弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1被告は,原告大学に対し,80万円及びこれに対する平成23年12
月17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2被告は,原告Aに対し,20万円及びこれに対する平成23年12月
17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
3原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4訴訟費用はこれを5分し,その4を原告らの負担とし,その余は被告
の負担とする。
5この判決は,第1項及び第2項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告大学に対し,465万5788円及びこれに対する平成23年
12月17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2被告は,原告Aに対し,100万円及びこれに対する平成23年12月17
日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,原告大学が,ヒト細胞を使用したがん細胞モデルを作成する研究
(以下「本件研究」という。)に使用する目的で,B株式会社,C株式会社を通
じ,被告が製造するヒト細胞であるMiaPaCa2-RFP細胞(以下「本件買
受申込細胞」という。)を購入したところ,平成23年12月16日,被告が,ヒ
ト細胞である本件買受申込細胞を供給すべき注意義務に反し,ヒト細胞ではない細
胞を原告大学に納品したため(以下,原告大学に実際に納品された細胞を「本件納
品細胞」という。),原告大学は,研究のやり直し等の損害が生じたとして,被告
に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,465万5788円及びこれに対
する不法行為日より後の日である平成23年12月17日から支払済みまで民法
所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求め,本件研究を統括していた
原告Aは,本件納品細胞を使用した誤った研究結果の発表を行った結果,社会
的な信用を失墜し,精神的な苦痛を被ったとして,被告に対し,不法行為に基づ
く損害賠償請求として,100万円及びこれに対する不法行為日より後の日である
平成23年12月17日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害
金の支払を求める事案である。
2前提事実(認定根拠を掲げた箇所を除いて当事者間に争いがないか,弁論の
全趣旨により容易に認められる。)
(1)当事者等
ア原告大学は,大阪府吹田市所在の国立大学である。
イ原告Aは,原告大学に所属する研究者であり,機能性高分子,バイオマテリ
アルを専門分野とし,本件研究を統括していた。同原告は,平成23年12月16
日当時,原告大学大学院工学研究科分子化学専攻教授の地位にあり,平成27年4
月以降は同大学院生命機能研究科特任教授となって今日に至っている(甲23)。
ウ被告は,米国に抗がん剤及び診断薬の研究,開発,販売を目的としたバイオ
ベンチャーであるDという親会社(以下,「被告の親会社」という。)を持ち,G
FPないしRFPと呼ばれる蛍光タンパク質で標識したがん細胞の販売等を行う会
社である。
蛍光タンパク質とは,細胞を生きたままの状態で染色し観察するために細胞に導
入するタンパク質のことであり,蛍光タンパク質を導入した細胞は,マウス等の被
験体に移植して,その増殖状況等を確認する研究に使用され,細胞に導入した蛍光
タンパク質が赤色であれば,細胞名にRFPと表示され,緑色であれば,細胞名に
GFPと表示される。
被告は,Cとの間で,被告が製造した蛍光性細胞の日本国内における販売等に関
する独占販売代理店契約を締結している(乙1)。
(2)本件買受申込細胞について
本件買受申込細胞は,ヒトすい臓がん由来のMiaPaCa2細胞に赤色の蛍光
タンパク質を導入したがん細胞である。
(3)本件買受申込細胞の購入から納品に至る経緯
ア原告Aの研究室に所属する研究者であるEは,平成23年12月15日,当
時被告の営業部長であったFの営業活動としての訪問を受けたが,その際,Eは,
Fに対し,ヒト細胞を使ったがん細胞モデルを作るという研究に使うことを明示
し,本件買受申込細胞がヒト細胞であることを確認した上で,本件買受申込細胞購
入の意向を示した。
イ同日,原告大学は,Eの指示により,出入業者であるBに対し本件買受申込
細胞を注文し,同社との間で,被告を販売元とする本件買受申込細胞の売買契約を
