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【判示事項の要旨】
 消費者金融会社放火・強盗殺人事件について,一審の死刑が維持された事例
            主       文
    本件控訴を棄却する。
            理       由
第1 本件控訴の趣意は,主任弁護人佐藤正明,弁護人荒井純哉,同佐々木好
  志が連名で提出した控訴趣意書及び控訴趣意補充書に,これに対する答弁
  は,仙台高等検察庁検察官黒田健治が提出した答弁書に各記載のとおりで
  あるから,これらを引用する。
   控訴趣意の論旨の第1は,原判決が,被告人についてA消費者金融b支
  店のB支店長及び他の従業員らに対する未必の殺意を認めたのは,誤って
  いるとして,事実誤認を主張するのであり,論旨の第2は,原判決が被告
  人を死刑に処したことには重大な疑問があり,検討されるべきである,と
  して量刑不当を主張するのである。
   そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果を併せ,弁護人
  及び検察官の双方の弁論を踏まえて,以下検討する。
第2 控訴趣意中事実誤認の主張について
 1 火を放った場合のA消費者金融b支店内にいる者に対する死の危険性の
  認識について
  (1)A消費者金融b支店内の状況及び被告人によって店内で火が放たれた
   状況,その後の店内での火災及び従業員の状況等については,原判決が,
   その(補足説明)の第2の2の(11)ないし(20)において認定していると
   おりである。そこで,改めて記録及び当審での事実取調べの結果から認
   定される事実を記すと,以下の通りである。
   ア A消費者金融b支店は,aビルの3階フロア(約96.3平方メー
    トル)の全部を占め,仕切り壁で仕切られた北側部分には待合室及び
    無人契約コーナー等があり,それを除いた部分が,客が出入りし従業
    員が執務する事務室及び管理室となっており,両室を合わせた面積は
    60平方メートル弱であった。事務室は,長さ約4.9メートルのカ
    ウンターで仕切られ,カウンター外側は客が出入りし,カウンター内
    側が従業員の執務スペースとなっており,その部分は,奥行きが約4
    メートルで,面積が約21.7平方メートル(カウンター部分を含む)
    であり,事務室の奥南側に管理室があり,その広さは,奥行きが約4
    メートル,面積が約22.2平方メートルであった。事務室と管理室
    は,書庫と天井までの薄い仕切り壁で仕切られているが,東側部分に
    約0.9メートルの通路があった。A消費者金融b支店のある3階部
    分は,北側及び西側が,窓はあるもののほぼコンクリート壁であり,
    道路に面した東側及び南側は,ほぼ全面が高さ1.8メートルのガラ
    ス窓となっている。同支店への出入口は,ビル1階からの階段に通じ
    る事務室の北側西端にある出入口1か所のみであった。管理室の南側
    ガラス窓の一部は非常口となっていたが,その非常口は非常階段につ
    ながっているわけではなく,避難器具を使わなければ,地上に降りら
    れなかった。
   イ 被告人は,aビル1階から階段を上がって,A消費者金融b支店の
    出入口から店内に入り,事務室のカウンターの手前に立つや,カウン
    ター越しに,オイル缶に入れたガソリンがほとんどである混合油(ガ
    ソリン95パーセント強,エンジンオイル5パーセント弱)を,カウ
    ンターに沿って歩きながら,カウンター内側の従業員の執務スペース
    部分の床面に撒いた。撒かれた混合油は,約4リットルであり,カウ
    ンター沿いに長さ約2メートル余り,幅約0.5メートルの広さに撒
    かれた。
   ウ 被告人が店内に入ってきたとき,事務室の執務スペースのカウンタ
    ー内側では,5名の従業員が執務しており,同スペースの東側壁際の
    机では,B支店長が執務しており,管理室には3名の従業員がいた。
    混合油のガソリンの臭いが漂い,被告人が「ガソリンだ。」と叫ぶと,
    事務室にいた従業員5名は,悲鳴を上げながら奥の管理室に逃げ込み,
    B支店長は自席にとどまった。
   エ 被告人は,混合油を撒くと,直ぐにポケットからライターとねじり
    紙を取り出し,それを両手に持って見せながら,「金を出せ。」「出さ
    ねば火を付けるぞ。」と店内に向かって叫んだ。
   オ B支店長は,カウンター越しに被告人と相対し,「金は出せない。」
    と言って,机下のボタンを押して警備会社に緊急通報し,さらに,電
    話で110番通報をし,対応した警察官に,強盗です,ガソリンを撒
    いて火を付けようとしている,早く来てください,と何度も叫び,ま
    た,管理室内にいる従業員らに,「消防を呼んでくれ。」,「消火器出
    して。」と大声で叫んだりした。管理室内では,従業員らが「窓開け
