であったが,本件懲戒解雇直近の夏休みの期間を除いた通常勤
務の時期である同年6月分の原告のメール送受信の状況は,受信メール総数11
,,,4件中出会い系サイトの関連のものが98件それ以外のものが16件であり
送信メール総数95件中,出会い系サイトの関連のものが88件,それ以外のも
のが7件であった。そのうち業務用のメールはほんの数件にすぎない。
また,送受信記録によれば,メール送信は,原告の午前中の講義時間を除いた
その余の勤務時間の全体にわたっているし,原告が,特定の受信メールに対する
応答としてメールを送信するに当たっては,受信時刻からさほど間をおいていな
い。メールの受信時刻から送信時刻までの時間をメール作成の所要時間と考える
と,同月分22日間のメール作成の総所要時間は39時間44分であって,その
うち勤務時間内のものは33時間42分であり,1日当たりの平均所要時間は1
時間48分,そのうち勤務時間内は平均で1時間31分である。これらのメール
のうち,所要時間の長いものは,送信行数も極めて多くなっており,原告は,勤
務時間のうち,かなりの時間を出会い系サイトで知り合った者に対するメールの
作成に費やしていたことが明らかである。
したがって,原告は,午前中の講義時間を除いて,その余の勤務時間中は,ほ
とんどコンピューターにかじりついていたものである。
(4)本件は「通行人」と称する人物が,被告が運営するγ大学の庶務課のメール,
アドレスに対して,平成15年8月6日「こんな書込がありますが・・」との,
表題のメールが送信されたことによって発覚したものである。これは,原告の上
記投稿の連絡先が業務用アドレスとされていたために,第三者をして容易にその
投稿者がγ大学の関係者であると知らしめることとなったのみならず,上記「通
行人」なる人物からメールでわざわざ上記のとおり指摘されたことにより,被告
学校のみならず被告全体の名誉,信用が著しく傷つけられることとなった。
(5)原告が書込をした掲示板の内容は,各サイトの運営者でなければこれを削除す
ることはできず,もとより被告がこれを削除することはできない。その結果,今
後も原告の上記書込をした者が被告の関係者であると容易に知りうる状況はその
書込が削除されるまで,将来も続くこととなる。
そして,朝日新聞など新聞4紙は,平成15年11月12日及び13日,被
告及び被告学校の名称を特定して原告が本件訴訟を提起したことを報道し,そ
の結果,被告学校の父兄及び2,3の取引業者から,被告学校及びγ大学に問
い合わせがあったし,被告学校の学生7,8名からも,新聞報道は原告のこと
かと個人の名前を挙げて質問がされた。また,γ大学の卒業生である自動車販
売会社の責任者から,被告の職員に対して個人の名前を挙げて問い合わせがあ
り,附属高校の元教師からも同校に対して照会があった。同年12月9日の被
告の評議員会においても,学外の評議員から厳しい発言が相次いでなされた。
更には,上記新聞報道がなされた時期が被告の経営する各学校の入学試験の出
願期間に重なったため,被告としては,各学校の学生募集に悪い影響が出るこ
とを懸念し,中学,高校への募集活動に当たっては,本件がγ大学及び附属高
校とは関係ないことを説明するように指示するなど対応に追われた。
しかしながら,平成16年度の被告が経営する各学校の入学志願者の状況は
いずれも上記新聞報道以後は前年度と比べて志願者数が著しく減少した。いわ
ゆる少子化の傾向が続き,私立学校への入学者が減少し,その経営に多大の影
響を与えていることは周知の事実であるが,原告がこのような破廉恥な行為を
行ったことが報道されたことにより,以上のとおり,結果的に被告の経営する
学校への入学希望者やその父兄に悪影響を及ぼしたことは明らかである。
(6)それに,原告は,メール交換の相手方から「学校のパソコンで女性とメールし
て問題とかないんですか?」とか「学校名だしてだいじょうぶ?」などとメール