締結した。なお,上記のとおり,被告は,Cとの間で,独占販売代理店契約を締結
しているため,BはCとの間で本件買受申込細胞に関する売買契約を締結し,その
上で,原告大学に対し,同細胞を売却したものであった。
ウ翌16日,原告大学は,Bから本件納品細胞1バイアルの納品を受けた。
エ平成24年1月31日,原告大学は,上記売買契約の代金を支払った。
(4)本件納品細胞をめぐる問題が生じた経緯
ア平成25年2月13日,本件研究に関して実験を行っていた,当時,原告大
学大学院工学研究科応用化学専攻の博士後期課程1年のGは,Fに対し,メール
(甲18)にて,本件納品細胞と,別にHから購入したMiaPaCa2細胞との
形態や増殖スピードが異なる旨の問合せを行った。これを受けて,翌14日,F
は,Gに対し,メール(甲19)にて,本件買受申込細胞のロットW-0及びW-
5と,MiaPaCa2細胞(Gの保有する同細胞と同じ入手元あるいはロットの
ものとは限らない)とを比較したところ,形態及び増殖スピードが異なり,前2者
のほうが後者よりも1.5から2倍弱程度早いスピードで増殖している旨の返答を
行った。
イ翌15日,被告は,被告が保管していた本件買受申込細胞のうち,少なくと
も1つの細胞については,ヒト細胞認証試験受託サービスを申し込み(乙16),
その結果,同細胞はヒト細胞ではなかったことが判明したため,同年3月8日,F
はG及びEに対し,メール(甲20)にて,ヒト細胞認証試験受託サービスを受け
た結果,「MiaPaCa2-RFPはヒトセルラインでは無いとの報告を受けま
した」,「大変に残念な結果ですが2011年12月に販売致しまして今回お問い
合わせを頂きましたMiaPaCa2-RFPは,MiaPaCa2-RFPで無
いことが判明致しました。誠に申し訳ございません。」と連絡した。
3争点及び争点に関する当事者の主張
(1)被告の原告らに対する注意義務の有無
(原告らの主張)
ア原告大学が被告の製造する本件買受申込細胞を購入したのはB及びCを通じ
てのことであり,被告との直接の契約関係に基づくものではない。しかしながら,
EがFに本件研究で使用する目的を説明しFも本件買受申込細胞がヒト細胞である
旨説明していたなどの上記2(3)アの事情に鑑みれば,被告は,原告らに対し,
B,Cを通じ,ヒト細胞である本件買受申込細胞を供給すべき注意義務を負ってい
た。
イ被告は,本件納品細胞を受領した後に同細胞について生じた疑問につき問合
せた原告らに対し,問合せに関する事項につき正確な情報を提供すべき注意義務を
負っていた(予備的主張)。
(被告の主張)
上記原告らの主張はいずれも否認ないし争う。
被告は,直接の取引相手方であるCに対しては,被告が表示したとおりの品質を
備えた細胞,すなわちヒト細胞である本件買受申込細胞を供給すべき注意義務を負
うが,契約関係にない原告らに対して,直接具体的な注意義務を負うことはない。
(2)上記注意義務違反の有無
(原告らの主張)
ア被告は,ヒト細胞である本件買受申込細胞を供給すべき注意義務に反し,原
告大学に対し,当時,Bの原告大学向けの営業担当者であったLを通じて,ヒト細
胞ではない本件納品細胞を納入した。
イ仮に本件納品細胞が下記被告の主張のとおりヒト細胞であったとしても,被
告は,原告らに対し,本件納品細胞に関する問合せに対して正確な情報を提供すべ
き注意義務に違反し,本件納品細胞がヒト細胞ではない旨を連絡した(前提事実
(4)イ)(予備的主張)。
(被告の主張)
上記原告らの主張はいずれも否認ないし争う。
本件納品細胞は原告大学に納品された当時,ヒト細胞であった。GがFにメール
した平成25年2月13日(前提事実(4)ア)頃までに,原告大学において,マウ
ス細胞とのクロスコンタミネーション(実験対象サンプル相互間における混入・混
交)が生じた可能性がある。ヒト細胞に微量のマウス細胞が混入することにより,
培養速度が速い後者の細胞が優勢になり,最終的にマウス細胞のみになってしまう
という可能性は否定できないのである。
仮に本件納品細胞が原告大学に納品された時点でヒト細胞ではなかったとして
も,被告はヒト細胞である本件買受申込細胞を出荷しており,ヒト細胞ではなかっ
た原因はBによる誤納品にある。
⑶損害
(原告らの主張)
ア原告大学に生じた損害465万5788円
(ア)研究費用275万6188円
原告大学は,本件納品細胞がヒト細胞ではなかったため,再度,被告から本件買
受申込細胞を購入し,研究をやり直した。これによる損害は,Eの当時の1日あた
りの平均収入1万8878円に,本件研究に関する実験に要した期間146日を掛
けた275万6188円である。
(イ)弁護士費用等189万9600円
原告大学は,本件納品細胞をめぐる事後対応についてFと交渉した後,被告の親
会社から脅迫と受け取られる文書(甲10)を受領し,原告大学の内部機関のみで
は解決することが極めて困難であったため,国際業務の対応が可能な弁護士に対応
