弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役十月に処する。
     但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
     被告人から金八万円を追徴する。
         理    由
 末尾添付弁護人広重慶三郎の控訴趣意第一点について、
 しかし記録を精査するも原判決には所論の如き採証の法則に違反する点は認めら
れない。而して原審が適法に取調べた原判決挙示の各証拠を総合すると被告人がA
に五十万円の資金を提供し同人及B・C等と相謀り共同して原判決記載の通りその
密輸出並密輸入の予備を為した事実を優に肯認することが出来る。尤も当公廷に於
て証人Aはこれと稍異なる証言を為し被告人には密輸出入については事前に何等話
をしなかつた旨供述しているが右は前掲原判決拳示の各証拠と対称して遽かに信を
置き難く右各証拠に依つて認められる被告人の本件犯行当時の行動は他の共犯者と
共同正犯の関係にあつて幇助の域を超えたものと認められる。従つて原判決には事
実誤認の違法はなく論旨は理由がない。
 同第二点について、
 原判決挙示の証拠中Aの昭和二六年七月三日附検察官(事務取扱副検事)に対す
る供述調書(謄本)並びに検査官吏Dの犯則事件鑑定書(謄本)に依ると原判示密
輸出に係る杉板五〇〇坪の犯時の原価社合計八万円であつたことが明らであり、右
杉板が既に他に売却せられて没収ができない以上右原価徽を追徴したこと当然であ
る。そして関税法第八三条第三項の追徴の規定は共犯者数人ある場合同時に各共犯
者に対し又各別に各共犯者に対しその全額を追徴すべきものと解すべきてあるから
本件に於で仮に他の共犯者に対し既に全額追徴の言渡があつたとしても共犯者であ
る被告人に対し更にその全額を追徴することは何等違法でない。
 又原判決が被告人に対し懲役刑を言渡し乍ら罰金等臨時措置法第二条を適用して
いるのは法令の適用を誤つたものであるとの所論については関税法違反の犯罪には
懲役刑の外罰金形をも言渡し得るのであるがその決定刑の範囲を明確にする為に同
条を適用したに止まり毫も法令の適用を誤つたものでもない。
 同第三点並弁護人津島静雄の末尾添付控訴趣意について、
 <要旨>昭和二七年二月六日大蔵省令第五号(同月十一日から施行)により関税法
第百四条に所謂外国とみなす地域が北緯二十九度以南の南西諸島に変更せら
れた結果本件密輸の行われた中の島は密輸出入の区域から除外せられるに至つたけ
れども、右は関税法違反に対する刑罰法規を廃止したものでないから刑訴法に所謂
刑の廃止に当らないものと解する。従つて本件違反を処罰すべからざるものの如く
主張する論旨は之を容れない。
 然し記録を精査し諸般の情状を斟酌考量すると被告人に対しては刑の執行を猶予
するのが相当と認められるので実刑の言渡をした原判決は不当でありこの点の論旨
は執れも理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三九七条第三八一条に則り原判決を破棄し同法第四〇〇条但
書に従つて直ちに判決する。
 原審の確定した事実に法律を適用すると被告人の原判示所為は関税法第七六条第
一項第二項刑法第六〇条に該当するので所定刑中執れも懲役刑を選択し右密輸出と
密輸入予備は同法第四五条前段や併合罪の関係にあるから同法第四七条本文第一〇
条に依り重い前者の罪の刑に法定の加重を為した刑の範囲内に於て被告人を懲役十
月に処し同法第二五条に依リ本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予し追徴に
つき関税法第八三条第三項を適用して主文の通り判決する。
 (裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 渡辺進)

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