弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中上告人の予備的請求を棄却した部分を破棄する。
     右破棄にかかる部分を名古屋高等裁判所に差し戻す。
     本件その余の上告を棄却する。
     前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大道寺和雄、同中西英雄の上告理由一、について。
 所論は、原判決の理由不備の違法をいうけれども、その実質は原判決が反対証拠
として挙示した甲第一、二号証についての原審の判断の誤りを非難するものである。
しかし、右甲第一、二号証には売買の目的物の表示として、「一、宅地七拾坪」、
「七拾坪代」と記載されてあるから、原審が右甲号各証を反対証拠としたことに所
論のごとき違法があるものとすることはできない。それ故論旨は理由がない。
 同二、ないし五、について。
 原判決は上告人の予備的請求について、本件売買契約の目的物の範囲はa町大字
b字cd番のe原野一畝九歩(現況宅地)、同所同番のf宅地四三坪の一部、同所
g番のh田の一部合計七〇坪(第一審判決添付図面斜線部分)であり、しかも右契
約は売主たる被上告人が訴外Dから右田の部分の所有権移転を受け、更にその田を
宅地にすることができないときは、右売買契約を解除するという解除条件付契約で
あつたところ、被上告人において右部分の所有権を取得することができず右解除条
件が成就したため契約の効力は消滅した旨認定、判断し、その余の点について判断
するまでもなく、上告人の被上告人に対する損害賠償請求は失当である旨判断して
いる。しかし、その挙示の証拠をみるに本件売買契約に右判示の如き解除条件が付
せられているものであることを明示した証拠は見当らない。而して、本件売買の目
的土地のうち田の部分を除いた残余の部分が僅少であるとか、その部分だけでは買
主たる上告人において契約による土地取得の目的を達することができないとか、逆
に売主たる被上告人はg番のhの田のうち売買の目的とされない部分の所有権を取
得できないかぎり残余の売買目的部分を売却するわけにはいかないとかの事情が存
し、右事情が契約当事者双方の間に了解せられていたような事実でもあれば格別、
原審はこれらの諸事情について審理、判断することなく、かえつて原判決の確定す
るところによれば、売買契約の対象となつた田の部分は目的物件七〇坪の一部にす
ぎないことがうかがわれ、右田を除いた残余の部分をもつても土地利用の目的を達
することができないともいえないから、目的物が可分である本件においては、目的
物中田の部分について被上告人がその所有権を取得できないことになつても、上告
人に対しその部分については契約の履行をすることができなくなることあるは格別、
残余の部分については経験則上契約の効力に影響を及ぼさないものと解すべき余地
がないではない。
 しかるに、これと異り、本件契約はその目的物の全部に関し判示のごとき解除条
件が付されていたとする原審の認定は経験則に反し、解除条件付契約であることを
うかがわしめるに足りる諸事情についての審理、判断を怠つた違法があり、右違法
は判決に影響を及ぼすこと明らかである。それ故、この点に関する論旨は理由があ
る。
 よつて、原判決中、上告人の予備的請求を棄却した部分を破棄し、さらに審理を
尽くさせるため右部分を原審に差し戻すこととし、その余の部分につき本件上告を
棄却すべきものとし、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条
に従い、裁判官全員の一致により、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