を依頼せざるを得なくなった。この被告の親会社との訴訟前の交渉により,原告大
学は,弁護士費用及び翻訳料189万9600円を要した。同損害は通常生ずべき
損害である。
イ原告Aに生じた損害100万0000円
原告Aは,本件研究を統括する立場にあり,その研究成果についての論文におい
ても責任者の立場にあったが,本件納品細胞がヒト細胞ではなかったため,誤った
研究結果を発表したことになり,これによって論文の差替え等をせざるを得なくな
り,加えて,本件訴訟がマスコミに報道され,原告Aの責任が軽くないとの意見を
受けており,社会的な信用を失墜し,その精神的な苦痛を被ったところ,これらに
よる慰謝料額は100万円を下らない。
(被告の主張)
原告らの主張はいずれも否認ないし争う。
特に,上記ア(イ)の損害については,被告ではなく,被告の親会社との交渉によ
って生じたものであって,通常生ずべき損害とはいえない。
(4)過失相殺の可否
(被告の主張)
ア原告らには,次のとおりの過失がある。すなわち,研究者である原告らは,
本件納品細胞を入手した時点あるいは適時において,クロスコンタミネーションが
ないか否か等を確認するため,本件納品細胞がヒト細胞であるか否かを確認すべき
注意義務があったのにこれを怠り,ヒト細胞であるか否かを確認することなく,本
件納品細胞を用いて本件研究を開始し,その後も何ら確認措置を講じなかった。
イ予備的主張(原告側からの問合せに対する情報提供義務とその違反)の関係
においても,原告らには次のとおりの過失がある。すなわち,原告らは,細胞研究
の分野で高い評価を得ている著名な科学者,研究機関であるところ,被告が本件買
受申込細胞をヒト細胞認証試験受託サービスに出したのが原告大学への本件納品細
胞を納品してから約1年2か月後であり,同時点では原告大学においても,被告に
おいても,クロスコンタミネーションが生じている可能性が存在しているのである
から,被告の連絡内容にかかわらず,原告らにおいて自ら本件納品細胞がヒト細胞
であるか否かを確認すべき注意義務があったのに,これを怠り,漫然と研究をやり
直した。
(原告らの主張)
被告の主張は否認ないし争う。
そもそも,被告においては,本件納品細胞とともに同細胞のデータシート(甲
3)を納入しており,同シートには,「特性」の欄に「ヒト膵臓由来のがん細胞M
iaPaCa2にレトロウィルス・ベクター法にてRFP遺伝子を導入,発現」,
「動物種」の欄に「ヒト」と記載されていたのであるから,原告らは本件納品細胞
がヒト細胞であることを前提に実験に使用することが当然であり,ヒト細胞である
か否かを自ら確認すべき注意義務は負っていない。特に,本件研究においては,通
常の培養操作を行う事案にすぎず,遺伝子操作や共培養により細胞株を樹立するよ
うな特殊な研究とは異なるから,なおさらユーザーである原告らにおいて自らヒト
細胞か否かを確認すべき注意義務は負っていない。加えて,原告Aの研究室では,
MiaPaCa2細胞を使用して研究をするのは,本件研究が初めてであったた
め,本件納品細胞の観察をしているだけでは細胞の形態や増殖スピードがヒト細胞
のそれとは異なることに気づくことは困難であり,Hから購入したMiaPaCa
2細胞を使用し始めてすぐに疑問を抱き,速やかにFへの問合せを行っていること
からすれば,原告らには何ら落ち度はない。
第3当裁判所の判断
1争点(1)(被告の原告らに対する注意義務の有無)について
(1)上記前提事実(3)に加え,証拠(甲5,乙17,証人L,証人F)によれ
ば,以下の事実が認められる。
ア平成23年12月15日,Eの求めに応じて(前提事実(3)ア),Fは,B
の担当者であるLに電話をし,原告大学のA研究室内のEに対して本件買受申込細
胞を納品するよう依頼した。
イ翌16日,Lは,ドライアイスを詰めた発泡スチロールの箱を持って被告に
赴き,被告の職員に同箱を渡し,同人から本件納入細胞の入った発泡スチロールの
箱を受領したが,その際,同箱はガムテープで巻かれており,開けられない状態で
あった。
ウ上記箱を受領したLは,そのまま原告大学に赴き,原告大学工学部の検収所
において検収を受け,Eに上記箱を引き渡した(乙17・6頁)。なお,本件買受
申込細胞はマイナス80度保存の細胞であり,開けると品質が保証できなくなるた
め,Lは,被告から同箱を受領した後,Eに渡すまでの間,同箱を開けていない。
(2)本件買受申込細胞の売買契約については,上記のとおり,原告大学とB,
BとC,Cと被告との間で順次締結されたものであるため,原告大学と被告との間
に直接の契約関係は存在しない。しかしながら,被告が本件買受申込細胞の製造元
であること,EはFに対して本件研究で使用する目的を明示し,これを受けてFも
本件買受申込細胞がヒト細胞である旨説明し,その結果Eしたがって原告大学は同
細胞買受けの意思を形成したこと,Eないし原告大学に引き渡すべき細胞(本件納