    て。」,「(警報)ボタンを押せ。」などと叫んだり,電話で110番通
    報をする者がおり,叫び声や緊急事態を訴える声で騒然とした状況に
    なった。
   カ 被告人は,手に持ったねじり紙にライターで火を付け,「おめだぢ,
    早ぐ。」などと金を要求したが,B支店長がそれでもかまわず警察へ
    電話をし続けたことから,被告人は憤激して,カウンター越しに火の
    付いたねじり紙を混合油を撒いた床付近に投げ込んだ。瞬時に炎が上
    がったが,被告人は,直ぐに身を翻して出入口に向かい,出入口を出
    て階段を駆け下りたが,途中,店に入る前に混合油を掛けて踊り場に
    置いていた新聞紙の束にライターで火を付け,更に階段を駆け下りて,
    駐車場に止めておいた自動車に乗り,発進させて逃走した。
   キ 床に撒かれた混合油に火が放たれるや,瞬間的に火炎が上り,赤い
    火が床をはうように走って,瞬く間に管理室の奥にまで達し,直後に
    黒い煙が発生して事務室と管理室にたちまち充満し,続いて火が燃え
    上がって,支店の室内全体に広がっていった。このように黒煙が室内
    に充満し,かつ火が燃え上がる熱気の中で,ビル南側窓の非常口を開
    けて助けを求めることによって,3名の従業員が同非常口から外部の
    人により掛けられた梯子を伝って脱出し,また,西側の窓からはB支
    店長が自力で脱出した。しかし,その他の従業員5名はそのまま店内
    で焼死し,助かった者もそれぞれ重度の熱傷等を負った。店舗内は,
    内装が焼損,脱落してコンクリートがむき出しになり,ガラス窓はす
    べて破損し,窓のサッシ枠は高熱により溶解し,備品等は全て焼損す
    るなど,激しく燃えた状況であった。
   ク 時間的経過については,被告人がA消費者金融b支店に入ったの
    は,B支店長が110番通報をした午前10時49分ころの二,三十
    秒前であり,その後,被告人がねじり紙に火を付けて混合油に火を放
    ったのは,同51分ころであり,直後にB支店長の110番への電話
    は切れ,さらに,同52分ころに,非常口から助けを求める従業員の
    声や外に吹き出している煙によって,外部の人が支店内での火災に気
    づいて,消防署へ119番通報がなされ,同53分に消防車への出動
    指令が出され,同57分ころに最初の消防車が到着した。その時点で
    は,b支店のあるaビル3階の窓が割れ,火が噴き出していて,室
    内は相当燃え盛り全面的な火災になっていることが明らかな状況であ
    ったが,助かった4名の従業員らはそれ以前に脱出しており,同10
    時58分に放水が開始され,一方,救助隊員が室内の従業員の救助に
    向かおうとしても,火勢が強くて困難であり,同11時13分に火勢
    が鎮圧され,同16分に鎮火したが,室内で5名の焼死者が発見さた。
  (2)以上の事実を基に検討する。
   ア ガソリンそれ自体が,揮発性,引火性,燃焼力が強く,火を付けら
    れた場合,瞬時に炎上するとともに,気化した揮発分に沿ってたちま
    ち燃え広がり,火勢が強く,そのため他に燃え移って容易に火災にな
    る一般的危険性があることは,日常生活上の知識として通常一般人が
    十分知っていることである。そして,小さいビル内の広くない閉ざさ
    れた空間といえる一般事務室の室内において,日常生活で見られる2
    リットルボトル2本分に相当するガソリンがほとんどの混合油が撒か
    れたのであるが,そうした空間において,撒かれたガソリンに火が付
    けられたなら,瞬時に炎上するとともに,揮発分に沿ってたちまち火
    が燃え広がり,他に燃え移って室内全体が短時間のうちに火災になる
    ことは,ガソリンの一般的危険性について知る者ならたやすく分かる
    ことである。その上,そのように短時間で室内全体が火災になれば,
    室内にいる者は,煙に巻かれ,熱気に襲われて,逃げる余裕もなく焼
    死する蓋然性が高いことも,これまた容易に認識できることといわね
    ばならない。本件において,店舗内にガソリンが撒かれたことを知っ
    て,従業員らが悲鳴を上げ直ぐに奥の管理室に逃げ込んでいるのは,
    閉ざされた室内でガソリンに火が放たれた場合の恐ろしさを直ちに感
    じたからであり,そうした恐ろしさが誰にでも容易に分かることを実
    際に示したものといえる。
     そうすると,ガソリンの一般的危険性について通常一般人に劣らな
    い知識を有する被告人が,現に支店内に入りその広さ等の室内の状況
    を十分認識したのであるから,そうした室内で,約4リットルものガ
    ソリンがほとんどである混合油を撒いて,それに火を放てば,炎上し
    てたちまち燃え広がり,短時間のうちに室内全体が火災になることは
    容易に認識でき,そうした火災になれば室内にいる従業員らが焼死す
    る蓋然性が高いことも,認識できたと認められる。