内で明確に指摘されていたにもかかわらず,その後も平然と業務用のメールアド
レスを使用し続けており,業務用のメールアドレスを用いて出会い系サイトヘの
投稿を行うことで被告の学校名が公然と表示されることになることを十分認識し
ていた。
(7)上記のように,出会い系サイトヘの投稿やこれに基づく私用メールの送受信が
業務用のパーソナルコンピューターを使用して,もっぱら勤務時間内に多数回に
わたって行われたことは,原告において,職務専念義務に違反するなど職場規律
の違反の程度が甚だしいのみならず,私立学校の教職員としての適格性に欠ける
ことを示している。
とりわけ,その投稿先はいずれも出会い系サイトであるところ,その掲示内容
がおよそ教育機関の教職員としてあるまじきものであるだけでなく,その連絡先
が被告の業務用アドレスとされていたために,第三者をして容易にその投稿者が
被告の関係者であると知らしめることとなり,その結果,被告学校だけでなく,
被告全体の名誉,信用を著しく傷つけた。
かかる原告の行為は,被告の服務規則第4条,第5条1項・2項,第6条2項
・8項及び第8条4項に違反し,同規則第75条1号及び18号に該当するもの
であり,原告に対する懲戒解雇は相当であって,やむを得ないものである。
(原告の主張)
本件懲戒解雇は,以下のとおり,懲戒事由に該当する事実がないし,正当な理由
を欠くものであるから,権利の濫用として無効である。
(1)処分理由の事実誤認,懲戒事由の不相当
被告は,処分理由書において,原告が「出会い系サイト」への投稿をし,かつ
これに基づいて「私用メールの送受信」を業務用のパーソナルコンピューターを
使用し,もっぱら「勤務時間内に多数回にわたって行った」ことを捉えて職務専
念義務に違反し,教職員としての適格性を欠き,結果として被告の名誉信用を傷
つけたと指摘しているところ,原告は,被告の指摘する出会い系サイトへ書込を
,。したことは事実であるがこれに基づいて多数回の私用メールをした事実はない
(2)処分理由の資料の非開示
被告学校は,原告や原告の所属する全国一般労働組合福岡地方本部筑後支部α
専門学校分会(以下「組合」という)から再三懲戒解雇の理由とされる「私用。
メール」の内容の開示を求められたにもかかわらず,これに応じず,一切の資料
を開示しないままに本件懲戒解雇を断行した。
(3)原告に弁明の機会を与えなかったこと
被告学校は,原告や組合が処分にかかる弁明の機会を与えるようにと要求した
にもかかわらず,これを一切拒否した。懲戒委員会や苦情処理委員会も原告の弁
明を聞いておらず,原告の弁明権は全く奪われた。
(4)他事例との不均衡
被告学校においては,これまで,刑事罰が問われることとなる横領事件等にお
いて懲戒解雇処分をしたに過ぎないところ,本件をこれと同一視することはでき
ず,原告に対する本件懲戒解雇は,著しく均衡を失する。
また,被告においては,平成12年,新任校長の選任が不当として,原告を含
む被告学校自動車工学科の組合員らが,抗議のために約半年間にわたり職員会議
や管理職会議への出席をボイコットして欠席した(以下「校長着任拒否事件」と
いう。被告は,これに対して,課長職にあった原告を含む管理職に対して減。)
給の懲戒処分を,その他の者に対しては,譴責の懲戒処分を,それぞれ発してい
る。校長着任拒否事件における原告の行為は,被告側から見れば,服務規則第7
5条8号(業務命令の拒否,10号(秩序びん乱,16号(不当反抗)の各))
懲戒解雇事由にも該当するとも評し得るものであるところ,かかる深刻かつ重大
な職場規律違反ともいえる同事件に対する処分と比べて,本件懲戒解雇は,具体
的な被害事実もないのに,信用失墜との専断の下にされた均衡を失する不公平,
不公正なものである。
(5)原告の謝罪と同僚らの嘆願
原告は,被告学校の指摘に応じ,謝罪文を提出した。また,被告学校自動車工
学科の職員20名中15名の同僚が,原告に対する寛大な処分を求める嘆願書を
