弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人人見福松の上告趣意第一点、第四点、第五点の一の(ロ)、第九点の(ハ)
及び第一〇点について。
 所論は、極めて乱雑であり且つ重複しているが、結局第一審又は原審の裁量を非
難し若しくはその訴訟法違反を主張するに帰するものと解されるから、明らかに刑
訴四〇五条に定める上告理由に当らない。そして、公訴事実の同一性は、犯罪の性
質、態様、被害数量等が異つていても基礎たる事実が同一であればこれを認めても
差支えないものであるから、原判決には所論のような誤解又は誤認は認められない。
次に、審理の範囲、程度等は事実審の裁量に属することはいうを待たないし、また、
訴因を予備的に(すなわち当初の訴因が否定される場合の予備として)追加又は変
更し得べきことは刑訴二五六条五項、三一二条により明白であり、且つ、公訴事実
の同一性を害しない限度における訴因の追加(新らたな訴因を附加すること)と変
更(同一訴因の態様を変更すること)とは、その法律上の効果を異にしないから、
追加を変更と誤認しても判決に影響なきは勿論第一審においてした訴因の変更又は
追加を第二審において更らに改めて追加又は変更する手続を執る必要はなく、また、
有罪、無罪は公訴事実に対しなさるべきものであるから、公訴事実が同一である以
上その範囲内の追加又は変更前の訴因でこれを否定すべきものについては主文にお
いて無罪を言渡すべきではない。従つて、原判決には結局所論の違法又は不当が認
められないから、刑訴四一一条を適用すべきものとも思われない。
 同第二点及び第一一点について。
 しかし、原判決は前に被告人のためになされた弁護人の選任の効力は当然その選
任後同一被告人に対し起訴される一切の被告事件に及ぶものと断定したのではなく、
曩に選任された弁護人の弁護権は被告人その他選任権者において特段の限定を為さ
ない以上同一の機会に追起訴され且つ一つの事件として併合審理された被告事件の
全部に及ぶものと解するを相当とすると判断したに過ぎないものであつて、原判決
の見解は正当であり、これを是認することができる。従つて、原判決の判断は所論
名古屋高等裁判所の判例(選任行為に因つて明示された事件に限る)と必ずしも相
反するものではないし、また、所論大審院の判例は、数個の出版法新聞紙法違反事
件に係り本来旧刑法の数罪倶発の例を用いないか又は刑法併合罪の規定を適用せず、
従つて、併合審理した場合でも裁判の各一部に対し独立して上訴を許す(旧刑訴三
八〇条、刑訴三五七条参照)案件に関する原審弁護人の上訴権の有無についての判
例であるから、本件に適切ではない。従つて、所論は結局刑訴四〇五条三号に当ら
ないし、また、仮りに当るものとしても同四一〇条二項に従つて右判例を変更して
原判決を維持するを相当と認める。その他法令違反の主張はいずれも刑訴四〇五条
所定の上告理由に当らないから採用し難い。
 同第三点、第五点の四、第一二点及び第一三点について。
 しかし、所論判例はすべて本件には適切でなく、従つて、原判決は刑訴四〇五条
二号又は三号に該当する判例違反の判断はしていない。それ故所論は、単なる法令
違反を主張するに帰し同条所定の適法な上告理由に当らないばかりでなく、所論公
判調書の冒頭には被告人の氏名は書いてないが、公判調書中には書いてあり、従つ
て、被告人に対する第五回公判調書であることが同調書自体で判るから、原判決に
は所論のごとき法令解釈上の誤解は認められない。されば、同公判調書が無効であ
るとの主張並びにこれを前提とする論旨は刑訴四一一条一号所定の法令違反の主張
としても採用し難い。
 同第五点一の(イ)、同二及び同三並びに第九点の(イ)及び(ロ)について。
 第一審判決は、判示第二事実を認定するのにA作成の盗難被害届及び盗難品追加
届中の記載、司法警察員作成の差押調書中の記載、証人B並びに被告人の公判延に
おける供述等を綜合して認定したものであるから、被告人の自白を唯一の証拠とし
た違憲は認められない。その他事実誤認又は訴訟法違反等の主張はすべて刑訴四〇
五条所定の上告適法の理由とならない。
 同第六点乃至第八点について。
 論旨第八点は量刑不当の主張であり、その余の論旨はすべて単なる訴訟法違反の
主張と解されるから、刑訴四〇五条所定の上告理由に当らない。
 よつて、同四〇八条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二六年六月二八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    眞   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