   イ 被告人が上記のような火災の危険性と従業員らの焼死の蓋然性につ
    いて認識したことは,次のようなことからも裏付けられる。
     被告人が大金を短時間に奪うための効果的な脅迫の手段としてガソ
    リンを選んだのは,ガソリンの一般的危険性にとどまらず,室内にお
    いて撒いて火を付けたときの人命への無差別の実際的な危険は,誰に
    でも分かるはずであると考えたからこそといえるのであり,犯行に当
    たっても,「ガソリンだ。」と叫びながら,カウンターの内側に広い
    範囲に撒いており,脅しの手段として効果的にするため,室内でガソ
    リンに火が付けられたときの具体的な危険性をより分からせる行動を
    取っているのである。そして,一方において,被告人は,火の付いた
    ねじり紙を投げ込むや,自らは身を翻して室外へ逃走しているのであ
    る。これらの被告人の行動は,被告人自身が撒いた混合油に火を付け
    たときの実際の具体的危険性を十分認識していたことを,表している
    と認められる。
     被告人は,犯行後間もなくテレビ局に電話をし,自己の行為につい
    て弁解する話をしているが,実際に発生した悲惨な結果を前にして,
    冷然と,そうした結果の内容は予想されたことであり,結果の発生は
    自らの責任ではないがごとく語っているのであって,悲惨な結果の内
    容はあらかじめ予想されたことを表す言動をしている。また,被告人
    は,平成14年3月20日以降,撒いた混合油に火を付けた動機,理
    由について捜査官に供述しているのであるが,そこでの供述は,発生
    した現実が意外なことではなく,予想されたことであり,室内でガソ
    リンに火が付けられたときの危険性は,自らも含めて誰にでも分かっ
    ていることであるとして,室内に撒かれた混合油の具体的危険性に対
    する認識を素直に語っているのである。
     さらに,被告人は,混合油が撒かれたのを知った従業員らが奥の管
    理室の方へ走り,そのまま非常口等から外へ逃れたと思ったと,原審
    及び当審公判で供述するのであるが,それは,従業員らがそのような
    行動を取るのは当然のことと考えるというものであって,図らずも,
    室内で撒かれた混合油の具体的危険性に対する自らの認識を表したも
    のといえる。
   ウ 所論は,被告人がガソリンの危険性を一般的,抽象的に認識してお
    り,それを脅迫の手段として用いようと考えたとしても,特に本件現
    場の広さや従業員数を考えて,約4リットルという量を決定したわけ
    ではないので,ガソリンの一般的,抽象的な危険性に対する認識から,
    本件現場の支店内での具体的な燃焼の仕方,火災の危険性についての
    具体的認識はできず,また,支店内が狭く,約4リットルという混合
    油の量が多量であるとしても,ガソリンに火を付けた経験のない被告
    人にとっては,具体的危険性に結び付けることはできなかった,と主
    張する。
     しかしながら,被告人は,下見した際にも,現に押し入った際にも,
    支店の広さがどの程度であるかは察知でき,広くない事務室であるこ
    とは容易に認識できたと認められ,そうした広さの燃えやすいものの
    多数ある閉ざされた事務室において,約4リットルという多量のガソ
    リンを撒き,それに火を付ければ,瞬時に炎上してたちまち燃え広が
    り,室内は短時間で火災になって,中にいる者は逃げ出すことが困難
    で焼死する危険性が高いということを,支店という現場において実際
    に認識したものと認められるのであり,それは,まさに具体的現場で
    の具体的状況を踏まえた上での実際の危険性に対する具体的認識であ
    ったといえる。
  (3)B支店長に対する危険性の認識に関して,所論について改めて判断し
   ておく。
   ア 被告人のB支店長に対する危険性の認識に関して,所論は,被告人
    は,B支店長の態度にカッとなり火を放ったが,支店長が死ねという
    気持ちはないし,当然逃げるであろうから,死ぬことはないと思って
    いたので,B支店長が死亡するであろうとは考えていなかった,と主
    張する。
     しかしながら,上記のとおり,広くない閉ざされた空間において撒
    かれたガソリンに火が付けられたとき,急速に火が広がり,黒煙が発
    生するとともに室内がたちまち火災になって,中にいる者は焼死する
    蓋然性が高いと考えるのが通常というべきであり,逃げ出せると考え
    たというのは,特別の事情があるのなら格別,不自然といわざるを得
    ない。被告人自身も,死ぬことはないと思ったといいながら,少なく
    ともB支店長に火傷を負わせる,すなわち火が迫る危険性があること
    は認めるのであるから,それでも逃げ出せるので生命の危険はないと
    思ったというのは,もはや言い逃れの強弁でしかないといえる。