提出した。本件懲戒解雇は,このような情状として酌量すべき点を全く無視して
いる。
(6)出勤停止の上,重ねての過酷な処分であること
原告は,平成15年9月8日,本件出勤停止の処分を受け,その間の賃金の支
払も受けておらず,重ねて本件懲戒解雇の処分を受けている。
原告は,勤続26年で,約1200万円以上となるはずの退職金の支払を本件
懲戒解雇によって受けられないこととなる。
(7)過去の事例への報復
原告は,校長着任拒否事件において,他の組合員と共に処分を受けており,今
回も,被告学校校長は原告に対して「校長ボイコット問題のペナルティがあり,
今回のことで懲戒委員会にかかるのは当然であると判断した」と発言しており,
本件懲戒解雇は,過去に原告が中心になって校長の着任に異議を唱えた同事件を
強く意識したものであって,原告の過去の行いゆえに不当に重い本件懲戒解雇の
処分に至ったものである。
第3当裁判所の判断
1争点(1(本件懲戒解雇が有効か否か)について)
()(,,,,,,1証拠甲2ないし13151617の1ないし819乙1ないし8
,,,,,,,121314の1及び215の1ないし17証人P1同P2同P3
原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件の経緯として,以下の各事実が認め
られる。
ア被告学校は,工学部,教習部,総務部からなり,工学部の中に自動車工学科
と車体整備専攻科がある。工学部には,校長の下に工学部次長(なお,平成1
5年8,9月当時は空席,学生課長,教務課長,同補佐,進路指導課長,同)
補佐がいる。原告は,工学部の教師として自動車工学科で週5コマの自動車総
論の授業を担当するとともに,進路指導課長として学生の就職関係の事務にも
携わっていた。なお,自動車工学科は,養成期間が2年間であり,定員は1学
年が200名で合計400名がいる。
イ被告は,平成10年ころ,被告学校にパーソナルコンピューターの導入を始
め,当初,原告を含む課長補佐以上の者に貸与していたが,平成11年ころ自
動車工学科の教職員に対し,更に平成13年以降,被告学校の全職員に対し,
パーソナルコンピューターを貸与した。
被告において,パーソナルコンピューター導入時に,原告を含む職員らに対
し,インターネットの利用に関するものを含め,その使用の方法及び遵守事項
等について特に説明や教示は行われなかったし,現在まで使用規程も定められ
ていない。
ウ原告は,平成12年12月18日ころから,学外の交際相手の女性P4との
間で,私用メールを,貸与されたパーソナルコンピューター及び本件メールア
ドレスを使用して交わしていた。原告は,平成13年4月中旬ころまでの間,
同女の携帯電話のメールアドレスとの間で,連日のようにメールを交換し,1
日に何回もメールの送信をすることもあった。なお,その後も,同女とのメー
ル交換は,同年5月下旬から同年12月下旬まで行われている。その内容は,
仕事,家族,日常生活のことなど様々であるが,直接性的関係を求めるなどの
卑わいな内容のものがあったことまでは窺えない。
エまた,原告は,平成13年4月中旬ころから,いわゆる出会い系サイトで知
り合った複数の女性(又は女性を名乗る者)と,本件メールアドレスを使用し
てメールの交換をするようになり,遅くともそのころから,本件メールアドレ
スを使用していわゆる出会い系サイト(η)に登録しており,同年9月には別
の出会い系サイト(θ)に登録していた。交換されたメールの内容は,前同様
に様々であるが,直接性的関係を求めるなどの卑わいな内容のものがあったこ
とまでは窺えない。
なお,この間,原告は,複数のメール交換の相手方から「学校のパソコン,
で女性とメールして問題とかないんですか?」とか「学校名だしてだいじょう
」(,),,,ぶ?などと指摘されているが乙414の1及び2これらは原告が
各相手方らとメールを直接やりとりするようになった後に,その中で自己紹介
