弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人佐々木清綱、同佐藤達夫の上告趣意第一点について、
 刑訴二二三条一項は、司法警察職員が犯罪の捜査をするについて必要があるとき
は他に鑑定を嘱託する権限を有することを規定しているのである。本件においては
司法警察員たる佐沼地区警察署長Aの嘱託を受けて医師Bが鑑定を実施したのであ
るから鑑定手続には何等所論のごとき違法の点はないのである。
 しかるに旧刑訴法下にあつてはこれと異り、捜査機関たる検事、司法警察官が他
に鑑定することを命じうるのは旧刑訴一二三条各号の場合か、乃至いわゆる現行犯
処分の場合に限られていたのである(旧刑訴二二八条、二一四条参照)。論旨引用
の昭和二二年(れ)第三五号、同二三年三月二〇日第二小法廷判決は右以外の場合
においてなされた鑑定手続が違法であることを明らかにしたものであつて、この判
例の趣旨を新刑訴法下の鑑定手続にも推し及ぼそうとするは許されないこと当然と
いうべきであらう。
 次に論旨は本件死体の鑑定にあたり、死体解剖に関する裁判官の許可がなかつた
と主張する(刑訴二二五条、一六八条参照)。 そして本件記録中に右の鑑定処分
許可状を欠くことは所論のとおりであるが、この許可状は公判手続において必ずし
も鑑定書と共に提出することを要するものではないのみならず、第一審における公
判調書(一五丁)によれば検察官が医師B作成の鑑定書の取調を請求したのに対し
て被告人及び弁護人はこれを証拠とすることに同意したほか、その証拠調に異議が
ない旨述べているのであるから鑑定処分許可状の提出がなされなかつたとしても何
等違法はなく、その違法を基礎として原判決を攻撃する論旨は前提を欠くことにな
り、採用することができない(尚、昭和二七年五月三〇日付最高検察庁検事岡本梅
次郎から当小法廷裁判官あての鑑定処分許可状の件と題する書面によつて、所論の
死体解剖につき昭和二六年四月一日付登米簡易裁判所裁判官佐藤龍馬の鑑定処分許
可状が発せられたものであることが明瞭である)。
 同第二点について、
 刑訴二一八条は、司法警察職員が犯罪の捜査をするについて必要があるときは裁
判官の発する令状により検証をする権限を有することを規定しているところ、本件
の司法警察員の検証調書の記載によれば登米簡易裁判所裁判官佐藤龍馬の発した検
証許可状により司法警察員Cが検証を実施したことを認めうるのである。従つて検
証の手続について何等所論のごとき違法はなく、原判決が司法警察員の検証調書を
罪証に供したのは正当であつて論旨は理由がない。
 同第三点について、
 論旨は刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らないし、また本件は同四一一条三号
を適用すべき場合とも認められない。
 同第四点について、
 しかし原判決挙示の各証拠を綜合するとき、おのずから判示事実を認定しうるの
であるから、所論のごとき違法はなく、論旨は採用できない。
 同第五点について。
 記録を精査するも、死刑を科した原審の量定が甚しく不当であつて、原判決を破
棄しなければ著しく正義に反するとは認められないのである。論旨は理由がない。
 同第六点について、
 訴訟費用の範囲については刑訴費用法一条が定めているところ、右によれば所論
のごとき公判前の費用はいずれも訴訟費用に属しないこと明らかであり、原審もこ
れに関する費用を被告人に負担させたものではないのであるから、論旨は容認でき
ない。
 被告人本人の上告趣意について、
 論旨は、計画的犯行でないことを述べて、死刑を減じ、もつて生への希望を遂げ
させてもらいたいと主張するのであるが、当裁判所は原判決を破棄しなければ著し
く正義に反するという点を発見できない。論旨は理由がない。
 よつて刑訴四一四条三九六条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
 検察官 岡本梅次郎出席
  昭和二七年七月二五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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