品細胞)を特定したのは被告であること,本件納品細胞の納品は,Bの担当者であ
るLが運搬したものではあるが,被告から原告大学に直送されていること等の上記
事実関係に照らせば,被告は,原告大学がヒト細胞としての本件買受申込細胞を終
局的に確保できるように配慮すべき注意義務があるというべきである。すなわち,
商流の起点に位置する学術実験用細胞の販売業者が,エンドユーザーたる学術機関
の買受希望意思の形成に直接関与し,当該エンドユーザーから買受希望対象物を特
定され,商流の全体(本件に即していえば被告からC,Bを介して原告大学に至る
売買対象物の流通過程)を認識しつつ当該対象物をエンドユーザーに直送するに当
たり,エンドユーザーの予期に反する結果を生じさせないように配慮すべきこと
は,直接の契約関係の有無に関わらず,学術実験用細胞販売業者としての一般的な
注意義務に属するものと考えられるのである。
被告の負うべき注意義務として原告らが主張するところの「ヒト細胞である本件
買受申込細胞を供給すべき注意義務」とは,上記の趣旨をいうものと理解されるの
であり,本争点に関する原告らの主位的主張に理由があることは明らかである。
2争点(2)(上記注意義務違反の有無)について
上記前提事実及び下記認定した事実によれば,本件納品細胞は原告大学に納入さ
れた時点で既にヒト細胞ではなかったと認められる。また,以上の事実について仮
にその直接的な立証が十分ではないとしても,被告は同事実につき裁判上の自白を
したものであり,その後これを撤回しているものの,同自白が反真実かつ錯誤に基
づくものであることにつき立証に成功していないから,結局,自白の拘束力によ
り,本件納品細胞は原告大学に納入された時点で既にヒト細胞ではなかったと認め
るほかはない。以下,上記結論に至った理由を述べることとする。
(1)上記前提事実に加え,各掲記の証拠によれば,以下の事実が認められる。
ア本件買受申込細胞は,ヒトすい臓がん由来のMiaPaCa2細胞に対し
て,赤色蛍光タンパク質(DsRed2)遺伝子を含むレトロウイルスベクターp
LNCX2による遺伝子組換えを行って作成した細胞である(甲25の2)。
イ被告は,かねてより,ヒト細胞だけではなく,マウス細胞も製造,保管,販
売していた(甲2)。
ウ被告の親会社から平成19年12月26日に持ち込まれた本件買受申込細胞
を最小限の継代(培養系から培地を除去し,細胞を新しい培地に移す操作をい
う。)で保存したものがW-0である(乙18,25。乙18・2頁には「Arr
ivedon2007/12/26」とある。)。
エ被告での本件買受申込細胞の製造過程は,次のとおりであった(乙18・2
頁)。
(ア)W-0を使用して,平成20年1月15日から同月18日までW-1ロッ
トが製造(培養)された(以下,同日程で製造された細胞を「080118W-
1」という。この呼称は乙18における表記に対応しているものであり,以下の細
胞についても同様である。)。
(イ)同年8月8日から同月13日までの間,080118W-1を使用してW
-2ロットが製造された。
(ウ)平成21年3月3日から同月6日までW-2ロットを使用してW-3ロッ
トが製造された。
(エ)同年4月16日から同月20日までW-3ロットを使用してW-4ロット
が製造された(以下,同日程で製造されたW-4ロットを「090420W-4」
という。)。
(オ)同年10月16日から同月19日まで090420W-4を使用してW-
5ロットが製造された(以下,同日程で製造されたW-5ロットを「091019
W-5」という。)。
(カ)平成22年7月12日から同月15日まで091019W-5ロットを使
用してW-6ロットが製造されたが,「Takeし難くなったため8/9作製WC
B-4を使用する」とされた。
(キ)同年8月6日から同月9日までW-3ロットを使用してW-4ロットが製
造され(以下,同日程で製造されたW-4ロットを「100809W-4」とい
う。),同月6日に「SC確認後このWCB-4を使用する」とされた。
(ク)平成23年12月19日から同月22日まで前培養を使用してW-5ロッ
トが製造された(以下,同日程で製造されたW-5ロットを「111222W-
5」という。)。
オ被告が原告大学に納品した本件納品細胞は,被告が製造,保管していた本件
買受申込細胞のうち平成22年8月9日に製造した100809W-4ロットの細
胞である(乙17・6頁)。
カ本件買受申込細胞のうちW-0ロットの細胞については,タカラバイオのレ
トロウイルス検査は実施されたが,ヒト細胞認証試験は実施されておらず(甲2
0,乙25),レトロウイルス検査はヒト細胞か否かを調べる試験ではない(乙2
4)。
キ被告が平成25年2月15日にヒト細胞認証試験受託サービスを申し込み,
ヒト細胞ではないとの結果を得た細胞(上記前提事実(4)イ)は,平成23年12