をするに当たって,本名等とともに,勤務先として被告学校の名前や役職を明
示したことに多くはよるものであり(乙4,5,原告の出会い系サイトヘの)
投稿等自体から,原告が被告に勤務している者であることが判明したものとは
必ずしも窺われない。
オ原告は,平成14年3月,妻と離婚したが,同年5月及び6月には,1件の
出会い系サイト(ι)及び1件の結婚相談所のサイト(κ)に,本件メールア
ドレスを使用して登録し,また,同年7月には,メーリングリスト(λ)に加
入し,同年10月には更にもう一つの出会い系サイト(μ)に登録した。
原告は,平成15年1月,本件メールアドレスを使用して新たに出会い系サ
イト(ν)に登録し,そこで出会った女性P5と親しくメール交換をするよう
になり,再び,連日のように,同月30日から同年7月まで本件メールアドレ
,,スを使用してメール交換をし1日何回もメールに及ぶこともしばしばであり
同年9月4日まで行われた。それらメールの内容は,前同様,様々であるが,
直接性的関係を求めるなどの卑わいな内容のものがあったことまでは窺えな
い。同女とは,メールでの付き合いにとどまらず,出張先で一緒に食事をした
,,。り同年8月下旬ころには海外旅行に行くなど親しく交際する関係となった
カ原告は,平成15年7月18日午後0時14分ころ,出会い系サイト(ζ)
の九州・沖縄地域の男性から女性への出会いを求める掲示板に,本件メールア
ドレスを使用し「M女性」との表題,名前「P6,40代,福岡県として,,」
本件投稿のうちイの投稿をした。
また,原告は,同年8月6日午前9時35分ころ,上記掲示板に,本件メー
ルアドレスを使用し「SMパートナー募集」との表題,名前「P7,40,」
代,九州地方として,本件投稿のうちアの投稿をした。
なお,本件メールアドレスは,同掲示板上の「MAIL」と記載された部分
をクリックすること等により判明するようになっている。
そして,本件投稿のうちイに対しては,M嬢を紹介する旨の男性名でのメー
,,,ルが本件メールアドレス宛てに送られてきたため原告が詳しい情報を求め
自己の性癖を語る内容の返答を出したところ,相手方から女性紹介業者である
旨の返答が届くというやりとりがなされたが,それ以上に,原告の上記各投稿
に基づくメールのやりとりや交際があったことまでは窺えない。
なお,本件投稿は,同年9月16日まで削除されることなく閲覧可能な状態
にあった。
キ原告の使用していたパーソナルコンピューターのハードディスク内のメール
送受信記録には,平成10年9月21日から平成15年9月3日までの受信記
録合計1650件余及び平成11年5月18日から平成15年9月4日までの
送信記録合計1330件余があるところ,うち,P4との私用メールが,送信
分で370件,受信分で330件ほどあり,出会い系サイトに関連すると思わ
れるものが,送信メールで440件,受信メールで470件ほどある。これら
原告の私用メールのうち,約半数程度が,昼休みを除く勤務時間内に行われて
いた。また,平成15年6月についてみれば,送受信メールそれぞれ合計約1
00件ずつあるところ,そのほとんどがP5との私的なメールのやりとりであ
って,業務に関連するものはほとんどなく,連日のように複数回メールを送信
しており,その多くが勤務時間内に行われていて,相当の時間を私的メール関
連の処理に費やしている。
ク被告が経営するγ大学の庶務課のメールアドレスに対し,平成15年8月6
日「通行人」と称する人物から「こんな書込がありますが・・」との表題の,
,「」,。メールが送信されζの掲示板に本件投稿がされていることが判明した
被告は,上記「通行人」からのメールに示されていた掲示板にアクセスし,
,,本件投稿がされていることを知りγ大学のメールサーバーを調査したところ
,,。同月7日には本件メールアドレスが原告のアドレスであることが判明した
ケそのため,被告は,盆休み(平成15年8月11日から17日)を挟み,同
月末ころまで上記メールサーバーの調査を進めたところ,原告が送受信した多