     具体的に考察しても,B支店長は,混合油の撒かれたカウンターの
    内側におり,しかも撒かれた混合油との距離はせいぜい二,三メート
    ルしかなく,被告人はそれを承知しながら火を放っており,しかも,
    火を放つと同時に自ら身を翻して逃げ出したのは,混合油に火が付け
    ばたちまち燃え広がることを考えたからこそといえるので,B支店長
    が火に巻かれる蓋然性が高いことは十分認識していたといえる。その
    上,出入口は,B支店長の位置からは混合油が撒かれた場所を越えた
    ところにあり,炎上する火を通り抜けてその出入口から逃げることは
    極めて困難であることは,容易に分かることであり,その他の逃げ道
    があるとは被告人自身も認識していなかったのであるから,B支店長
    が無事に逃げ出せると考える根拠は存しないといえる。
     なお,B支店長は,現実に現場から自力で脱出して死亡するに至ら
    なかったのであるが,同支店長は,炎と煙にまかれ,高熱にさらされ
    て全身に火傷を負いながら,西側腰高窓から外壁に設置されたエアコ
    ンの室外機の上に飛び降りて助かったのであり,それでも全身に重傷
    を負っており,九死に一生を得て間一髪死を免れた状況であり,現実
    に支店内では5名も死亡しているのであるから,B支店長が助かった
    からといって,死亡する危険性が高かったことを否定する理由にはな
    らない。
   イ 所論は,被告人は火を放って逃げる途中,3階から1階へ下りる階
    段踊り場で,予め混合油を撒いて置いていた新聞紙の束に火を付けて
    いるが,被告人のこの行動は,B支店長が死ぬかもしれないことを認
    識していたとすれば,不必要かつ不合理な行動である,という。
     上記新聞紙の束は,金を奪って逃げる際,追ってくる者を妨げるた
    め置いておいたものであるが,被告人の検察官に対する供述によると,
    途中で新聞紙が目に入ったことから,とっさに無我夢中で火を付けた
    が,何のためなどと考えている余裕はなかったというのであり,たま
    たま新聞紙が目に入ったことから,当初の計画どおりに火を付けたに
    過ぎず,格別追ってくる者を意識して火を付けたものではないことが
    うかがわれる。また,たとえ,B支店長が万が一追ってくるかもしれ
    ないと思ったとしても,そのために新聞紙の束に火を付けたとなれば,
    燃える室内からB支店長が逃げるのを困難にする意識があったことに
    なるから,むしろB支店長が死んでもかまわないとの意識があったこ
    とを示すものといえる。
  (4)管理室にいた従業員らに対する危険性の認識に関して,所論について
   改めて判断する。
   ア 管理室にいた従業員らに対する危険性の認識に関して,所論は,管
    理室に逃げ込んだ従業員らは,混合油に火を放つ前に,そのまま非常
    口から外に逃げてしまったものと被告人は思っており,実際に非常階
    段や非常口の存在は知らなかったとしても,A消費者金融b支店は
    ビルの3階にあるので,常識的に非常階段や非常口があると思うのが
    当然であり,従業員らはそこから逃げたと思ったもので,被告人には
    支店長以外の従業員が室内にいるという認識はなく,それらの者に対
    する危険性の認識はなかったと主張し,被告人も,原審及び当審の公
    判において,事務室にいたB支店長以外の従業員らは,勢いよく奥の
    管理室の方へ向かって行き,姿が見えなくなったので,そのまま非常
    階段ないし非常口から外に逃げたものと思い,それ以後それら従業員
    らのことについては全く意識の中から消えてしまった,と供述する。
     しかしながら,被告人は,非常階段や非常口が実際に存在すると認
    識していたわけではないので,従業員らが奥の管理室へ走っていった
    からといって,そのまま直ぐ外へ逃げたと思ったというのも,飛躍し
    すぎであり,むしろ管理室に逃げ込んだと考えたにとどまるといえる
    のである。
     被告人は,B支店長に神経を集中し,奥の管理室の従業員のことは
    意識の外にあったというが,管理室からの人の声や騒ぐ様子から,被
    告人においては管理室に従業員らがいることは十分知ることができ,
    現に知っていたといわねばならない。すなわち,被告人と管理室内に
    いた従業員らとの距離は,被告人のいたカウンター手前から事務室と
    管理室の仕切り壁までが約4メートル,管理室の奥まででも約8メー
    トル程度であって,管理室に逃げ込んだB支店長以外の従業員らは,
    被告人から約4メートルないし10メートル程度の範囲内にいたこと
    になり,その上,それら従業員らは,ほぼ同時に110番通報や11
    9番通報をして,慌てるように会話をし,また,窓を開けるよう声を
    掛けるなどしており,他方,事務室に残ったB支店長は,110番通