月22日に製造した111222W-5ロットの細胞である(乙25)。
ク平成25年3月12日,本件買受申込細胞のうち1つの細胞については,マ
ウス細胞とのクロスコンタミネーションが起きているのではないかと推定された
(乙4)。
(2)乙号証(とりわけ乙17,18)の証拠評価について
上記(1)の認定は,基本的に,被告提出の証拠(とりわけ乙17,18)に依拠
しているところ,乙号証のうち乙16以降のもの(乙17,18に関しては提出し
直す前のもの)は,9回にわたる弁論準備手続が終結し,証人Fらの証人尋問が実
施された第2回口頭弁論期日の終了後,第3回口頭弁論期日が実施された平成28
年7月4日に初めて提出されたものである。そして,原告らは特に乙17,18の
成立の真正を争うとともに,時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきである旨
の証拠意見を述べた。
しかしながら,証拠(乙19ないし22,被告代表者I)によれば,被告におい
ては,当時,被告の本店が構えられていた建物について明渡しの強制執行等を受
け,営業活動の拠点を千葉県富里市に移転した後,元被告代表者Jが保管していた
資料の返還を平成27年の11月末頃に受けたと認められ,乙16以下の証拠は被
告の事務作業担当者(協力者)であるKが証人Fの尋問後に発見したと認められる
ことからすると,乙16以下の証拠については,「時機に後れて提出した」とは認
められる(下記(5)に示すとおり平成27年7月6日の時点で被告自ら自白を撤回
し,本件納品細胞がヒト細胞であったか否か,さらには細胞の製造過程等が争点化
していた。)が,「故意又は重大な過失により」時機に後れたとは認めがたい。し
たがって,乙16以下の証拠は時機に後れた攻撃防御方法とは認められない。
また,原告らは,特に乙17,18の成立の真正を争っているが,被告が提出し
直した乙17,18を見ると,出荷記録(乙17)も細胞管理台帳(乙18)もい
ずれもコンピュータで管理しているデータを印刷したものであり(乙18は平成2
4年3月13日に印刷されたものとうかがわれる。乙18・1頁「2012.3.
13コピー」参照),誰がいつどのように記載したか明らかではないが,その内容
は,被告の元で製造販売した細胞のデータが記載されているものであり被告の通常
の業務に関し作成されるものと認められる上,特段その成立の真正に疑いを差し挟
むべき事情も見受けられないため,被告の担当者により真正に成立したものと認め
られる。以上の次第で,乙17,18を基礎として上記(1)のとおり認定すること
ができる。
(3)上記前提事実(4)及び上記第3の2(1)エ,オ,キ,クによれば,本件納品
細胞は平成22年8月6日から同月9日までW-3ロットを使用して製造された1
00809W-4ロットのうちの1バイアルであること,同細胞は,元をたどれ
ば,W-0ロットの細胞から製造されたものであること,ヒト細胞認証試験受託サ
ービスによってヒト細胞ではないことが確定し,マウス細胞とのクロスコンタミネ
ーションが推定された細胞(111222W-5)は,本件納品細胞と同じロット
の細胞(100809W-4)から製造されたものであること,被告内部における
検討の結果,W-0ロット及びW-5ロットの細胞はヒト細胞であるMiaPaC
a2細胞と比べ,形態が異なり,増殖スピードが早いことが確認されていることが
認められる。
そして,増殖スピードを確認したW-5ロットが上記111222W-5ロット
のものか,091019W-5ロットのものかは,FがGに送信したメール(甲1
9)上明らかではないが,後者は平成22年8月9日以降使用されていない(上記
第3の2(1)エの(カ),被告準備書面4・3頁)のであるから,上記メール(甲1
9)で指摘するW-5ロットとは111222W-5ロットの細胞と認められる。
そうすると,本件納品細胞の元となったW-0ロットの細胞と本件納品細胞から
製造された111222W-5の細胞との双方について,マウス細胞とのクロスコ
ンタミネーションがうかがわれるということになる。そうであるとすれば,本件納
品細胞もまた,マウス細胞とのクロスコンタミネーションが生じていると推測する
ことに合理性があるというべきである。
なお,W-0ロット及びW-5ロットの細胞形態等を確認した時期は平成25年
1月頃であり(甲19),本件納品細胞を製造した平成22年8月から約2年半が
経過しているものの,品質管理を目的として細胞の形態を確認する(甲19)ほか
は,W-0ロットを使用する機会があったことはうかがわれず,上記2年半の間
に,上記2つのロットの細胞において,異別の原因に由来して双方ともにマウス細
胞とのクロスコンタミネーションが生じたとは考えにくい。
以上によれば,本件納品細胞は,原告大学に納品された時点で既にヒト細胞では
なかったと認めることができる。
