弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
    本件再上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鍛治利一の再上告趣旨第一、二点について。
 原上告判決の判示するところは、経済事犯の罰金刑は、その本質上、必ず不当利
得の額と均衡を保たねばならぬという原則を樹てることは正当でないとの趣旨の判
断を示しているに過ぎない。所論のように、原上告判決は、被告人の主張する以上
の利得額を証拠によらず推測認定したものではなく、また、第二審判決の援用しな
い若しくは第二審公判廷で証拠調をしない被告人の妻の供述記載を以てその利得額
を是認したものでもない。従つて、これを前提とする本論旨は実質上憲法違反を理
由とするものでないから再上告適法の理由とならない。
 同第三点について。
 裁判所法施行令第一条の規定は、裁判所法施行法の委任に基く規定であつて、所
論の憲法規定に適合しないものではない。そしてその趣旨は既に当裁判所の判例と
するところである。(昭和二二年(れ)第一八八号同二三年七月七日宣告大法廷判
決、昭和二二年(れ)第一二六号及び同(れ)第一九四号同二三年七月一九日宣告
大法廷判決参照)それ故本論旨は、その理由がない。
 裁判官齋藤悠輔同沢田竹治郎の本件に対する意見は次のとおりである。
 刑訴応急措置法第一七条による上告は、原上告判決に同条所定の憲法適否の判断
が存在し、その判断が不当であることを理由とするときに限り、これをすることが
できるものである。そのことは、何人も同条を一読すれば、直ちに判ることである。
そして、同措置法第二条の「刑事訴訟法は……裁判所法……制定の趣旨に適合する
ようにこれを解釈しなければならない」との規定と裁判所法第一〇条第一、二号の
規定とを対照して考察すれば、右の「判断」とは、当事者の主張に基く明示又は黙
示の判断若しくは裁判所の職権に基く憲法に適合しないとの明確な判断を指すもの
であることも察知するにさして困難なことではない。なぜなら法令は、一応は適法
なものと見るのが当り前であり、また、裁判所は法令に則り且つ法令を適用する職
責を負担し、しかも、同時に、憲法に適合しない法令には従うべきものでなく、且
つ憲法に適合しない法令の適用を拒否すべき職権と職務とを有するものであるから、
当事者の主張がない限り、特に職権でその法令を憲法に適合しないと判断しない以
上、適合したものとしてこれに従い且つこれを適用したものと見なければならない
からである。然るに本件再上告人は原上告審において、所論の点につき何等憲法違
反の主張を為した形跡がなく、従つて、原上告判決には、当事者の主張に基く憲法
適否の明示又は黙示の判断もなく、また、職権に基く憲法に適合しないとの明確な
判断も存しない。ことに、本論旨第一、二点で再上告人が捉えている論点は、原上
告判決が判断として全然触れていない架空の事実である。して見ると本件では、再
上告を以て攻撃すべき目的物を欠き、いわば空を斬つたり独り相撲を取つたりする
ことになる。反則だといわざるを得ない。各論旨いずれも適法でない。
 上告趣意第三点に関する裁判官栗山茂の意見は前記引用の昭和二二年(れ)第一
二六号及び同(れ)第一九四号同二三年七月一九日宣告大法廷判決における同裁判
官の意見と同趣旨である。
 よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は、理由に関する少数意見を除き裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二三年七月二九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介

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