    報をしながら,管理室にいる従業員に向かって,消火器を出すよう叫
    んでいたのである。このように,事務室との間にはかなりの開口部が
    あり,管理室の従業員らの電話をする声や互いに掛け合う声,窓を開
    けたり慌ただしい動きをする物音が聞こえる状況にあり,その上,目
    の前のB支店長も奥の管理室に向かって叫び声を上げていたのである
    から,管理室に従業員がいることは十分知ることができたと認められ
    る。そして,現に被告人は,「おめだぢ早ぐ。」と,複数の者を,し
    かも姿が見えない奥にいるとしか考えられない者達に向けた表現を使
    って,金を要求しているのである(なお,この「おめだぢ早ぐ。」と
    の発言が,被告人の声であるかは必ずしも明らかであるとはいえない
    と所論はいうが,B支店長が,110番通報をしている状況が録音さ
    れており,その録音テープには,B支店長及び応答した警察官の声の
    他に,「おめだぢ早ぐ」等の男性の声が録音されているが,声の調子
    ・声質,発言内容及び発言前後の状況からすると,他の警察官の声が
    混入したものとは到底認められず,その発言が被告人によることは明
    らかといえる。)。そうすると,被告人は,管理室に従業員らがいる
    ことを十分に認識していたと認められる。
     なお,所論は,被告人の聴力が弱いため,管理室の物音が聞こえな
    かったという。しかし,被告人は,日常生活において聴力に障害があ
    ったことをうかがわせる事情は存在せず,タクシー運転手としても支
    障なく勤務し,法廷での質問でも聴力に格別異常があるとはうかがわ
    れないのであって,聴力が弱かったため管理室での声等が聞こえなか
    ったとは認められない。
   イ 所論は,A消費者金融b支店はビルの3階にあるので,常識的に
    非常階段があるはずであり,管理室に逃げ込んだ従業員らは,そうし
    た非常階段等から脱出していると,被告人は思ったものである,とも
    いう。
     しかしながら,被告人が管理室に従業員らが現にいることを認識し
    ていたことは,上記判断のとおりであるから,管理室の従業員らが既
    に逃げ出していなくなっているとは思っていなかったといえる。
     そればかりか,被告人は,非常口あるいは非常階段の存在を実際認
    識していたわけではなく,しかも,被告人が供述するように,B支店
    長に神経を集中し,奥に逃げた従業員のことは全く考える余裕はなか
    ったというのであるならば,ましてや非常階段等があるはずで,そこ
    から逃げたと考える余裕はなかったと解されるのである。
     そして,被告人は,検察官に対し,犯行後自動車で逃げる際,従業
    員の安否が心配になったが,非常階段があるはずだ,あってほしいと
    自分に言い聞かせた,と供述しており,これは,当時の被告人の心境
    を自然に語ったものとして,信用性が高いというべきところ,この供
    述は,管理室に逃げた従業員らが外へ脱出したなどということを考え
    なかったことを,素直に表しているものといえる
  (5)以上のとおりで,被告人が,撒いた混合油に火を放てば,A消費者金
   融b支店内にいたB支店長及び管理室にいた他の従業員らが死亡する
   蓋然性が高いことを認識していたものと認められる。
 2 未必の殺意について
  (1)上記に検討したとおり,被告人は,撒いた混合油に火を付ければ,火
   が燃え広がってA消費者金融b支店全体が短時間で火災になり,そう
   なれば支店内にいるB支店長及び従業員らが死亡する蓋然性が高いこと
   を認識しながら,敢えて撒いた混合油に火を放ったのであるから,少な
   くとも,支店内にいるB支店長及び他の従業員らが死んでもかまわない
   との意識があったというべきである。
  (2)なお,未必の殺意に関して,所論について触れておく。
   ア 所論は,被告人は,金を奪えなかった腹いせに,金を出さなかった
    張本人であるB支店長を痛めつけてやろうという感情を持ったとして
    も,死んでもかまわないとの考えはなかったので,殺害の動機は形成
    されなかった,という。
     しかしながら,被告人の確実に大金を奪えるとの思い込みは大きく,
    その反動として,予想外の行動のため金が取れなくなったときの憤激
    は大きかったと十分推測されるのであり,そうした憤激の情を起こさ
    せたB支店長に対してはそれだけ激情し,少なくとも死んでもかまわ
    ないとの考えを持ったとしても不思議ではないといえるのである。そ
    して,そうした支店長への感情を晴らすため,撒いた混合油へ火を放
    つという手段を取っているのであるから,手段の点からも殺意を抱く
    だけの動機が存在したことをうかがわせるといえる。
   イ 所論は,B支店長の態度に憤激したことはあっても,他の従業員ら
    に対する恨み等は何もなかったのであるから,B支店長以外の従業員
    ら殺害の動機はない,という。