(4)甲19及び証人Fの証言の証拠評価について
上記(3)の認定判断は,Fの作成にかかる甲19のメールを重要な根拠の一つと
している。そして,甲19には,平成25年2月14日の時点で,同年1月に「M
iaPaCa2-RFPのロットW-0とW-5」の写真撮影を行い,その際,細
胞の形態や細胞増殖のスピードを確認した旨説明するとともに,そこから導かれる
帰結として,「被告で保管している本件買受申込細胞のうちW-0ロット,W-5
ロットとMiaPaCa2細胞との細胞形態や増殖スピードには違いがある」こと
が示されているのであって,上記(3)の結論はこの事実が存在することを基礎とし
ている。他方,被告は,甲19を根拠に本件納品細胞が納品時にヒト細胞ではなか
ったとの結論を導くことについて,種々の疑問を表明している(平成28年12月
22日付け被告準備書面6等)。
この点に関し,甲19の作成者でもあるFは,その証人尋問において,ヒト細胞
認証試験受託サービスを受けた細胞と本件納品細胞のロットが同じであり,W-0
ロットもヒト細胞認証試験受託サービスを受けた旨供述する(証人F)。しかしな
がら,ヒト細胞認証試験受託サービスを受験したこと及びその結果を伝えるメール
(甲19,20)の文面上,同試験を受けた細胞が本件納品細胞と同じロットのも
のであることや,W-0ロットについて同サービスを受けたことなどの記載は存在
しないことに加え,既に指摘したとおり,被告提出の乙16ないし18,24,2
5と対照すれば,Fの上記供述部分はにわかに信用することができないというべき
である。
このように,Fの供述には重要部分についてやや不安定な要素があることを否定
し難いところである。そうであるとすれば,同じくFの認識を伝えるものであると
ころの甲19についても,その内容について疑問を容れる余地がないかを検討する
必要性は,ないとはいえない。
しかしながら,記憶の減弱・混線が供述内容に影響する可能性があることはおよ
そ人証一般に含まれる特性であって,Fの法廷供述においてもそのことは同様であ
り,Fの供述が記憶違いに基づくものであるに過ぎない可能性は否定し難く,法廷
供述の内容に採用できない要素が含まれるからといって,Fの認識あるいはこれを
文書化した作成物の信用性を全否定することはできない。
一方,F作成にかかる甲19は,上記のとおり,被告で保管している本件買受申
込細胞のうちW-0ロット,W-5ロットとMiaPaCa2細胞との細胞形態や
増殖スピードの違いについて言及するものであるが,そのメール送信時(平成25
年2月14日)からわずか約1か月前の同年1月に「MiaPaCa2-RFPの
ロットW-0とW-5」の写真撮影を行い,その際,細胞の形態や細胞増殖のスピ
ードを確認した旨を示すとともに,これに併せて実際に「MiaPaCa2-RF
PW-0」,「MiaPaCa2-RFPW-5」と記された写真(甲19・
3頁)をも添付して送付していることが認められ,これらの事情に照らせば,被告
内部で保管されている本件買受申込細胞のW-0及びW-5ロットとMiaPaC
a2細胞との間に上記のとおりの違いが存する,という点については,甲19の内
容に客観性・信用性があるというべきであり,以上の判断は,その作成者たるFの
記憶ないし認識内容に不安定な点があることによって直ちに左右されるものではな
いというべきである。
(5)上記のとおり,本件納品細胞は原告大学に納入された時点で既にヒト細胞
ではなかったと認められるが,その点をひとまず措いても,同事実については下記
のとおり被告の裁判上の自白が成立しており,同自白の撤回が認められる要件を満
たしていないことから,結局,本件納品細胞は原告大学に納入された時点で既にヒ
ト細胞ではなかったと認定すべきことになる。
ア裁判上の自白の成立
被告は,平成27年4月2日付け準備書面1において,あくまで被告は正しい細
胞を供給したが,Bがヒト細胞ではない細胞を誤って納品したにすぎない,と主張
しており(同2頁「訴外BがMiaPaCa2細胞として,そうでないもの即ち本
件納品細胞を納品した」,6頁「訴外Bが納品した本件納品細胞が表示した品質
(当裁判所注:ヒト細胞との品質)を備えていなかった,単なる誤納品」,8頁
「本件で原告大学に納品された細胞がヒト細胞ではなかった」),「本件納品細胞
がヒト細胞ではなかった」という主要事実については,裁判上の自白が成立してい
る。
イ同自白の撤回
被告は,同年7月6日付け準備書面2等において,「本件納品細胞は正しいMi
aPaCa2-RFP細胞であった」と主張を変え,上記自白は反真実かつ錯誤で
あるとして,撤回する意思を表明した。
ウ撤回の可否
しかしながら,上記前提事実(4),上記第3の2(1),証人G及び原告本人Aの尋
問結果によれば,被告においては少なくとも被告が実際にヒト細胞として保管して
