弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 被告人の上告趣意について。
 所論は、單なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 しかし、職権を以て調査すると、本件行為時である昭和二五年八月一日当時施行
の道路交通取締令(昭和二八年政令二六一号による改正前のもの以下同じ。)三五
条二項には、「諸車の使用主又は運転者は、乘車及び積載のために設備された場所
以外に乘車をさせ又は積載をしてはならない。」と規定している。その意義は、乘
車のために設備された場所以外に乘車をさせることを禁止し、又は積載のために設
備された場所以外に積載することを禁止する趣旨と解すべきものではなく、乘車及
び積載のために設備された場所以外に乘車をさせることを禁止し、又は乗車及び積
載のために設備された場所以外に積載をすることを禁止する趣旨と解すべきもので
ある。すなわち乗車についていえば、乗車のために設備された場所に乗車をさせる
ことは禁止されていないのは勿論、積載のために設備された場所に乗車をさせるこ
とも禁止されていないものというべきである。かかる解釋は、同条項の文理解釋か
ら出てくるばかりでなく、同条四項の規定からもその合理性が認められ得るのであ
る。すなわち、同条四項は、「緊急やむを得ない需要がある場合においては、第二
項の規定にかかわらず、出発地警察署長の許可を受け、乗車及び積載のために設備
された場所以外に積載することができる」と規定しているから、乗車のために設備
された場所(及び積載のために設備された場所)に積載することは、警察署長の許
可を受ける必要のない事柄でめり、従つて同条二項において禁止されていないこと
を窺い知ることができるのである。それ故、これと同様に、積載のために設備され
た場所(及び乗車のために設備された場所)に乘車させることは、同条二項におい
て禁止されていないものというべきである。されば、同条二項の人を乘車させ又は
物品を積載してはならない場所は、乘車及び積載のために設備された場所以外の部
分であつて、乘車のために設備された場所に物品を積載し又は積載のために設備さ
れた場所に人を乘車させることは、事情によつて他の法条(例えば、同条一項、同
令五四条一六号)に觸れることのあるのは格別同条項に違反するものではないと解
するのが相当である。そして原判決の認容した第一審判決の認定した事実は、「被
告人は、昭和二五年八月一日午後四時頃安達郡a村b前道路で乘車設備のない自転
車の後部荷台にA(当十九年)を乗車せしめ運転通行したものである。」というの
であり、第一審判決は、これに對し道路交通取締令三五条二項、五七条を適用し、
原判決は、第一審判決は何等法令の解釋、適用を誤つた違法はないとしたものであ
る。されば、第一審判決は、結局被告人がAを自己の運転する自転車の積載のため
に設備された場所に乘車させたという事実を認定し、原一、二審判決は、かゝる場
所に乘車をさせることは同令三五条二項に違反するものと解釋したものであること
明白である。従つて、前示説明に照し、原判決は、判決に影響を及ぼすべき法令違
反があつて、これを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならな
い。
 よつて、刑訴四一一条一号に従い、原判決を破棄し、同四一三条但書により本件
につき更に判決をするに、第一審判決の確定した事実は、前示道路交通取締令三五
条二項に違反しないし、また、その他の法条にも該当しないから、刑訴四一四条、
四〇四条、三三六条前段により被告人に對し無罪の言渡をすべきものとし、裁判官
全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 檢察官 神山欣治出席
  昭和二九年二月二五日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    眞   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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