     しかしながら,被告人は,混合油を撒いてそれに火を付けると脅せ
    ば,間違いなくA消費者金融b支店の誰かは金を出すであろうと考
    え,現に「おめだぢ,早く。」と叫んでいるように,支店の者全体に
    対して金を要求したが,B支店長は無視する態度を示し,他の従業員
    らが奥に隠れたまま一向に応じる気配を見せなかったため,いらいら
    して憤激の情を募らせ,ついにはその憤激の情を爆発させて放火に及
    んだのである。このように,被告人が憤激の情を爆発させたのは,支
    店長の態度に触発されたとはいえ,支店長個人に対する憤慨のみなら
    ず,大金が確実に取れると思った計画が失敗したことへの憤慨も強か
    ったからと認められるのであって,憤激の情は,支店長及び支店の従
    業員ら全体に対して向けられたものと見なされるのである。このこと
    は,混合油に火を付ければ,支店全体がたちまち燃え,B支店長のみ
    ならず他の従業員を含め支店内に居る者全員が焼死する蓋然性が高い
    ことを認識しながら,敢えて火を放っていることからも推測されると
    いえる。したがって,被告人は,予想外の行動をとった支店長への憤
    激の情と,金を取れなかったことの支店の従業員全体に対する憤激の
    情を晴らすため,混合油に火を放ったものと認められるので,B支店
    長のみならず他の従業員らも死んでもかまわないとの意識があったも
    のと認められる。
   ウ 所論は,被告人は,事務室にいた複数の従業員が管理室に逃げるの
    は目撃しているが,最初から管理室にいた従業員についてはその存在
    すら知らず,火を放つ直前に管理室に何人の従業員がいるのかも知ら
    ず,存在する従業員らを個々具体的に認識していたわけではないから,
    管理室にいた従業員らに対する殺意があったとはいえない,という。
     しかしながら,被告人は,あらかじめ支店には10名程度の複数の
    従業員がいると考えており,現に支店に入った際にも,最終的には,
    姿は見えなくとも奥の管理室に複数の従業員らがいると認識したので
    あるから,それら従業員らを個々具体的に認識していなくとも,奥の
    管理室にいる従業員らが死んでもかまわないとの意思で火を放ってお
    れば,それら従業員らに対する概括的な未必の殺意として十分であっ
    て,被告人はそうした未必の故意を持ったものと認めることができる。
   エ 所論は,死亡した従業員らの死が,被告人の火を付けた行為との関
    連性が必ずしも明確でなく,他の要因も重なっているのではないかと
    して,例えば,A消費者金融b支店の構造や非常口の不備等も原因
    ではないかとして,因果関係を問題とするかのようにいう。
     しかしながら,死亡した従業員らの死が焼死によるものであること
    は明らかであり,助かったB支店長及び従業員らの供述によっても,
    混合油に火が付けられると,火が奥の管理室まで一気に走ってきて,
    その直後に濃く刺激臭の強い煙が充満し,呼吸は困難となり,同時に
    室内は真っ暗になって,移動することも困難になり,更に熱気が襲っ
    てくるという状況が,たちまちのうちに発生したというのであるから,
    助かったことは極めて幸運な事情によるのであって,混合油に火が付
    けられて火が走り,黒煙が充満し,短時間のうちに火が広がったこと
    により,非常口にたどり着いたり,そこから脱出することができずに,
    従業員らが死亡したことは明らかである。そうすると,非常口から脱
    出する手立てや時間的余裕があったという状況ではなく,また,支店
    の構造が火災の広がりを特に早めたとも認められない。そして,未必
    の殺意の内容としては,確実に死亡するとの認識までは必要ではなく,
    死亡する可能性が高いと認識しておれば足るのであって,本件におい
    ては客観的に死亡する蓋然性が高く,被告人もそれを認識していたの
    であるから,未必の殺意が否定されることはない。
 3 以上のとおりで,被告人には,A消費者金融b支店におけるB支店長
  及び他の8名の従業員に対する未必の殺意があったと認められる。
第3 控訴趣意中量刑不当の主張について
 1 本件は,被告人が,消費者金融の店舗から現金を強奪することを企て,
  あらかじめ現場を下見し,また,ガソリンがほとんどを占める約4リット
  ルの混合油を携えた上,同会社の店舗に赴き,いきなり店舗内の床にその
  混合油を撒き,「ガソリンだ」と叫んで持参したねじり紙にライターで火
  を付け,混合油に火を放つかのように脅して現金を要求したものの,店舗
  の支店長が警察に電話を掛け,他の従業員らも要求に応じる気配を示さな
  かったことから,支店長の態度に憤激するとともに,現金奪取が確実と思
  った企てが完全に狂ったことの憤激の情から,その憤激の情を晴らすため,
  支店長及び従業員らが死んでもかまわないとの未必の殺意をもって,火の