いた本件買受申込細胞のうち1つの細胞がヒト細胞ではないとされており(その原
因はマウス細胞とのクロスコンタミネーションと考えられることに実質的な争いは
ない。),被告のもとでは本件買受申込細胞の製造過程を見ただけでも,W-6ロ
ットに関して何らかの事情により使えないとされ,再度W-3ロットを使用してW
-4ロット以降の細胞を作り直している状況であり,そのほか,被告が製造,保管
する他の細胞に関する記録(乙18)をみても,「旧細胞LewisLung-
DualはSTR-PCRで大腸癌HCT116が約30%汚染しているため,2
010/11/19廃棄処分した」などと記載されており(同1頁。なお,STR
-PCRはヒト細胞認証試験であり,甲2,4をみると,LewisLung-
Dualはマウス肺由来のがん細胞,HCT116はヒト大腸由来のがん細胞とう
かがわれる。),細胞の管理が徹底されておらず,クロスコンタミネーションを起
こしやすい状況であったことがうかがわれる。
一方,本件納品細胞を購入した後最初に同細胞を培養した修士1年生の学生(証
人G11頁)がどのような形で本件納品細胞を培養したかは明らかではないが,A
研究室では,クリーンベンチを用いて,すべて使い捨ての器具を使って培養を行
い,1つの装置の中では1つずつの細胞を扱うようにしており,培養した細胞の保
管に関しても細胞の容器に細胞の情報,凍結時期,凍結者などを記入し,これとは
別に,保管フォルダを作成し,液体窒素タンク内の細胞の情報を管理するとともに
(同3頁),細胞の廃棄に関しても培養室のレベルに応じて適切に行うよう指導さ
れており(同10頁),無菌状態を保てるように培養室の中では消毒等も行ってい
たのであって(同13頁),本件納品細胞を用いた実験のほとんどを自ら実施して
いたGもそのような手法を順守していた(証人G)。Gの上記証言に関しては,特
段不自然,不合理な点はなく,その信用性を覆すような他の証拠も見当たらず,基
本的に信用できる。
そうすると,被告のもとでは少なくとも本件買受申込細胞に関してクロスコンタ
ミネーションが起きていた一方で,原告らのもとではそのような事情はうかがわれ
ないのであるから,原告大学に納入された時点で既にヒト細胞ではなかったことが
真実に反していることを被告が立証できているとは認めらない。したがって,上記
裁判上の自白の撤回の要件を満たしておらず,本件では原告大学に納入された時点
で既にヒト細胞ではなかったとの自白が維持されていることになる。
(6)小括
以上によれば,本件納品細胞は原告大学に納入された時点で既にヒト細胞ではな
かったと認められ,被告はヒト細胞である本件買受申込細胞を原告らに供給すべき
注意義務に違反したと認められる。なお,上記第3の1(1)で認定した事実関係に
照らせば,被告がヒト細胞である本件買受申込細胞を出荷したが,Bがヒト細胞で
はない細胞を誤納品したという被告の主張は採用できない。
3争点(3)(損害)及び争点(4)(過失相殺の有無)について
(1)過失相殺の有無について
証拠(証人G,原告本人A)によれば,本件研究のように購入した細胞を用いて
通常の培養操作を行う場合において,細胞の製造販売会社からヒト細胞として納品
された細胞がヒト細胞であるか否かを購入者において自ら確認する措置を講じるこ
とが,本件納品細胞の納入当時,慣行として確立していたといった事情は認められ
ないことからすれば,原告らにおいて,過失相殺の対象として考慮すべき注意義務
(本件納品細胞を入手した時点であるいは適時に,クロスコンタミネーションがな
いか否か等を確認するため,本件納品細胞がヒト細胞であるか否かを確認すべき注
意義務)があったとは認められず,したがってその違反を検討する余地もない。
被告は,文献(乙5ないし8)や被告代表者Iの供述等を基に,上記過失がある
と主張するが,原告らの指摘するとおり,上記文献によっても,当時,購入した細
胞を用いて通常の培養操作を行う場合において,細胞の製造販売会社からヒト細胞
として納品された細胞がヒト細胞であるか否かを購入者において自ら確認する措置
を講じることが通常行われるべきこととされていたとは認められないことからする
と,被告らの指摘する点を踏まえても,原告らに過失があったということはできな
い。
したがって,過失相殺は認められない。
(2)損害額について
ア原告大学の損害80万0000円
(ア)研究費用80万0000円
証拠(証人G,原告本人A)によれば,当時,本件研究にかかる実験のほとんど
は,Eの指導を受けながら,Gがこれを実施していたこと,Gは,自身がつけた実
験ノートに基づき,実験ノートに記載がある期間に,予備培養の期間である1週間
と実際に組織モデルを作った後に観察及び解析を行うために必要な期間である5日
間を加え,本件研究に要する期間を146日間と算出したことが認められる。
また,証拠(甲9,原告本人A)によれば,当時,Eの1日当たりの給与は約1