数の私用メールがあり,特定の女性と毎日のようにメールのやりとりをしてい
たことが判明した。被告においては,同年9月4日,被告学校の校長P2が原
告を呼んで事情を聴き,更に被告の事務局長P1と三者で面談を行った。その
際,原告は,本件投稿について自分が行ったことを認めたが,上記P1らが原
告に対し自主的な退職を勧めたところ,これを拒否した。その際,原告は,上
記P1らに対して謝罪,反省の弁を述べることはなく,さほど悪いことをした
とは思わないという態度であった。
そこで,被告は,更に調査をすべく,同日,原告に貸与していたパーソナル
コンピューターを引き上げるとともに,同月8日,原告の処分を決定するため
に必要であるとして,原告に対し,本件出勤停止の措置をとった。
コそして,被告は,理事長の諮問機関である懲戒委員会を平成15年9月9日
及び16日に開催したところ,同委員会において,全会一致で原告について懲
戒解雇相当とされ,理事長P8に対してその旨答申された。これを受け,同理
事長は,原告を懲戒解雇とする旨決定することとした。同委員会においては,
原告に弁明の機会が設けられることはなかった。
なお,その間の同月11日,原告から,上記P2校長宛の謝罪,反省の弁を
記した謝罪文(甲5)が提出された。
サ被告は,平成15年9月25日,原告を,本件懲戒解雇としたが(甲7,)
処分説明書(甲8)によると,その理由として,原告が,①同年7月以降,複
数回にわたり,本件メールアドレスを連絡先とし,被告学校のパーソナルコン
ピューターを使用して出会い系サイトに「M嬢を探しています」等と交際相手
を求める投稿を行い,その後勤務時間中に多数回にわたりこれらの投稿に基づ
いて私用メールを送受信したこと,②平成14年6月以降,複数回にわたり,
本件メールアドレスを連絡先として,上記パーソナルコンピューターを使用し
て,出会い系サイトに投稿を行い,その後,勤務時間中に多数回にわたりこれ
らの投稿に基づいて私用メールを送受信したことであり,これら①及び②の行
為が業務用のパーソナルコンピューターを使用してもっぱら勤務時間中に多数
回行われたことは,職務専念義務に違反し,私立学校の教職員としての適格性
に欠けることを示しており,投稿の掲示内容がおよそ教育機関の教職員として
あるまじき行為であるだけでなく,連絡先が業務用アドレスであったために,
第三者をして容易にその投稿者が被告の関係者であることを知らしめることに
なり,被告学校だけでなく被告全体の名誉,信用を著しく傷つけたもので,服
,,,務規則第4条第5条1項・2項第6条2項・8項及び第8条4項に違反し
第75条1号及び18号に該当するとされている。
シ原告は,被告に対し,平成15年9月29日,本件懲戒解雇について,①被
告が本件投稿判明から約1か月間原告に対する確認・注意をしなかったこと,
②被告が本件投稿を消去しなかったこと,③本件投稿の「M嬢」とのメールの
送受信はなかったこと,④メールの交換について説明をしたいこと,⑤本件懲
戒解雇の手順が納得できないことを指摘し,弁明の機会を与えられずに処分を
決められたことや処分が重すぎるとして,不服申立をし(甲10,被告にお)
,,,いて苦情処理委員会が開かれたが同委員会において原告の不服申立に対し
その理由のうち4項目(①から④まで)については懲戒処分と直接の関係がな
く,残り1項目(⑤)については手続に不備がなかったことを確認しており,
原告から説明を求める必要はないとの結論になった旨を通知した(甲12。)
ス被告学校自動車工学科の職員中15名は,被告に対し,平成15年10月1
,,()。日原告の解雇を撤回し職場復帰を求める旨の嘆願書を提出した甲11
また,原告所属の組合は,本件出勤停止後から,被告との間で,職場復帰や
本件懲戒解雇の撤回等について,団体交渉を続けていたが,これを拒否され,
妥結するには至らなかった。
(2)そこで,以上の事実に基づいて以下判断する。
