弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
本件訴えを却下する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた判決
一 原告ら
1 被告が昭和五二年七月二九日付でした町区域の設定及び変更についての東京都
告示第六四六号のうち、別紙記載(一)ないし(七)の部分を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 訴外調布市長は、地方自治法二六〇条一項の規定により、調布市議会の議決を
経て、調布市の町区域である<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、
<地名略>、<地名略>の各一部の区域を廃止し、その区域をもつて新たに<地名
略>ないし<地名略>を画し、かつ、右<地名略>の一部の区域を<地名略>に編
入する旨の決定(以下「本件決定」という。)をし、これを被告に届け出た。被告
は、同条二項の規定により、昭和五二年七月二九日付東京都告示第六四六号(以下
「本件告示」という。)をもつてこれを告示し、右決定は昭和五二年一〇月一日か
らその効力を生じた。
2 別紙記載の土地(以下「本件土地」という。)は、原告らが共有し又は原告A
が単独で所有しているものであるが、これらはいずれも本件告示の対象とされた。
3 右の新たな町区域の南側は多摩川の左岸堤防によつて画されているが、本件決
定及び本件告示においては、右堤防の位置を真実の位置よりも約六〇メートル北側
の地番上にあるものと誤認しているため、本件土地は堤防の外側にあるにもかかわ
らず、その一部が堤防の内側にあるものとして扱われることになつた。右誤りは、
本件土地の所有権をめぐつて原告らと国、調布市らとの間に訴訟事件が係属中であ
るので、その判決前に原告らの権利を否定してしまうためにあえて行なわれたもの
であり、これによつて原告らは右土地を売却し又はこれに担保権の設定をしようと
しても拒絶される等の不利益を被つている。
4 よつて、原告らは本件告示の取消しを求める。
二 被告の本案前の主張
請求原因1の事実は認めるが、本件訴えは、次のとおり不適法であるから却下され
るべきである。
1 本件告示は、本件町区域の廃止等の決定権者である訴外調布市長がした決定を
伝達しその効力を発生させるものにすぎず、また、右決定が昭和五二年一〇月一日
からその効力を生じる旨を宣言した一種の立法的行為であつて、それ自体により住
民の権利義務に直接影響を及ぼすものではない。したがつて、本件告示は抗告訴訟
の対象となる処分とはいえない。
2 町の区域及びその名称は単に地域特定のためのものであり、個人が特定の町名
を自己の所有地等の表示に用いることによる利益不利益は、通常当該土地を含む区
域に現にその特定の名称が付されていることから生じる事実上のものにすぎず、こ
れをみだりに変更されないという利益が法的に保障されているものではない。原告
らは、本件告示が多摩川堤防の所在地番を誤認しているため、原告らの所有地に対
する権利が侵害されていると主張するが、町区域の廃止、新設等によりその対象地
域内にある土地の所有関係、所在場所、現状等に変動が生じるはずはない。したが
つて、原告らには、本件告示の取消しを求める訴えの利益がない。
○ 理由
一 訴外調布市長が、地方自治法二六〇条一項の規定により、調布市議会の議決を
経て、調布市の町区域である<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、
<地名略>、<地名略>の各一部の区域を廃止し、その区域をもつて新たに<地名
略>ないし<地名略>を画し、かつ、右<地名略>の一部の区域を<地名略>に編
入する旨の本件決定をし、これを被告に届け出たこと、被告が同条二項の規定によ
り本件告示をもつてこれを告示し、右決定が昭和五二年一〇月一日からその効力を
生じたことは、当事者間に争いがない。
二 原告らが本件告示の取消しを求める訴えの利益を有するかどうかについて判断
する。
本件告示は、町区域を廃止、新設、変更した本件決定の効力を生じさせたものであ
るところ(同条三項)、町区域は地理的区画単位であるにとどまり、個人の所有地
等が特定の町区域内にあることによる利益不利益は、通常、当該土地を含む区域が
特定の町区域に画されていることから生じる事実上のものであるにすぎないのであ
つて、当該区域内の土地に所有権等を有する者であるからといつて、直ちに現在の
町区域をみだりに変更されないという利益が法的に保障されているものと解すべき
根拠は存しない。
原告らは、本件告示が新たな町区域の南側を画する多摩川左岸堤防の所在地番を誤
認しているため、本件土地に対する原告らの所有権等が侵害されていると主張する
が、町区域の廃止、新設、変更は従来の町区域を新たな地理的区画単位に区分し直
すものにすぎず、区域内の土地の客観的な位置関係、所有関係、
現状等に変動を生じさせるものでないことは明らかであつて、本件においても、右
堤防の所在位置や本件土地が堤防の外側にあるか内側にあるか等が本件決定又は本
件告示により定められているわけではない。それらの点は、客観的事実に基づき別
途に確定されるべきことであり、それについて本件告示はなんらの効果も及ぼすも
のではない。そして、他に本件告示によつて直接原告らの法的利益が侵害されてい
ることを認めうる資料はない。
それゆえ、原告らには右告示の取消しを求める訴えの利益がないものといわなけれ
ばならない。
三 よつて、本件訴えは不適法であるから却下することとし、訴訟費用の負担につ
き行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり
判決する。
(裁判官 佐藤 繁 中根勝士 菊池洋一)
別紙(省略)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