万8878円であると認められる。
もっとも,Eは当時助教(甲9)であり,上記のとおり,本件研究にかかる実験
を自ら実施していたわけではない(実施していたのは大学院生のGである。)上,
助教の地位にある者として,他の実験や原告大学における他の仕事等も本件研究と
並行して行っていたことは十分これを推認できるから,本件研究に由来して原告大
学が被った損害額としては,Eの仕事の約3割程度が無駄になったものと推定し,
本件研究に要する期間にEの1日当たりの給与を掛けた額の約3割に当たる80万
円と認めるのが相当である。
(イ)弁護士費用等0円
証拠(甲10ないし14,乙2,原告本人A)によれば,原告大学は,被告の親
会社から送付された書面(甲10)に対応するために,弁護士に依頼して,本件訴
訟前の被告の親会社との一連の対応を行わせた結果,翻訳料及び弁護士費用合計1
89万9600円を要したと認められるが,ある会社が一定の性質を有するとして
同性質を有さない細胞を納入した場合に,その時点において,その後,訴訟提起の
前の時点で,同会社の親会社が弁護士の対応を要する交渉を生じさせる事態が通常
とは認められず,上記損害は通常生ずべき損害にあたらず,上記注意義務違反との
間で相当因果関係を有するとは認められない(なお,原告らが弁護士費用の発生原
因として主張するところは以上の点に尽きており,その他の,例えば本件訴訟追行
に要した費用等については論及がない。)。
イ原告Aの損害20万0000円
原告Aによれば,本件研究を統括する立場にあり,その研究成果についての論文
においても責任者の立場にあったが,本件納品細胞がヒト細胞ではなかったため,
論文等において誤った研究結果を発表したと認められ,発表内容の差替えを行って
おり,本件訴訟がマスコミにも報道されたと認められる。もっとも,原告Aの責任
が軽くないとの批判を受けているとの点については,そのような声を感じざるを得
ない(原告本人A8頁)というにとどまり,具体的にいつどのような批判を受けた
のか明らかではない。原告Aは,上記事実によって社会的な信用を失い,精神的な
苦痛を被ったと認められるが,原告Aが主張し,当裁判所が認定するとおり,当
時,本件納品細胞が納入された時点や適時において原告らにおいて本件納品細胞が
ヒト細胞であるか否かを自ら確認すべき慣行がなかったのであるとすれば,原告A
が本件に関して批判を受けるとしても,本件については主として被告に原因がある
とみるのが一般的な受け止め方と考えられる。加えて,本件訴訟で被告の責任が明
らかとされれば,一定程度その精神的苦痛等が慰謝されると認められることなどを
考慮すると,原告Aに対する慰謝料額は20万円と認めるのが相当である。
4原告らによる訴えの一部取下げについて
原告らは,訴状及び上記訴状訂正申立書において,主位的請求として債務不履行
に基づく請求を行っていたが,第5回口頭弁論期日(平成28年10月31日実
施)において,平成28年10月25日付け訴えの一部取下書兼準備書面(4)を陳
述し,上記主位的請求を取り下げたところ,被告は,同期日にて,同訴えの一部取
下げについて同意をした。その後,被告は,平成28年11月1日付け訴えの一部
取下に対する異議申述書(平成28年12月22日陳述)において,上記訴えの一
部取下げにつき異議を述べている。
しかしながら,訴えの取下げに対する同意は,直接に訴訟法上の効果の発生を目
的とする一方行為であって,いったん訴えの取下げについて同意をした以上,直接
に訴えの取下げによる訴訟の終了を確定させる効果が生じると認められる(大阪高
裁昭和53年10月25日判決・判例タイムズ380号105頁参照)から,訴え
の取下げに対する同意を撤回することや,訴えの取下げに対して異議を述べたとし
ても,何ら上記同意の効果を覆す効力はないというべきである。
したがって,原告らの上記訴えの一部取下げは有効であり,主位的請求について
の判断はしない。
5結論
以上のとおりであり,原告大学の請求は,80万円及びこれに対する不法行為
日より後の日である平成23年12月17日から支払済みまで年5%の割合に
よる遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから一部認容し,原告Aの請求
は,20万円及びこれに対する不法行為日より後の日である平成23年12月
17日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で
理由があるから一部認容し,原告らのその余の請求は理由がないから棄却すること
として,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第18民事部
裁判長裁判官大島雅弘
裁判官池田聡介
裁判官乾裕美

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