  付いたねじり紙を撒いた混合油に放り投げて火を放ち,よって,店舗の建
  物をほぼ全焼させて焼損するとともに,店舗の従業員5名を火傷死させ,
  支店長及び従業員3名に対し重度の熱傷等の傷害を負わせた,という現住
  建造物等放火,5名に対する強盗殺人,4名に対する強盗殺人未遂の事案
  である。
   ところで,原判決は,その(量刑の理由)において,死刑の選択・適用
  に当たって,「犯行の罪質,動機,態様ことに殺害の手段方法の執拗性,
  残虐性,結果の重大性ことに殺害された被害者の数,遺族の被害感情,犯
  人の年齢,前科,犯行後の情状等各般の情状」を考慮するという見地から,
  本件犯行に至る経緯及び動機,本件強盗行為の計画性,犯行の態様,犯行
  の結果,犯行後の情状を,詳細に挙げ判示しているが,その判示している
  ことは是認できる。
   すなわち,被告人は,消費者金融から現金を奪う強盗を企て,多量のガ
  ソリンがほとんどの混合油を持ち込んで,店内に入るやそれを一気に撒き,
  続けて紙に火を付けて金を出せと脅し,それに対する店側の対応が完全に
  予想外で,金を奪えないと分かると一気に憤激して,従業員らが死んでも
  かまわないとの気持ちでもって店舗を焼燬すべく撒いた混合油に火を放っ
  たものであり,強盗殺人及び同未遂と現住建造物等放火というそれ自体極
  めて凶悪かつ重大な犯罪である。被告人は,競輪に耽溺して借金に追われ,
  その返済に困ると安直に消費者金融からの強盗を考え,さらに,それを実
  行したところ,予想外の対応で確実に成功すると思っていた計画が失敗し
  たと分かると,今度は憤激して,その腹いせに多数の人命を奪うことを意
  に介さず店舗に火を放ったものであり,本件を犯した経緯・動機は,余り
  に短絡的で身勝手で自己中心的であり,酌量の余地が全くない。犯行の態
  様は,店舗内にいきなり多量の混合油を撒くということ自体,非常な恐怖
  感を与えることであり,その上,そうした恐怖感におののいている従業員
  らを死に追いやるように,撒いた混合油に火を放ったものであり,極めて
  危険で残酷,残虐であり,そこには人命を奪うことへの躊躇やたじろぎが
  感じられない。被害者は,焼死者だけでも5名と多数に上り,重度の熱傷
  等を負った者も4名に達し,死に至った被害者らの受けた恐怖や苦しみの
  程は計り知れず大きかったものと思いやられ,理由もなく殺害されたその
  無念の程も察するに余りあり,重傷を負った被害者らの肉体的及び精神的
  苦痛も甚だ大きく,誠に残酷で悲惨この上ない結果であり,死亡した被害
  者らの遺族及び負傷した被害者らの怒り,恨みは極めて強烈である。店舗
  への放火によるビル火災は,極めて多額の財産的損害をもたらし,付近住
  民等にも多大の恐怖感を与えている。本件犯行の手口が,人命や人身に対
  する多大の危険性を内包しながら,模倣性が高いことから,同様の手口に
  よる金融機関を狙った強盗事犯を連鎖的に発生させるおそれがあり,社会
  的悪影響が重大である。犯行後の被告人に関する情状として,重大犯罪を
  犯したことの自覚を欠く言動をしたり,反省の色もなく競輪遊びを続け,
  あまつさえ不遜にも捜査攪乱を狙った行動も取っており,真摯な悔悟の情
  が認められない。
   なお,斟酌すべき点としては,放火及び殺人の行動が衝動に駆られた突
  発的,偶発的な犯行であること,支店長及び従業員らに対する殺意は未必
  的なものにとどまることが指摘できる。しかし,被告人が選んだガソリン
  を使うという強盗の手段が,すでに本件のごとき被害を生じさせる危険性
  をはらんだものであり,被告人自身もそれを承知していながら,自らその
  危険性を現実化させたのであるから,本件結果の招来が偶然ともいえず,
  また,ガソリンが高い危険性のあることを十分知りつつ,敢えてその高い
  危険性を怒りにまかせて現実化させたのであるから,従業員らに対する殺
  意が未必的なものとはいえ,それは確定的殺意に基づく場合とさほど差異
  がないといえるのである。さらに言えば,被告人は,支店長の行動にもっ
  とも憤激し,支店長の間近に混合油が撒かれていることを知りつつ,その
  目前付近に火のついたねじり紙を放り投げて火を放ち,被告人の原審及び
  当審公判での供述によっても,支店長は傷害を負っても仕方がないとの気
  持ちであったというのであるから,支店長が死亡する可能性が非常に高い
  ことを知りながら,それを望みつつ火を放ったのに近いと考えられるので,
  その殺意は確定的な故意に近いものであったと認められる。
   これらの各事情を考慮すれば,被告人の刑事責任は極めて重く,原判決
  の判断の通り,極刑をもって臨まざるを得ないというべきである。
   さらに,本件凶行を行った被告人の人格,人間性について考察する。被
  告人は,消費者金融からの強盗を考えると,直ちに脅迫手段としてガソリ
  ンを使用することを考え,約4リットルもの混合油を準備しているのであ
  るが,その方法は,被告人自身が絶対的な効果があると考えたほど,多人