ア原告は,学生・生徒の人間性,人格形成等についても関わることが予定され
る専門学校の教職員として,自ずと職業上高い倫理観を要求され,また,被告
学校における校長に次ぐ地位の管理職として,日々の業務の遂行に対し,職場
での規律維持等について,一般職員より重い責任を負っていたことはいうまで
もない。
かかる原告の立場からすれば,前認定のとおり,原告が,職場において,勤
務時間内外を問わず,被告から貸与された業務用パーソナルコンピューター及
び本件メールアドレスを使用して,極めて多数回の私用メールを送受信してい
たこと,合計7つの出会い系サイト及び1つの結婚相談所サイトに登録し,出
会い系サイトで出会った者と多数回メール交換をしていたことは,服務規則第
4条,第5条1項,第6条2項・8項に違反するし,とりわけ,原告が本件メ
ールアドレスを使用して本件投稿を行ったことは,その投稿内容に照らし,破
廉恥とのそしりを免れない点や,本件メールアドレスを通じて投稿者が被告関
係者であると判明しうる点からも,モラルを欠き不適切であって,服務規則第
5条2項,第8条4項にも違反するものである。これら一連の行為は,被用者
として職務専念義務や職場の規律維持に反するというだけでなく,原告の教職
員としての適格性にも疑問を生じさせるし,更には被告や被告学校の名誉信用
にも係るものであって,これらは服務規則第75条1号及び18号の懲戒解雇
事由に一応は該当するものである。
イしかしながら,懲戒解雇は,被用者に対し従業員としての地位を喪失させる
という極めて重大な不利益を負わせるものであることから鑑みると,規律違反
の種類,程度,被処分者に関する事情,その他諸般の事情を考慮して,相当な
ものでなければならず,客観的に合理的な理由を欠き,又は社会通念上相当と
,。して是認し得ない場合には懲戒権の濫用として無効になると解すべきである
そこで,上記観点から以下検討するに,原告には,このように職務専念義務
や職場規律の違反があるほか,教師としての適格性に疑問がないではないにし
ても,事を子細にみると,本件投稿に基づくメールのやりとりは,紹介者との
間の送受信が数回あるだけであり,しかもこのやりとり以上に原告が女性との
メールの交換や交際をしているわけではなく,本件投稿以外では出会い系サイ
トで知り合った者と私的なメール交換を繰り返しており,その内容は,単なる
日常生活に関する私信から交際相手とのいわゆる痴話喧嘩のようなやりとりま
で様々であるけれども,いずれも直接性的関係を求めるなどの卑わいなものと
は性質を異にしている。そして,原告は,本件懲戒解雇当時,教師のほか進路
指導課長を兼務していたが,自らの職務である学生に対する授業や学生の就職
関係の事務を特に疎かにしたことはなく,メールの送受信自体によって,被告
学校の業務自体に著しい支障を生じさせてもおらず,おおむね19歳ないし2
0歳の専門学校生である生徒に対して格別の悪影響を及ぼしたということも窺
えない(証人P2,原告本人。もっとも,被告経営の各学校の志願者数が平)
成16年度に減少しているが(乙11,このことが,原告の本件投稿等によ)
り被告の経営が影響を受けたものかは証拠上窺知できない。このような実態か
らすれば,原告の上記各服務規律違反は,極めて重大なものであるとまではい
うことができない。
また,本件については,原告が本件訴えを提起した後に,新聞4紙に掲載さ
れ,更に,被告の理事会,評議委員会で問題とされ,被告学校の父兄から問い
合わせや,被告学校の学生から質問がされるなどの反響があったが,原告の訴
え提起前には,本件投稿等について被告外部で話題となったり,被告に対して
指摘がなされたことは「通行人」からのメール以外には特になかったのであ,
り(乙9,10,証人P1,本件投稿等に関連する反響が生じたのは,本件)
訴え提起後の新聞報道以降のことであるから,原告の本件投稿等自体が,具体
的・現実的に被告ないしその運営する学校の名誉・信用を毀損し,その社会的
