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鳥取地裁平成21・7・6
316条の15棄却
主文
本件請求を棄却する。
理由
第1本件請求の趣旨及び理由
本件請求の趣旨及び理由は弁護人作成の証拠開示命令裁定請求書2及び同補充書
記載のとおりである。要するに,弁護人が,検察官に対し,刑事訴訟法(以下「法」
という。)316条の15に基づいて,被告人の供述録取書等のすべてにつき証拠の開
示を請求したところ,被告人の平成20年7月3日付け供述調書(検察官A作成)(以
下「本件証拠」という。)が開示されなかったが,その後開示を受けた取調べ状況等報
告書により,同日の検察官取調べにおいて供述調書が作成されたことが判明したに
もかかわらず,検察官は,取調べ状況等報告書の記載は誤記であるとして開示に応
じないので,本件裁定を求めたというものである。
第2当裁判所の判断
1本件証拠が存在するのであれば,法316条の15第1項7号の類型証拠に当たるこ
とは明らかであって,その存否が本件裁定請求における争点であるところ,弁護人
が本件証拠が存在することの根拠として指摘する検察事務官B作成の平成20年7
月3日付け取調べ状況等報告書の「逮捕・勾留事実に係る被疑者供述調書等作成の
事実」欄においては,「有」に丸が付された上で,「1通」と記載されている。
検察において作成される取調べ状況等報告書は,司法制度改革審議会の意見書に
おいて,被疑者の取調べの適正さを確保する措置として,被疑者の取調べ過程・状
況について,取調べの都度,書面による記録を義務付ける制度を導入すべきとされ
たこと(記録の正確性,客観性を担保するために必要な措置を講じることも求めら
れている)などを受け,法務大臣訓令により取調べを行った日ごとに作成されるこ
ととされ,また,身柄拘束中の被疑者の取調べ状況に関する客観的証拠として法
316条の15の類型証拠開示の対象となったものであって,その記載内容には,高
度の信用性があることが期待されている。
したがって,取調べ状況等報告書に供述調書が作成された旨が記載されているに
もかかわらず,検察官においてその不存在を主張するのであれば,その理由につい
て具体的に明らかにする必要がある。
このような観点から,裁判所は,裁定請求についての求意見に対する検察官の意
見のみでは十分ではないものと考え,さらに第2回公判前整理手続期日において検
察官に対し釈明を求め,平成21年7月3日に回答を得た。これらの意見及び回答
によると,検察官においては,前記B検察事務官や取調べを担当した検察官Aに
本件証拠の存否について聴取したほか,鳥取地方検察庁庁舎内のA検察官が使用
していた執務室内,鳥取地方検察庁米子支部の記録保管場所等及びA検察官が本
件の捜査と同時期に捜査した他の事件の記録等を確認したというのである。
そして,検察庁が意図的に本件証拠を隠匿しようとまでしているのであれば,む
しろ,弁護人に取調べ状況等報告書を開示する際に,同報告書自体を訂正するか差
し替えれば足りたものであって,組織的,意図的な隠匿は考え難いところ,A検察
官が平成20年7月3日の取調べにおいて供述調書を作成しなかった理由や状況に
ついては前記の検察官の回答において具体的に明らかにされており,また,本件の
一件記録以外の場所に本件証拠が混入している可能性についても,必要な調査を尽
くした上でその不存在を確認している。その他,第2回公判前整理手続期日におけ
る弁護人の釈明によると,被告人においても,本件証拠の存在を積極的に記憶して
いるものではないということなどにも照らすと,本件証拠は存在しないものと判断
するのが相当である。
なお,前記B検察事務官からの聴取結果は,具体的な記憶がないものの,調書
作成の有無及び通数については取調べ前に検察官から予定を聞いてあらかじめ記
入しておくことがあったが,本件時においては取調べ終了時の確認を怠ったのでは
ないかと思うというものであり,取調べ状況等報告書の前記の趣旨からすると相当
性を欠く作成状況であったというほかないが,前記のA検察官からの聴取結果や
本件証拠の調査結果等に照らすと,前記判断を左右するものとまではいえない。
2結論
よって,本件請求は理由がないから,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官・小倉哲浩,裁判官・空閑直樹,裁判官・野口登貴子)

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