  数の生命,身体を脅かす重大な危険性があるものであるが,そうした危険
  な方法を選ぶに当たって,人命等を重大な危険にさらすことへ思いを致し
  た形跡は,被告人に全くないのであり,すでに人命軽視の発想があるとい
  わねばならない。また,店舗に入るや直ちに約4リットルの混合油を一気
  に床に撒き,続いてねじり紙にライターで火を付けているが,ここでも,
  自ら行っていることが極めて危険であることを一顧だにしておらず,余り
  に人命等に対して無頓着,無造作な行為といえる。そしてついには,支店
  長の行動や従業員らの対応に憤慨し,現金奪取の計画が外れたとなると,
  腹いせに多数の者が死ぬかもしれないことを認識しながら,混合油に火を
  放ったものであり,これこそ人命を無視した極めつけの行為といわねばな
  らない。
   犯行後の行動を見ると,被告人は,本件犯行直後にわざわざテレビ局に
  電話して,多数の死傷者が出たことにつき被害者側に責任を転嫁するよう
  な発言をし,本件後も競輪遊びを続けて,本件を犯すに至った原因につい
  て何ら振り返ることなく,その上,捜査を攪乱する目的で挑戦的な内容の
  手紙をテレビ局に送り付けるなどしているのであって,重大犯罪を犯し多
  数の生命を奪ったことを悔やみ,自責の念を抱いているとは到底考えられ
  ない行動をとっている。また,原審及び当審公判における被告人の自らの
  罪責について述べる供述には,重大な責任が故にそれから逃れようとして
  の供述という面があるにしても,余りに責任を免れんとする都合のよいこ
  とを述べ,言い逃れのための弁解と解されるのであり,被害者及び遺族ら
  に対する謝罪の言葉も,空虚で表面的なものに聞こえ,いずれにしても,
  被告人が自ら犯した重大な犯罪について,真から悔悟し,被害者らに詫び
  る気持ちがあるのかは疑問である。
   こうした被告人の一連の考え方及び行動からは,極めて得手勝手で自己
  中心的であり,自らの欲求や感情を満たすためには他を犠牲にするのも省
  みず,他者への思いやりや共感性が極端に欠如し,他人の生命等を無視し,
  他人の痛みや苦しみには無関心であるという,被告人の非常に利己的で情
  感の欠如した冷血な人格傾向が認められるといわねばならない。そして,
  本件殺人や放火の犯行も,むしろ衝動的であるがゆえに,多数の命を奪う
  のを平然といとも簡単に行う被告人の上記の人格傾向が現れたものと認め
  られ,そうした人格傾向の矯正は著しく困難と認められる。
   以上検討の通り,被告人についてはもはや極刑以外の選択の余地は存し
  ないといわざるを得ない。
 2 所論は,本件において5名が死亡,4名が重傷を負うという重大な結果
  を招いた大きな一因として,本件現場である支店には非常口があり,避難
  器具も設置されていたのに,被害者である従業員らはその存在を知らされ
  ず,避難器具の使用訓練や日常の防犯対策が実施されておらず,消費者金
  融会社の対策の不十分さにより,非常口が物理的にも人為的にも使えない
  状態にされていたことにあるので,被告人に結果発生の全責任を負担させ
  ることは公平,公正でない,という。
   しかしながら,被告人の犯行は,上記のとおり,支店長及び従業員らの
  生命,身体を危険にさらすことが極めて高いものであり,被告人もそれを
  十分に認識しながら実行したもので,生じた結果は,予想外の事態が介在
  したり,予想される範囲を超えるものとはいえない(なお,撒かれた混合
  油に火が付けられるや,火炎が上がり,火がたちまち奥の管理室まで到達
  し,続いて黒煙が室内全体に充満し,停電にもなって,息苦しくかつ目の
  前が見えなくなったことが認められるから,仮に従業員らが非常口の存在
  及び避難器具の使用方法を知っていたとしても,それを使って避難するこ
  とは極めて困難であったと容易に推察できる。)。したがって,本件の全
  結果について被告人に全面的な責任があるのは,当然である。
 3 以上のとおりであって,死刑の適用に当たっては慎重を期すべきことを
  十分考慮し,被告人に有利な点を斟酌しても,被告人の罪責は極めて重大
  であって,罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも,被告人につい
  ては死刑に処するのが相当である。
第4よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却し,当審における訴訟費
  用を被告人に負担させないことにつき刑訴法181条1項ただし書を適用
  して,主文のとおり判決する。
  平成16年2月19日
    仙台高等裁判所第1刑事部
      裁判長裁判官   松   浦       繁
         裁判官   根   本       渉
         裁判官   髙   木   順   子

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