評価を低下させたとは直ちにはいい難い。それに,本件訴え提起後にされた報
道を契機として被告の名誉・信用が毀損されたとしても,それは原告の本件投
稿等によって生じたものとはいい難いのであり,しかも本件懲戒解雇後の事由
であるに過ぎない。
更には,被告においては,パーソナルコンピューターに関する使用規程はな
く,他の職員もこれを少なからず私的に利用していたという実情もあり(甲1
,,),,,519原告本人本件のような結果を招いたことにその経緯において
被告には,これに適宜対処しなかった落ち度がないともいえない。
これらに加え,原告は,被告学校に昭和52年4月に勤務して以来本件懲戒
解雇まで長期間にわたり,教師あるいは進路指導課長としてまじめに働いてき
たものであって,校長着任拒否事件で平成12年に減給1か月の懲戒処分を受
けたほかには,みるべき処分歴もなく,本件につき謝罪文を提出するなど自ら
を反省改悟している(甲5,21,原告本人。)
ウ以上のような諸事情を総合勘案すると,原告に対し,他の懲戒処分ではなく
て最も重い懲戒解雇をもって臨むのは,いささか苛酷に過ぎるといわざるを得
ず,本件懲戒解雇は解雇権の濫用として無効というべきである。
したがって,原告は,被告に対して,雇用契約上の地位を有することとな
る。
2争点(2(賃金及び賞与)について)
(1)賃金
前述のとおり,本件懲戒解雇は無効であり,原告は,使用者である被告の責め
に帰すべき事由により労務提供が不能になったのであるから,本件懲戒解雇後も
被告に対し賃金請求権を有することとなる。
したがって,被告は,原告に対し,雇用契約に基づき,平成15年10月分か
ら本件口頭弁論終結日である平成16年9月24日までに支給日の到来した同月
分までの12か月間の給与月額46万8592円(ただし,通勤手当を除く諸手
当を含む)当たりの合計562万3104円及び同年10月から原告の求める。
本判決確定に至るまで毎月22日限り月額46万8592円の支払義務があると
いうべきである。
(2)賞与
ア被告の給与規則には,以下の定めがある(乙16。)
第29条(期末手当)
1期末手当は,6月1日及び12月1日(以下この条において,これらの
日を「基準日」という)にそれぞれ在職する職員に対して,別に定める。
日に支給する。これら基準日前1か月以内に退職し,又は死亡した職員に
ついても同様とする。
2期末手当の額は,それぞれの基準日現在(退職し,又は死亡した職員に
あっては,退職し,又は死亡した日現在)において,職員が受けるべき給
料の月額及び扶養手当の月額並びにこれらに対する調整手当の月額の合計
額(第3項に定める管理又は監督の地位にある職員にあっては,その額に
給料月額及びこれに対する調整手当の月額の100分の20を超えない範
囲内で定める割合を乗じて得た額を加算した額)を基礎として別に定める
基準により計算した額に基準日以前の6か月以内の期間におけるその者の
在職期間の区分に応じて,次表に定める割合を乗じて得た額とする。
(なお,上記「次表」においては,在職期間が6か月の場合,支給割合は
100分の100とされている)。
3管理又は監督の地位にある職員の範囲及びこれに加算する割合は別に定
める。
第30条(勤勉手当)
1勤勉手当は,6月1日及び12月1日(以下この条において,これらの
日を「基準日」という)にそれぞれ在職する職員に対し,基準日以前6。
か月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じて,別に定める日に支給
する。これら基準日前1か月以内に退職し,又は死亡した職員についても
同様とする。
2勤勉手当の額は,前項の職員が,それぞれの基準日現在(退職し,又は
死亡した職員にあっては,退職し,又は死亡した日現在)において受ける
べき給料の月額及び扶養手当の月額並びにこれらに対する調整手当の月額
の合計額(第29条第3項に定める管理又は監督の地位にある職員にあっ
