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平成23年(受)第289号自賠責保険金請求事件
平成24年10月11日第一小法廷判決
主文
1原判決中上告人敗訴部分を破棄する。
2前項の部分につき,被上告人の控訴を棄却する。
3控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。
理由
上告代理人井野直幸の上告受理申立て理由について
1本件は,被上告人が,自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」とい
う。)の保険者である上告人に対し,自動車損害賠償保障法(以下「法」とい
う。)15条所定の保険金の支払を求める事案である。上記保険金の支払を請求す
る訴訟において,裁判所が法16条の3第1項に規定する支払基準によることなく
保険金の額を算定して支払を命じることができるか否かが争点となっている。
2原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)平成15年9月18日午前2時10分頃,Aが運転する軽四輪貨物自動車
が中央線を越えて対向車線に進行し,Bが所有しCが運転する普通貨物自動車と正
面衝突する事故(以下「本件事故」という。)が発生した。Aは,同日,本件事故
により死亡した。
(2)本件事故当時,上記普通貨物自動車につき,上告人を保険者とする自賠責
保険契約及び被上告人を保険者とする自動車共済契約(任意保険)が締結されてい
た。
(3)自賠責保険の保険金額は,死亡による損害(死亡に至るまでの傷害による
損害を除く。)につき,一人3000万円とされている(法13条1項,自動車損
害賠償保障法施行令2条1項1号イ)。また,自賠責保険の保険者は,保険金等を
支払うときは,国土交通大臣及び内閣総理大臣が定める支払基準に従ってこれを支
払わなければならないとされているところ(法16条の3第1項),上記支払基準
によれば,死亡に係る支払にあっては,被害者に重大な過失がある場合,次のとお
り,被害者の過失割合に応じて,保険金額(ただし,積算した損害額が保険金額に
満たない場合には積算した損害額)から減額を行うものとされている。
7割未満減額なし
7割以上8割未満2割減額
8割以上9割未満3割減額
9割以上10割未満5割減額
(4)上告人は,平成17年3月,Aの相続人らに対し,前記(2)の自賠責保険契
約に基づき,1500万円の損害賠償額を支払った。
(5)Aの相続人らは,平成18年7月,徳島地方裁判所阿南支部に対し,C及
びB(以下,併せて「Cら」という。)を被告として,本件事故によるAの損害賠
償金の支払を求める訴訟を提起した。平成20年1月29日,上記訴訟において,
Aの相続人らとCらとの間で,要旨次のとおり訴訟上の和解が成立した。
ア本件事故によるAの損害が合計7500万円(逸失利益5400万円,慰謝
料2000万円,葬儀費用100万円)であることを確認する。
イ本件事故の過失割合につき,Aが6割,Cが4割であることを確認する。
ウCらは,Aの相続人らに対し,上記アの損害額から過失相殺による減額及び
既払額(前記(4)の1500万円)の控除をした残額1500万円を連帯して支払
う。
(6)被上告人は,平成20年2月15日,前記(2)の共済契約に基づき,Aの相
続人らに対し,上記和解によってCらが支払うべきものとされた1500万円を支
払った。
(7)被上告人は,平成20年3月28日,上告人に対し,前記(5)イの過失割合
を前提に,法15条所定の保険金として1500万円を支払うよう請求したが,上
告人は,Aには重大な過失があり,保険金額3000万円から5割の減額を行うの
が相当であるから,上告人はこれ以上保険金を支払う義務を負わないとして,支払
を拒絶した。
3原審は,以上の事実関係等の下において,Aの損害額を7500万円,Aの
過失割合を8割とした上で,次のとおり判断して,被上告人の請求を600万円の
限度で認容した。
支払基準によれば,被害者の過失割合が8割の場合には,保険金額から3割の減
額をすべきものとされているから,上告人は保険金額3000万円から3割減額し
た金額である2100万円を支払うべきであったところ,上告人が実際に支払った
のは1500万円であるから,上告人は,被上告人に対して,その差額600万円
を支払うべきである。
4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を請求する
訴訟において,裁判所は,法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく
損害賠償額を算定して支払を命じることができるというべきである(最高裁平成1
7年(受)第1628号同18年3月30日第一小法廷判決・民集60巻3号12
42頁)。そして,法15条所定の保険金の支払を請求する訴訟においても,上記
の理は異なるものではないから,裁判所は,上記支払基準によることなく,自ら相
当と認定判断した損害額及び過失割合に従って保険金の額を算定して支払を命じな
ければならないと解するのが相当である。
しかるに,原審は,Aの損害額を7500万円,Aの過失割合を8割としなが
ら,これらを前提とした過失相殺をせず,上記支払基準によれば上告人が2100
万円の保険金を支払う義務があると判断して,被上告人の請求を一部認容したので
あり,この判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨
は理由があり,原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,以上説示した
ところによれば,上告人は,上記損害額から上記過失割合により過失相殺をした後
の1500万円に相当する損害賠償額を既に支払済みであるから,これ以上保険金
を支払う義務を負わない。そうすると,被上告人の請求は理由がなく棄却すべきも
のであって,第1審判決は結論において是認することができるから,上記部分に関
する被上告人の控訴を棄却すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官櫻井龍子裁判官金築誠志裁判官横田尤孝裁判官
白木勇裁判官山浦善樹)

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