ては,その額に給料月額及びこれに対する調整手当の月額の100分の2
0を超えない範囲内で定める割合を乗じて得た額を加算した額)を基礎と
して,別に定める基準により計算した額に,別表第10に定める割合を乗
じて得た額とする。
(なお,上記「別表第10」において,勤務期間が6か月の場合の支給割
合は,100分の100とされている)。
イこれに基づく,平成14年度ないし平成16年度の期末・勤勉手当の支給率
は以下のとおりである(甲22の1ないし3,乙17。)
平成14年度
月期期末手当勤勉手当合計
6月1.450.602.05
12月1.550.552.10
3月0.50なし0,50
合計3.501.154.65
平成15年度
月期期末手当勤勉手当合計
6月1.550.702.25
12月1.700.702.40
3月なしなしなし
合計3.251.404.65
平成16年度
月期期末手当勤勉手当合計
6月1.400.702.10
12月1.600.702.30
3月なしなしなし
合計3.001.404.40
ウ①ところで原告は平成15年12月から本判決確定に至るまでの賞与期,,(
末手当及び勤勉手当)についても,その支払を求めているところ,被告にお
いては,前述のとおり,毎年,一定の支給率に基づく期末手当及び勤勉手当
の支払が行われており,給与規則30条1項は,勤勉手当について,基準日
以前の6か月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じて支給する旨定め
られているが,実際には,同条2項等によれば,ここにいう勤務成績とは,
査定等を前提とするものではなく,基準日以前6か月間の勤務期間ごとに支
給率が定められている。そうであれば,支給基準が明らかな平成15年度及
び平成16年度分の賞与(期末手当及び勤勉手当)については,その額が確
定しており,被告は,これらの支払義務を負うというべきである。
②そして,被告における賞与の算式は,次のとおりである(甲1の1ないし
6,弁論の全趣旨。)
基本給+扶養手当+技術手当=小計
基本給×1.035×0.05=役職加算
(小計+役職加算)×支給率=支給額
そこで,これに従い算定すると,別紙賞与計算表記載のとおり,平成15
年12月分の期末手当は73万0359円,勤勉手当は30万0736円,
平成16年6月分の期末手当は60万1472円,勤勉手当は30万073
6円で合計193万3303円となり,同年12月5日支払われるべき期末
手当は68万7396円,勤勉手当は30万0736円で合計98万813
2円となる。したがって,被告は,原告に対して,これらの支払義務を負う
こととなる。ただし,平成16年3月分及び平成17年3月分の賞与につい
ては,支給率がないので,支払義務はない。
③しかしながら,上記支給率は,平成14年以降,被告において毎年変更さ
れており,特に3月期には支給されないこともあるから,現段階においては
平成17年度以降の支給率が明らかでなく,同期以降の原告が受け取るべき
賞与についてはその額を確定することができない。したがって,平成17年
6月以降の賞与の請求は認めることができない。
3結論
よって,原告の本件請求は,主文第1,2項記載の限度で理由があるから,これを
認容し,その余の請求には理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担につき民事
訴訟法61条64条を仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用してな,,(
お,仮執行免脱宣言は相当ではないからこれを付さないこととする,主文のとお。)
り判決する。
福岡地方裁判所久留米支部
裁判長裁判官小山邦和
裁判官佐々木信俊
裁判官増尾崇

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